2000年度地理B追試験解説

2000年地理B追試験

結構難しいと思う。00年本試験よりできた人も多いとは思うけれど、それは本試験の方が難しすぎたからかな。でも個人的な感覚としてはこの追試の方がやっかいな問題が多いと思うんだが。ただし、問題は良問揃い。作成者はかなり工夫してる。苦労がしのばれるっていったらちょっと生意気かな!?

 

第1問 なぜか追試験で多い都市ネタ。もちろん本試験でも大事なところで出題されているので要チェック!

この大問は難易度が低い問題が並ぶ。ただし問7はちょっと解答不可。ということで、1問ロスで乗り切る。

 

問1 「地方の中枢的な都市の1つである仙台市」ということで、地方中枢都市ネタ(類題多数!)の問題と思えるのだが、実は「都心に工業は発達しない」というセオリーに基づく問題だったりする(こちらも類題多数!)。

もちろんもともと工場を中心に発展してきた工業都市もある(愛知県豊田市など。問4で登場)のだが、原則として都市と工業は関係ない。

「都市=商業」と考えることは正しい。人が集まり、金が集まり、物が集まる。都市は流通の中心となる。「都市≠農業」も正しい。都市は地価が高く、農地として利用するわけにはいかない。都市では農業はほとんど見られない。工業についてはその中間くらいで考えてほしい。つまり「都市では必ずしも工業が発達していない」っていう感じ。あるいは「都市と工業は全く関係ない」っていう感じかな。地価の高い都市中心部には工場は立地しにくい。広大な工場用地が必要となるが、収益性はそこまで高くないので採算が取れない。ただし前述のように、工場を中心として発展してきた都市もあるため、一概に「都市≠工業」とも言いにくいのだ。

というわけで、3が誤りとなる。製造業従事者の割合が高いとは必ずしもいえない。工業が発達しているかどうかわからないのに、工場労働者が多いなんて断言できない。直接的な関連問題は、99B追第2問問3選択肢4。「第2次産業就業者の割合は、大都市圏で高く、非大都市圏で低い」という文は誤り。第2次産業というのは鉱工業のこと。ただし日本では鉱業労働者はほとんどいないので、工業に限定されると考えていい。工業とは製造業と建設業のこと。大都市圏は人・物・金が集まるところであり、商業やサービス業は発達するだろう。よって第3次産業割合が高くなることは確実。しかし、工業に特化した都市でもない限り、第2次産業従事者が多いとは必ずしもいえないと思う。

他の選択肢について。1・2・4はとくに地方中枢都市などその地域の中心的な都市においてとくに言えることばかりである。1;仙台は東北地方の首都である。高等裁判所などが置かれている。2;1と同様。東京などに本社がある企業の東北支社・東北支店が仙台に置かれるケースは多いと思う。4;東北地方の流通の中心である。他の地域から運搬された物品はまずこの仙台に集まる。そしてそこから東北地方の各地へと運ばれる。卸売業が発達している。

 

問2 ちょっとやっかいやな(涙)。あっさり間違えるかもね!?

「城」を探そう。図1の南部、標高29mの丘の上にそれらしいものがある(地図記号を知らなくてはいけないが、ここはカンでも何とか見当がつくだろう)。選択肢は1と2にしぼられる。

さて、ここからは「武家」町と「商人」町の判定だ。でもこれはカンで解くしかないし、どないも仕方ないねんけどなあ(涙)。城の近くに武士って住むんちゃうかなあって思って、僕は答を2にしてみたけれどどうかな?

 

問3 都市圏の概念図として重要。

問題自体の難易度は低いので、とりあえず解いてみよう。

1;規模の小さな中心地とは小さな点であらわされている。最も大きな中心地は1つ、2番目に大きなものは6つ、というように見ていくと、最も小さな点の数が最も多いようである。よってこの選択肢は正文。

2;この選択肢の文は図からは検証しにくいので保留。

3;図より判定可能。小さな点同士の間隔は狭い。それに対し、大きな点同士の間隔は広い。

4;これも図からは判定しにくい。

1と3は正文であることが分かり、解答候補から除外する。2と4について考えてみよう。

問題文参照。「商品やサービスを供給する集落を中心地という」とある。商業やサービス業が発達しているということ。つまりこの中心地は「都心部」と考えていいのではないか。都心部のさらに中央にCBD(中心業務地区)が形成されることがある。企業のオフィスなどが集中し、政治・文化、そしてとくに経済の中心となる地区である。まさに本問題における

「中心地」の定義と一致する。

というわけで、選択肢2について考察。

「規模の小さな中心地」ということは、都心部として規模が小さいことを示している。小さな都心部が、広い面積に対して商品やサービスを供給することができるだろうか。小さな都市は小さな範囲にのみ影響を及ぼすことができる。つまり小都市の都市圏は小さいということ。本選択肢は誤りである。

選択肢4についても考察。「規模の大きな中心地」とはつまり、大きな都市の都心部(あるいはCBDそのものと言ってもいいだろう)のこと。「専門的な商品やサービスを扱う店舗の種類が多い」とはどういうことだろう。さまざまな種類の店舗が存在するということか。郊外の住宅地には住民の生活に密着した「最寄り品」を売っている店が多い。それに対し、都心部にはと、都心部に居住する住民のための最寄り品を扱っている店もあるだろうし、「買いまわり品」とよばれるやや高級な品目を扱うデパートのような商業施設も立地しているはずである。郊外から都心のデパートに買い物にくる人々は多い。その都市圏の範囲の住民に多様な商品やサービスを供給する機能が、都心部(あるいはCBD)には集中している。

先にも述べたように、この図は都市圏のモデル図として興味深い。図2の範囲には、さまざまな大きさの中心部が存在するが、最大のものを中心部A(1個)とし、2番目に大きいものを中心部B(6個)、さらに中心部C(6個)、中心部D(24個)、そして最小のものを中心部E(54個)とする。

中心部Aは図2の範囲すべてに影響を及ぼす。中心部Aを中心として、図2の範囲を十分に収める円を描いてみよう。これがAの都市圏である。

さらに中心部Bを中心にAよりやや小さい円を、C・D・Eについても同様に半径を小さくしながら円を描いてみよう。これで様々な規模の都市の都市圏が描かれたこととなる。これらはお互いに重なり合い、それぞれがそれぞれに影響を及ぼす。とくに巨大な都市が存在し、それがそこ地方の支配的な役割を果たすこととなる。

近畿地方に例をとってみよう。Aは大阪市である。最大の都市圏を持つ。Bは京都市や神戸市など、周辺の大都市。大阪市の都市圏に含まれるが、それ自体もそれなりの大きさの都市圏を持つ。Cは、堺市や西宮市、尼崎市、高槻市など、40万人程度の人口を持つ都市群だろう。DやEはさらに小さな市町村である。

大阪のような大都市は「商品やサービスを供給する面積が広い」し、「専門的な商品やサービスを扱う店舗の種類が多い」こともまた大都市の特徴である。広い範囲から大阪の中心部にあるいろいろな専門的なショップに買い物にやってくる。逆に小さな町にはあまりいろいろな店がないし、遠くから訪れてその町で買い物する人も少ないね。

 

問4 中学校の知識問題。豊田は自動車。北九州は鉄鋼業の盛んな都市であったが、近年衰退が激しい。倉敷には日本を代表する巨大石油化学コンビナートがある。

これと全く同じパターンの問題は02本第5問問4にある。中学レベルの問題(あるいは小学生レベルかも)。都市名はセンター試験では原則として問われるものではないが、このように中学で学んだ日本の地名については1問くらい出題される可能性がある。

 

問5 いろいろ言いたいこともあるけど面倒なんでパス(笑)。簡単でしょ?解説いらんよ。

 

問6 都心と郊外のキャラクターを明確に。都市圏の構造は中心をなす都心部とその周辺を囲む郊外の組み合わせから成り立つ。この2つを対照的なものとして比較してキャラクター付けしておかなくてはいけない。

昼間人口の多い都心部、夜間(常住)人口の多い郊外。

人口増加割合の低い(もしくは減少)都心部、人口増加割合の高い郊外。

老年人口割合の高い都心部、幼年人口割合の高い郊外。

人口密度の高い都心部(狭いので)、人口密度の低い郊外(広いので)。

人口当たりの商業販売額が大きい都心部、小さい郊外。

地価の高い都心部、地価の安い郊外。

などなど、いろいろなものがある。

とくに「地価」に注目。面積の限られた都心部の地価は郊外に比べ高い。そのため、土地利用のパターンは集約的なものとなる。高層ビルが林立し、地下街が発達する。

選択肢1・2・3・4参照。

1;宝石・貴金属品は「買いまわり品」である。スーパーやコンビニ、地元の商店街などで売っているような「最寄り品」とは一線を画する。日常的に消費するものではなく、高価格であるため、その購入には慎重となる。いろいろなものを見てまわって買うものである。とくに宝石や貴金属はデパートなど高級品を扱う商業施設での販売が主である。都心部に位置しやすい。

2;クリーニングは「最寄り品」に属すると見ていいだろう。商品を売るわけではなくサービスを提供するわけだから、むしろ「最寄りサービス」というべきか(こんな言葉はないけれど、意味は分かるよね)。最寄り品(あるいは最寄りサービス)の特徴として、その分布パターンは常住人口の分布とほぼ一致する。その地区の住民が自分の住んでいる近くでそれらの商品やサービスを購入するのである。というわけで、人が住んでいればクリーニング店もそれに応じて立地するものなので、郊外や都心部の区別にこだわるものではない。「主に郊外」とは言い切れない。

3;銀行などの金融業は都心部に立地しやすい。人や物、サービスや情報の流れが都心部に集中するように、金も都心部に集まる。都心部の中心にCBD(中心業務地区)というものが形成されるが、ここには官公庁や企業のオフィス、高級品を扱う商業施設、そして銀行などの金融機関も立地する。都市の中枢機能が集まる心臓部である。CBDが心臓ならば、金などの流れは血といえるかもしれない。

4;自動車は買いまわり品である。選択肢1で述べたように高価格な買いまわり品を扱う商業施設は都心部に立地する。ただしそれは施設の面積が狭い場合。高価格のものであっても、地価がそれを上回るほど高ければ、採算性の点で問題が生じる。家賃100万円の店で、月に100万円稼いでも意味はない。

自動車を扱う店舗ならば、それなりの広大な面積が必要となるはずである。自動車を置いて展示するスペースがないといけない。都心部でそのような土地が確保できるものだろうか。地価の安い郊外でこそ成立する商売だろう。

とくにここでポイントなのは、わざわざ「中古」と限定していることだろう。新車に比べれば価格の安い中古車。百歩譲って新車を扱う店舗は都心近くに構えられているかもしれない。でも、安い中古車を扱う店は郊外にないと採算が取れないだろう。もちろんだからと言って、山の中にあっても誰もお客さんは来ないわなぁ。都市を都市とを結ぶ主要幹線沿いに中古車販売店が多い理由は、交通の便利さと地価の安さという微妙なバランスに基づいているのである。

以上より、商品やサービスを扱う施設の分布についてそのセオリーを整理しておこう。

1;買いまわり品を扱う施設は都心部。

2;最寄り品を扱う施設は人口分布に呼応するので、都心部と郊外の区別はない。

3;金融業は都心部に立地。

4;広大な面積を必要とする施設は郊外に。

 

問7 こりゃキツイなぁ(涙)。センター試験では極めて珍しい地名問題。第1問の中で唯一の捨て問。

都市再開発ネタは98B追第3問問4で登場。この問題を振り返ってみよう。問題自体は「都心部で工業は成立しない」といセンター試験のセオリーに基づいて解いたらいい。都心のような地価の高い地域に、広い面積を必要とする工業が積極的に誘致されるわけがない。

各選択肢について。1;これは北九州市のスペースワールドのこと。巨大な製鉄所が縮小した跡地に建設された。3;パリ市街地の外縁部に新しい副都心が建設されたが、この地区をラデファンス地区という。4;ロンドンで再開発がなされたこの地区をドックランズという。

というわけで、98年の時点で一応「ラデファンス」についての話題は登場しているのだ。しかしラデファンスという固有名詞は示されていないわけで、ここでこの名称を知っておけっていうのは辛いかな(涙)。いずれにしろ過去のセンター試験の復習・研究が超重要ということだ。

それ以外の選択肢についてはほとんどセンター初出のものばかり。とくに重要ではないが、発展的な学習のために一応説明だけしておこうか。余裕がある人は読んでね。そうでない人は放っておいて。本試験で出題されることはまずないだろう。

1;苫小牧東部。1969年に発表された新全国総合開発計画によって重点開発地区に指定された。北海道の苫小牧海岸地区の荒地を開発し、近代的な工業地域にしようとした。しかしそもそもこんな地の果て(地元の人ごめんなさい)に進出しようとする企業なんてあるだろうか?73年以降のオイルショックもあいまって、苫小牧東部地域の開発は放棄され、現在に至っている。

3;スノーウィーマウンテンズ。オーストラリア東南部における農業開発。グレートディバイディング山脈から東流するスノーウィー川をせきとめ、地下トンネルによってその水を山脈西側の乾燥地域に流すという、なかなかスケールの大きなプロジェクト。これによって山脈から西流するマーレー川の水量が増し、その流域で小麦の栽培が行われるようになった(「企業的穀物農業」98B本第1問図1のS地域が該当する)。乾燥地域の割合がとくに高い大陸であるオーストラリアであるが(99B本第4問図1がわかりやすい)、小麦の重要な生産国であり輸出国であるのは(00B追第3問図5・97B追第2問表1など参照)このスノーウィーマウンテンズ計画による灌漑の成果である。

98B本第1問問2選択肢4参照。S地域ではスノーウィーマウンテンズ計画の灌漑によって、小麦の栽培が大規模に行われている。

4;ラングドック。フランスの地中海沿岸。イタリア寄りの海岸はコートダジュールと呼ばれ、昔から重要なリゾート地であったが、近年はスペイン寄りの海岸地域のリゾート開発も行われ、それがラングドック地方。フランスは世界一の観光客数を集める国であるが、とくにこの地中海沿岸地域が有名。97A本第1問問2など。

 

第2問 寒冷地域に関する問題。寒冷地域に限定しているので、問題作成者の苦労がしのばれる。寒冷地域ネタなんて、僕ならどんな問題作るかなあ?シベリア高気圧ネタ、バルト海凍結ネタ、ノルウェー不凍港ネタ、白夜ネタ、などなど、センター試験で問われる定番ネタが多くて、適切な作問となっている。とはいえ、さすがに問5・問6・問7の文章正誤問題が続くところは苦しかったな。これら文章正誤問題が苦しいんで、最悪3問ロスとなるが、何とか2問ロスまでに抑えてほしい。

 

問1 問題文がおもしろいのでじっくり読んでみよう。

「地球上の気温は、基本的には緯度に応じて変化する」。気温は日射量によって決定されるので、緯度が気温を決定する要素としては最重要であることは分かるね。緯度が同じならば、一日の太陽が出ている時間(昼の長さ)が同じ。太陽光線の差し込む角度(南中高度など)も同じであるので、太陽から受け取るエネルギーが等しくなる。

「海陸の分布」。比熱の問題。液体は比熱が大きく(温まりにくく、冷めにくい)、固体は比熱が小さい(温まりやすく、冷めやすい)。つまり海洋性気候では気温変化が小さく、大陸性気候では大きい。

「海流」。暖流が流れているところでは冬季温暖となり、寒流が流れているところでは夏季冷涼となる。日本では北海道・東北地方の太平洋岸は寒流である千島海流(親潮)によって夏季の気温が上がらない。時に冷害を生じることもあり、稲の生育に影響を与える。九州南部から千葉県の太平洋岸は暖流である日本海流(暖流)の影響を受けるため、冬季も温暖。野菜や花の栽培などさかん。

西ヨーロッパは暖流である北大西洋海流の影響で冬季でも温暖。とくにノルウェー沿岸はかなりの高緯度でありながら港湾が凍結しないのだが、これはもちろん暖流の効果。ただしポルトガルからアフリカの大西洋岸にかけては寒流であるカナリア海流の影響で意外に夏季冷涼。ポルトガル首都のリスボンなどはとくに海洋性の気候となり、気温年較差はプラスマイナス10度に達しない。

北アメリカの西岸地域もヨーロッパと同じような状況。アラスカ海流という暖流の影響が強いカナダからアラスカ南部にかけての太平洋沿岸地域も冬季は比較的温暖。サンフランシスコから南の沿岸地域はカリフォルニア海流という寒流の影響を受ける。低緯度のロサンゼルスやメキシコではさすがに夏季はかなり高温となるが、サンフランシスコ付近では海水温が低く、リスボンと同じように気温年較差は小さい。「霧の街」というニックネームを持つサンフランシスコであるが、これは夜に陸から海に流れ出る暖かい空気が、海上の冷たい空気に冷やされて霧を生じるためである。サンフランシスコ港は夜霧の港。

「海抜高度」。原則として、100m標高が上昇するごとに気温は0.55℃ずつ低下する。00B本第5問問1選択肢2のグラフはアンデス山脈の高原都市ラパスのものであるが、標高4000mの高度ゆえに気温は低いもの(年間平均9℃くらいだろうか)となっている(気温年較差が小さいのはこの都市の緯度が低いからであり、標高が高いこととは関係ない)。海面更正してみる(標高0mの気温に直してみる)と、標高4000mは、気温差22℃に該当し(0.55×40=22)、ラパスの海面更正した平均気温は9+22で31℃となる。かなり高めではあるが、低緯度であることを考えるととくに不自然な数値でもない。

「図1中のア~ウは、1月の気温について」。つまり、北半球は冬で南半球は夏の時期にあたる。

「X~Zの各緯度ごとに求めた平均気温」。Xの平均気温ってどれくらいか。北半球は冬である。日本で考えようか。那覇で1月15℃くらい、東京で5℃、札幌でー5℃。とりあえずー20℃くらいにしてみようか。緯度的に考えてみてそんなもんじゃないかな。

Yは?これはほぼ沖縄くらいを通過しているので、15℃と見なす。

Zは夏である。Zは南緯30度くらいかな。北緯30度の日本で7月の平均気温はおおよそ25℃くらい。よってZについてもそれくらいと考える。

「X~Z上の現地気温を海面更正した」。つまり先に上げた気温を決定する要素の内、「海抜高度」は無視するということ。「海陸の分布」「海流」が重要となる。つまり海洋性気候と大陸性気候の差異を意識すること。

「値との偏差」。偏差の説明は下にある。現地気温を海面更正した値と、各緯度ごとの平均気温(Xならばー20℃、Yならば15℃、Zならば25℃)との差。

では具体的に考えていこう。冬季の気温がとくに重要となるのは、バルト海の出口とシベリア内陸部の2地点。

ヨーロッパ平原とスカンジナビア半島に囲まれたバルト海(その北部をボスニア湾とも言うが、面倒なのでまとめてバルト海と呼ぶことにする)が凍結するというネタは問3でも取り上げられているが「バルト海の出口における1月平均気温は0℃である」ということが重要。バルト海は0℃未満、しかし大西洋に面した部分は0℃を上回る。

またシベリア内陸部は1月平均気温-40℃を下回るような極寒の地。最も寒いところで最寒月の平均気温がおよそ-60℃となる(96本第1問問4;北半球の寒局)。夏季はそれなりに気温も上がるのだが、冬は氷に閉ざされ降水(降雪)すらほとんどない。完全な大陸性気候。

ということで、同じ緯度帯における極端な気温差を考えればウがXに該当することは明らか。偏差はヨーロッパで20、シベリアで-20。先に述べたようにXの平均気温を-20℃として、0℃のヨーロッパから-40℃のシベリア内陸部まで大きな気温差があることがわかる。

ここからはYとZの判定。冬(Y)と夏(Z)なのではっきりとした差異があると思われる。しかし意外とイとウの線は重なっている。どこで判定しようか。

とりあえず「気温の偏差」が0℃のところに直線でも引いてみようかな。イとウの違いがよく分かる経度帯ってどこかなあ。どこでもいいとは思うけど、何となく180度から西経120度くらいのところを見てみようかな。ここならイの偏差がプラス、アの偏差がマイナスなんで対照的で分かりやすいんじゃないかな。

この緯度帯ってYの線もZの線も太平洋を通過している。海っていうのは陸に比べて暖まりにくく冷めにくい。だからもちろん海上の気温の方が陸上の気温より、夏は低く、冬は高い。

このことを当てはめてみると、北半球は冬なので海上の気温偏差がプラスになり、南半球は夏なので海上の気温偏差がマイナスとなるはず。このことより、イがY、ウがZであると考えられる。

これでどうかな。あとは矛盾するところがないか、いろいろなところで確かめてみよう。

西経60度はどうかな。Yは海、Zは陸。YもZも偏差はプラスとなっている。これは正しい。

0度は?Yは陸、Zは海。でもともに偏差は0であり、よくわからん。

Yの0度から東経120度について。これは陸地。冬なんで偏差はマイナスとなるべきなんだが、イはそうでもないなぁ。

Zの東経30度から東経120度について。これは海洋。夏なんで偏差はマイナスになるんだが、アは微妙やな。

Yの東経120度から180度まで。海上を通過する。偏差はプラスとなるべきだが、そうでもないかな。

Zの東経120度から東経150度。オーストラリアを通過する。気温偏差はこの区間で大きくプラスに傾いており、これはまさにZ=アを証明するものである。

というわけで、意外と一致していないところも多かったがそれでも大きく食い違うところはない。X・ウ、Y・イ、Z・アとみなして構わないだろう。

 

問2 いい問題。これができないようでは話にならない。

1;「地熱発電」は火山地帯のキーワード。日本をはじめニュージーランド、イタリアなど新期造山帯の険しい山岳地形を持つ国に多く火山はみられ、地熱発電が行われているケースも多い。また新期造山帯ではないものの、火山国(正確には溶岩台地というべきだろう。噴火する火山ではなく、大地の裂け目から溶岩が染み出してくるのだ)のアイスランド島でも地熱発電が行われている。02B本第1問問1・問5、01A追第1問問7(アイスランドの説明「島はプレートの境界に位置しており、島内の活火山の熱を利用した暖房や給湯の設備のある民家が多い」)。

ノルウェーは古期造山帯、スウェーデン・フィンランドは安定陸塊であり、図2の範囲では火山の分布はみられない。

2;「風」の問題。「季節風」はモンスーンアジアとよばれる東アジアから南アジアにかけての湿潤アジアのキーワード。本選択肢については「偏西風」に改める。

3:ノルウェーの水力発電ネタはセンター試験初出かな。しかし非常にメジャーな話題であるのでしっかり押さえておいてほしい。

ノルウェーは古期造山帯の国である。低い丘陵性の山容である。しかし山並みが海に迫っているので、傾斜は急。短く勾配のきつい河川が数多く流れ出している。これを利用しての水力発電がさかん。ノルウェーは冬季も温暖な国であり、河川水の凍結も少ないことも水力発電には有利。ノルウェーが水力発電国であることはぜひとも知っておこう。02B本第1問問7で出題されている。

4;新期造山帯ではない。

ヨーロッパの地形は、北でなだらか、南で急。北半分の地域は平原(安定陸塊)や丘陵(古期造山帯)から成る。この地形の差は、99B追第1問問3にあるような河川の勾配に現れる。97A本第1問問5では北ヨーロッパ平原の国々で河川交通がさかんな様子がポイントとなっている。

 

問3 不凍港の問題。関連問題は01B追第1問問1。

西ヨーロッパは偏西風の影響によって、気温や降水の季節的な変化が少なく、冬季も比較的温暖である。とくに大西洋沿岸は暖流である北大西洋海流のため、かなり高緯度であっても海水温は意外と高い。

図2参照。Cだけでなく、BやAなど、スカンジナビア半島の大西洋沿岸地域の港は冬季も海水が凍ることはない。不凍港となっている。このネタは中学地理でも十分に取り上げられるところ。例として抜粋してみよう。文英堂「要点がわかる地理・中学1~2年」より。

北極圏のナルビクがなぜ不凍港か。

沖合いを暖流の北大西洋海流が流れているので、スカンジナビア半島西岸の港はすべて不凍港。東岸では、北緯66度のルレオが凍結しても、西岸では、同67度のナルビク、同71度のハンメルフェストも不凍港。

さらに図を用いて、スウェーデン(キルナ・エリバレ)の鉄鉱石が、夏季はルレオから積み出され輸出されるのに対し、冬季はノルウェー側のナルビクから積み出されることが示されている(現在は夏季でもナルビクから搬出されている)。ノルウェー不凍港ネタがていねいに説明されていることよりも、ルレオ・ナルビク・ハンメルフェストという都市名にまで触れられている点にびっくり。中学生でもこれくらいの勉強はしているのだ!?

その反対がD。ここは冬季は凍結する。バルト海凍結ネタは問1でも説明している。「バルト海出口には1月0℃の等温線が通る」ことについても問1で説明しているね。このことは地図などで確認しておくといいだろう。

 

問4 白夜の問題。関連問題は02B本第1問問4。

地球は公転面に対し、その垂線から23.4°地軸を傾けている。統計要覧2ページ<地球の運行>の図が参考になる。

地軸の北極側を太陽方向に傾けている時、北半球は夏となる。この時季、北極周辺は白夜(24時間太陽が沈まない)となり、反対に南極周辺は極夜(24時間太陽が地平線の下にある)となる。白夜の範囲は春や秋では北極の周囲、ごく狭い範囲に限定される。しかし公転によって地軸が太陽方向に向くにしたがって次第にその範囲は広がり、6月下旬の夏至の時季には北緯66.6度にまで白夜の範囲が及ぶようになる(北緯66.6度を「北極圏の南限」という。夏至の日、この緯度に沿う地点では真夜中であっても太陽は地平線上にある)。

 

問5 エクメーネっていう言葉はセンターで始めて出てきたんちゃうかな?居住可能地域の意味である。陸地全体の90%がエクメーネ、それ以外の10%が非居住地域のアネクメーネと考えられているが、人類はかなりの厳しい自然環境下でも暮らしているってことなのだ。

1;地下に永久凍土が見られる範囲は、ほぼシベリア全域にわたっている。おおよそ1月平均気温-20℃の等温線と一致している。冬の間に極端に冷凍されるため、夏季も表面しか解けないというわけだ。

011問の図1でその範囲を大まかに説明しよう。「ロシア」と書かれている辺りから東のロシア国内は永久凍土と考えていい。バイカル湖周辺も該当する。ただしウラジオストク付近の沿岸部は冬季の気温がそこまで低下しないので、永久凍土は分布しない。ウラル山脈以西で、北緯50度より北の地域ととらえておけばいい。

夏季の気温が十分に上昇するところもあるので、耕地や都市・村落も分布する。しかし家屋の建て方は特徴的。地下の凍土が融解すると泥となり、家屋を支える柱が傾くこととなる。家屋から発する生活のための熱が地面に伝わらないように、高床式の家屋になるのが一般的。

湿度の高い中国南部や東南アジアでは風通しをよくするために高床式の家屋となるのだが、気候環境が対照的でありながらともに高床になるというのは、もちろん理由は違うけれど、おもしろいもんだ。

2;この問題の判定は難しいが、「いなくなった」と断定してしまっていいのか。

3;「人口増加が急速に」が気になるんやなあ。どうなんかな?

4;「スキーリゾートとして開発が進んでいる」のである

というわで本問は実にあいまいなものになってしまっている。1が確実に正しいことを述べているのでこれを正解とするしかないよなぁ(涙)。いや、2・3・4については全然わからん!そもそも地理で話題になるようなことですらないと思う。こんなん知らんもん。そういう意味では1のネタってセンター試験に限らず地理ではよく出てくるトピックなんで、いかにも正解っぽいってことかな。でも過去のセンター試験内に元ネタがあるわけでもなく、ちょっと苦しいことは間違いない。

 

問6 問5に比べればまだマシかな。

1;シベリア内陸部は冬季極端に乾燥するので空気が収縮し巨大な高気圧が発生する。これだけでもシベリアの冬季の降水の少なさは想像できるだろう。それに加えて本選択肢にあるように、大気中の水蒸気量も少ないため、とくに少雨となる(ただしこれを「乾燥」といっていいものかどうか。乾燥とは、降水量が蒸発量を下回った場合。この時季のシベリアは氷点下であり、そもそも水分の蒸発自体がありえない。降水が1ミリでもあったらそれだけで乾燥とはいえなくなるので、やはりここでは「乾燥」ではなく「少雨」という表現が適切だろう。いや、寒冷なので「雨」ではなく「雪」になるのだか、「少雪」としないといけない?微妙なところやな。とりあえず「少雪」なんていう言葉は辞書に載っていないし、「少雨」で意味は通じるよね)。

2;標高5000mっていうことは、海抜0mの地点より27.5℃気温が低いってことか(0.55×50=27.5)。こりゃ何とも微妙やな~。低緯度地域ならば低地地域の気温は30℃近くになるんやろな。ってことは5000mなら、2.5℃か。でも「5000mを越える」んやから、例えば標高6000mくらいになるところもあるだろうし、それなら標高0mの地点で30℃であっても、0℃未満になるから、雪は降るだろうし、降った雪も解けないで残るだろう。というわけで、文章からでは何とも判別しにくい。

3;米国においては、西経100度の経線と年降水量500mmの等降水量線が一致するのは有名な話。その線より西側では乾燥し、東側では湿潤となる。つまり米国の中部地方では西から東に向かって次第に降水量が増えていくと考えていいだろう。よって本選択肢のように「西側より東側で」降水が多いのは納得である。また、緯度から推測するに、ほぼ偏西風帯に位置するわけで、風によって水蒸気が東方に運ばれると考えられ、その点から見ても、東側で降水が多いのは納得である。

4;「北陸地方」とは新潟県・富山県・石川県・福井県のこと。豪雪地帯として知られるところである。「日本海の海水温が比較的高く」なっているのは、ここを流れる対馬海流の影響が大きい。暖流であり、冬の日本海からは湯気が立っているといわれるほど。日本海上空には湿った空気がある。「寒気」とはもちろん冬季の北西季節風だろう。シベリア内部に発達した高気圧から吹き出してくる。96本第1問図1・01B追第1問問2(ウラジオストクの冬季の降水)などが参考になる。「日本海を渡る距離も長く」とあるが、長いのかどうかは分からないが、大陸からの乾燥した空気がここで水分を得ることは確か。

というわけで、本選択肢については誤文とするべきところはない。

(おまけ)この湿った冷たい空気が、日本という険しい山脈に横殴りにぶつかるので地形性降雨による雲を生じ、猛烈な豪雪をもたらす。96本第1問問3選択肢1におけるあからさまな雪雲を見よ!「冷たい風」「湿った空気」「険しい山脈」という三種の神器がそろうことによって北海道から山陰地方までの日本海側各地に大量の雪がもたらされる。この3つの条件がそろうのは世界広しと言えども日本のこの地域だけ。北陸地方が世界最大の豪雪地帯というのはあながち大げさな言い方ではないのである。

というわけで、実にあいまいかもしれないが、ここは2を誤文としてほしい。低緯度地域とはいえ、かなり標高の高いところには山岳氷河や万年雪がみられる。

ほぼ赤道直下にキリマンジャロ山という山がある。東アフリカ大地溝帯(00B本第2問問4選択肢4参照)に沿う火山である。標高は6000mを越え、その山頂には万年雪や山岳氷河があるので有名。文豪ヘミングウェイの作品で「キリマンジャロの雪」という小説がある。この地域の原住民マサイ族の言い伝えで、キリマンジャロの氷河の中には豹が眠っているらしい。どうしてここまで登ることができたのだろうか。なぜ氷河の中に入ることができたのか。そんなロマンチズムあふれるキリマンジャロを舞台としたヘミングウェイの作品もまたロマンあふれるものである。

実は00B追第5問問4選択肢2でも似たようなトピックが取り上げられている。暑いイメージのあるアフリカ大陸ではあるが、山脈の高い峰は雪でおおわれているのだ。

 

問7 問6と同様、誤文型の文章正誤問題。ちょっとこちらの方が難しいと思う。

誤文は1。日本酒の生産統計を知っておけっていうのはちょっと無理な話かな。日本酒生産上位1位2位は兵庫県と京都府であり、いずれも米の生産量の多さとは関係ない。杜氏(とうじ)さんの話と絡めて知っておくといい。杜氏さんというのは、雪国から冬の間だけ兵庫県や京都府の酒蔵にやってきて、日本酒醸造に携わる人々。出稼ぎ労働者、季節労働者の典型的な例である。日本海側の県は冬季には大量の降雪によって農耕不可能となる。夏季に水田耕作がなされるのみ。水田単作地帯。よって冬季には杜氏さんたちのように出稼ぎに出る。

選択肢2・3・4についてはよくわからん。

 

第3問 中国地誌。99B本の米国地誌に続き、単独の国からの出題。ただし地名が問われてはいない。

問1・問3・問6は非常に容易。問2も何とかなる。問4・問5が手ごわいのだ。とくに問4は捨て問ともいえる。1問ミスで乗り切ろう。

 

問1 中国ネタで最も重要なものは「国内の人口移動」。経済レベルの低い内陸部から、商工業の発展著しい沿岸部への莫大な人口移動が大きな社会問題となっている(中国の社会問題ということは世界全体の問題だ!)。

というわけで「省外へ出稼ぎ」ということで、アが内陸部のBとなる。

イとウの判定。AとBはともに沿岸部で中国の中では経済的に進んだ地域である。ここで最大のキーワードは「長江」。華北の黄河と、華中の長江はともに重要。その名称だけでなく、どの辺りを流れているのか位置まで知っておかなくてはいけない(センター試験では河川に関する問題が多い。黄河と長江はマストアイテム)。A付近が長江の河口であるので、イがAとなる。

これだけで十分解答が可能。というわけでここからはオマケ。

ア・Bについて。これはスーチョワン省という省。長江沿いに開けた盆地。このスーチョワン盆地の人口は1億人に達する。中国の人口のほとんどが沿岸部に集中しているのだが、スーチョワン盆地は内陸部でありながら人口密度が高い例外的な地域。三国志の時代には劉備玄徳が蜀の国を構えた地域で、珍獣パンダの分布する地方としても有名。スーチョワンは漢字で四川と書くのだが、四川料理といえばマーボー豆腐で名高い。内陸部であるため夏季はかなり高温となり、食べ物が腐るのを防ぐため激辛料理が多くなるんだそうだ。

このような歴史・自然・文化の豊かな地域ではあるが、所詮は内陸部の貧困地域である。米作や(米の裏作としての)小麦作もさかんなところではあるが、それだけでは経済的に繁栄することはありえない。人口の多さゆえに、1人当たり地域内総生産は国内最低レベルになってしまう。

内陸部であり外国企業の進出もほとんどないだろう。所得水準の高いシャンハイや華南の経済成長地域へと出稼ぎに出かける労働力が後を絶たない。この数百万規模に達しようという労働力の大移動を「民工潮」「盲流」とさえ言うらしい。経済特区の設置されている都市の1つであるシェンチェンの人口は近年急激に膨張したが、そのほとんどはスーチョワン盆地出身者であるそうだ。

イ・Cについて。コワントン省というところ。ここと東岸に隣接するフーチェン省を中心とした地域を華南という。「中国の南」という意味であるが、ここではとくに南シナ海沿岸として押さえておいてほしい。海岸線は複雑なリアス式海岸。山地が海に迫り、平野が少ない。耕地として利用できるところが少ないので多くの人口を養うことができない(このような人口に比べ耕地が少ない状態を「人口支持力が小さい」という。温暖な気候を利用して米の二期作がさかんなのも、限られた耕地を有効利用しようとする意味合いが強い)。

古来より人口流出地域として有名だったのはそれが原因。飢えるよりは海外に活路を求め移住しようというわけだ。このように華南から、東南アジア・日本・米国など太平洋沿岸各地に飛び出した移民のことを「華僑」という。ずいぶん昔の話なので、そこに住み着き現地人化した者やその子孫も多い。彼らを「華人」という(華僑の「僑」には「一時的な」という意味がある。現地で定住を果たした彼らの呼び名としてはふさわしくない)。

ただしこの移民流出地域が近年変化した。とくに1980年を境に中国が改革開放政策を導入したことにより、華南地域は世界の耳目を一身に集める「世界で最も熱い土地」に変貌。それは経済特区の設置に始まる。

70年代までの中国はガチガチの社会主義国家であった。生産活動は全て国が掌握し、政府が決定したノルマに従っていた。しかしノルマが課せられたことにより生産意欲が減退し、経済も停滞する。そのため中国は改革を迫られる。人民公社解体と生産責任制の導入、郷鎮企業と呼ばれる民間企業設立の奨励、そして外国資本の積極的な誘致。

まずその手始めに華南地区の4つの都市に「経済特区」が設けられた(その後、追加され現在は5ヶ所)。税制などの面で優遇し、外国企業が進出しやすい条件を整える。外国企業としても中国の安価な労働力を利用できるのだから、衣服工場や機械組立工場など労働力に依存する工業にとってはたいへん有利である。生産の拠点を中国へと移動する。中国としては雇用の機会が増えて経済的に潤い、さらに外国の技術を習うことができるというメリットがある。また、ここで生産された製品は原則として中国国内には持ち込まれない(最初から輸出を前提に製造されているのだ)ので、国内の産業は保護される。

99B本第3問問4のグラフからもわかるように、中国の国内状況が安定した90年後半以降、この地域への外国資本の進出が本格化した。すでに衣類や電気機械の生産において中国は世界1位である。

ウ・Aについて。シャンハイに隣接する省であり、もちろんシャンハイの経済圏にあるところなので、ここではシャンハイの説明をする。首都ではないものの国内最大の人口規模を誇るシャンハイ。中国随一の都市として君臨する。貿易港として栄え、経済の中心として発展。外国からの窓口であり文化の中心でもある。近年は工業の面でも躍進著しい。郊外に巨大な近代的な製鉄所が建設された。日本の技術・資本の支援を受けたものである。この製鉄所の稼動もあり、現在中国は世界最大の粗鋼生産を誇る。また、港湾地域に輸出加工区ももうけられた。税制などの面で優遇し、外国企業を積極的に誘致(つまり経済特区と全く同じ。経済特区が華南の5ヶ所を指す固有名詞であるのに対し、輸出加工区は世界中どこでも見られる一般名詞。それだけの違い)。せんい工業や機械工業もさかん。

2008年のペキンオリンピックに象徴されるように、現代はまさに中国の時代なのだ。経済レベルも低く(1000$/人)、低賃金なのが何よりの魅力。ただし工業の発展している地域はシャンハイや華南などの沿岸地域に限られ、スーチョワンなど内陸地域との格差はさらに拡大する傾向にある。この国内における経済格差が莫大な人口移動の原因になっているのは、前述の通り。

 

問2 人口に関する問題。問1では人口移動が扱われた。このように中国についてはとにかく人口ネタが最重要。

1;一人っ子政策について。中国12億人の90%を占めるのが漢民族。一人っ子政策は漢民族にのみ適用される。つまり少数民族は複数の子供をもうけることが許されている。

また同じ漢民族であっても、農村部では一人っ子政策が適用されていないところもあり、厳格に産児制限がなされているのは都市部だけである。「一人っ子政策は都市部の漢民族に適用される」ということ。

80年代以降、都市人口の増え方が急になったのはもちろん農村からの労働力の流入によるものが主。経済成長によって都市と農村の格差が開き、金を求め人口が大きく移動した。

2;上記の説明通り。少数民族については一人っ子政策は適用されていない。

3;保留。よくわからない。

4;中国の経済レベルは低い。1000$/人程度。いくら商工業の発展がめざましいところだとは言え、この程度の賃金水準の国に外国から労働力が流入してくるとは思えない。中国沿岸部の経済成長地域にやってくる人口は、さらに経済レベルの低い中国内陸部の人々(問1のスーチョワン盆地から沿岸部への人口移動ネタ参照)。

自然増加率はたしかに低下しているようだ。しかしそれでも10‰(1%)の増加割合はあるわけで、決して人口が減少しているというわけではない。かつての2%や3%というような極端な人口増加こそないものの、それでも着実に人口は増加している。総人口のグラフも「90~95」の間はややそれまでより人口の増え方が小さい(傾きが小さい)ようだ(気のせい?)。自然増加率の低下の影響。

5;これは単に人口ピラミッドを読み取る問題。出生率が落ちているのだから、もちろん人口の高齢化が予想される。

1・2・4が明らかに誤りであるので、正文は3と5になる。3についてはよくわからないのだが、人口ピラミッドを見る限り「25~30」の年齢層の人口が多いようである。統計年次が95年なので、65年から70年までの間に生まれた人口が多いということになる。よって選択肢3の文章は正しいようだ。

 

問3 これも人口ネタではある。中国の人口12億人を利用して解く。

表1参照。「総消費量」と「1人当たり消費量」が表されている。このように総量と1人当たりの量が分かっている場合には、それらを利用して人口を求めることができる。

(総消費量)÷(人口)=(1人当たり消費量)  なので

(人口)=(総消費量)÷(1人当たり消費量) である。

計算してみよう。もちろん適当に暗算してくれたら十分だが(理系の君たちならこのくらいの計算は得意だよね!?)、ここではしっかり計算してみるよ(単位はkg)。

1;819500000000÷684=1200000000

2;703300000000÷4737=150000000

3;251100000000÷270=930000000

4;51200000000÷880=58000000

というわけで、選択肢1の国の人口は12億人、2の国は1億5千万人、3の国は9億3千万人、4の国は5千8百万人。

人口上位10カ国は最低限知っておくべきなので、1が中国、2がロシア、3がインドであることがわかる。タイの人口はわからないが、それ以外の3カ国より人口が少ないことは確かなわけで(人口ベスト10にランクインしていないのだから)、この国が4に該当することは明らかだろう。

こういった解き方を邪道といってはいけない。実に正統派の解き方なのだ。出題者は最初から人口を計算させようという意図がある。そうでなければ、総量と1人当たりの量をともに表で示すわけがない。地理とは統計を読む学問である。ここではエネルギーについての知識が問われているわけではなく、表に示された数字を利用して計算し解答に導くテクニックが求められているのである。

 

問4 ちょっと難しいかもね。

1;中国は世界最大の石炭産出国。国外からの輸入に頼ってはいないと考えてほしい(もちろんどんなにたくさん採掘していても、国内でそれ以上の需要があれば輸入しないとあかんのだが)。また「安い」という点もどうかな~?そもそも中国自体経済レベルの低い国なのだから、それ以上に安い国っていうのもそんなにないんじゃないかな?どう思う?

2;大規模な水力発電所っていうのが怪しい。ペキン郊外ということは、華北平原に巨大なダムを造ったってことになる。平野にダムが存在しえるだろうか?ダムは山間部に造ってこそ意味がある。急流をせきとめ、その段差を利用して発電が可能となる。また平野部にダムがあれば、そのダム湖の面積は巨大なものとなってしまい、多くの耕地や住宅地が失われてしまうこととなるだろう。

01A本第3問問7参照。ここでは1次エネルギーの種類別消費割合が示されている。中国の場合は、固体燃料(石炭など)に頼る割合が飛びぬけて大きく80%程度。液体(石油など)が15%くらいで、ガス体(天然ガスなど)やその他(水力・原子力など)の割合はそれぞれ数%に過ぎない。このように中国は水力発電のさかんな国ではなく、本選択肢における「ペキン郊外の水力発電所」も大嘘ということになる。

むしろダムについては長江に建設中の超巨大ダムが話題にされることが多い。長江中流のウーハン近郊に建設中のこのダムは名称はサンシャダム。洪水の頻発する長江の水量調節、水力発電など、世界の他のダム同様多目的に使用されるものである。しかしこのダムの特徴は何と言っても天文学的な規模の大きさ。万里の長城以来の大プロジェクトといわれている。個人的な見解だけれども、経済的な効果より、環境に与えるダメージの方が恐ろしいのだが。。。それは想像を絶するだろう。ともかく、建設中でありながら、それでも試験でしばしば問われるくらいなのだから、その怪物ぶりが想像できる。

3;スーチョワン省ネタは問1と連続する。問1の図1におけるB地域がスーチョワン省である。

4;これは簡単に消せる。問1のC地域に関する記述を参考にしてほしいが、この地域は経済が急速に発展している地域。商工業がさかんで、中国の中でも最も経済レベルの高いところである。平均所得も高いことが想像されるため「他地域と比較して自動車が普及していない」ということはないだろう。

というわけで、明らかに誤文といえるのは4だけなのだ。あとの3つでかなり迷う。1と2は何とか消せるかなぁ。答は3なのだ。

スーチョワン省のような経済的に遅れたところに「大規模」工場なんておかしいといわないでほしい。規模が大きいだけでおそらく生産性は最低だろう。何と言っても「国営」の「老朽化」した工場なのだから。社会主義の中国ではあるが、もはや「国営」は完全に時代遅れ。今は外国企業や、郷鎮企業とよばれる民営企業の時代。というわけで3についてはとくにつじつまの合わないことは言っていないと判断してほしい。

(おまけ)選択肢3参照。中国は石炭国である。石炭は不純物を多く含み燃焼効率が悪いのだが、その不純物の大穂標的なものが硫黄。石炭が燃焼する際に硫黄も燃焼し、その酸化物が空中にまき散らされる。いわゆる硫黄酸化物。SOXという。これが上空で雲(つまり水蒸気)と化合することによって、硫酸が発生。硫酸を含んだ雨つまり酸性雨が降り注ぐ。中国では酸性雨は「空中鬼」と呼ばれ、大変恐れられている。空中鬼は風に乗る。上空の偏西風によって日本へと運ばれる。日本海側の標高の高いところで森林の立ち枯れなどの被害が見られるのはこれが原因。

実は硫黄酸化物の排出を防ぐのはそれほど難しくない。工場に脱硫装置をつけたらいい。日本ではこれが法制化され徹底的に行われた結果、近年では硫黄酸化物の大気への排出量は減っている(96B追第5問問2参照)。もっとも、自動車の排気ガスに含まれるこれまた酸性雨の原因となる窒素酸化物について規制は進んでいないのだが。

これに対し、中国では硫黄酸化物排出については野放し状態。これを制限し、脱硫装置の設置を義務化する法律が整えられていない。日本の技術を用いれば簡単に解決できる問題(経費はかかるだろうが)ではあるのだが。国家の経済的な成長を優先し、住民の生活を省みない社会主義国的な忌まわしい伝統がここに残っているのか(98B追第1問問5)。

ちゅうわけで、ともかく本問は難しいや。完全な捨て問だろう。仕方ないね(涙)。

 

問5 ちょっと難しい。このレベルの問題ならば、誤文判定にするべきなんだろうが、ここでは正文判定となっている。誤文を3つ指摘しないといけないわけで、ちょっと辛いな。

1;「エビ」がキーワード。日本はエビをたくさん輸入しているが、輸入先として重要なのはインドネシア(99B本第3問問5)。マングローブ林をつぶして養殖池を作っているわけだ。このように熱帯の温暖な地域に分布するものであるので、中国東北部のような冷涼な地域にエビがいるわけがない。ウナギも似たようなもの。エビほどではないが温暖な気候下で育てられる。鹿児島県や愛知県、静岡県で養殖されている。静岡での養殖の様子は、97B追第4問問1で話題とされている。

2;経済成長の著しい中国沿岸部。その成長を支えているのは郷鎮企業とよばれる民間企業。工業などもしているかもしれないので、この選択肢の記述についてはとくに疑問はない。

3;この選択肢の判定が難しい。問4選択肢2でも話題とされたダムネタなのか。長江中流には完成したら世界最大のダムとなるサンシャダムが建設中である。莫大な水力発電が見込まれアルミニウムの生産が急上昇するといわれている反面、さまざまな環境問題も懸念されているまさに地球規模の大プロジェクトである。広大なダム湖に沈む村落は数知れず、しかし長江下流域で洪水が起こる危険性は大幅に減少する。

このことと絡めて考えるべきなのだろうか。「長江の流量が著しく減少している」のならばそもそもダムを造る必要はない。現在既に「河口部で海岸侵食による耕地の減少が激しい」のならば、ダムなんか造ったらさらに上流から運ばれる土砂の量が減少してしまい(ダムにせき止められて、ダム湖の湖底に堆積するだけだ)耕地減少を助長することになってしまう。

つまり選択肢3の文章は「長江に巨大ダムが建設中である」という事実と突き合わせた時に不自然な点が多すぎるのである。

4;「砂漠化」とは乾燥地域で生じる環境問題である。草原が失われ、植生なしの状態となる。99B本第4問リード文および図1参照。会話の中で砂漠化の説明がなされている。「乾燥地域やその周辺で、気候の変化と人間生活の影響などが重なって植生が失われ、土地が悪化すること」が砂漠化の定義である。さらに「半乾燥の地域は砂漠化の危険地域」であることも指摘されている。図1参照。強度の乾燥地域や中程度の乾燥地域はもともと砂漠(植生なしの状態)になっているわけで、これ以上砂漠にはなりえない。それに対し、弱の地域(半乾燥)は通常はステップとよばれる短草草原におおわれているのだが、何らかの原因でこの植生が失われる可能性がある。この植生喪失を砂漠化というのだ。

以上より、砂漠化は乾燥地域で発生する環境問題であることが分かる。では華南(具体的にはフーチェン省とコワントン省などを指す。コワントン省は図1におけるCの省、フーチェン省はその東岸に連なる省。台湾の対岸)は乾燥地域なのか?もちろん否である。ホンコンなどはかなり降水の多い典型的な湿潤気候の見られる都市である。米作がさかんなのだから、乾燥ということはないだろう。「砂漠」自体が存在しない。

というわけで、1と4は確実に消せる。1はエビの成育条件、4は砂漠化の意味。2と3で迷うが、何とかクリアしてほしい。

(追加;2の説明)郷鎮企業について若干説明を加えたいので、余裕がある者は読んでほしい。中国は社会主義の国である。ホンコンが1997年にイギリスから返還された際には、すでに資本主義地域として発展していたホンコンの経済についてはそのままで維持し(つまり資本主義のままということ)、社会主義である中国本土と合わせ一国二制度が導入された。このような特殊な経済構造を持っているのは中国だけであり、一国二制度はこの国を表す重要なキーワードとなった。

しかし、実質的には80年ごろから部分的に資本主義的なものは導入されつつあったのだ。改革・開放政策と呼ばれるもの。

その代表的な例が生産責任制。70年代までは人民公社という生産共同体を中心に農業などの生産活動が行われていた。ノルマが課され、生産意欲が低く、経済は停滞した。その人民公社が解体され、生産責任制が導入された。これまでと同様ある程度のノルマは課されるもののその設定は以前ほど厳格ではない。ノルマを超えて生産したものについては市場にて自由に販売できるようになった(まさに市場経済、自由経済ではないか!)。その利益はもちろん個人の所有としていいわけで、この点が圧倒的に社会主義的でない。働いた者はそれだけ利益を得ることができるわけで、これにより「万元戸」とよばれる富裕な階層が生まれた一方、貧富の格差は拡大した(この貧富差もまさに資本主義的である)。

このような生産活動の自由化と同じように、商業や工業の面においても自由化が進んだ。かつては国内には国営企業しか存在しなかった。それが民間の経営による企業の設立が許されるようになった。この民営企業を「郷鎮企業」と呼ぶ。経済的に余裕のある者が社長となり会社を興す。あるいは(郷や鎮とはもともと村という意味であるように)村民が共同して商売を始めたり工場を造ったりする。生産責任制と同様、生産活動の活性化を促すものであり、現在では国営企業より郷鎮企業による生産が中国経済を支えているほどだ。

しかしこれが富める者と貧しい者の格差を生み、富める地域と貧しい地域の格差をも拡大するものであることは言うまでもない。っていうか、ここまでしておいて中国は本当に社会主義なのだろうか?げに恐ろしきは金の魔力なり、というところだろうか。

 

問6 単なる統計問題。確実にゲット。

小麦の生産1位は中国、2位はインド。ちなみに米も1位中国、2位インド。主食となる穀物であるので、人口大国での生産が多い。というわけで、速攻でPが中国となる。

それを知らないとしても問題を解くことはできるので以下のようにしてトライしてみよう。

まず日本の判定。日本で小麦の生産が多いはずがない。というわけで、生産量の上位にランクインしていないSが日本となる。

P・Q・Rはいずれも生産が多い国。このうち、QとRは輸出も行っている。生産量に比べて国内市場が小さく、その分だけ輸出量が大きくなる。これは米国(2億5千万人)とフランス(6千万人)に該当する。2億5千万も人口があって国内市場が小さいも何もないが、それでも12億人の中国に比べれば比較にならないだろう。中国がまさか農産物輸出の多い国とは思えない。

よってPが中国である。生産量は1位。ただし輸入も1位。国内消費量がいかに多いかが想像できる。これが中国に違いない。

しかしこうして問1から問7を振り返ってみると人口ネタがとくに多いのがおもろいね。前年の米国地誌とは異なり、地名はほとんど問われていない。あえて避けてるな。問題作成者の苦労がしのばれるところや。

 

第4問 こういうバリバリの地形図大問って本試ではまずお目にかかれない。地形図問題が多いので苦手な人は厳しいな。99年度の追試験ほどではないもの、地形図判読のテクニックが合否を分けるポイントとなるともいえるわけだ。しかし逆にいえば、本試験ではここまでの地形図重視の傾向はないわけで、君たちの大半が本試を受験することを考えれば恐るるに足らずともいえる。

問1は視線問題。意外と苦手にしている人も多い。問2は時間はかかるかもしれないが、決して難しい地形図問題ではない。問3はちょっと難しい。とくに選択肢を2つにしぼってからはほとんどカンに頼らなあかん。

問4は単なるグラフ読解。容易。問5は形式こそ問4と似ているが、内容は全然違う。難しい。

問6で再び地形図問題。でもこれは容易。問7は地形図ではない。島をテーマとした問題は過去にもあったので十分に対応可能。ただし若干日本の地名についての知識が必要となる。

全体的にはやはり難問の領域に入るだろう。3問ロスは覚悟しないといけないか!?

 

問1 視線の問題。99B追第3問問2、98B追第4問問3など参照。

「視線は直線で表される」ことが重要。

坂手湾と内海湾の間に浮かぶ、いくつかの島がつながったような半島部分に注目しよう。図2参照。右手奥の半島の先端部には「権現鼻」や「塩谷鼻」がある。ここの中央のやや小高いところは「80」と標高が示された山頂である。「山頂80」としておこう。

その左手にはやや大きめの陸地。「田浦」の集落がこの陸地に位置している。中央部やや左の最も標高の高い点は図1においては「186.2」という数字が書かれているところだろう。三角点も置かれているようである(三角点とは三角測量する際に用いる基準となる点。水平位置の測定に利用)。「山頂186」とする。

さらにその左側。古江の集落がある小さな陸地。ここには「139」という山頂がある。「山頂139」とする。

まず選択肢1から判定していこう。点1と3つの山頂をそれぞれ直線で結ぶ。山頂80は山頂186と重なっている。より高い土地(186m)の背後にあるため、山頂80は点1から望み見ることは不可能であろう。よって点1は不適。

次に選択肢2。山頂139と山頂186については問題なく視線が引けるようである。ポイントは山頂80。点2と山頂80とを直線で結ぶと「ウン崎」がその途中に重なる。つまり点2から眺めると、ウン崎と山頂80は重なって見えるということ。図2参照。山頂80ははっきりと見えている。ウン崎が含まれる陸地部分と重なっているわけではない。

選択肢4について。山頂139は山頂186の背後に隠れて、見えないようである。

よって選択肢3が正解となる。3つの山頂に向かって視線となる直線を引いてみよう。「山頂80・点3・山頂186」のなす角と「山頂186・点3・山頂139」のなす角とがほぼ等しくなっているはず。図2参照。「山頂80・山頂186」の間の距離と「山頂186・山頂139」の間の距離がほぼ等しい。このことから選択肢3が適当ということになる。

以上のように、視線が問題となる場合にはとにかく地形図上において目立つ点同士を直線で結んでみよう。「視線は直線で表される」が大原則である。

 

問2 簡単というわけではないが、解答は十分可能。

1;「尾根線」「谷線」判定の問題。

類題多数であるが、とりあえず00B本第5問問2参照。DからCに向かって降りる山道は尾根線に沿っている。D付近にはほぼ閉曲線状になった等高線があるが、これが山頂部と考えていい。山頂から等高線のふくらんでいる方向に降りていく線を尾根線という。左右の見晴らしがいい山道となりやすい。

それに対し、谷線は山頂から等高線のへこんでいる方向に降りていく線。DやCの西方にある河川の筋をたどってみるといいだろう。谷線とは周囲(左右)よりも低いところなので、水が集まって川となることが多い。

問題参照。この選択肢中の「谷」という言葉に反応してほしい。上記で説明しているように「谷」「尾根」は重要なキーワードであるので、文中にこの言葉があれば必ずチェックすること。図1を見る。Aの道路は等高線に平行する道であり、尾根線や谷線ではない。

2;等高線の判定。この地形図は5万分の1なので、等高線間隔は標高差20m。Aの道路の最高点は等高線から判定して、ほぼ60mくらいだろう。100mを超える高度差があるわけがない。

3;これちょっと難しいねんなあ(涙)。距離を計算しないとあかん。地形図の縮尺と、地形図上の長さが重要。

地形図の縮尺は問題文に書かれている(1/50000)。8kmなのだから、800000÷50000=16(cm)となる。

田浦から道路沿いに16cmってどの辺りになる。しかも「道路沿い」なわけで、道路が曲がりくねっていることを考えるとその判定は容易ではない(っていうか、正確に測るのは不可能じゃないか!?)。

4;「急な崖が続き」に注目。崖は岩石海岸。「長崎」と「小鼻野」の間や牛ヶ裏付近のゴツゴツした模様が岩石海岸を表している。

以上より、田浦の対岸全てが岩石海岸というわけではないので「急な崖が続き」という記述には多いに疑問である。

ちなみに岩石海岸の反対語は砂浜海岸「竹生」付近のなめらかな海岸線と点々模様が砂浜海岸を表す。なんとなく砂浜っぽく見えるよね。ここなら小船が着きやすいんじゃないんかな。あるいは「竹生」という文字の左側にある海に突き出たカギ状の線に注目してもいい。これはおそらく「さんばし」を表しているのではないかと思われる。さんばしの地図記号はないが、ここではその形状から推測する。ここに船が着くこともできるだろう。

「石場」の海岸には直線と点の組み合わせによる垂直の壁がある。これはコンクリートによって護岸されたものであろう。大石先生の時代にはこんなんなかったとは思うけどね。

というわけで、1・2・4の誤りは容易に判断できる。よって消去法で3を正解としていいだろう。

再び選択肢3参照。田浦から見える地点って具体的にはどの辺りだろう?田浦の集落がちょっと谷に入ったところがあるのでその視界はかなり限られているだろう。「石場」くらいから南側の沿岸地域だけだろうね。8kmってどうも微妙なんだが、道路が曲がりくねっていることを考えると石場までの道のりは8kmを超えると見ていいのでは。

 

問3 風の問題。

1;原則として風は気圧の高いところから低いところに向かって流れる。つまり低気圧に向かって吹き込むと考えていい。

しかしこれに転向力が加わるため、風向はやや変化する。転向力とは地球の自転によって生じる力であり、動いているものに対して北半球では進行方向に向かって右向きの、南半球では左向きの力が加わることとなる。これによって北半球では直進していたものは次第にその進路をやや右向きに変化させていくし、南半球ではその逆。本来、北風である北半球貿易風が北東風になり、南風である北半球偏西風が南西風になるのは転向力の影響。

では日本の属する北半球について考えてみよう。低気圧の真東の地点では本来なら風はその低気圧に向かって吹くので東風と考えられる。しかしこれが転向力の影響を受け、進行方向に向かって右に曲げられるうちに東風が南東風に変化する。

 

低気圧からみた位置 本来の風向 転向力の影響を受けた風向

東側            東風      南東風

南東側          南東風     南風

南側            南風      南西風 

南西側          南西風     西風

西側            西風      北西風

北西側          北西風     北風

北側            北風      北東風

北東側          北東風     東風

 

以上のことをふまえて問題文および選択肢1の文章を読んでみよう。

まず台風の位置が重要。島の西側を通過する。台風は南から北に向かって日本列島を縦断するものなので、最初の位置は小豆島の南西部ということになる。つまり島は台風の北東部。この位置にある時、理論的に考えて、島では東風が吹くことになる。これが通過前の状態。

台風が北上し、島の西部を通過する。この時、島は台風の東部に位置するわけで、風向は南東風となる。

つまり選択肢1における「通過前から通過中」には風は東風から南東風に変化しながら吹き続けるということになる。でははたしてこれが「乾燥した暖かい風」なのかどうか?

問題文参照。内海湾周辺は島の南東部に位置するようである。つまり台風の通過中にはこの地区は海からの風を正面より受けることになる。

どうかな?これをどう考える?ちょっと微妙なんだが、南東風に支配される島においてその南東部はまさに海からの風が直接ぶつかるところであり、この風は当然海上の水蒸気を含んでいるだろうから、湿った風と考えるべきだろう。

よって選択肢1は不正解となる。

ちなみにこの風によって内海湾周辺地区が激しい風雨にさらされることは確実。風上斜面に当たり地形性降雨がみられるはず。台風自体に伴う雲(低気圧性降雨;96本第1問問3選択肢4の写真参照。台風の周囲には厚い雲がみられる)よりも、湿った風が山地斜面に当たってできた雲によって(地形性降雨)雨がもたらされる。

通過後についても一応検討してみようか。通過後は台風の位置は島の北西となり、相対的に島は台風の南東部に位置することとなる。よって南風が吹くと考えられる。これが台風の北上とともに次第に南西からの風に変化していくと思われる。どうかなあ?海の方向から吹いてくる風ともいえるわけで、この風が雨混じりのものであってもとくにおかしくはないと思う。よくわからないが。

2;上記の説明参照。低気圧の位置によって風向が決定されるので、台風の通過前から通過後まで風向が買わないわけがない。

3;台風によってもたらされる高波。これの原因は風なのだから、風を避ける地形が多ければ風の影響も弱く、波もそれほど高くならないだろう。内海湾側の方が波は弱くなるだろう。

(参考)湾や入り江の中の港っていうのは風を防ぐことができるので、高波を防ぐことができる。このような地形に伝統的に漁港が多いのはそれが理由。ただしこういった深い入り江は津波にはやばいくらいに弱い。津波とは地震によって海底からせりあがってくる巨大な波。地震の中でも海底地震がしばしば巨大な津波を生じる。海底のある一点から発した波動がそのまま海底を伝わって海岸付近を目指す。波動が海底に沿って沿岸に現れた時にはまさに水の壁が突如出現したような状態である。湾や入り江のような波動エネルギーが凝縮しやすい地点はとくに巨大な津波の被害を受けることとなる。99A追第2問問5・問6でリアス式海岸のみられる三陸海岸(岩手県の太平洋沿岸)のある漁港都市を襲う津波が話題とされている。ここは沖合いに北米プレートと太平洋プレートのぶつかり合う「狭まる境界」があり変動帯(地震の震源地となりやすいところ)となっている。地震とそれに伴う津波の被害が世界的に多い地域である。

4;「耕地」とは「水田」「畑」のこと。樹木地ではない。樹木が植えられていた方が、根が深く大地を支えるため山崩れや土石流などの危険が少ない。これは常識!?

というわけで、誤文判定が容易なのが2と4。1が難しいんだが、何となく3を正解と考えることができるんじゃないかな。

 

問4 時間はかかるかもしれないが、単なる図の読解問題なので確実に得点する。

各選択肢の文章についてはオーソドックスな読み方でいいだろう。文章の前半部分は基本的に正しいことを述べていると考える。後半、とくに最後の部分が正しいのか、それとも誤りなのかを手堅く判定してみる。1なら「増え続けた」、2は「減少した」、3は「増加した」、4は「増加している」がそれぞれ生後判定のポイントとなっている。

1;60年代前半なのだから、60年から65年くらいのグラフの様子を観察してみよう。62年から63年にかけて香川県全体の観光客数が急激に増加した。小豆島の観光客は60年から61年、62年、63年、64年、65年と緩やかに増加した。

2;74年に注目。たしかに73年に比べ74年の小豆島の観光客数は少なくなっている。

3;88年の値を見てみよう。87年から88年にかけて香川県全体の数値は急上昇した。小豆島も同じ時期わずかではあるが増加しているようだ。

4;90年代に注目。90年から97年の動きを観察。小豆島の観光客数は減少しているね。

 

問5 問4は簡単だったんだが、実はこちらはかなり難しい。捨て問と思ってもいい。問4のような単なるグラフの読解問題ではなく、ある程度の知識も求められているのだ。

まずこの選択肢の各文章を観察。いずれも文章の途中に句点が入っており、前半後半の部分に分けられる。こういった場合、前半部分は正文であり、誤りが含まれているとしたら後半部分である。というわけで、とくに後半部分に意識して各選択肢を検討していこう。

1;「過剰になった米の生産を抑えるための転作」は正しいのか?水田をつぶして果樹園にしたってことなのか?水田は沖積平野など低湿地に適している。山間部を拓いて棚田がみられることもあるが、それは全体から見れば一部である。その点から考えるに、低湿地を果樹園に作り変えたのだろうか。土地利用としてそんなことがあり得るか。水はけの良い土地でこそ果樹は栽培されるものである。

(おまけ)実は米の生産過剰がとくに大きな問題となったのは70年代。この点でも本選択肢(50年代といっている)は誤文であるといえる。

2;これはよくわからん。生産過剰になれば価格が安くなりすぎてしまい「豊作貧乏」となってしまうのだから、栽培拡大の動きが弱まるのは納得。

3;これも難しいなあ。97B追第2問問1がとりあえず元ネタではあるんだが。ミカンというかオレンジの輸入自由化は1991年。70年代ではないんやなあ。確かにグラフを見ると90年ごろを境にミカン栽培面積が急減している。

4;「連作障害」ネタは意外によく出るんで要チェック。

そのいくつかを紹介しよう。

01B本第1問問3選択肢4。水田耕作は水を入れかえることにより養分が供給されるので、地力の消耗が少ない。連作障害が生じない。この選択肢のように、休閑期間を必要とするものではない。

01B本第3問問7選択肢3。中部ヨーロッパ地域はかつて大陸氷床によっておおわれていたため、表面の腐植土が削られ、地力が乏しい。三圃式農業という3年に一度は土地を休ませる耕作方式がかつてはとられていた。連作障害を防ぐ。

98B本第5問問7選択肢4。中世の三圃式農業から発展して、近代ヨーロッパでは家畜の導入や輪作(複数の作物を同じ耕地で年ごとに作り分けること)によって地力の維持をはかるようになった。

95本第3問問4。連作障害ネタが直接問われている。ジャガイモの栽培に休閑期が必要ということだが、その理由は選択肢1の「休閑しないと、地力が落ち病気も発生し、収穫量が減少するため」。つまり連作障害を防ぐためなのだ。

問題に戻ろう。原則として畑作において連作障害の危険性がある。水田作ではその不安は少ない。ではミカン栽培はどうか?っていうか果樹栽培には連作障害という概念すらないのではないか?樹木は生育に長い年月を必要とする。とくに豊かな果樹が実るためには少なくとも数年以上かかるのでは。そもそも数年に一回休閑をもうけたり、複数の作物を年ごとに植え代えたりできるもんなのだろうか。もちろん不可能。連作障害は一年草の栽培において問題とされることなのだ。

というわけで2が正解となる。ちょっと難しい!?

 

問6 土地利用の様子が問われている。地図記号が出題されることは稀だが、このように土地利用記号はしばしば話題とされるので、確実に知っておかないといけない。

本問は果樹園の土地利用記号さえ知っていれば解けるので容易だろう。

1;「山頂の平坦部」っていうのは図1の左上の「段山」という辺りだろうか。等高線がほとんど見られず、傾斜があまりないことがわかる。針葉樹が分布しているようだ。

2;山麓の「緩斜面」ということで、等高線間隔の疎なところを探してみよう。「西村」から「水木」にかけての斜面がそれに該当するだろう。畑や広葉樹林もみられるが、果樹園が支配的である。

3;「平野部で水田の間を縫って」とあるので、とりあえず水田を探してみよう。「神懸通」「片城」「安田」付近かな。低平な地形が水田として利用されている。しかし果樹園は見当たらないようだ。

4;「岬」っていうのが具体的にどこかはよくわからないが、とりあえず「坂手湾側斜面」ということで、坂手湾沿岸の土地利用の様子を観察しよう。針葉樹や広葉樹として利用されているようだ。

 

問7 島ネタ。

まず島の種類を整理してみよう。

98B本第4問問2参照。図1の島は隆起さんご礁による島。さんご礁なので石灰質土壌であり、カルスト地形などもみられる。標高が低いのが特徴。00B本第2問問4選択肢2参照。モルディブは地球温暖化による海面上昇が原因となって水没が懸念されているほど標高が低い。さんご礁の島。

99B本第5問問7参照。これは火山島。火山の山容がそのまま海上に現れたものであり、こちらは標高が比較的高い。

(火山島の例外)火山島はこのように横から見たら険しい斜面を伴う円錐の形をしているわけだが、そうではなく台地状のものもある。それがアイスランド島。プレートの境界に形成されたもので、地下から染み出したマグマが固まって大地が形成された。そのため台地となる。溶岩台地の島である。激しい火山噴火などは見られないが、一応、火山島の仲間に入るものなので知っておいてほしい。しかし、この溶岩台地の火山島についてはアイスランド島以外は話題とされないので、とにかくアイスランド島だけが特殊な地形であることを知っておけばそれで十分。

問題に戻ろう。そもそも佐渡島がどこにあるか知らなくては解答不能なわけで、そういう人はギブアップしてください(笑)。でもそれはしゃあないわな。中学までに学習することやで。小学生でも知ってると思うよ。このようにセンター試験では日本の地名は容赦なく難しいものが登場してくる。でもそれって中学校や小学校で学ぶものばかりなのだ。「知識問題は中学レベル」っていうことやね。

佐渡島は新潟県に属する日本海に浮かぶ島。冬季はおそらく雪に閉ざされるだろう。このような地方は冬に農業ができないため「水田単作地帯」となる。つまり夏に米だけ作ってそれで終わり。水田以外に利用される農地はほとんどない。よって「田」の割合が高いアが該当する。

イが屋久島。屋久島は九州最高峰宮之浦岳がそびえる火山島。海底火山が成長して海面に顔を出したってことだろう。円錐型の形状をしているはず。急斜面ばかりで低地面積が少ないはず。耕地としての利用は少ないだろう。耕地割合の低いイが該当。え?屋久島が火山なんて知らないって?これこそまさに中学レベルの知識問題ってやつやで。自分の怠慢を嘆いてくれ。

沖縄は石灰の島。さんご礁によって形成された土地が広がる。鍾乳洞なども多く、太平洋戦争の沖縄本土決戦の際には避難場所(そして自決場所)として鍾乳洞が利用されたことは歴史上の事実。石灰は水はけが大変良いので水田耕作に適さない。よって畑としての利用が卓越する。ウが沖縄島に該当。

先にも述べた98B本第4問問2以外にも石灰岩ネタは非常に多い。99A追第2問問1でも、リアス式海岸の形成原因について、石灰岩が侵食されたものであると説明している(もちろんウソ)。00B第3問問5は単なる写真問題なので石灰岩について直接的に問うたものではないが、次の問6は多いに参考になる。02B本第2問問6でもセメント工業の立地条件が問われているがこれはもちろん石灰岩産地に立地するもの(原料立地型工業)。

(おまけ2)この表にはちょっと疑問があるねんけど、それが「耕地」の意味について。一般的に耕地といえば、田と畑のことなんだが、ここではなぜか樹園地まで含んでいるね。定義としてはあいまいなものなんだろうな。ついでにいうと、耕地(つまり田畑)と樹園地、それと牧場・牧草地を合わせて「農地」と定義しておこう。耕地には樹園地は含めないと考えた方が、00B追第4問問3選択肢4みたいな問題については考えやすいと思うよ。

 

第5問 難易度は低い。問1はありがちな気候(というか降水だけやけど)問題。問2・問3・問4・問7は全て農作物の生育環境ネタで共通している。問5は知識問題だが難しくはない。問6は簡単。ヤバイのは問8。これでかなり迷う。というわけで、1問ロス、最悪でも2問ロスでクリアしよう。

 

問1 気候グラフ問題のバリエーションで、降水だけを表したグラフが挙げられている。01B本第1問問2と全く同じパターンであり、全く同じ解法で解くことができる。キーワードは風系の季節的な移動。

春と秋、中緯度高圧帯は北緯25度付近にある。図1においてはアウレフ付近だろうか。これが地球の風系のレギュラーポジション。

夏、風系全体が北上する。北半球側がより多くの太陽エネルギーを受けるからである。これにより、中緯度高圧帯も北緯35度付近に北上する。この地域に乾季をもたらす。

降水グラフX参照。7月を中心とした時期の降水が少ない。乾季である。これは中緯度高圧帯の影響であろう。マドリードに該当。

冬は逆に地球全体の風系が南下する。これに伴い、中緯度高圧帯に北緯15度付近にまで移動する。降水グラフY参照。1月を中心とした時季の降水が少ない。この乾季は中緯度高圧帯の南下が原因である。これがダカール。

以上より正解は5番となる。

もう一度整理してみよう。

X(マドリード);夏は中緯度高圧帯の支配下にあって少雨、冬は偏西風帯や寒帯前線の影響(93本第1問図1が参考になるだろう。これは1月の風系モデルだが、地中海付近に寒帯前線が位置している)で比較的雨が多く降る。

Y(ダカール);冬は中緯度高圧帯によって少雨。夏は北上する赤道低圧帯の影響によってとくに降水が多くなる。対流性降雨(スコール)がみられる。

Z(パリ);一年を通じて偏西風や寒帯前線の影響が強いので、降水量の年変化は少ない。

(ついでなんで。。。)近年の気候グラフ問題の傾向を考えてみようか。

02B本第5問問1;釧路・ウルムチ・ローマの判定。ほぼ同じ緯度帯に属する経度が異なる都市の判定。気温年較差がポイントとなる。

02B追第3問問2;イズミル・キエフ・タシケント・リヤドの判定。気温で考えたらいい。年平均気温で冷涼なキエフ、暑いリヤドを特定し、同緯度帯で平均気温に差がないイズミル・タシケントについては海洋性気候・大陸性気候による気温年較差の大小で判定。

同経度帯に属する緯度の異なる都市(キエフ、イズミル・タシケント、リヤドの3グループ)と、同緯度帯に属する経度の異なる都市(イズミル、タシケントの2都市)とを考えさせる複合問題。

降水に注目してもおもしろい。縦方向に見た場合(同じ経度帯)は、降水パターン(通年中緯度高圧帯のリヤド、夏季に中緯度高圧帯におおわれるイズミル・タシケント、偏西風帯のキエフ)が手がかりになる。キエフの偏西風は02B追第4問問6のチェルノブイリ放射能拡散ネタでも出ている。

02A本第1問問4;オーストラリアにおける同経度帯に属する緯度が異なる都市の判定。

01B本第1問問2;東南アジア。同経度帯における緯度が異なる都市の判定。

01B追第1問問2。ディクソンの判定は寒冷なので容易。ロストフとウラジオストクの判定がカギなので、同緯度帯における経度の異なる都市。

このようにある程度パターン化している。同じ経度帯でありながら、緯度が異なる都市の場合には年平均気温や風系の移動がポイント。同じ緯度帯でありながら、経度が異なる都市の場合には、海洋性気候・大陸性気候、大陸東岸における季節風に影響などがポイント。

 

問2 農作物の栽培限界。それぞれの農作物の栽培されている地域の北限を表す。センター試験では久々に出題されてものではあるが、大変重要なので必ず押さえておいてほしい。

1は小麦。ほぼヨーロッパ全域が含まれる。バルト海(ボスニア湾)の奥、ほぼ北極圏南限の線(北緯66.6度)と一致する。ここより北の地域では大麦・エン麦など耐寒性の穀物ならば栽培できるのだが、主に針葉樹林となっている。またラップランドと呼ばれる地方でもあり、ラップ人(サーミ)がトナカイの遊牧などを行っている。

2はブドウの栽培北限。フランス北部パリ盆地を通過していることに注意。

3はオリーブ。地中海に沿っている。フランスはコートダジュールなど海岸沿いでのみ栽培されており、生産量は多くない。

統計を用い、ブドウの生産1位イタリア2位フランス、オリーブの生産1位イタリア(フランスはランク外)を確認して、ブドウとオリーブの栽培地域の違いをとらえよう。オリーブの栽培地域は97B追第5問問4でも取り上げられている。

というわけで消去法により4がかんきつ類に該当。ミカンなどのことなんだが、かなり温暖な気候が必要とされるようだ。よかったら統計でオレンジの生産を見ておこう。ヨーロッパではスペインくらいしかランクインしていないはず。

 

問3 センター地理Bという科目で最も重視されるものは農作物。問2でもその栽培限界が示されていたが、ここでもやはり農作物の生育条件を考える。

スペイン、とくに内陸部はやや乾燥した気候がみられる。降水量は少なめ(問1気候グラフX参照)。天然ゴムの栽培条件は高温湿潤。よってゴム園がスペインにみられるはずがない。99B追第1問問6選択肢2参照。天然ゴムの原産地はアマゾン低地。もちろん高温湿潤。01B本第1問問6参照。タイなど高温湿潤な東南アジアが現在の主生産地。

高温湿潤な気候環境が必要なものは、商品作物としては天然ゴム・カカオ・油ヤシ・ココヤシなど、自給作物としてはキャッサバなど。

他の選択肢については検討の必要もないだろう。

 

問4 アトラス山脈っていう名前はもしかして初出かな。97B追第5問問2で山脈の名称についての知識が問われているが、それ以外は01B追第1問問1選択肢1のようにカフカスという地名は登場しても問題を解くカギにはならないものばかりなので、本問についてもアトラス山脈という固有名詞にこだわることはない。単にアフリカ北部の特徴を考えればいい。

というわけで全く問3と同じ解き方となる。「山脈南側」とあるが、問題文の記述(「アトラス山脈を越えて、ついにサハラ砂漠に足を踏み入れた」)から考えて、この山脈南側地域は砂漠であろう。こんなところで湿潤な生育条件を持つ油ヤシが栽培できるだろうか。むしろ乾燥地域でみられるのは自給作物のナツメヤシ。

他の選択肢については考慮する必要なし。でも一応コメント。

1;乾燥の度合が激しいところなのだが、標高の高いところでは気温が低い分だけ蒸発量が少なく、乾燥は弱まる。湿潤な気候条件となり、森林となるところもあってもおかしくはない。

2;1と同様に、標高の高いところではかなり気温が低い。降雪があってもおかしくない。

3;イランや北アフリカではこういった地下水路によって山麓の地下水を導いて農業が行われている。このような伝統的な灌漑農業を「オアシス農業」という。

 

問5 1;日本では気温の日較差は±10℃くらい。これに対し砂漠の日較差は数十度に達するといわれている。温度を保つ水分が不足しているため、暑くなりやすく、冷えやすい。

(おまけ)このような内陸の乾燥地域だけでなく、赤道低圧帯の影響を受ける湿潤地域も気温日較差が大きい。スコールが毎日夕方降るのだが、これが蒸発する際に地表から気化熱を奪い、そのまま上空へと熱が逃げてしまう(スコールが降った後なので、熱の放散をさえぎる雲が存在しないのだ)ことが原因。

2;これは単なる雑学であるのでちょっと辛いかな。でも意外とみんな知ってるネタなんじゃないかなって思う。

砂漠は岩石砂漠(礫(レキ)砂漠)と砂砂漠に分けられる。地表の風化が進まない岩石砂漠が全砂漠の90%、砂砂漠は10%に過ぎない。砂砂漠は気温年較差のとくに大きい高緯度地域の、しかも比較的古い時期に形成された砂漠においてみられる。中国内陸部のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠がこれに該当。それ以外の砂漠は全て岩石砂漠と考えていい。とくにサハラ砂漠は若い(形成時期が最近)代表的な岩石砂漠。

そもそも「砂漠」っていう言い方があかんのやろね。「砂」ってイメージが強い。でもそれは誤解。砂漠っていうのは「植生なし」の意味である。砂だろうが岩石だろうがとにかく乾燥の度合が激しく草すら生えていないところを砂漠というのだ。

3;乾燥地域の湖は塩湖となりやすい。とくに外洋に出る河川を持たない内陸湖はほぼ100%が塩湖である。自然界に完全な純水は存在しない。淡水といえどもわずかではあるが塩分などの不純物質を含んでいる。普通の湖ならば、上流から運ばれた水はそのまま河川によって下流へと運ばれる。不純物の存在は無視できる。

しかし内陸湖は違う。ここの水分は蒸発によって空気中に吸い込まれていく。この時、当然不純物である塩分などはそのまま湖に取り残されることとなる。この作用が繰り返されるうちに湖水は「煮詰まった」状態となり、塩分濃度が上昇していく。乾燥地域に塩湖が多い理由。

何らかの理由で湖に注ぐ水量が減少してしまえば、供給される水分よりも蒸発する水分の方が多くなってしまうわけで、いつしか全て蒸発して干からびてしまうことになる。

4;選択肢2の内容が参考になるかな。砂漠とはいえ決して平坦な地形ではない。岩石だらけのゴツゴツした大地が広がっている。

(おまけ)サハラ砂漠の場合、意外と高原地形が多い。この地域は昔は隊商路として栄えたところ。岩塩の産出が多く、アラブ人商人がサハラ砂漠を越えて、現在のマリやニジェールまでやってきて交易がさかんであった。アラブ世界とアジアとを結んだシルクロードになぞらえれば、ソルトロードとでもいうべき重要な貿易ルートであった。しかしそもそもこんな乾燥地域を商人は旅できるものか。いや、実はこの辺りは乾燥が激しい反面、オアシスも多いのだ。高原地帯が連続するため標高の高いところに降った雨が山麓にオアシスを生じる。そのオアシスを結ぶように隊商路が通じる。

 

問6 地中海をはさんでフランスの対岸に位置するアルジェリアはフランス植民地。関連問題は01B本第4問問6。

ナイジェリアの位置とここがイギリス植民地だったことを知っておこう。ナイジェリアはアフリカ最大の人口規模を持つ国で、OPECにも加盟する産油国として重要なので、今後も出題の可能性がある。

 

問7 問4・問5と同じ問題。手抜きなのかな?でもこんなにわかりやすい問題になっているんだから、我々としては大歓迎。

トンブクトゥの位置は図1参照。その気候条件は問5問題文(「サハラ砂漠で最も乾燥した地域」)参照。こんなところでカカオの栽培がみられるだろうか。

他の選択肢については検討の必要なし。一応簡単なコメントを。

1;よくわからんが、河川沿いに形成される平野を沖積平野というので、とくに誤っているわけでもないだろう。

2;イスラム教はサハラ砂漠を越えて、サヘル地帯とよばれるこの地域にまで広がっている。

3;サハラ砂漠が人種を分けている。サハラ以北の主要民族であるアラブ人はコーカソイド(白色人種)のセムハム語族に属する。サハラ以南にはネグロイド(黒色人種)が居住。

セネガル~マリ~ニジェール~チャドに及ぶ、北緯10度から15度の帯状の地域をサヘルという。サヘルとは「縁」という意味で、文字通りサハラ砂漠の南縁に沿っている。サヘルの住民はブラックムスリム(黒人イスラム教徒)である。

問8 こりゃ難しい。解きにくいなあ~

1;サヘル地帯は砂漠化の深刻なところ。その原因はまさにこの文章の通り。

2;この文章の解釈が難しい。冬季、赤道低圧帯が南下するのは正しい。しかし「赤道付近」ってどう思う?赤道低圧帯のレギュラーポジションがほぼ赤道上なのだから、冬季(北半球。南半球は当然夏であるが)は南半球側に移動するんやなあ。。。

低圧帯に向かって風が吹くのは問題ないだろう。風は高気圧から低気圧に向かって吹くものなのだから。

3;これが多いに疑問。サヘル地帯は資源に恵まれた地域ではない。アフリカの産油国はアルジェリアやリビア、ナイジェリアのOPEC加盟国を留意しておけばいい。たしかにナイジェリア北部はサヘル地帯に含まれるのであるが、油田は国土南部のニジェール川河口地域。ここは熱帯で降水が多く、サヘルではない。それにここで話題にされているのは「トンブクトゥからダカールまでのコース」なのだから(問題文参照)、字ナイジェリアを論じてみても仕方ない。ダカールはセネガルの首都であるが、この国は99B本第4問問6選択肢4でラッカセイモノカルチャー(単一耕作)国であることが示されている。ラッカセイをプランテーションで栽培し、それを輸出することによって国内経済が成り立っている。それに依存する割合がとくに高いラッカセイモノカルチャー経済。原油資源などが産出されていれば、ラッカセイに頼る必要はない(逆に原油に頼り過ぎてしまうかもしれないけどね)。「この地域で産出される石油」が疑問なのだ。

4;よくわからんがとくに矛盾はないだろう。遊牧生活を営んでいた人々が都市にだんだんと集まってくることについては、02B本第4問問6選択肢6がちょっと関係してるかな。

というわけで、1は正文として問題なし。4はわけわからんが、正文としていいだろう。つまりポイントは2と3なんだが、この2つはいずれも誤文っぽいんやなぁ(涙)。完全お手上げ。

 

鈴木たつじん公式サイト

センター試験・地理Bの学習のために、いろいろなアドバイスをしていきます。

検索

モバイルサイト