2006年度地理A本試験解説

2006年地理A本試験

 

<第1問>

問1 「地球上の距離が最長のもの」なので赤道上の線を挙げればいいわけだ。地球は球体なんだから当たり前。だからまず線に関してはウを選択する。おっと、ウが赤道上の線であるのは大丈夫だよね?アフリカ大陸において赤道は「腹筋」の部分を通るのです。

ではおよその距離を求めてみよう。ウの東端と左端の経度間隔は20°である。これは下に「経線・緯線は10°間隔」と書かれているので、これから測定できる。赤道上における地球一周の長さは約40000kmである。これは知っているよね?そもそもこれを知らなければ計算すらできないわけだが。地球一周すなわち360°で約40000kmなのだから、20°分なら、20/360、つまり18分の1の長さとなる。40000を18で除して解はおよそ2222、よって近似値は2200となる。

 

問2 A国南部つまりサハラ砂漠のような乾燥地域でみられる家屋の特徴を問うている。

まず速攻で外れるものがある。それが選択肢②。ゴムの木(つまり天然ゴム)は熱帯の高温多雨な自然環境を好むもの。このような乾燥地域で栽培できるだろうか。除去せよ。

ただしここからは難しい。選択肢が3つ残されているが、これが消しにくいんだよなぁ~。だからここからは、間違った部分を見つけて、それで誤文を除いていくやり方ではなく、正しいものをそのまま正しいとして解答にするってやりかたしかない。というわけで、いきなりですが正解は①。こういった乾燥地域における住居の特徴は「窓が小さい」ことで、これは絶対的なこと。「家の窓は小さく」に直接反応して、①を選べばいい。文にもあるように、強い日差しや砂を防ぐはたらきがある他、風が入りにくいため涼しさを保てるというメリットもある。こういった地域においては風は「熱風」であり、風通しのいいことはむしろ暑さを助長するものである。

選択肢③と④についてはさほど検討する必要はないが、とりあえずポイントを。

③では「レンガ」という言葉が重要。こういった乾燥地域では、きちんと焼かれた「レンガ」ではなく、天日で干しただけの「日干しレンガ」が建築材料としてはメジャー。日干しレンガは湿気や豪雨に弱いのだが、乾燥地域ではその心配もない(ただし振動には弱いので、イランやパキスタンなど地震が多い国でこの建材を用いて家屋を造ると被害が拡大するとのこと)。また「雨水をためる」とあるが、水に弱い日干しレンガで雨水を溜めたら溶けてしまうよね?っていうかそもそも雨自体ほとんど降らない地域でもある。

④については意味がわからない。何だろう?太陽光発電だろうか。まぁたしかにこういったところで屋根に太陽光発電装置をつけたらかなりの電力が得られるとは思うけれど、別に写真にそんなんはないよね?

ちなみにA国はアルジェリア。しかし国名が特定できなくてもこの問題は解けたでしょう。A国南部が乾燥地域であることさえわかれば十分に解答可能であるし、サハラ砂漠は誰でも知っている(よね?)。

 

問3 K点はフランスなんだが、国にこだわることはなく、ヨーロッパの反対側と考えればいいだろう。もちろん南半球であるので、①や②は消える。④のマダガスカルはアフリカ大陸南東部に浮かぶ島だが、そもそもヨーロッパとアフリカは距離的に大きく離れているわけでないし、ましてや地球の反対側ではない。正解は④のニュージーランド。ニュージーランドの鼻先を180°の経線が通過しているのだが、経度0°がイギリスを通過することを考えれば、まさにここがヨーロッパの反対側とみていいだろう。

なおニュージーランドは主な国の中で最も早く「明日になる国」である。コンピュータの2000年問題っていうのがあったのを知らないかな?下二桁が「99」から「00」になることによって誤作動を起こし、世界中が混乱に陥るのではないかと懸念された事態。実際には何事もなかった(その裏には多くのコンピュータ技師たちの大きな努力があったのだろうが、それは我々の知るには及ばないことである)のだが、この時に世界中が注目した国がまさにニュージーランド。主な国の中で最も早く2000年になり、もし2000年問題が起こるならばそれはまずニュージーランドで発生するはずだ。

このようにニュージーランドはヨーロッパの正反対であり、「日出ずる国」日本よりも早く太陽が昇る国なのである。その特殊性を知っておいてもいいだろう。

 

問4 全体的に台地状の地形となっているアフリカ大陸であるが、土地の起伏差は小さくない。とくに北西部には新期造山帯(アルプス・ヒマラヤ造山帯)に属するアトラス山脈が急峻な山地地形をなし、標高は数千メートルに達する。このことからQを正解とする。

それ以外の地点について。Pはボルガ川下流域で低地となっている。とくに河口付近は三角州ともなっている。またこの川が流れ込むカスピ海は巨大な凹地で、湖面標高は海水面より低いのだ。

Rはナイル川下流部、Sはニジェール川中流部で、いずれも河川沿いの低地。

 

問5 「夏季乾燥し、冬季は降水量が多くなる」というのは地中海性気候。この気候がみられる地域には明らかな共通性があって「緯度35°付近の一帯、大陸西岸」が主であるということ。緯度35°付近というのは、高日季(夏のこと。この言い方を知っておくといい)になると中緯度高圧帯に覆われ、下降気流が卓越するために雲が生じにくい大気の状態となる。北半球ならば北緯35°付近一帯は7月を中心とした時期に北上してくる中緯度高圧帯によって支配され、南半球ならば同じように南緯35°付近一帯は1月を中心とした時期に南下している中緯度高圧帯の影響下に入る。

このためこの緯度帯では少雨気候となるのだが、しかし大陸東岸には適用されない。緯度35°付近の大陸東岸は、北半球も南半球も沿岸を暖流が流れ、これが湿潤な空気をもたらすために逆に雨の多い気候となるのだ。日本を考えてみるといい。夏になると小笠原気団に覆われる日本であるが、この小笠原気団こそ北上してきた中緯度高圧帯なのだ。しかし北西太平洋地域は暖流である日本海流の流れが顕著で、水蒸気も豊富に大気中に供給され、この時期の降水量は決して少なくない。逆にいえば、同じ緯度帯であっても大陸西岸であるヨーロッパ南部などでは、暖流の影響がないため降水量が少ない気候となってしまう。

この「緯度35°&大陸西岸」という必要十分条件に沿って、夏季乾燥型の気候すなわち地中海性気候の現れる地域を限定していこう。

まず南ヨーロッパ・北アフリカ・西アジアなど地中海沿岸地域。イタリアが代表的な例。さらに北半球ではもう一地域、アメリカ合衆国の大西洋岸。カリフォルニア州など。

南半球ではおおまかに3つの地域を知っておこう。アフリカ大陸南西岸ケープタウン(南アフリカ共和国)、チリ中央部の首都サンチアゴ付近、オーストラリア南部のアデレード・パース付近。

これらを確実に知っておくことが本問を解くポイントとなる。

またこのような地中海性気候が見られる地域ではブドウの栽培を伴うことが一般的。夏季に不足する飲料水をブドウの果汁で補うのだ。

 

問6 氷河地形って結構出題率高かったりする。注意しよう。ただしここではむしろ「カルスト」という言葉を知っているかどうかってことだね。もちろんこれは秋吉台や平尾台などにみられる石灰岩の溶食地形のこと。

カールは山岳地域などにみられる半椀状の谷のことで、氷河によって山肌が大きくえぐり取られることによって形成。

フィヨルドはいうまでもないでしょう。氷河による侵食谷(その断面の形状から「U字谷」ともよばれる)に海水が進入することで形成された、奥行きの深い入り江。

モレーンは氷河による堆積物が小さな丘となったもの。日本ではちょっとみられない地形だが、ドイツなどにいくと小高い丘がいくつも平原に連続しており、これらはモレーンなのだ。

 

問7 「人口ピラミッドは底辺に注目」というセオリー。キが最も古い時代で、それに次ぐのがカ、最も現代に近いのがク。出生率が下がり、0~5歳児の割合が次第に低下していく様子を読み取る。

 

問8 いかにも地理A的な雰囲気をもった問題だね。

正解は②。排他的経済水域とは、その範囲における海底の資源開発や漁船の操業(このことからこれを漁業専管水域という場合もある)について特定の国が優先的な開発権・漁業権をもてる範囲のことで、一般的には当該国の沿岸から200カイリの範囲であると定められている(海域が狭く沿岸国が200カイリを設定できない場合には、海域の中間に境界線を求めることもある)。これは領海とは全くの別物であるので、誤解しないように。領海とは国土の沿岸から12カイリの範囲(これには諸説あるが、試験でこの数値は問われないのでどうでもいい)の海域のことで、いわばこれは「家の庭」。完全にその国の領土であるので外国の船は当該国の了解を得なければ航行することも許されない。日本なんかでも、こういったエリアに「不審船」が入ってくれば海上保安庁の警備艇が出動するわけです。

これに対し、その外側から200カイリの範囲(200から12をマイナスするから、領海から外側に188カイリの範囲というべきだろうか、正確には)は資源開発や漁船の操業が問題になるだけであって、原則としてどんな国の船が通ってもかまわない。いわば「家の前の道路」みたいなもんだろう。この道路に落ちている財布は勝手に拾っていいけれど(いや、本当は警察に届けないとダメだけどさぁ、たとえ話ということで)、ここを通行する人たちのことをジャマしてはいけないってことだ。領海と排他的経済水域(漁業専管水域)とを区別しておいてください。

 

<第2問>

問1 都市名に関する知識がある程度必要になってくるという点で、いかにも知識重視の地理A的な雰囲気。地理B受験者の君たちはこういった難しい都市名なんか覚えなくてもいいからね(笑)。

まず問題文注目。一週当たり29便ってことは一日当たり5便ぐらいか、結構多いよね。でも中には一週当たり70便なんていうのもあって、これは一日10便以上!多いよね~それだけ頻繁に航空機が出発しているということは相当日本と関係の深い地域であるとともに、距離的な近さも重要なキーワードになるんだと思う。だから70便以上についてはCと判定。中国や韓国、そして台湾など日本と近く、そして深い関係にある地域に位置する都市ばかり。30~49便については、グアムが含まれていることからBが該当。日本に近い観光地だよね。行ったら日本人だらけだっていう(笑)。ニューヨークは納得なんだが(日本人の出国先として第1位は米国なのだ)、ロンドンやパリがこんなに多いっていうのは意外かな。でも世界を代表する大都市だからこれぐらい便数があって当然かもしれないけどね。最後に残ったAが29便以下になる。もちろん29便っていったって相対的にみたら少ないだけで、これはこれで結構便数あると思うんだけどね。どうかな。サイパンっていえばグアムよりはマイナーだし、これぐらいで納得。フランクフルトもロンドンやパリより便数が多いとは思えない。シドニーが微妙かな。オーストラリアは日本と関係の深い国。しかしそもそも人口規模が小さい国だから日本へと往復するオーストラリア人は少ないだろうし、経済規模も大きな国ではないので観光はともかくとしてビジネスとして行く人は限られてしまうよね。そうなると便数もこんなものか。プサンについては福岡などから船舶も就航していることだし、そちらを利用する人もいるんじゃないかな。

 

問2 P;400万人を超えているという実数の多さに注目する。もちろん増加率もすごいんだけどね。これがアジア。

R;これは少ないなぁ。そもそもの人口規模が小さい(オーストラリアでもせいぜい2000万人なのだ)オセアニアと思って間違いないでしょう。しかし逆にいえば2000万人強という人口規模のわりに日本に100万人もやってきているというのは、割合としては高いなぁ。距離的な近さや経済レベルの高さなどが理由なんだろうね。

残ったQがヨーロッパ。

 

問3 マレーシアは最重要国の一つだよね。

日本からマレーシアへの輸出はイでしょう。品目に一次産品(農産物や工業資源など)が含まれていない反面、わが国が世界最大の輸出額を誇る自動車がランクインしている。

残りの2つはいずれもマレーシアから日本への輸出品目なのだが、木材の割合が高いウが過去(つまり1993年)、主に機械類が占めているアが現在(2003年)とみていいだろう。90年代に日本企業がさかんに東南アジアとくにマレーシアに進出したことによって、電気機械はじめとする機械組立工業がとくに発達するようになった。「80年代韓国、90年代マレーシア、00年代中国」というセオリー。

 

問4 「ブラジル」で判定しちゃえば問題ないんじゃない?もちろんコーヒー豆だわな。ちなみに矢印の先は、ブラジル・コロンビア・グアテマラ・ベトナム・インドネシア・エチオピア(もう一か国がよく見えないんだが。ベリーズ?エルサルバドル?ニカラグア?)。近年、賃金水準の安いベトナムでコーヒー豆の生産と輸出が増加しているんだが、知っておくといいだろう。

 

問5 地理A的な問題ですね。OAPECは地理Bで出題されることは考えられないし、NATOもおそらく取り上げられることはないでしょう。単なる知識に片寄った出題はいかにも地理A。

カはOAPEC。アラブ石油輸出国機構で、主にOPEC内におけるアラブ国家から構成されている。参考までに加盟国を挙げておくと、サウジアラビア・イラク・クウェート・アラブ首長国連邦・カタール・バーレーン・シリア・エジプト・リビア・アルジェリア。なお本問のカの図ではチュニジアも着色されているような気がするんだが。。。気のせいだよね、気のせい。まさか厳格なセンター作成者が間違いを犯すわけがない(一応弁護しておきますが、昔は入ってたんですよ、チュニジアも)。

キはNAFTA。北アメリカ自由貿易協定の名前どおり、北米大陸の国によって調印されている。

クはNATO。北大西洋条約機構で、ぶっちゃけていえば軍事同盟です。EUの主要国と米国、カナダ、そしてトルコ(そもそもソ連に対抗してできた軍事組織なので、ソ連と国境を接しているトルコも加盟していた)が主な構成国。

OAPECが「資源」、NAFTAが「貿易」、NATAが「軍事」なのは言うまでもないでしょう。

 

問6 あ、これよくわからないや。おそらく④番が違うのかな。ちょっと過去問を参照してみましょうか。00B本第1問問4やねんけどどうかな?米国とはいえさすがに60年代ということはないでしょう。日本は高度経済成長期だったし、テレビがようやく普及し始めた時代。世界レベルでみても、オイルショック以前の重工業がさかんな時代だし、ちょっとコンピュータとは結びつかないね。

 

<第3問>

問1 ①「小松原」付近を確認したらいいね。

②「延長」はされてないよね。逆に短くなっている。

③32年の図では「陵」の下の印。00・02年の図では同じく「陵」の字の下の、こちらは黒点。どうかな?位置は移動していないように見えるけどね。

④たしかに図の東側にはかつては多くの路面電車があったようだ。道路にそって駅もいくつかみられるし。でもこれらは全て消えてしまっている。00・02年にみられる鉄道は西端から「きたのはくばいちょう」まで達するもののみで、これにしても普通の私鉄で路面電車ではない(長い線とそれを横切る小さな線の組合せ)。ちなみに路面電車は06B本第2問図1の函館市街地図においてみられるので確認するといいだろう。市役所の横を通過し、駅もいくつか存在する。単なる一本線で表されている。

⑤「集められた」というほど多くはないと思うが。「等持院」はもともとあったわけだし。

⑥まず「浄水場」というのがどこにあるかよくわからない。たしかに北西部に大学がつくられてはいるが、これは山地の麓の緩やかな斜面を削ったものであり、浄水場の跡地ではないだろう。

 

問2 珍しい問題だね。でも簡単でしょ?警察署の地図記号がわかれば一発だし、「境内の木々」から北野天満宮に近い交差点を探してもいい。

 

問3 会話文の中に「高層住宅」については「広い道に面したところ」に多いと述べられている。よってこれはNが該当。「大学・大学院生数」については立命館大学がポイントになるだろう。図の北西部に位置し、この付近にはそこに通う大学生や大学院生も多く下宿しているはずだ。Mであるとか考えにくく、北西部に比較的大きな円が並ぶLがこれに該当すると考える。

残ったMが「製造業事業所従業者数」だが、これについては32年の地図で「西陣」という地名を探すといい。この地域に昔ながらの機織り工場があり、それに従事する人も多いのではないかと想像する。

 

問4 Pは「洋風」なので長崎でしょう。青森が登場しているが、雪国らしい造りになっているのはやっぱりRかな。「ひさし」は雪が家の入り口をふさいでしまわないような工夫なのでしょう。残ったQが京都。「参道」っていうのがそれっぽい。有名な寺社が多いから、これらに通じる参道も多いよね。

 

問5 この大問のテーマは京都なのに、ここではあえてソウルを尋ねている。つまりソウル(っていうか韓国)の家屋には決定的な「何か」があるってことだよ。消去法ではなく、ソウルに該当するものをズバリ当てなさいっていう問題。

もちろん韓国の家屋特有のものといえばオンドルだよね。地理Aでは何回も出題されている。部屋の壁の奥に通気路を張り巡らし、暖気を通じることによって部屋全体を暖める、いわばセントラルヒーティングのようなもの。まさに④がそのことを説明した文。

①は京都、②はシンガポール、③はペキン。とくに詳しく理解する必要はないでしょう。

 

問6 Xはシーアン。日本の平安京もモデルにした格子状の街路区画。

Zはパリ。過去問にパリ市街地の写真も登場したことがある。いくつかの広場を中心として、そこから放射状に広がるいくつもの街路が、混然と市街に張り巡らされている。

残ったYがアムステルダム。オランダの首都で、第4問問6でも登場してるんだよなぁ。海に面する都市で大きな海港を有している。

 

第4問

 

問1 いい問題ですね、簡単で(笑)。過去問にも類題がたくさんあるし。バルト海北部を通るのが小麦の栽培北限ライン。ヨーロッパのほぼ全域で栽培が可能な作物。フランス北部パリ盆地を通過するのがブドウの栽培北限ライン。北欧やイギリスでは栽培不可能だが、フランスではさかんにつくられている。地中海沿岸がオリーブの栽培北限ライン。イタリアとスペインでの生産が多く、フランスではあまり栽培されていない。

 

問2 ①魚介類。アイスランドで判定すればいいと思う。島国あるいは長い海岸線を有する国が並ぶ。

②茶。やっぱりイギリスが決め手だね。ポーランドが意外なんだが。

③トマト。地中海沿岸の温暖な国が並ぶ。日本でもビニルハウスなど温室で栽培されるイメージのあるトマトだが、やはり生産は南の国で多く、1人当たりの消費量も大きい。

④チーズ。酪農国としてデンマークがランクインしている点に注目。ギリシャが意外だが、隣国ブルガリアはヨーグルトの国だしね(笑)。

 

問3 こういった問題は地理A特有だと思う。逆にいえばこの問題がスムーズに解ければ、地理B選択者にとって民族・宗教に対する知識は十分すぎるということ。なお、本問では「ゲルマン系の言語」というような表現がなされているが、地理においては言語と民族はほぼ同義と考えていい。よってこれはすなわち「ゲルマン系の民族」という意味であると解釈すること。

まず大まかな民族と宗教の分布から。

ヨーロッパ北西部に分布するのはゲルマン系民族。イギリスやドイツの主要民族がこれに該当する。彼らの多くはプロテスタント教徒でもある。

ヨーロッパ南西部に分布するのはラテン系民族。イタリア、フランス、スペイン、ポルトガルなど。彼らはカトリック教徒である。

ヨーロッパ東部に分布するのはスラブ系民族。ロシアなどが該当。その多くは東方正教を信仰するが、しかしポーランドなどではカトリック教徒が主。

おおまかにこれだけわかっていれば十分な気がするけどね。例えば北西ヨーロッパに位置する国としてAのデンマークはゲルマン系でプロテスタント(選択肢③)であり、この南に位置するBのドイツはゲルマン系でほとんどがプロテスタントではあるが、南部はカトリック教徒が多い(選択肢②)。民族と宗教の分布が大まかにわかっていれば、これぐらいは十分に想像できる。

さらにFのスペインは南西ヨーロッパの国なのでラテン系民族でカトリック教徒(選択肢⑥)であり、Cのポーランドは特別に知っておくべき国なのだが、これはスラブ系でカトリック(選択肢④)。

DとEについては判定の必要はないが、一応解説を。Dのハンガリーはアジア系人種から構成される国で、周囲の白人から「浮いた」状態にあるので「人種島」ともよばれる。このアジア系人種をウラル系という場合があり、このため選択肢①がハンガリーに該当。宗教についてはカトリックが主だが、とくに重要ではない。Eはボスニアヘルツェゴビナという国。旧ユーゴスラビアを構成していた国で、その名の通り民族的には南スラブ系(ユーゴスラビアとは「南スラブ」という意味)つまりスラブ系である。ただし宗教の面では複雑で、西部のクロアチア系住民(彼らはカトリック教徒である)と東部のセルビア系住民(彼らは東方正教会)が、この国本来の民族であるモスレム人(彼らはイスラム教徒。そもそも「モスレム」とはイスラム教徒の意)を取り囲むような民族分布をみせる。過去には凄惨な内戦も経験した。選択肢⑤が該当。

 

問4 ベルギーの多言語国家ネタもよく出るね~。こりゃもはや常識って感じで解いてください。もちろん②が正解。北部はオランダ語、南部はフランス語を使用する多言語国家なのです。

 

問5 これもおもしろいな~。ただし地理Bで出題される類のものではないでしょう。

カ;「法王」なんていうんやからバチカンかな。ちなみにバチカンという国が登場したのはセンター史上初の出来事。

キ;「溶岩」はこの国が火山島からなることを表し、「氷山」は寒冷な気候を象徴する。アイスランドでしょう。海嶺上に形成された溶岩台地。

ク;「航海術」「海外航路」なんてあるんだから、かつて海を越え世界中に進出していったポルトガルという国の伝統を考える。それにしても最近ポルトガルって結構テストによく登場してくるんだよな~。

 

問6 むっ、これはオランダの問題ではないな。一般的な旅客輸送に関する問題でしょ?要するに「人は船で旅をしない」ということ。97B本第1問問2の選択肢に「1990年以降、大型客船の投入により船舶運賃が大幅に下がったため」というのがあるのだが、これは「海外修学旅行が増加した背景の説明」としては誤っているわけだ

。どうだろうか?船舶による交通は現在もさかんであるが、それは主に貨物を輸送するためのものであって、旅客輸送は船舶には依存していない。国名や都市名に惑わされるのではなく、地理一般の法則性のようなものにこそ注目するべきなのだ。

 

第5問

 

問1非常におもしろい問題だと思う。ただし「都市人口率」が問われている点がいかにも地理A的か。都市人口率は外れ選択肢としてはしばしば登場する指標だが、本問のようにそれを答えさせるというパターンは少なくとも地理Bではみられない。

このように世界全体が表されている図においては、日本を中心に考えていくと見当を付けやすい。5つの指標のうちで、日本がとくに高いと思われるものは「人口密度」と「老年人口率」。これは世界最高レベルだと思う。「都市人口率」についてはよくわからないが、一般的に都市化が進んだ先進国で高い指標と考えれば、日本もやはり高い方のグループに属するだろう。一方、日本が低いと思われるものは「エイズ罹患率」と「乳児死亡率」の2つ。おそらく世界でも際立って低い国の一つではないか。

「都市人口率」と「老年人口率」に該当するものを指摘するのだから、日本が「低」となっている①と⑤を除外する。また「人口密度」については、面積に反比例しやすいという性質を考え、広い国(例えばオーストラリア)で「低」となる傾向が強い②がこれに該当すると判定する。

よって正解は③と④にしぼられる。重要なのは「老年人口率」。これは原則として人口増加率と相反する指標。つまり人口増加率の高い地域は出生率が高く幼年人口率も高いので、相対的に老年人口率が低くなる。人口増加率の低い地域はその反対。

ここで大陸別の年人口増加率を考えてみよう。3%;アフリカ、2%;ラテンアメリカ・南アジア、1%;東アジア・オセアニア・アングロアメリカ、0%;ヨーロッパ・ロシア・日本。この公式を意識して、図を観察してみる。③に注目しよう。日本、ヨーロッパ、ロシア、アングロアメリカで高く、ラテンアメリカやインドで中ぐらい、アフリカで低い割合となっている。どうだろうか?先に挙げた大陸別の年人口増加率と相反する傾向が明確にみられるではないか。これを「老年人口率」と考えることは妥当だろう。

残った④が「都市人口率」。先進国で高く、発展途上国で低いという傾向がおおまかに感じられる。もっとも、発展途上国とはいえ、南米大陸で高い値となっているので、そこまで明確な傾向があるとはいえないのだが。

 

問2 「穀物自給率」は一般的に商業的な農業が営まれている国で高く、自給的な農業が営まれている地域で低い。「1人1日当たり供給栄養量」はカロリーが単位であることからも想像できるように、肉や油を使った料理が広く食されているような「飽食」の国で高く、おそらくそういった国は先進国だろう。このことから①をオーストラリアと判定する。

マレーシアについては工業国のイメージをしっかり持っておくこと。日本からも企業が多く進出し、この国の主要輸出品目は機械類(とくに電気機械類)である。他にも原油・天然ガス、パーム油などが輸出されていることを考えれば、この国の輸出品に占める食料品の割合が低いものであることは想像できるだろう。③がマレーシア。

キューバとタンザニアについての判定は難しいのでとくにできなくてもいい。とくにタンザニアなんていう国はセンター初出であり、全くイメージがなくて当たり前(アフリカ東部の国だけど知らないよね)。ここはしっかりキューバだけで解こう。キューバは砂糖モノカルチャーのイメージだけ持てれば十分。米国がつくったプランテーションを革命後に国有化し、サトウキビの栽培によって得られた砂糖を海外に輸出することによって外貨を稼ぐという貿易構造がみられるのがこの国の特徴。プランテーション農業そしてモノカルチャー経済の意味がつかめれば、判断できるだろう。とりわけ穀物自給率が低い④がキューバである。

 

問3 先の問2とは一転してメジャーな国ばかり並んでいるので確実に解けると思う。

固体燃料とは主に石炭のこと。石炭の産出が多いのは、第1位が中国で第2位が米国。この2つは絶対に知っておかなくていはいけない。よって①か③がこの両国のいずれかになるのだが、経済レベルや人口規模を考えても、1人当たりエネルギー消費量が大きな米国と小さな中国の判定は簡単なはず。①が米国、②が中国。

④も簡単だろう。液体燃料とは主に原油のこと。サウジアラビアは原油の埋蔵・生産・輸出が世界第1位という「三冠王」なのだ。これがサウジアラビアに該当。やはりOPECの加盟国は知っとけってことだよ。

消去法で②がロシア。気体燃料の生産量が多いがこれは主に天然ガス。天然ガスの産出はロシアと米国が上位。これも知っておこう。

 

問4 こういった問題は地理Bでは出ないでしょう。実は僕もよくわからないのです(笑)。

①湿地保全は「ラムサール」。

②「持続可能な開発」がキーワードとなるのはリオデジャネイロで1992年に開催された国連環境開発会議(地球サミット)。ここで出された宣言は「アジェンダ21」。

③京都議定書やねんけど、たしか二酸化炭素削減の数値目標が設定されたのって日本とEUと米国だけだったんじゃないかなぁ。記憶があやふやなんだが。

以上より、④が正解。ま、よくわかりませんが、これで一応正解のようなんで。

 

問5 ①これは過去問にもありました。日本はほとんど難民を受け入れていない国なのだ。

②~④まぁそういうこともあるでしょう。

 

問6 ア;「独自に進化した固有の動植物」からオーストラリア。他の大陸から隔絶されており、有袋類など固有の生態系の発達をみた。

イ;「社会・経済的な条件が整っていない」からアフリカ。経済レベルの低さを考慮する。

ウ;「文化遺産」の多いことから歴史的建造物の多いヨーロッパ。

 

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