緑の書斎

 樹々にこんもりと囲まれ、小川のせせらぎに心洗われる、ここは奥座敷といった佇まいの場所である。ぐるっと巡ると実に多様な植物が繁茂していていることが素人目にもわかる。
 2010年、名古屋でのCOP10で生物多様性に関する会議が開かれ、里山の重要性が叫ばれた。生物多様性というとらえどころのない言葉がここに来れば絵解きのようにひもとかれる。緑の多様さに触れ、学び、考える。ここは生きた書斎ではないか・・・。この奥座敷は<地球の家>の「緑の書斎」に格好の場所である。

<棚門>
 小川に架かる小さな橋を渡ると、直ぐに赤褐色の壁土で覆われた「棚門」がある。<緑の書斎>に入る門であるだけでなく、緑の書斎の棚でもある。棚には周辺に自生している野バラとかツタなどの植物や、その周りの土壌をそのまま移植し陳列してある。書斎の棚に普通選ばれた書籍があるかわりに、「場所」の生物多様性をひもとくための索引が並べられてるといったイメージである。棚門の門をくぐる時に棚から発散してくる多様な植物の気配、香りに目を見開いてほしい。

<十字水>
 棚門の向こうには十字の形をして東西南北にが配備された<十字水>がある。横の小川から導水した水が十字の真中に静かに沸き出していて、地球のへそといった十字に生命力を与えている。どの方角に未来を読み解くのか・・・。<十字水>の指し示す方向を順に回って思いを巡らせてほしい。未来羅針盤とも呼ばれるのだから。小川の方に進むのもよい。小高い斜面の上から見下ろすのもよい。緑の書斎では植物と水の織りなす時間に存分に身をまかせることが出来る。

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