2003年度地理A本試験解説

2003年度地理A本試験

 

第1問

地理B的な良問。過去問からの引用も多く、解きやすい。

 

問1 赤道の位置は頻出。これは確実に知っておかなくてはいけない。もちろんB。

降水量については、風系の季節的な移動にともなう赤道低圧帯の位置の変化に気をつければいいのではないか。7月を中心とした時期には、北半球側の太陽からの受熱量が大きいため風系が北上。もちろん赤道低圧帯なども北上し、赤道よりやや北側の緯度帯においてとくに降水量が多くなる。よってアが「7月の降水量」に該当。

一方、1月を中心とした時期には南半球側の受熱量が大きくなり、それゆえに赤道低圧帯の影響によってとくに降水が多くなる地域もやや南半球側となる。こちらはイ。ただしこのグラフによると赤道直下の緯度帯でこそ、降水がとくに多くなっているようだが、北半球側のgと南半球側のiの降水量を比較してみても、この時期どちらかといえば南半球側でこそ雨が多いことはわかるはず。

 

問2 ①なかなか難しいと思う。アフリカ大陸北西岸に沿って新期造山帯のアトラス山脈が走っているのだが、これは褶曲山脈であって火山は存在しない。もちろん「活発な噴火活動を行っている火山」もありえない。

このように火山の有無を問う問題というのは意外に多いので確認しておくこと。

(1)火山は基本的に新期造山帯に分布しており、とくに環太平洋造山帯には多い。日本、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、ニュージーランド、南極、南アメリカ、西インド諸島、北アメリカ、いずれも火山は存在する。

(2)同じ新期造山帯であっても、アルプスヒマラヤ造山帯には少ない。イタリアに分布するくらい。とくに南アジア地域には、世界最高の山脈ヒマラヤがありながら、火山は存在しないので注意。試験によく出題されている。

(3)古期造山帯には火山はない。

(4)安定陸塊であっても火山は存在することがある。アフリカ大陸は古い時代に形成された安定した地盤であるが、東部を断層(地溝)が縦断し、そこにはキリマンジャロ山などの火山がみられる。

(5)プレートの境界部には火山が形成されやすい。とくに海嶺(プレートの広がる境界)に位置するアイスランド島は火山島(ただし激しく爆発する火山を想像してはいけない。溶岩台地のような地形)。

(6)プレートの中央部であるが、なぜか火山活動が活発な箇所はあり、その例はハワイ。例外的な火山である。

以上、わかったかな?要するに火山の存在する場所については「太平洋沿岸、イタリア、アフリカ東部、アイスランド、ハワイ」と押さえておけばいい。

②内陸湖というのは文中にもあるように「外洋への流出河川をもたない」湖のこと。降水量に比べ蒸発量が極端に多い砂漠地帯にみられる。蒸発作用が強いため(湖水が「煮詰まってしまう」のだ)塩水湖となることが一般的で、降水や流入する河川水などが減少してしまえば湖そのものが無くなってしまう危険性すらある。

③東アフリカ大地溝帯は過去問にも登場しているし、必ず知っておこう。火山が分布する他、細長い形状の断層湖も多くみられる。「山頂が万年雪で覆われた高山」とはキリマンジャロのこと。赤道直下ではあるが標高が6000mに達し、山頂付近は常に雪で覆われ、山岳氷河となっている。

④アフリカ大陸は台地状の形をしている(卓状地)。そのため、200m未満の低地の占める面積割合が小さく、海岸付近に急傾斜がある。コンゴ川は、河口付近に急流や早瀬があり、外洋船の遡航が困難なのだが、それもこのアフリカのテーブル状の形態に原因がある。

 

問3 ④が誤り。「農業の休閑期間を短縮」すれば土地に負担がかかってしまい「地力を回復」できるわけがない。土地は十分に休ませないといけない。

他の選択肢についてはとくに考慮しなくていいだろう。

 

問4 P;「砂の中に埋もれてしまった繁栄の歴史」ということから砂漠化の顕著な地域を想像する。カ地点はもともと砂漠だろうから、今さら砂漠化ということはない。ク地点は温帯であるので砂漠化とは関係ない。サハラ砂漠の南に沿う草原地帯に位置するキがこれに該当する。この草原(ステップという短草草原)地帯のことを「サヘル」ということはみんなも知っているだろう。近年、さまざまな原因によって砂漠化(植生なしの状態になること)が進行しており、かつて岩塩交易で栄えた都市がいくつもあったのだが、現在は打ち捨てられ廃墟となっているところも多い。

ちなみにこの都市はトンブクトゥーという都市。過去に出題例がある。

Q;「ワイン」「ブドウ」は地中海式農業のキーワード。夏季に乾燥する気候だからこそ、彼らは飲料水の代わりとなるブドウを栽培し、ワインにして保存する。クが該当。問1図2を参照するといいだろう。I地点(つまりク地点)は1月に降水が少なく、7月に(やや)多い。南半球なので「夏季乾燥、冬季湿潤」という降水パターンであることがわかる。これはまさしく典型的な地中海性気候のパターンで地中海式農業が行われている。

ちなみにこの都市はケープタウン。とくに地理Aで出題例が多い。

R;「ダム」とあるので、ナイル川のアスワンハイダムを考えて、この河川沿いにあるとみられるカが該当。「巨大神殿」が水没の危機にありこれはより標高の高い位置に移されたものの、それ以外の多くの遺跡は水没してしまったということもこのダム建設のデメリットの一つ。アスワンハイダムとその影響に関する出題も多い。

簡単にまとめておくと。。。

(功)洪水がなくなった。耕地整備や灌漑が進み、農業生産性が上がった。水力発電によりアルミニウム工業が興った。

(罪)洪水による肥沃な土壌の供給がなくなり、化学肥料に頼らざるを得なくなった。洪水によって表土が表れることがなくなったため、土壌の塩類集積の被害が大きくなった。洪水で寄生虫の媒介となるカタツムリが死滅していたのにそれがなくなったため、風土病が蔓延した。アブシンベル神殿の移動のために多額の費用がかさんだ。それ以外の遺跡の多くが水没した。有機養分が海まで達しないため、東地中海における漁獲が減少した。上流からの土砂の供給が減ったため、ナイル川河口デルタ(三角州)が成長せず、縮小した。

 

問5 食料供給の問題。コツは「穀物」を無視すること。これでは全くわからない。また「牛乳・乳製品」からヨーロッパの影響を考えるといい。ヨーロッパでは家畜を飼うことが一般的で、肉類だけでなく酪農製品が食卓に乗ることが多い。

Zのナイジェリアが重要となる(アフリカの「脇の下」の位置にある)。熱帯地域が多くを占めるため焼畑によるキャッサバの栽培がさかんで、その生産量は世界第1位。アフリカ随一の人口規模を持つ国であるが、その人口がキャッサバというイモによって支えられていることを理解しよう。ゆえにイモ類の値が圧倒的に大きいサがナイジェリアである。「牛乳・乳製品」が少ないが、これは熱帯雨林においては衛生上の問題から(高温湿潤であるため、肉は腐敗しやすく、病原菌や寄生虫も繁殖しやすい)家畜が飼育しにくい環境にあることを考えよう。

一方、「牛乳・乳製品」の値が大きいシは最も「ヨーロッパ的」なXと考える。地中海沿岸は温帯気候がみられ、ヨーロッパの影響が強いだろう。ヨーロッパからの移民も多いかもしれない。またこの国はOPEC(注)にも加盟し、比較的経済レベルは高いと思われ「食卓の西洋化」も進んでいると考えられる。「牛乳・乳製品」や(この表にはないが)「肉類」の摂取は「食卓の西洋化」と比例する。

残ったシがY。これはニジェールという国。かなりマイナーなので知らなくていい。

(注)OPEC(石油輸出国機構)に属する国は国名と位置について知っておくべき。ここではXのアルジェリアとZのナイジェリアが該当する。OPEC国は資源を有するために原則として比較的裕福な国が多く、アルジェリアもその内に含まれる。ただしナイジェリアは人口規模が極端に大きい(1億人を超える)ので、1人当たりGNIを算出すると極めて低い値となり、産油量が多い国としては例外的に非常に貧しい国といえる。

 

問6 アフリカ大陸で産出が多い鉱産資源。ダイヤモンドである。コンゴ民主を知っておくといいだろう。

 

問7 ①パレスチナというのは現在イスラエルという国がある地域の名称。かつてここに存在したパレスチナ国を滅ぼし、ユダヤ人たちの手によってイスラエルが建国された。パレスチナ人は今だに難民生活を送る者も多い。

②これは反対。3つしかなかった州を20に増やした。それまでは国内の主要民族(ハウサ、ヨルバ、イボ)のみが州を有していたが、現在は州の数は増やし、少数民族にも州を与え、彼らの権利を尊重している。

③西サハラは旧スペイン領だが、独立しようとした瞬間にモロッコの軍事侵攻により併合された。西サハラの歴史にイギリスは関係ない。

④これが正解。民族名まで細かく覚えていることはできないので、消去法によって解くといいだろう。

 

第2問

いかにも地理A。ただし知識中心ではあるものの、決して難しくはなく、全問正解も狙えると思う。

 

問1 雰囲気で解くしかないかな。まず簡単にわかるのがウの韓国。たたみのようなものが敷いてあって、日本との共通点を感じる。アは肌の色からしてモンゴルだろうか。日本人とモンゴル人の外見が似ているのは、相撲を見ればわかるよね。残ったイがインド。っていうか、何をしているのでしょう?

 

問2 中国の自治区の問題。きわめて珍しい。しかしこれに関連した問題が05B本で出題されており、ちょっとビックリ!やっぱり過去問が元ネタになることって多いんだなぁ~要注意。

カ;「チベット」仏教なのでチベットを考える。Bが該当。

キ;「オアシス農業」は伝統的な灌漑農業のことで、乾燥地域において行われる。シルクロード沿いのAが該当。

ク;消去法でCとなる。「少数民族の中では最大の人口」というのが微妙だが、C地域は温暖湿潤であると思われ、米作が行われているだろう。米はカロリー量が高く、多くの人口を養うことができる。一般的に米作地域は人口密度が高くなるが、そう考えればC自治区に住む少数民族の人口規模が大きいことに何の矛盾もない。

ちなみにBはチベット自治区。チベット高原から成り、非常に標高が高い。ヤクの遊牧が行われている。「高原」「ヤク」ともにセンター試験では何度となくチベットのキーワードとして出題されている。

またAはシンチャン・ウイグル自治区。05年の問題ではこの地域がイスラム教であることが出題されている。「シルクロードはイスラム教」と知っておけばいい。

Cはコワンシー・チョワン自治区というところ。どうでもいい。

 

問3 ①具体的にはハンガリーやルーマニアなどのことを考えればいいだろう。ハンガリーのハンはモンゴル人を表す「フン」に由来すると言われ、アジア系人種。ルーマニアは「ローマ人の国」の意味でラテン系民族。

②これが難しいのだ。ロシア正教とはあくまでロシアのものであって、他の民族へは広まらない。ウクライナ人はウクライナ正教であり、ブルガリア人はブルガリア正教。これらは全て東方正教会という一つのグループなのだが、細かくは民族ごとに相違点が多く、決して同一の宗教とはいえない。ゆえにこれが誤文(正解)。

③④これは世界中のどこの地域でもみられることではないか。スラブだけではなく、もちろん日本だって。

 

問4 ①地中海沿岸の植生は硬葉樹。オリーブに代表される低木で、これが建材に適さないのは明らか。そもそも降水量の少ない地域であり、森林資源には恵まれない。石灰を切り出した石材などが主な建築材料として用いられていることが多い。地中海を象徴する「青い空と白い家」は、むしろ木材が得にくいという不利な条件ゆえに成立した風景なのだ。

②フランスとスペインの国境地帯にはバスク人が分布し分離独立をめざしているが、イタリアとフランスの国境付近でそんな動きがあるだろうか。

③ラテン民族の多くはカトリック(旧教)を信仰している。ローマ市内のバチカンを中心とする宗教でこれらの3カ国以外では南米のラテンアメリカなどに信者が多い世界最大の宗教勢力である。

④地中海沿岸はブドウの産地であり、ワインが好まれる。ブドウの生産は、イタリアが世界第1位、フランスが第2位、スペインが第4位。大麦などを原料とするビールはより冷涼な国々、ドイツなど。

 

問5 食文化に関する問題であるが、こういった問題の場合は「農作物」がさりげなく含まれているので、そこに注目して解けばいい。

サ;「ライ麦」なので冷涼な国。ロシアが該当。

シ;「トウモロコシ」は温暖な地域。また新大陸原産であるのだが、とくにメキシコでは伝統的に食される。

ス;「オリーブ」は地中海沿岸。トルコが該当。

 

問6 モロッコは北アフリカのアラブ国家である。主にイスラム教が信仰されていると考えられ、この時点で豚は消える(イスラムでは豚は不浄であるとされ、避けられている)。また乾燥の度合が激しい地域であり、こういった気候環境下で一般的な家畜として羊を選択する。

他はよくわかりません。っていうかどうでもいいか?肌の色などから判断するに、②が米国、③がブラジル、④がフィリピンかな。

 

問7 ①「竜」というのがいかにも中国だろう。

②タイは雨季乾季の明瞭な国。1月を中心とした時期が乾季で、7月を中心とした時期が雨季。このことから「4月中旬の乾季の終わり」がタイに該当すると考えて妥当。

③エジプト。イスラム教は太陰暦(月の満ち欠けにより1ヶ月が定まる)であり、我々が一般的に用いる太陽暦とは異なる。太陰暦の方が短いので閏月などをはさんで調節したりする(1年が13ヶ月の場合もある!)ことからもわかるように、次第に太陽暦とはズレていくものなのだ。「この行事」とはラマダーンのことだろう。太陽が出ている時間は一切の飲食を断つ。食物の大切さを改めて知る、暑い日中の活動を抑えて体をいたわる、などの目的があるといわれている。余談だが、ラマダーンはイスラム教徒であっても旅行者には適用されないため、ラマダーン月に入ると金持ちなどは外国のリゾートなどに出かけてしまうのだそうだ(何と不届きもの!)。

④クリスマスのことでしょう。ドイツかな。

 

第3問

難しい。あいまいな問題が多く、非常に選択に迷う。問3や問5なんて絶望的!?

 

問1 円形の地図で見にくいが、イベリア半島(スペイン、ポルトガル)から中南米に向かっている矢印を確実に判断する。①が該当。

 

問2 これはおもしろいね。こういった外国への移動みたいな問題は本当によく出題されているのだが、毎回毎回ネタが違っていて感心させられる。過去問に関連問題は多いので、各自探してみよう。

A;ドイツ(ヨーロッパ最大のGNIを持つ経済大国であり、同じくヨーロッパ最大の工業国でもある)が1位なので、企業関係だろう。「商用」が該当。

B;イギリス(英語を使用する)が1位なので、大学生の語学研修などが具体的な例となる。「留学」。

C;イタリア(ミラノのショッピング、ローマの遺跡めぐり)が多い。「観光」が該当。しかし観光地で記念写真を撮りまくり、ブランド品を買いあさる日本人って感じがして、何となくイヤだね~(笑)。

 

問3 ん?これ、難しくないか!?よくわかりません。答えは③か?①なんて、航空機がより重要性を増している現代社会においてはありえないし、②についてもイタリアは共通通貨ユーロに参加しているやろ。④みたいなことがあるか?いや、EU圏内ではフリーパスだろ?ちゅうわけで③しか残らないんだが、これもよくわからんなあ。ま、たしかにドイツ国内にはトルコ人が多いわけだが。すんません、お手上げです(涙)。

 

問4 風車だけしか見ないでいいでしょ?(笑)もちろんオランダ。あえていえば、低地国であるので、風景の中に急斜面や山岳がないってこともヒントかな。

問5 ①結局、ベルリンが首都であることを知っているかどうかってことなんだよなあ。主な国については首都を知っておけってことなんだと思う。たしかに最近首都に関する問題がちょこちょこあるような。とりあえず、ヨーロッパでは、ロンドン(イギリス)、パリ(フランス)、ベルリン(ドイツ)、ローマ(イタリア)、マドリード(スペイン)は知っておこう。

②ライン川の流れを確認しておく。ハンブルクはライン川の沿岸でないどころか流域にも含まれない。かつて「ハンブルク=エルベ川河口」という問題が出たことがあるのだが、それも参考になるかな。

③これはよくわからないんだよな~。少なくとも僕は初耳です。ドイツ中央部で「開発が遅れた」っていうよりも、ライン川沿岸に開発が集中したという風に考えた方がベターなんじゃないかな。

④これが正解でしょ?おそらく(答えは見ていません。無責任?笑)。

 

問6 かつてソ連との貿易がさかんだったことから、東欧の旧社会主義国を考える。ポーランドが該当。現在(2004年)はすでにEU加盟も果たしてますな~。

 

問7 「言語とは民族である」ので、まず選択肢の3カ国について民族分類をして、言語の傾向を探る。オランダとデンマークはゲルマン系、フランスのみラテン系。

このことを手がかりに、Zがフランスとなる。ゲルマン系言語であるドイツ語や英語に不得手のようだ。

ここから先は位置関係に注意すればいいのでは?スウェーデンとフランスがカギだろう。北欧のデンマークはスウェーデンからの影響も強いと思われ、Xが該当。残ったオランダは、隣接はしていないものの、位置的にフランスに近く、フランス語に堪能な者も多いのではないか。とくに隣国ベルギーはオランダ語とフランス語が共に公用語とされている国であり、ベルギーの影響を考えれば、フランス語を使えるオランダ人が多いとしてもおかしくないだろう。

ゲルマン系やラテン系といった民族区分、そして国ごとの位置関係、複数の要素が絡み合った良問である。時間はかかるかもしれないが、じっくり取り組む価値はある。

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