2015年度地理B本試験[第4問]問3 解説

問3 [インプレッション] 農業区分の問題として捉えてもいいけれど、基本的にはアメリカ合衆国の問題と同様に、農産物に注目して解くのがスマートかもしれない。

[解法] 4つの地域に関する説明文が取り上げられ、どれに該当するかというパターン。正誤問題ではないので、文章そのものは正しい。
4つの選択肢を考察していこう。それぞれに農畜産物の記述が含まれ、これがカギになる。
①;大豆・トウモロコシ
②;コーヒー・バナナ
③;ジャガイモ・リャマ・アルパカ
④;牛・羊

この中で最も分かりやすいのは③かな。リャマ・アルパカはアンデスの高原で遊牧されている家畜。ペルーからボリビアの高原地帯であるLが当てはまる。問1の写真で言ったらイの光景。高原の牧草地でリャマやアルパカが飼育されている。遊牧は「粗放的」な農牧業形態。
さらに④の羊。羊は原則として乾燥気候に適応した家畜。身体中を多う分厚い毛は、防寒用ではなく、皮膚からの水分蒸発を防ぐため。Nに注目しよう。パンパといえばウルグアイからアルゼンチンにまたがる草原地帯のことだが、東側の湿潤パンパと西側の乾燥パンパに分けられる。ラプラタ川エスチュアリーを中心とした辺りが湿潤パンパであるのに対し、Nのエリアは乾燥パンパである(*)。羊の飼育がみられるとみて問題ないよね。Nが④に該当。企業的牧畜地帯である。
残った二つ。それぞれの作物について生産統計を考えてみよう。まずコーヒー。ブラジルがもちろん世界最大の生産国ではあるが、そもそもブラジルは国の規模が大きくて他の産業も発達しているからね。ブラジルにとってみればコーヒーの比重ってあまり高くないのかもしれない。それよりポイントになるのはコロンビア。ブラジルに次ぐ南米第2位のコーヒー生産国で、アンデスの高原地域でさかんに栽培されている(コーヒーが、低地ではなく高原に適応する植物であることも大丈夫だよね)。Kのコロンビアは非常に怪しいわけだ。
さらに「バナナ」。実はこれもブラジルが南米では最大の生産。でもやっぱり国がそもそも大きいからね。バナナの生産に特徴がある国としてぜひ知っておいて欲しいのがエクアドル。赤道直下の太平洋岸の国(有名なガラパゴス諸島はエクアドル)。Kがちょっとエクアドルをかすめている感じ。
では「大豆」と「トウモロコシ」は?いずれもアメリカ合衆国が世界最大の生産国ではあるものの、ブラジル(そしてアルゼンチン)でも生産が多い。日本人の移民によってもたらされた大豆の生産が極めて大きいブラジルであるが、大豆とトウモロコシは生育条件が似ているので、大豆だけでなくトウモロコシの栽培も非常にさかんに行われている。図中ではMがブラジルだね(**))。

以上のことを総合すると、下の表のようになる。

        コロンンビア(K)   エクアドル(K)   ブラジル(M)   アルゼンチン(N)
コーヒー      ◯                        ◯    
バナナ                    ◯          ◯
大豆                                 ◯           ◯
トウモロコシ                             ◯          ◯
羊                                               ◯

どうかな、Kを②、Mを①、Nを④と考えるのが最も無理がないと思うよ。

(*)Nを囲む点線があるよね。この左側に接するエスチュアリー(ラプラタ川エスチュアリーほど大きくないが、同じような形状をしているから図から判別できると思う)を縦に通過するラインを設定し、これがおおよそ年間降水量550mmの等温線と一致する。地図で確認する場合には、ここにバイアブランカという都市があるので、よかったら参照してみよう。このラインより東側が湿潤パンパ、西側が感想パンパ。Nはちょうど乾燥パンパを示しているのだ。
(**)Mはブラジル高原中央部。とくにQ(ブラジリア)とほぼ同じ地域であることに注目しよう。首都ブラジリアは、国土の中でも開発が進まない内陸部の高原中央部に建設された計画都市。ブラジリア建設とともに周辺地域の農業開発も行われ、それまではカンポセラードとよばれる荒地だったのに、現在は大豆やトウモロコシなどの栽培地域も拡大している。

[アフターアクション]農産物をネタにしたシンプルな問題なんちゃうかなって雰囲気だったけど、実際に解いてみたら奥が深い(笑)。これ、スゴくいい問題やん!キミたちは単純に「ブラジル=コーヒー」と覚えているかも知れないがブラジルっていったって広いんやから、地域はもうちょっと細かく断定しないといけない。ブラジルにおけるコーヒー栽培地はブラジル高原南部で、暗紫色の土壌テラローシャで覆われている。この図で言うと、Mよりちょっとだけ南側かな。サンパウロという都市(南半球最大都市だぜ!)を探して、その周辺にコーヒー農園が多く広がっている様子を想像するといい。かつて日本からの農業移民が流入した地域でもあり、最大の日系人社会が形成されているところでもある。
一方、Mを含むブラル高原中央部には首都ブラジリアが位置している。周辺地域はカンポセラードとよばれる荒地であったのだが、日本などの協力によって農地として開発されている。
かつてこれに関する問題が出題されたので紹介しよう。写真は省略しているが、写真1はトゲのある植物がみられる荒地を示し、写真2は機械も導入された大規模な農地が表されている。

次の写真1は、地力の低い酸性土壌で、まばらな低木の混じった草原が広大に広がる地域の景観を撮影したものである。この地域の一部では、日本の資本を導入した政府の開発事業などによって、下の写真2のような農業景観がみられるようになった。この地域が含まれる国として適当なものを、下の①〜④のうちから一つ選べ。

① エクアドル
② コロンビア
③ チリ
④ ブラジル

正解は④のブラジル。ブラジルと日本の密接な関係が解答のポイントになる。

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