2004年度地理A追試験解説

2004年度地理A追試験

 

第1問

良問がそろっている。個人的にはかなり好きなタイプかな。

 

問1 おっといきなり地形図問題。こんな風に地理Aだけの問題で地形図が出題されるのはめずらしいね。

問題にすでに「2万5千分の1」と記されているので、縮尺を判定する必要はない。等高線間隔は10mであるので、そのまま等高線を数えよう。Aは720と730の間、Bはおおよそ450m。その差は約280mとなる。

 

問2 ポイントは尾根線の判読。山頂から等高線のふくらんでいる方向(凸となっている方向)に向かって下りていく。この図でいえば、右上の標高1280m付近を山頂とみて、ここから等高線のふくらんでいく方向に下りていく道筋、つまりルートEはほぼ尾根線に沿っていると読み取れる。

ア;「一部は尾根部を通り」とあることは、全部が尾根ではないってことだね。3つのコースのうち、EとFについてはほぼ全コースにわたって尾根となっているようだ。それに対し、Gのみは最初の部分は尾根なのだが、Gの矢印がある当たりの等高線の湾曲の様子をみると(「550」の計曲線がわかりやすい)、この部分はむしろ谷となっているようだ。また、この付近は等高線間隔が密となっており、「コースの中間地点付近は、上方および下方に比較して傾斜が急になっている」に合致している。Gに該当。

イ;「全体として同じような傾斜」とあるのでFかな~。たしかに「上部がやや急」にはなっているんだよね。間違いないでしょ。

ウ;残ったのでEが該当。「大部分が尾根部を通り」は正しい。「中間地点よりやや下方」というのは「ゴンドラ」の文字からEの矢印の辺りだろうか。たしかに等高線間隔は疎となっており緩やかだと思われる。また「最終地点」にしても「500」mの計曲線より下方ではたしかに緩やかな斜面になっているようだ。

 

問3 棚田の問題。写真もいいものを使っているし、良問だと思う。

①今どき「大規模なダム」なんてつくるかなあ、戦後間もない50年代じゃあるまいし。環境に与える影響が怖すぎるよ。それに棚田っていうのは伝統的に古い時代から作られてきたものだろうし、別にダムとは関係ないでしょ。

②これはどうなんだろう?「減反政策」は70年代に行われたことであるし、決して現在のキーワードではない。それに国民の食生活も多様化し、米の消費だって伸び悩んでいると思うのだが、それなのに「米の作付け面積を増やすため」っていうのはどうだろう?そんな必要があるのか。

③「国民が全国的に長期休暇をとるように」なってますか~?おいおい、ありえないって(笑)。長期休暇っていったらヨーロッパのバカンスみたいな1か月ぐらい休むやつだよ。

④「多面的な機能」とは何だろう。豊かな生態系の維持、美しい景観、そして斜面ではなく階段状になっているからこそ土壌の流出が防がれる、などなど。

以上より④が正解。

 

問4 ①内陸盆地なら風が周囲の山々によってさえぎられてしまうね。むしろ海岸沿いの方が風があるでしょ?もちろんこれが誤り。

②アイスランドは大西洋中央海嶺上の火山島。溶岩台地からなる国土には温泉が多く、地熱発電も行われている。この地熱は野菜の栽培にも利用されたりするんだそうだ。

③これはよくわからない。そういったものもあるのだろう。っていうか知らないことが登場した場合、これは正解にはなりえない(本問は誤文指摘問題であり、つまりこれが誤文ではありえないということ)。センター試験に、君たちが知らないことは出題されません。

④ノルウェーは、温暖であり河川が凍結しないこと、山地が海に迫る地形で河川が急流となり流下エネルギーを得やすいこと、偏西風の風上斜面であり降水量が豊かなこと、人口規模が少なく国内で必要とされる電力がさほど多くないこと、などの理由から水力発電によって電力需要をほぼ100%まかなえる国となっている。

 

問5 X;「ヨーロッパからの移民と先住民との混血」が最大のキーワード。ラテンアメリカには混血が多い。とくにブラジルは「人種のるつぼ」とよばれているのを知っているだろう。イギリスが支配していた北アメリカにくらべ、スペインやポルトガルが支配していた中南アメリカでは人種間の混血が進む。

Y;「日本などへの木材輸出」がキーワードとなる。マレーシアが該当。

Z;消去法によりコンゴ民主。「ネグロイドに比べ平均身長が低く」というのはコンゴ盆地にすむピグミー族である。

 

問6 とりあえず写真を見て、明らかな乾燥地域の風景があることに注目しよう。ラクダがいる③である。図2の4点を見て、いずれが乾燥地域か。インド西部~パキスタンのサが乾燥地域とみていいだろう。ゆえに③が正解。

①これはヤク。チベット高原からヒマラヤ山脈地域に分布するのでシが該当。

②判定が難しいが、セが該当。モンゴル内陸部のように乾燥しているわけではなく、馬などが飼育されている。

④水田が広がっており、湿潤アジアであることがわかる。スが該当。このように水牛が使役用に用いられることが多い。

 

問7 木材に関する問題はしばしば出題されているので用語を知っておくといい。

「用材」とは主にパルプ・紙に利用されるものであると考える。紙の消費量が多い先進国や人口の多い国で需要は高いものだろう。

「薪炭材」とは燃料用の木材のことで、これは発展途上国で使用される。例えば焼畑農業と結びつけて考えてもいいだろう。

「針葉樹」については冷涼な地域の指標。この割合が高い国は冷帯で、低い国は熱帯。

以上のことを頭に入れながら解いていこう。

最も簡単なものは④だろう。「針葉樹の割合」が極端に低いので熱帯国と思われる。赤道直下のブラジル。アマゾン流域の熱帯雨林。

さらに③について。薪炭材の使用量が用材を上回っている。発展途上国だろう。インドに該当。針葉樹の割合が低いが、比較的低緯度に位置することを考えれば妥当。おかしくない。

①と②については、ともに用材の伐採量が薪炭材を上回り、ともに先進国。これでは判定が難しい。よって「針葉樹の割合」に目を移す。②の方がこの割合が高く、より冷涼な国であることが想像できよう。このことから②をカナダとし、一方、広葉樹も多く分布すると思われる米国が①。

 

第2問

問1はおもしろい。問2から問6は簡単。問7は変わった問題だが、最近やたらユダヤが出題対照になっているので、そういった意味では妥当かな。

 

問1 地味に難しい問題やなあ。もちろん宗教による結婚を取り巻く状況の違いがテーマとなっているのは間違いないんだが。

まずCについて。シリアやトルコといった国が付近にあるので、これらを似た文化を持った国ということでいいんでしょう。イランが該当。しかし人口当たりの結婚件数が多いってどういうこと?これってイスラム教が「一夫多妻」を認めているってことと関係ある!?(注)

さらにAとBについて。ま、こちらは一夫一妻なんでどの国も人口当たりの結婚件数に差はないね

。ただし離婚件数が違う。これはカトリックの「離婚を禁じる」教義とおおいに関係がありそうだ。イタリアというカトリック国で値が低く、プロテスタントのドイツ、東方正教のロシア、そして仏教の日本は比較的この値が高い(でもフランスは???カトリックやぞ、この国!)。このことから、Aはプロテスタントのイギリス。プロテスタントは北西ヨーロッパのゲルマン民族を中心に広がっている。Bはカトリックのスペイン。地中海沿岸のラテン民族はカトリック。

(注)イスラム教は一夫多妻を認め、その数は夫1人に対し4人まで。これには2つの意味合いがあって、まず一つはそれまで富豪は多くの妻をめとりその数は何十人に達することもあったので、むしろ妻の数を4人にまで減らしなさいよ、という意味。もう一つは戦争未亡人の救済で、戦争によって男子が死に、残された妻は生活に困る。生き残った、生活に余裕がある者はその面倒をみなさいよ、という意味。決して女性の権利を損なうものではなく、むしろその反対。

 

問2 ①タイ。②インド。「牛肉を食べない」。③モンゴル。「人口より多くの羊や馬」。乳製品の摂取が比較的多いことも知っておくといいだろう。④韓国。これってキムチのことでしょ?

 

問3 白豪政策はセンター頻出。イギリス系住民によるオーストラリア支配の過程で、有色人種の移民は制限され、先住民アボリジニーも迫害された。

 

問4 リオグランデ川という地名は知らなくとも「メキシコ国境」を書いてあるので問題ないか。ちなみにフランスの言語・人名に由来するのは2つのみで、そのうち南にあるルイジアナ州が重要。ルイというのは当時のフランス国王。ルイジアナ州の代表的な都市ニューオーリンズのオーリンズとはフランスの都市オルレアンのこと。もともとフランス人がミシシッピ川の河口に開いた港を起源とするニューオーリンズだが、その後はむしろ黒人文化の栄えたところであり、ジャズ発祥地などとして有名となっている。フランスの面影はその名前のみ。

 

問5 問4でも説明しているが、ジャズが正解。ニューオーリンズの黒人文化として重要。①はイタリア、②はブラジル、④はフランス。これ以外にはタンゴがアルゼンチンって知っておいたらいいんじゃない?

 

問6 もう全文読む必要ないっしょ?(笑)中国で「沿岸部」より「内陸部」で経済成長が著しいわけないやん。そもそも外国からの企業が進出しやすいからこそ沿岸部が経済成長しているのだから。

だから②③④は正文。②は問題ないね。③については「移住政策」が気になるが、実はインドネシアっていうのは人口分布に極端な偏りがあって、首都も位置するジャワ島というさほど大きくもない島に1億人以上の人口が集中している。これは仕方ないことで、スマトラやカリマンタンなど他の大きな島では伝統的に狩猟や焼畑など生産性の高くない農業が行われていたのに対し、ジャワ島は山地斜面に棚田が開かれるなど古来から水稲文化が栄えたところ。とはいえ、国のバランスを保つためにはこの過度の人口の偏りは解消したいところ。よって、政府が主導してジャワ島からスマトラ島など周辺の島々に人口が移動させられているのだ。それによって何かしらの対立も起こっているらしい(っていうか選択肢③にそう書いてあるからね)。

④についても、ベトナムは社会主義国で正直ここまで「外国資本を積極的に受け入れ」「消費生活が変化」しているかは疑問。でも選択肢④にそう書いてあるんだからそうなんだろう(とにかく絶対に①が違うのだから、こちらは正文になるはず)。たしかにドイモイ(刷新)政策っていうのは行われているみたいなんだけどね~でも内容はよく知りません(笑)。ゴメン。

問7 X;ロンドンだからキリスト教で問題ないでしょう。

Y;アルジェリアってどこだかわかるかな。北アフリカだよ。だからイスラム教。

Z;消去法でユダヤ教。シオンの丘っていうのはイスラエルの地名。

しかしいくら何でも墓が出題されるっていうのは、すごくシュールだよなぁ。

 

第3問

前半は地理A的、後半は地理B的。とくに問7なんかおもしろいと思う。難しいけどね(笑)。

 

問1 ①シルクロード沿いはイスラム教地域。

②乾燥地域であるので、オアシス農業(伝統的な灌漑農業)が行われているだろう。よって地下水路(カナート、カレーズ)や灌漑水路もみられるのでは。

③砂漠の周辺のステップ地域では砂漠化が進む。アフリカのサヘル地帯がとくに有名だが、この中央アジア地域も例外ではない。砂漠化は半乾燥のステップ地域では必ず生じている環境問題。

④サトウキビは亜熱帯性の作物。温暖で降水量が多いことが生育条件。

 

問2 なかなかわかりにくいんだが、これは顔つきから(肌の色から)判定するしかないのか。う~ん、人種差別を助長する問題や(考えすぎ?笑)。

①北ヨーロッパ。②西アフリカ。③中央アジア。帽子に注目。頭を包むような半球状の帽子。④南アメリカ(インディオ)。

 

問3 うまくないんだけど、適切な問題。模試でこういう問題ってよくあるよね(笑)。

①「ベルギー」「ダイヤモンド」がキーワードとなるのはコンゴ民主。ただし「ダイヤモンドの輸出が禁止された」っていうことはないと思う。

②ケニアは旧イギリス領。ケニアの首都ナイロビはホワイトハイランドという高原上に建設された都市だが、そもそも「ホワイトハイランド」って英語だしね。それにこの国の特産品は茶。これも実にイギリスっぽい。

③「ドイツ」を「ポルトガル」に、「オーストラリア」を「インドネシア」に。東ティモールについては最低限カトリック国であることを知っておくべきだが、その理由はかつてポルトガルに支配された歴史があるから。ブラジルと一緒ってことだよ。

④これが正解。

 

問4 ア;トマト。説明不要でしょう。イ;「油脂」に注目。落花生。基本的にはプランテーションで栽培される商品作物で食料とはならない。ウ;キャッサバ。熱帯地域の自給作物。イモの一種で「澱粉」がキーワードとなっている。

 

問5 今までになかった傾向の問題だが、農作物の問題としては視点が独特でおもしろい。

キから判定していこう。

キ;最も注目すべきは、茶葉について「そのほとんどが輸出されている」という部分。中国やインドは国内人口が極めて多く、そういった国では国内消費量が大きくなるはずで、ほとんどを輸出することなどありえないと思われる。キ国は人口規模が小さく、その上で茶葉をたくさん生産しているので輸出の割合が極めて高くなるということではないか。スリランカが該当。

ただし「主要産地は国の中央部」というのはやや疑問なのだが。98B追第5問問7参照。茶の栽培地域は、モンスーンの影響によってとくに湿潤となる南部(南東部)が中心。まあ、ここでも一応「中央部」といって差し障りはないのかもしれないが。

さらにカの判定が容易。

カ;「植民地」という言葉に反応する。中国は(ホンコンなど一部を除き)植民地支配はなされなかった。このことを考え、すでにスリランカはキなので、カをインドと判定する。旧イギリス領。「東部や南部」に主要産地があるそうだが、降水量の少ない西部や気温の低い北部では栽培されにくいだろうから、この部分も適切であると考える。また「紅茶」とあるが、これはイギリス人の嗜好に合わせたものであることはいうまでもない(スリランカも同様)。

消去法によってクが中国となる。「緑茶」に加工されるというのも何となく納得できる(っていうかウーロン茶とかが多いような気もするけどね)。

追加。キについては、茶の輸出統計を確認し、スリランカとケニアがともに上位(1位、2位)を占めていることを確認する。いずれも旧イギリス領でプランテーションが開かれ、茶がさかんに栽培された。

カについては、東部の茶の産地としてアッサム地方を知っておいてもいい。ヒマラヤ山脈の南麓で、モンスーンの影響によってとくに降水が多い。年降水量世界最大を記録したのもこの地域である。ダージリンという地名(紅茶の名前で有名だね)もみられるので、地図を持っている人は確認しておいてもいいだろう。

クについては、「東部から南部」に注目してみよう。華中から華南にかけての沿岸部は丘陵が広がり、降水量も多いために、茶がさかんに栽培されている地域となっている。具体的にはシャンハイから南に連なるチョーチャン省やフーチェン省の沿岸部。とくに後者は福建省という漢字名でウーロン茶の産地として日本でもおなじみ。

 

問6 B;「自動車」が上位。ドイツである。C;「衣類」などファッション関連品目が上位。イタリア。C;消去法によりフランス。「ぶどう酒類」とはワインのこと。

 

問7 日本の企業が最も数多く進出している国は米国。これは両国の経済的なつながりや、米国の規模(人口、GNI)を考えれば自然なこと。①が米国。また、ここで「日本企業現地法人の全産業従業員数に占める製造業の割合」も参照しよう。米国は69%という低い値にとどまっている。これは、金融業や貿易などそれ以外の割合が高いということを表し、むしろ機械組立工業など商品の組み立てを目的として米国に企業を進出(つまり工場を建設)させるケースは低いということ。

では逆に工場をさかんに進出させる地域はどこだろうか。これは経済レベルの低い発展途上国。1人当たりGNIの低い国に対しては、製造業が中心となって進出している。このことから考え、残った選択肢について、③は先進国であるイギリス(「製造業の割合」が低い)、②と④が発展途上国であるタイとインド。

しかしここからの判定は難しい。過去問を通じ統計を確認しておかなくてはいけない。02B本第2問問3参照。表2は「日本企業の海外現地法人数」である。1999年のデータでタイ(M)は米国(L)、中国に次ぐ3位である。インドはランク外。ゆえに、本問についても②がタイとなり、④はインドとなる。日本にとってインドは、距離的にも多く、インフラ(道路や港湾など社会的基盤)の整備もさほど進んでいないので、積極的に工場を進出させるほどの存在ではないのだ。

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