2001年度地理B追試験解説

2001年地理B追試験

受験者数が限られている追試験であるので平均点は参考にならないが(っていうか知らないんだが)ちょっと難しかったんじゃないかなっていう気がする。こうやって解説を作っていても説明しにくい問題が多いしね。

 

第1問 旧ソ連地誌。このような特殊な地域が出題されるのは追試験だからだろうか?近年は冒頭の第1問でこのような地誌問題が取り上げられることが多い。

問1は大地形を絡めた問題でありやや難しいかも。問2は風をテーマとした気候グラフの問題。これは確実に解かなくてはいけない。問3は農業分野の定番問題なので容易。問4も常識の範囲で解けるだろう。問5は完全は統計問題なのでこれも確実に得点。問6はどうかなあ?やや難しい。問7が本大問の最大の難所。っていうか捨て問かも。というわけで2~3問ロスするかもしれないが仕方ないだろう。

 

問1 ちょっと難しいかな。

1;変な選択肢やなぁ(笑)。結局「安定陸塊」「古期造山帯」「新期造山帯」全部あるってことやろ?カフカスのようなマイナーな地名が誤っているとは考えられないし、そうなるとこの選択肢のどこが間違っているのか(間違っているとすれば、やけど)不明ってことになる。この選択肢はとりあえず候補から外してしまっていいんじゃないかな。

2;チェルノーゼムの出題は98年B本第1問問2選択肢3で見られる。土壌の問題っていうのは意外と多くて、例年1問はあると思っていい。気候帯に沿って広範囲に分布する成帯土壌と、火山や氷河の影響などによって形成された局地的に分布する間帯土壌とがあり、どちらかというと成帯土壌の方が出題率が高いが、間帯土壌でもこのチェルノーゼムはしばしば出題ネタとして取り上げられる。黒海北岸から西方に向かって分布する黒色土壌であり、たいへん肥沃。小麦地帯となっている。

3;元ネタは00B追第2問問3。ノルウェー沿岸はたとえ北極圏であろうと、暖流である北大西洋海流が暖かい海水を運び込むので、冬季ですら凍結しない。その影響はノルウェー最北端を越えて、ロシアの北極海沿岸の一部にまで及ぶ。例えばムルマンスクという町があるのだが(機会があったら地図で確認してみてもいい。もちろん都市名は重要でないので覚える必要はないが)ここは第二次世界大戦中に米国からの援助物資が届けられたソ連の生命線とも言える重要港湾だった歴史がある。北大西洋海流によってもたらされた暖かい海水がこんな地の果てにまで及ぶとは驚きである。

ちなみにウラジオストクは凍結する。

4;永久凍土は重要。ウラル山脈より東側の地域に広く永久凍土は分布している。永久凍土の範囲は地図帳などに示されていると思うが、そうでない場合は等温線図を参照し「1月平均気温―20℃未満」となるとくに寒冷な地域をチェックしておいてほしい。その範囲がほぼ永久凍土の分布地域と一致している。

シベリアにバイカル湖という湖があるのだがこのほとりにイルクーツクという街がある。永久凍土が見られる地域の最南部にあたる。冬季はマイナス20℃という極端に寒冷な気候となるため土が地下から表面まで凍結する。夏季はある程度気温が上昇するため、表面の土だけは解ける。最暖月の平均気温は約20℃に達し、小麦などが栽培される。ただし地下の土は凍ったままで、夏を越しても結局解けることはなく、また冬を迎え、一年を通じてずっと凍りついた状態である。このようにイルクーツクの地下には永久凍土層が分布している。

イルクーツクの植生はタイガ。見渡す限りの針葉樹林が広がっている。タイガとは主に冷帯地域に見られる針葉樹の純林地帯のこと。純林とは単一の種類から成っている森林のことで、樹相が単純であるという言い方もする。これと反対に、熱帯林は樹相が複雑である。さまざまな種類の樹木によって森林が形成されている。熱帯の樹木は種類が多様であるので大量伐採に適さず、樹質も硬い硬木であるので、商業林としての価値は低い。それに対し、冷帯林は前述のように樹種が一定であり、しかも加工しやすい軟らかい樹質であるので、商業林としての価値が高い。イルクーツクはパルプ製紙工業がさかんな都市であるが、タイガの豊富な森林資源を利用しているのである。

一年中、氷河に覆われているグリーンランドや、夏季だけ氷が解けてコケが成育するツンドラ地帯はもちろん、夏季には比較的高温となり農耕が可能であるシベリアの広い範囲にも、永久凍土は分布しているのだ。00B追第2問問5選択肢1で永久凍土地域の家屋の特徴が述べられているので参考にしておいてほしい。

というわけで誤りは3である。00B追第2問に関連した問題といえるだろう。選択肢1ではカフカスなど特殊な名称が登場しているがこれについては無視していいだろう。この選択肢自体、大地形に関するネタであり、センター試験で重視されるところでもないし、どうでもいいんだが。

 

問2 風の問題。シベリア高気圧ネタは頻出。96本第1問が分かりやすいので、まずはその問題でシベリア高気圧の説明をしてみよう。

96年の問題では図1で1月の気圧配置が示されている。1月は北半球が低日季で南半球が高日季なので、地球全体の風系がやや南下する。赤道低圧帯(低緯度低圧帯・熱帯収束帯・赤道無風帯)がやや南半球側に移動し、オーストラリア北部などが雨季となっている。中緯度高圧帯も南下する。南半球では、オーストラリア南西と南東、アフリカ南部と南米大陸の間などに、それぞれ高気圧が見られる。この南緯20°から南緯40°の高気圧の連なる帯は南半球の中緯度高圧帯であろう。4月や10月に比べてやや南下した位置にある。北半球では大西洋中央部やアフリカ北部、そして日本の南東海域に高気圧が見られるが、これらについても北半球の中緯度高圧帯に伴う高気圧であると考えていいだろう。季節を考えるともっと南に下がっていてもいいのではないかとも思われるけれど、まあアバウトでこんなもんかな(笑)。

このように図中にある大半の高気圧については中緯度高圧帯によるものであると考えられる。しかしそれとは全く関係ない高気圧もあるのでその成因について考察しよう。これらは気温の低さによって形成されたものである。同様に赤道低圧帯に沿わない低気圧についても考えてみよう。

北半球の高緯度地域には大陸上に高気圧、海洋上に低気圧が発達している。北米中央に1020ヘクトパスカルを上回る高気圧、シベリアには1030ヘクトパスカルを上回る高気圧。日本列島北東の海上には1000ヘクトパスカルを下回る低気圧、グリーンランド南方海上にも1000ヘクトパスカルを下回る低気圧。

1月なので北半球は冬であり、かなり気温が低い。内陸はとくに気温が低下し、それに対し、海上の気温はさほど寒冷ではない。固体(暖まりやすく冷めやすい)と液体(暖まりにくく冷めにくい)の比熱の差を考えたら納得だろう。

寒冷な内陸部の空気は冷やされ、収縮する。密度が高い状態となり、これを高気圧と呼ぶ。大陸上に高気圧が発達するのはこれが原因。

これに対し、大陸上の空気より暖かい海洋上の空気は収縮せず(あるいは膨張すると言ってもいいだろうか)、大陸上の空気と比較して低気圧の状態となる。よって海洋上には低気圧が発達する。

北半球高緯度地域の低気圧については、寒帯前線によって形成されたものという解釈も成り立つかもしれないが、海陸の比熱の差で生じたと考える方が一般的である。

日本付近は冬季は「西高東低」の気圧配置になる。大陸上に高気圧が発達し、それと相対的に海洋の気圧は低くなるからである。

気温差によって気圧の高いところと低いところができる(そして気圧の高い方から低い方に向かって風が吹く)システムについては01B追第3問問5でも取り上げられている。

問題に戻ろう。A・B・C、3つの気候グラフを参照。このうち、Aの気候はかなり特殊。夏季でも気温が十分に上がらず(10℃に達しない)農耕が可能な気候条件とは思えない。よってこれを北極海沿岸のディクソンと見ていいだろう。

BとCの判定。Bは最寒月平均気温がー10℃くらい、最寒月が20℃くらいで、年平均気温は5℃くらいだろうか。それに対し、Cはそれぞれー5℃と25℃で、年平均は10℃くらいだろう。つまりCの方が暖かいので、より南方に位置し温暖と思われるウラジオストクがCであると予想する。

しかしそれは正しいのだろうか?降水量に注目してほしい。Bは夏季には多雨となるものの、冬季にはかなり少雨となり、雨季乾季の区別がはっきりしていると言える。それに対し、Cは年間を通じて降水量の変化はほとんどない。

雨季乾季の発生するメカニズムとは?代表的なものは風系の季節による移動である。01B本第1問問1参照。1のグラフがバンコクである。北半球のやや低緯度に位置するこの都市では、1月(あるいは12月下旬)を中心とする時季が乾季であり、7月(あるいは6月下旬)を中心とする時季が雨季である。1月は中緯度高圧帯の南下によって高気圧に覆われ、7月は赤道低圧帯の北上によってスコールが生じやすい大気の状態になる。3のグラフは南半球のやや低緯度に位置するスラバヤのもの。1月は赤道低圧帯の南下により雨季となり、7月は中緯度高圧帯の北上により乾季となる。

2は赤道直下のシンガポール。一年中赤道低圧帯の影響下にあり、毎月200ミリに達する激しい降水に見舞われている。

00B追第5問問1参照。北半球やや低緯度地域に位置するダカールの降水グラフはY。バンコクと同様のパターン。

北緯35度付近の都市マドリードでは、夏季には中緯度高圧帯の北上によって乾季となる。それに対し、冬季は偏西風や寒帯前線の影響によってやや湿潤な気候となる。グラフX参照。

パリは一年を通じ、偏西風や寒帯前線の影響を受けるため、年中湿潤な変化の少ない気候となる。ここはZのグラフ。

というわけで、本題に戻ろう。Bのグラフで雨季乾季が生じる理由について考える。

ここまで見てきた例では、乾季は中緯度高圧帯の移動によって生まれるものであった。ただし、それは緯度35度よりも低緯度の地域。ウラジオストクやロストフのような緯度50度に達するような高緯度の都市については中緯度高圧帯が及ぶことはない。ではなぜ乾季が生じるのか。そのカギを握るのがシベリア高気圧である。

冬季の極端な寒冷により(シベリアの大半の地域で1月の平均気温はマイナス20℃を下回る。マイナス40℃に達するところも多い。最も寒い地点でマイナス60℃。ここは北半球の寒極と呼ばれている)シベリア内陸部には巨大な高気圧が発生する。風は高気圧から周囲に向かって吹き出すので、この時季、風は内陸部から海に向かって吹くことになる。日本付近の季節風の風向は北西である。まさにシベリアからの寒風が吹きすさぶのである。この風によって、日本列島の日本海側に深い積雪がもたらされることについては、96本第1問問3や00B追第2問問6選択肢4で取り上げられている。大陸から吹き出す風は乾燥している。しかしそれが温暖で湿った空気の存在する日本海上空を通過する時に湿潤な風に変化する。日本列島という険しい山脈に衝突することによって風上斜面である北陸地方などに莫大な降水(それはもちろん冬季であるので雪である)をもたらす。地形性降雨の代表的な例。

これと関連して考えたらいい。シベリア高気圧から吹き出す風は日本海上空に達して初めて湿潤な空気になるのである。ということはそれまではもちろん乾燥した風。つまり大陸部を吹いている間は降水をもたらす原因にはならないのである。これがシベリアで冬季少雨気候が見られる原因。ウラジオストクについても大陸内部から風が吹いてくるのだから、やはり降水はこの時季少ないと考えるのが当然だろう。96本第1問問3写真1を見るとよくわかる。日本の日本海側は雲で覆われている。季節風が日本列島に当たって形成された雲。それに対し、ウラジオストクはどうだろうか。雲が全く見られないではないか。内陸からの乾燥した空気によって、冬季少雨の気候となっているのである。<br>

逆に夏季を想像してほしい。日本付近は太平洋高気圧から吹き出す南西季節風の影響が強い。太平洋側の風上斜面には地形性降雨によって大量の雨がもたらされる。この時、日本海に面するウラジオストクもやはり季節風に対する風上斜面に位置すると言えるのではないか。日本に吹く季節風はウラジオストクでも吹くはずである。同じ地域にあるのだから。

よって、季節風の影響が強い地域に位置し、夏季冬季で風向が変わることにより降水量も大きく変化すると思われるウラジオストクがBのグラフとなる。冬季―10℃、夏季20℃という気候は、同じ緯度の札幌(冬季―5℃、夏季25℃)より低めではあるが、とくに矛盾したものでもないだろう。

これによりロストフはCとなる。ここは偏西風の影響や海洋(黒海)の影響で、あまり気温や降水の変化がない気候となるのだろう。00B追第5問問1のパリの降水グラフと比較してみるといい。かなり似たパターンとなっている。これがヨーロッパの標準なのだろう。緯度50度付近の大陸西部で偏西風の影響が強いということ。

 

問3 農業に関する問題。農業は頻出分野でもあり確実に得点に結びつけよう。

農業で重要なのは、農業区分と農作物。これに注目していけばいい。

1の農作物(畜産物だけど)はトナカイ。かなり寒冷な地域だろうと考えられる。よって「北西シベリア」。

2は茶。温暖で湿潤な丘陵で栽培される。図1を見る限り、グルジアとキルギスの気温が高そうである。しかし中央アジアに位置するキルギスは乾燥した気候が見られると思われ、茶の成育には適さない。よって「黒海沿岸(グルジア)」が該当する。

3は酪農で乳牛が飼育されているようである。北海道などを考えたらいいだろう。やや冷涼な気候に対応していると思われる。よって「バルト海沿岸(リトアニア)」が該当。ホイットルセー農業区分における酪農地域は米国北東部やヨーロッパ北部などが代表的なところ(おまけ;スイスも酪農地域。移牧が行われている。00B本第3問問4)。よってバルト海沿岸も酪農地域と考えていいだろう。

4は綿花。旧ソ連で綿花がキーワードになるのは中央アジアのウズベキスタン。よって位置的に最も近いキルギスがこれに該当すると考えられる。

綿花の成育条件は「成長期湿潤、収穫期乾燥」という特殊なもの。よって水分供給を自在にコントロールできるかんがい農業地域にて栽培される傾向が強い。このような旧大陸における灌漑農業のことをオアシス農業というのだが、ウズベキスタンの綿花栽培地域はその代表的な例。

ここでは河川からの過剰な灌漑によって、内陸湖(外洋に流出する河川を持たない湖。流入する河川水と蒸発量のバランスによって、一定量の湖水が保たれている)へと注ぐ水の量が減って、湖面縮小という環境問題が発生しているがこれはしばしば出題ネタとされている。

96追第2問問5参照。これはウズベキスタンの綿花栽培についての説明。以下カギカッコ内引用。「アムダリア川・シルダリア川の流入するアラル海では、流域の綿畑や水田への灌漑のために大きな変化が起こっている」。「水位が著しく低下し、湖岸の港が使用できなくなった」。塩分濃度が上がって生物の住環境が悪化したので「漁獲量が減り、漁業にも深刻な影響が出るようになった」。「旧湖底に堆積した塩類が風で飛ばされるようになった」。

02B追第3問問4ではアラル海の図が示されている(それにしてもこの縮小のペースにはビックリやで!)。正文選択肢1・2・3を読んでおこう。

オアシス農業についての出題も多い。97B本第5問問4参照。基本的には伝統的な農業形態であり自給作物の栽培が中心であるが、ウズベキスタンの綿花のように一部では商品作物の栽培も見られる。選択肢1がそれについての文。

02B追第3問問7もオアシス農業について。西アジアの乾燥地域で見られる農業形態なのである。ウズベキスタンのよに外来河川から取水するパターン、イランのように地下水路を建設し山岳地方の地下水を誘導するパターン、天然に得られる水を利用したパターン(02B追第3問問7写真1のように)など、さまざまな種類があるが、水の得にくい地域で水を大切に使用するというスタイルは共通している。

 

問4 これはとくに問題ないんちゃう?ヨーロッパでキリスト教徒が多いのは当たり前なんで、Hは「キリスト教」。中国など東アジアで多いJは「仏教」だろう。トルコなど西アジア地域から中央アジアの乾燥地域に広がるIは残りの「イスラム教」だろう。

本問で最大のポイントになるのは(してほしいのは)中央アジアのイスラム教。98A追第2問問7でも話題とされている。中央アジアの国々にはシルクロード沿いにイスラム教が伝えられた。モスクと呼ばれるイスラム教の寺院が見られる。飲酒とブタ肉を食べることが禁じられている。乾燥した地域だからもともとブタはいないけどね。

 

問5 資源統計そのまんまな問題。簡単だと思う。

僕は「天然ガス産出1位ロシア」というネタだけで解いた。これ以外にもいろいろな着眼点があるとは思うが、いずれにせよ、重要な統計については確実な知識が要求されるというわけだ。でも実はロシアが天然ガス産出1位だったのは数年前の話で、今は米国が1位だったりする(涙)。だから天然ガスの統計だけで判定するのではなく、石炭や原油などの統計も参考にしつつ、複合的に解いていかなくてはいけないね。

というわけで、主な資源については産出1位国だけではなく、2位までチェックしておかなくてはいけない。ちょっとややこしいかもしれないけれど、登場する国はメジャーなところだけだから簡単だよ。

原油産出1位はサウジアラビア。2位は米国。

石炭産出1位は中国。2位は米国。

天然ガス産出1位は米国。2位はロシア。

これだけは頭に叩き込んでおこう。

 

問6 国際機構に関する問題。CISのネタはセンターで初出であり、ちょっとびっくり。

旧ソ連は崩壊し、15個の国に分裂した。このうちバルト海に面する3国(エストニア・ラトビア・リトアニア)以外の国々はCIS(独立国家共同体)というゆるやかな国家連合を結成し現在に至っている。具体的にどんな目的を持って結成され、いかなる活動を行っているかについては知らなくていい(っていうか何かしているのか、こいつら・笑)。

というわけで解答は3となるわけであるが、このバルト3国と呼ばれる国々がCISという組織に加盟していないということを知らなくてはいけないわけで、本問はかなり難問と考えていいだろう。冒頭の図1を参照し、これらの国々(リトアニアの位置が示されている)の位置からCIS未加盟を想像できるかなあ(いや、無理やなあ。キルギスやグルジアも怪しいもんなあ・涙)。

というわけで、追試特有の難問ということでここは諦めてほしい。ただし本問から明らかに一つのメッセージを読み取ることができることに気づいてほしい。それは「国際機構は加盟国を知っておけ」ということである。

00B本第1問問4ではASEAN(東南アジア諸国連合)の加盟国が話題とされている(10カ国が加盟)。

EUの加盟国(と加盟順)は00B本第1問問7や97A本題1問問6で問われている。60年代にECが結成された時の原加盟国はベルギー・オランダ・ルクセンブルク・ドイツ・フランス・イタリア。70年代に加盟したのはデンマーク・イギリス・アイルランドの北方3カ国。80年代はギリシア・スペイン・ポルトガルの南方国。90年代にEUと発展してから加盟したのはオーストリア・スウェーデン・フィンランドといった東側の国々。

01B本第4問問2も参照してほしい。ここではEUとASEAN以外にNAFTA(北アメリカ自由貿易協定)とOPEC(石油輸出国機構)がネタになっている。

NAFTAは米国を中心にカナダとメキシコの3カ国。OPECは、イラン・イラク・サウジアラビア・クウェート・アラブ首長国連邦・カタール・リビア・アルジェリア・ナイジェリア・インドネシア・ベネズエラの11カ国。

というわけで加盟国がポイントになる。

 

問7 こりゃ難問。カンで解くしかないね。

ロシアについては貧しい国だっていうイメージだけ持っておけばいい。余裕があったら1人当たりGNPを調べてみよう。ソ連時代は米国とともに世界を支配する2大勢力だったわけだが(それでも当時から国民の生活は貧しかったが)、現在では国の力も衰え、むしろ単なる平凡な発展途上国となってしまったと考えた方がいいだろう。

このことから考えて、2や4のようなことがあると考えられるか。経済的に困窮し、他の国の面倒を見るような余裕はありえないはず。2については、そもそも韓国とロシアにそんな密接な関係があったのだろうかという疑念がわいてくる。4についても、定期航路などはともかくとして、ハイテク関連企業の存在については大きな疑問。ソ連時代は国営企業ばかりだったわけで、ソ連が崩壊し社会主義が消滅すれば国営企業もなくなるよね。そこで初めて民間企業が立ち上げられるんだが、ソ連崩壊10年やそこらで外国に進出できるような有力ハイテク企業がありえるだろうか。ハイテク産業はやはり先進国のものと考えるのが普通であり、かつては世界を代表する工業国であったソ連とはいえ、まさかそんな先端産業が発達しているとは思えないのだ。

というわけで1と3が残る。このうち3については容易にウソと分かるだろう。北朝鮮がそんな国だろうか?日本とも国交がないわけで、もちろん経済レベルも低い(食料不足にあえぐ国なのだ)。地域の経済交流をリードできる国とは思えない。

よって1が正解となる。米国とロシアが手を組むということに違和感を感じるかもしれないが、ロシアは今や完全な資本主義国家である。この点で米国と全く同じ経済体制である。もちろん経済のレベルは違うが。貧しいロシアが米国や日本の協力を受けて資源開発に乗り出したと考えてもいいし、米国や日本の企業が資本や技術に欠けるロシア企業を支援するという形で利益を得ようとしているのだと考えてもいい。どちらにせよ、双方にメリットがある。

ちなみにサハリンというのは北海道の北にある細長い巨大な矢印のような形の島。地図で見ると、南北2つに分かれており、北部はロシア、南部は日本領かロシア領か不明というような感じで描かれているが、実際には完全なロシアの領土と思っていい。位置的に見て(あるいは歴史的な経緯から見て。サハリンはかつては日本の勢力圏だった)ロシアと日本の共同開発にすればそれで十分とも思うんだが、そこに首を突っ込んでくるのがいかにも米国らしくておもしろい。この北太平洋地域というのは戦略的に重要な場所で、日本にとっては「近いのに遠い海」になってしまっている。01B追第4問問6選択肢4(これは誤文だが)にもあるようにロシアと、そして米国がこの海域における漁業を独占しており、日本の近海(もちろん200カイリ漁業専管水域内である)にもかかわらず日本の漁船は操業を許されないという妙な状況となってしまっている。

 

第2問 問1は基本的な問題。問2は過去問を学習することによって得られる知識で解答可能。問3は都市名問題だが難しくはない。問4は簡単な統計問題。問5は解答不能のアホ問題。問6問7は容易。というわけで、1つ(問5)以外は確実に得点を重ねてほしい。

 

問1 日本の主な都市の人口を知っておいたらすぐにできる。東京23区はもちろん人口規模は巨大であるが行政区分上は市ではないので、市として人口最大なのは横浜市である。以下、2位大阪、3位名古屋、4位札幌となる。このくらいは中学でも出てくる話題であり、君たちにも知っておいてほしいことだ。

というわけで、人口のみを参照し、Dが横浜、Cが大阪、Bが名古屋、最も人口が少ないAは福岡となる。

別解も挙げておこう。というかこちらがむしろ正攻法の解法かな。選択肢の都市のうち、大阪・名古屋・福岡はそれぞれ近畿・中部・九州の地方中枢都市。地方中枢都市はその地方の首都ともいえる存在である主要都市で、人口が多いだけではなく経済・文化の中心となる。00B追第1問問1を参照してほしい。ここで話題とされている仙台は東北地方の地方中枢都市であるが、中央官庁の出先機関の数が多く、大企業の支店の数も多く、商業販売額に占める卸売販売額の割合が高い(つまり流通の中心となっているということ)。97B追第3問問3参照。金沢は北陸地方の地方中枢都市であるが、銀行の本・支店数が多く(金融の中心である)、そして昼夜間人口割合が高い。昼の人口の方が夜の人口(これを常住人口という)を上回っている。企業などが集中し、市外から通勤者が集まってくる。このことは02本B第5問問6でもネタとされている地方中枢都市最大の特徴の一つ。

逆に言えば、地方中枢都市の周辺の地域(つまり郊外)では昼夜間人口割合が低いということになる。ここで表1を参照してみよう。B・C・Dでは地方中枢都市の特徴がよく出ているといえるだろう。とくにCの値はとくに高い。大阪は日本第2の首都とも言うべき重要な都市であり、近畿地方の広い範囲、多くの人口を束ねる中枢都市となっているのである。大阪圏の規模は、東京圏には及ばないものの、それでもかなり大きいものである。大阪という地方中枢都市に郊外の住宅地から多くの通勤者が流れ込んでくるのだ。昼間の人口が夜の人口(常住人口)を大きく上回る。02B本第5問問6参照。「中部(東海)地方の首都」名古屋や「九州の首都」福岡も同じ状況。東京圏や大阪圏ほど巨大ではないが、名古屋圏や福岡圏はそれぞれその地域最大の都市圏であり、やはり郊外から都心部へと多くの人々が通勤してくる。

地方中枢都市のある都道府県における昼夜間人口割合の高さについては、01B第5問問5参照。1が昼夜間人口比を示した階級区分図なのだが、宮城(仙台)、東京、愛知(名古屋)、石川(金沢)、大阪、広島、福岡などの値が高いものを示していることがうかがえる。

その反対に周辺地域では昼夜間人口比の低い県が目立つ。昼間は都心部の企業に通勤するため、常住人口に比べ昼間人口が少なくなるのだ。3大都市圏と呼ばれる東京圏・名古屋圏・大阪圏でとくにこの傾向が強い。東京圏なら、千葉や埼玉から東京都心へと、名古屋圏なら岐阜や三重から名古屋都心へと、大阪圏なら奈良や兵庫から大阪都心へと、それぞれ労働力の日常的な移動が見られる。

横浜という都市の特徴を考えてみよう。市としては人口最大であり、独自の文化を持った素晴らしい都市である。横浜の都市圏も大きい。しかしセンター地理で横浜という言葉を見たらすぐさま「東京圏の郊外に位置する都市」と読み替えてほしい。横浜都市圏は東京都市圏に飲み込まれる程度のものなのだ。東京都心に位置する単なる郊外の一都市に過ぎない。東京都心に通勤者を送り出すのだから、当然昼間人口が小さくなる。02B本第5問問6における宝塚市と同じ扱いをするべき。それぞれの昼夜間人口比を比較してほしい。似たようなものである。

というわけでこの問題は、都市のキャラクター付けが重要となっているのだ。大阪、名古屋、福岡を「地方中枢都市」と読みかえ、横浜を「郊外」と読みかえる。郊外には昼夜間人口割合が低いという特徴があるのだから、表1より速攻でDを横浜と判定できる。

 

問2 「日本国内に住む外国人の数」。統計そのまんまな問題。元ネタは97A追第2問問2問3。問2では統計(図1)が示されており、問3では日本国内におけるブラジル人急増の理由を問うている。さすがにこんな昔の、しかも地理Aの、おまけに追試験の問題をチェックしておけとは言えないが、それでも意外なところに意外に重要なネタが隠されていることが分かるだろう。完全パクリとも言えたりして(笑)。日本人ミュージシャンが、まさかこの曲は知らんやろって言うて、マイナーな海外ミュージシャンの曲をパクるのと似ているかな!?

とは言うもののこの元ネタを知らなくても十分に解答は可能。99B追第2問問2をしっかり研究しておけば本問に応用できたと思う。ブラジル人の入国理由のほとんどが日本国内での製造業への従事。とくに自動車工業など賃金の高い業種に就く者が多い。ただしこのブラジル人については日系人に限られるという条件が付く。(日本人の祖先を持つ者。国籍はもちろんブラジルであるし、言語もポルトガル語であるが、とにかく日本人との血のつながりがどこかにあればいい)。

原則として外国人の単純労働者としての入国と滞在は許されない。特殊な技能のある専門労働者についてはもちろん認められているのだが、アルバイトやパートなどでもできるような簡単な作業を中心とした単純労働については外国人の就業は禁止されている。しかし80年代に不法に外国人労働力が流入し、日本の企業、とくに中小の工場などでは、安価な賃金でも我慢して、しかも勤務態度も真面目な外国人労働者に依存しなければ経営が成り立たないところが多数でてきた。法律では禁止されているにもかかわらず、実際には日本社会に必要不可欠な存在になってしまったのだ。

よって外国人の単純労働者の国内での就業を公認するというのはもはや時代の流れとなった。しかし、だからといって無制限に外国人を受け入れるわけにもいかない。ここで政府は(いわば一つの妥協案なのかもしれないが)ある条件を提示し、流入する外国人を限定しようとする。その条件が「日系人」である。日本人を祖先に持ち、日本の血を引く者ならば、国内で単純労働に従事することを認める。しかしそれ以外の者については許可しない。この法制が90年代に入って整えられた。

これが人口移動の流れに与えた影響は大きい。日系人の単純労働者としての入国・就業が認められたことにより、多くの日系人が日本にやって来た。しかしそもそも日系人の分布は特定の国に限られる。とくに多いのはラテンアメリカの国々。かつて農園を経営することを夢みてかなりの日本人が地球の裏側へと渡航し、現地の国籍を取得、子孫を残した国々である。現在ブラジル人の流入がとくに多いのは、ブラジルに多くの日系人が存在するからである。日本とブラジルのつながりは深い。

以上より、90年代にとくに増加している2がブラジルに該当することが分かる。1は韓国・北朝鮮。在日韓国人、在日北朝鮮人の方々で、日本で生まれ、普通に日本語を用い日本で生活するものの、国籍は韓国や北朝鮮なのだ。

残った3と4は米国かイギリスだが、数の多い3を米国と考えればいいだろう。経済的なつながりも深く、それもそもそも人口規模が大きい国であるので、日本に住む米国人の数もそれなりに多いことが想像できる。4はイギリスかな?

01B本第2問問6も見ておくといいだろう。こちらは「外国に出て行った日本人の数」と「日本へと入って来た外国人の数」が話題とされている。

 

問3 本試でも都市名に関する問題が取り上げられたが(01本第4問問4)、追試でも登場。極めて珍しい(02年は本試験で第5問4の日本のみ。追試では都市名は問われていない)。キャンベラについては旧課程時代に政治都市として上空から見た写真とともに取り上げられていたが、新課程になってからは初出かなあ。でもシドニーはしばしば話題とはされている(99B追第4問図1で位置が示されている。00A本第1問問1では正距方位図法で描かれた世界の中でシドニーの位置を特定し、中央部に描かれた東京との距離を判定しなければいけない。02A本第1問問6でもシドニーの位置が問われる。オリンピックが開かれたというトピックが話題の中心)。旧課程ではあるが96本第7問問4も参照してほしい。ここでオーストラリアの大都市の数が問われている。さらにオセアニアの大都市数についても問われたことがある(人口300万人以上の都市が2つあるというネタ。シドニーとメルボルン)。

こんな感じで実はオーストラリアの都市って大事なのかもしれないなあ。シドニーの位置はチェックしておこう。人口300万を超えるが、首都ではないということも知っておくといいかもしれない。<br>

というわけで、キャンベラは人口最大都市ではないものの首都とである都市の代表例。政治の中心んではあるが、経済や文化の中心ではなく、解答としてはこれが該当する。ちなみにキャンベラは計画的に建設された政治機能に特化した特別な都市。同様な例としては、米国のワシントンやブラジルのブラジリアなど。政治都市の例である。

これに対し、東京・パリ・ロンドンは人口最大都市であり、さらに経済・文化の中心としても栄える都市。パリ・ロンドンは98B追第1問問6で「都市型の消費財工業」が立地する都市として取り上げられている。同じく98B追では第3問問1でパリが、問2でロンドンの外側の開発が、取り上げられている。問4でもパリとロンドンが登場。これ以外にも両都市は至るところで話題とされている。ともに首都であり人口がとくに集中する都市として重要。

 

問4 考えてもわかるが、ここは時間の節約と解答の確実性アップのため、数字を直接知っておいてそれを利用して解くべき。

第1次産業人口割合はしばしば出題ネタとなる。農林水産業に従事する者の、全就業者人口に対する割合である。一般的には、先進国でこの値は低く、発展途上国で高い。とくに高いのは伝統的な農業形態が見られるアジアやアフリカ、とくに湿潤アジアである。米作が中心の地域であるが、水田耕作は土壌の劣化がなく(水を入れ代えればいい。これに対して小麦は地力を消耗し、連作障害を起こす)連続して耕作することが可能である。土地の回復を待たなくていいわけなので、農業労働力が多ければ多いほどよりたくさんの収穫が期待できるということになる。また、機械化が進んでおらず労働の多くを人手に頼っているので(牛や水牛を労役用家畜として飼ってはいるが)その分だけ農民の数が増える。よって、第1次産業割合がとくに高くなるのだ。60%のタイがしばしば出題の対象となる(01追第4問問3)。農業従事者の数が多いということは、1人当たりの収穫量つまり労働生産性は低くなる。

これに対して先進国では概してこの割合は低いのだが、それでも国や地域によって意外とはっきりとした差異があるので注目してほしい。

先進国の第1次産業人口割合としては以下のものを知っておくと使える。

2%イギリス、3%米国、4%フランス、5%オーストラリア、6%日本、7%イタリア。

以上の数値より表3を参照。「農林水産業・狩猟」が第1次産業人口割合に該当すると考え、「1.8%」の選択肢4がイギリスに該当すると見ていいだろう。

他の選択肢についても第1次産業人口率を基準に判定していく。「0.3%」と極端に低い数値を示しているものがシンガポール。人口と面積の限られた商業国であるシンガポールは他の国に比べて特殊な産業別人口割合を示すのである。95追第6問問2でシンガポールの第1次産業人口率が話題とされている。

1と2はどちらがどちらか分かりません(笑)。ヒマやったら統計を確認しておいて。

このような産業別人口率を問う問題は第1次産業人口割合(この表の場合は「農林水産業・狩猟」)のみに注目するのがポイント。

 

問5 解答不能。問題文から得られる情報だけでは定義が分からないところが出てくるので、解釈の仕方によって解答が分かれる。

L・M・Nは米国・EU・中国を表しているようだ。それぞれ「現地販売」「日本向け輸出」「その他」の割合が示されている。

ここで問題になるのは現地販売の定義。とくにEUにおける現地販売とは何なのか?

例えば、日本の自動車メーカーがドイツに工場を構える。これはよくある話。で、この工場で製造された自動車が日本へと逆輸入される。このパターンは「日本向け輸出」である。あるいは米国へと輸出される(ドイツで作られた日本車が米国を走っているというのもかなりおもしろい状況やね)。これは「その他」に分類される。また、あるいはドイツ国内でそのまま消費者の手に渡る。これはもちろん「現地販売」なのである。

で、問題はここから。ドイツ国内で製造された日系メーカーの自動車がフランスに輸出された場合はどこに分類されるのだろう?「その他」だろうか?でもフランスはドイツと同様EUに加盟する国である。「EU圏内で生産した製品をEU圏内で販売する」のである。選択肢は米国・中国・EUというくくりである。米国や中国が単独の国である以上、EUも1つの国と考えるべきなのだろうか?となると、EUという「国」で「国内販売」したのだからこれを現地販売と考えるべきではないかという迷いが生じる。

この時点で僕の思考は止まってしまった。自由貿易圏が成立し、経済的には統一市場が成立しているEUを1つの国と考えるべきなのだろうか。その辺りの明確化が本問中にはない。たしかに「現地販売とは現地法人のある国における国内販売をいう」という定義があるのだけれども、それならわざわざ候補をEUとするだろうか?例えば「ドイツ」にすればいいではないか。米国・ドイツ・中国の3つの選択肢で判定させればいいではないか。いや~、こう考えるともう完全に解答不可能となってしまうのだ。仕方ないかな(涙)。

というわけで、せめてはっきりしている範囲だけはしっかり判定してみよう。分かりやすいのは中国。経済特区に指定された南部の諸都市や、シャンハイの輸出加工区には安価な労働力を求めて立地した外国の企業が多く見られる。日本からももちろん電気機械やせんいなど労働集約型の工場が多数進出を果たしている。安価な賃金で労働者を雇い、完成した製品を日本へと輸出する。よって「日本向け輸出」が多いNが中国と考えられる。

これに対し、米国に日本の工場が進出する場合は、中国の場合とは意味が異なる。米国は高賃金国(1人当たりGNPが高い)ので、労働コスト削減の意味はない。キーワードは「貿易摩擦解消」を目的とした「現地生産」である。とくに自動車の分野においては、日本から米国へとさかんに日本車が輸出されたため、貿易不均衡(貿易摩擦)が生じた。そのため、輸出の自己規制などの方策が採られたが、だからと言って米国内の日本車需要が収まるわけでもない。よって日本の自動車メーカーは米国内に日系企業を設立し、米国内で日本企業によって開発された自動車を製造、そのまま現地で販売という手段を講じることとなる。これにより貿易摩擦は多少解消された(それでもまだ日本から米国への自動車輸出はかなり多いのだが)。このように米国に日本企業の現地法人が設立される場合は、現地での販売が主目的となる。

で、実はEUに日本企業が進出する場合も米国とほぼ同じケース。EUも原則的には高賃金地域である。よって安価な賃金を利用するという目的はなく、やはり現地での生産・販売が主目的となるのである。

だから、LとMの判定は難しい。ともに日本向けの輸出が少ない点は納得。で、ここからなのだが、前述のように「ドイツで作って、フランスで売る」場合は「現地販売」になるのか「その他」になるのかが不明であるため、解答できない。

もし「現地販売」とするならば、EU内のいずれかの国で製造して、EU圏内の他の国へ輸出するというパターンはかなり多そう(自由貿易であり関税はかからないのだから)なので、現地販売のとくに多いLがEUとなる。逆に「その他」にするならば、MがEUとなるだろう。

さあ、ここで解答を見てみよう。答は1らしい。ということは、米国がLで、EUがM。つまり「ドイツで作って、フランスで売る」というパターンは「その他」に含まれるということなのだろう。だったらEUで書かないで、最初から特定の国名にしろよ!って思うんやけどね。

Lが米国だとすればこのグラフからなかなかおもしろいことが発見できる。米国内の日系企業の工場で製造されたものはほとんどが米国国内向け。「その他」がかなり少ないが、例えばこれは米国と自由経済圏(NAFTA)を形成するカナダやメキシコへの輸出なのだろうか。カナダは人口小国であるし、メキシコは低経済レベル国であるので、両国への輸出量もごく限られたものに過ぎないということなのだろうか。

 

問6 こういう問題は具体的に見るべきポイントをしぼって図を観察することが大事。

1;アジアで首都以外の都市として重要なものはどこか。それは中国のシャンハイだろう。人口最大都市であり、商業や文化の中心。近年は工業化も進んでいる。しかし中国の首都はペキン。00B追第3問問1でシャンハイの位置が話題とされているので、シャンハイという都市がセンター試験でしばしば取り上げられることは知っておいてほしい。というわけで図参照。シャンハイだけでなく中国のあちらこちらで増加していることが分かる。そもそも首都は1つの国に1つだけであり、複数の都市で増加している時点で、「首都意外の都市でも増加している」と見なしていいだろう。

2;産油国とくればOPECをすぐに連想する(米国やロシア、ノルウェーやメキシコなどOPECではない産油国ももちろんたくさんあるけどね)。

アフリカの産油国はリビア(イタリアの対岸)、アルジェリア(フランスの対岸)、ナイジェリア(アフリカのわきのした)。南アメリカの産油国はベネズエラ。これらの位置を確認し、62年と96年のデータを比較してみよう。どうかな?これらの国々で主に増加したといえるだろうか?それとも他の国の方こそ目立った増加をしているだろうか。

3;ロシアやポーランドなどが旧社会主義国に該当する。

4;米国太平洋岸の諸都市でも増加している。

 

問7 問5とちょっと似たニュアンスがあるのだが、内容は全然異なる。こちらは良問。っていうか簡単や(笑)。

基本的には近隣の地域や経済的なつながりの強い地域に企業が進出しやすいという傾向さえ押さえておけば十分だろう。

東アジア・東南アジアには日本系企業が多く設立されている。中央・南アメリカには位置的・経済的に近しい米国系企業がさかんに進出していると考えるべきだろう。というわけで、ロシア・東ヨーロッパにはドイツ系の企業が多いと見ていいだろう。これも位置的なことを考えれば納得できる。

 

第3問 北アメリカ大陸に関する問題と書かれているけれど、とくに地誌問題というわけでもない。問1は典型的な地形図問題であり断面図を問うている。やや難しいかもしれないが、なんとかなる。問2はコロラド川に関する知識が求められているものの、コロラド川は過去も出題されたことがあり、過去問をしっかり研究しておけば解答可能。問3は風系の問題。ありがちで容易。問4も過去問に習熟しておけば解答できる。問5はエルニーニョの知識が若干必要であるものの、風の吹く理由に言及した問題である。やや難しいかな。問6は農産物の栽培条件に沿う問題で簡単。

全体としては2問くらいのロスで乗り切ってほしい。

 

問1 断面図の判定は地形図問題の定番。解き方のコツをつかんで、必ず得点してほしい。

地図上における選択肢1~4の線分の長さと、図2の断面図の3マイルの長さは一致している。センター試験の地形図問題はいつもこのパターン。だから切り取って重ねてみるとすごくわかりやすいんだが。でも実際の試験で問題用紙を破ったらあかんよね(涙)。

図2参照。断面図問題の基本は、両端の標高を調べること。断面図より、南側の端と北側の端の高さがほぼ等しい。具体的に標高何フィートなのかはよくわからないが。

図1参照。各選択肢において南北端の標高を読み取ろう。

とりあえず4から。北端に「5392」と書いてあるようである。あるいは等高線から読み取ることもできるかな。やや北に「4400」という等高線が示されている。そこから北に向かって、細い線が4本あって、そして再び太い線が1本現れる。太い線同士の間隔は、標高差400mのようである(図の北端中央部に「4000」という等高線と「4400」という等高線がある。いずれも太い線である。ここから判定すればいい)。4の北端まで登る途中でもう1本太い線を越えるようである。つまり標高4400mから太い等高線2本(つまり「4800」と「5200」)を越えてその上に行くのであるから、4の北端の標高は5200mよりやや高いくらいであると想像できる。

南端について。北に「3600」の等高線が見える。南に「5600」の等高線。4の南端はその間くらい、4200mから4600mくらいの標高だろうか。

以上より、4は北端の標高と南端の標高がかなり違っていることが分かる。4は正解候補から除外する。

次は2。北端の標高は「5290」。南端は「5200」の等高線よりさらに1本上の太い線の辺りなので5600mくらいか。微妙な高度差ではあるが、候補から外してもいいと思う。

さらに1。北端は「6026」。南端は分かりにくいんやな(涙)。2の南端とほぼ同じくらいかな。2の南端を通過している太い等高線をたどっていくと1の南端付近を通る。このことを頼りに、1の南端は標高5600mよりもやや高いくらいだと考えていいと思う。やはりここも北端と南端とで高度差がある。

では3は?北端は「4400」の等高線を頼りに推察すると、標高5200mくらいの平坦な土地の上にあるようである。南端はどうかな?これもかなり読み取りにくいんやなあ(涙)。「5132」だろうか、それとも「5232」か?やや南方に5600mの等高線があるので、まあ5000m台前半と見て間違いないだろう。以上より、3の北端と南端の標高差は近いことが分かり、この選択肢が第一候補となる。

さあ、だからといってすぐに3を正解としてしまうのは早計すぎる。しっかり検証しなければ!

まず河川の流れる谷の位置は正しいか?図1参照。試験会場にモノサシは持ち込めないので、とりあえずエンピツでも使って、3の北端から河谷までの距離を測ってみよう。エンピツに1cmごとに目盛りを刻んでおくといい。

ここで図2の断面図参照。北側から1.5マイルの地点(つまり中間地点)の標高がかなり低い。ここを谷と考える。河川を横切っているところなのだ。

さきほど図1で測った3の北端から河川までの長さが、図2における北端から谷の最も低い部分までの水平距離と一致しているか、当てはめてみよう。どうかな、かなり正確に一致しているのではないかな。

ここまで来たら、3を正解としてマークしていい。でもどうせやしさらに細かく見てみよう。

図1において、3の北端からスタートする。北端は等高線の疎な傾斜のゆるい地形(台地のような地形だね)の上にあるが、そこから南に移動していくと急斜面を駆け下りることとなる。等高線間隔はかなり密である。一旦、やや傾斜は緩やかになるが、4400mから4000mの辺りで再び急傾斜。しかし再び緩傾斜になり、3600mの等高線を越える。しかしこの等高線はぐるっと回り込んでおり、再び3の線分と交わることになる。つまり一度は標高3600mよりも低い地点へと下がったにもかかわらず、斜面はここで上り坂となる。ここで進路は平坦な地形の上に出る。等高線間隔はかなり緩やか。標高は周囲を「3600」の等高線が取り囲んでいることから、それよりもやや高い程度であると想像できる。ここで図2の断面図を参照しよう。北端から0.5~1マイルくらいのところにテーブル状の地形が見られる。まさにこれこそが、その平坦な地形に該当するのだろう。

てな感じで細かく見ていくと、さまざまな点で3の線分と図2の断面図が適合していることが分かる。ここからはさすがに説明するのが面倒なので(笑)、君自身で線分をたどってみてほしい。標高を示す具体的な数値に注目しながら、等高線の粗密の状態から地形を立体視することが非常に重要なのだ。「地形図は立体視する」。これがセンター試験のセオリー。

 

問2 コロラド川が問われている。この川は99B追第1問で大きく取り上げられている。

ミシシッピ川のように一般的に有名な川ではなく、どちらかといえばマイナーなコロラド川が取り上げられるのはどうしてだろう?それは外来河川だから。外来河川の意味を問う問題も02B追第3問問1にある。

99B追第1問問1参照。5のグラフがコロラド川中流のもの。降水量が少なく、流量も決して多くない。乾燥した地域を流れているのだ。さらに問4も参照してほしい。そのまんまコロラド川ネタ。源流はロッキー山脈である。中流にはグランドキャニオンという大峡谷があり、観光名勝となっている(01B追第3問図1の地形図がグランドキャニオン)。多目的ダムが建設されて、コロラド川の水資源はインピリアルバレーの綿花栽培のための灌漑用水や、ロサンゼルスの生活・工業用水として利用されている。

というわけで、1が正解。フーバーダムという固有名詞は本来なら重要ではないが、99年の問題でも話題とされているので知っておいてもいいだろう。

2・3・4についてはどうでもいい。

 

問3 とくに解説は不要だろう。赤道から緯度30度付近は貿易風帯、緯度30度から60度くらいまでは偏西風帯(季節による風系の移動があるので厳密ではないが、だいたいこれくらいの緯度)。

 

問4 元ネタはいろいろなところに転がっている。複合問題。

各選択肢に注目してみよう。

さんご礁;さんご礁ができるのってどんなところだろう?

まず海でなくてはいけない。これは当たり前。さらに浅い海であることが条件。まさか深海にさんご礁はないだろう。そしてその海域の水温が高いことが絶対条件。低緯度地域でなくてはいけない。冷涼な高緯度地域には存在しない。日本近海でも沖縄など暖かい海域に見られることを考えてほしい。また暖流が流れているところではとくに水温が高くなるためにかなり大規模にさんご礁が発達することがある。

以上のことを頭に入れて図4を参照する。緯度的には低緯度地域にドットが集中しており適当である。しかし太平洋や大西洋の中央部にまで分布が見られ、これらが浅い海であるわけがない。よってさんご礁は不適当となる。っていうかそもそもさんご礁の分布ってドットマップっていう「点」で表すに適したものだろうか?「面」の方がいいんじゃない? 

さんご礁はセンターでしばしば出題されるネタである。とくに有名なのはオーストラリア北東岸のグレートバリアリーフ(大堡礁)。96本第7問問2選択肢2、99B追第4問問7写真イなどで取り上げられている。ここは低緯度に位置するだけでなく、東オーストラリア海流という暖流も流れており(大陸東岸低緯度中緯度には暖流が流れている)とくに暖かい水域となり、さんご礁が発達する。

99B本第1問問2選択肢4。酸素の供給源として重要なさんご礁は、環境破壊にもろいものである。

00B本第2問問4選択肢2。南アジア地域には火山の分布は全く見られないので、当然モルディブも火山島ではありえない。ここは標高がたいへん低く、地球温暖化による海面上昇によって水没してしまうのではないかという懸念がなされている国である。このような低平な地形の島はさんご礁による島特有のもの。

00B追第4問問7。沖縄にはさんご礁によって形成された島々が多い。沖縄本島もさんご礁の隆起によって作られた。さんご礁ということで石灰岩質の土壌となるが、水はけが良すぎるので水田耕作には適さない。サトウキビには向くんやけどね、でも食料にはならへんし(涙)。

震源地;近年、海溝と海嶺の話題がよく出てくるので、地震ネタも頻出になると予想される。震源地として重要なのが「海溝」と「海嶺」。これらは地震が頻繁に発生する「変動帯」とも呼ばれている。

地球の表面は20枚程度のプレートによって覆われている。大陸や海洋はこのプレートの上に乗っているわけである。プレートがあるところでは広がり(地下のマントルでプレートが新しく形成され、押し出されるところ)、あるところでは狭まる(複数のプレートがぶつかり、地下のマントルに消えるものもある)。「広がる境界」に沿って2列の巨大な海底山脈が見られるがこれを「海嶺」と呼ぶ。代表的なものは大西洋中央海嶺。2列の山脈の隙間から溶岩が染み出し、火山島(ただし勢いよく爆発するわけではない。溶岩が流れ出すだけであり、火山島というより溶岩台地と呼んだ方が適切だろう)であるアイスランド島などが見られる。「アイスランド=火山島」というネタは01A追第1問問7と02B本第1問問1など。前者では「島はプレートとプレートの境界に位置しており、島内の活火山の熱を利用した暖房や給湯の設備がある民家が多い」と説明されており、後者では「プレート境界に位置するこの地域では、地震、火山噴火、および氷河の融解による自然災害がよく起こっている」と記述されている。

02A追第1問第3でもインド洋の「広がる境界」海嶺が出題されている。

海溝の出題も多い。海洋プレート同士、あるいは海洋プレートと大陸プレートがぶつかる「狭まる境界」である(大陸プレート同士がぶつかる「狭まる境界」は大山脈になる。ヒマラヤ山脈はユーラシアプレートとインドオーストラリアプレートがぶつかって形成された巨大褶曲山脈)。海底に深度6000mから10000mに達する深い溝が連なる。太平洋をとりまくように見られるので地図で確認してほしい。深い深度を表す濃い青で着色されているはずである。太平洋以外にはインド洋のスンダ海溝や大西洋のプエルトリコ海溝くらいであまり見られない。問題にもどるが、図4の範囲にも海溝は存在する。南アメリカ大陸沿岸に沿うペルーチリ海溝(96追第7問問2で取り上げられている)などで、その多くは大陸に沿う(この図の範囲ならば南北に細長く海溝が見られる。海岸線に平行)ものである。図4のように大陸に直行する帯の上にドットが見られるならば、それは海溝の位置とは無関係である。

また、ドットが海上にしか見られないので海底で震源地となる海嶺と海溝にのみ言及したが、もちろん大陸にも震源地は分布する。その代表的なものがカリフォルニア州にある巨大断層。北米プレートと太平洋側のプレートとが接触し、横ずれ断層が形成されている(「ずれる境界」という。世界にここだけ)。阪神大地震の前年に起こったロサンゼルス地震はこの断層が原因となった地殻変動によるものである。あるいはプレートの境界でなくても火山による地震も多い。米国は海岸付近にいくつもの火山が見られ、その噴火によって地震が発生したこともある。米国の火山については00A追第2問問2でシアトル近郊の火山が取り上げられている。同様に00A追第2問問1では世界の火山災害が話題とされている。

トルネード;竜巻のことなんだが、ずいぶん久しぶりに出題されたもんや。94本第6問問7参照。米国中央部の大平原ではトルネードと呼ばれる竜巻が発生する。ロッキー山脈から吹き降ろす風と、メキシコ湾から吹き込んでくる風とがぶつかりあって複雑な気流を作り出すことが原因なんだそうだ。大陸内部で見られる自然現象であり、図4とは適合しない。

熱帯低気圧の発生地点;日本を襲う熱帯低気圧は台風。この発生地点はフィリピン海から南シナ海にかけての地域。緯度は10度から20度くらい。温暖な海上で誕生し、次第に成長しながら中国華南や沖縄などへと進路を取る。図4の範囲も、緯度10度から20度付近の海上ということで、熱帯低気圧の発生する条件を整えている。海から水分を上昇気流として吸い上げて巨大な雲の塊を形成するのだから当然発生地点は海上に限られるわけで、その点から考えても、図4ではドットが陸上には見られず、まさに熱帯低気圧の発生地点を示すドットマップとして適当である(1つの点が1つの熱帯低気圧の発生地点を表しているのだろう)。元ネタは93追第1問問3。とくに北米周辺で発生する熱帯低気圧をハリケーンというのだが、それも知っておいた方がいいだろう。

 

問5 エルニーニョについての知識と、風の吹くシステム。この2つが問われている複合問題。

まずエルニーニョ現象について。「エルニーニョ」自体の意味は「神の子」つまり「イエスキリスト」。これから転じて「恵みの雨」という意味が派生してくる。ペルーの太平洋岸は降水量の少ない地域である。ここにもたらされる貴重な降水をエルニーニョと呼ぶ。だからエルニーニョとは本来は良い意味で使われる言葉である(エルニーニョが生じるメカニズム派科学的に説明できるものである。また何かの機会があれば説明したい)。しかし時々、この降水が異常な量となって南アメリカ大陸太平洋岸を襲うことがある。もともと乾燥する地域にいきなり大量の雨が降るわけだから、人々は驚愕し、社会は混乱する。この異常気象を「エルニーニョ現象」と呼ぶ。つまり単なるエルニーニョは日本で言うなら梅雨程度の年中行事的なできごとなんだが、これが「現象」となるとそれはもはや説明不能の異常事態となるわけだ。

ここでポイントは、降水量が増えること。ペルー沿岸はペルー海流という海流が流れ、海表面付近の空気の気温が低い。冷涼な空気は収縮し高密度となる。つまり重い空気が低いところにあるわけで、これでは上昇気流は生じにくい。寒流によって、大気が安定してしまうわけだ。

このバランスが崩れるとエルニーニョ現象となる。寒流の影響が弱まり、水温が上がる。それに伴い、海表面に接する空気の温度も上昇、上昇気流の発生しやすい不安定な大気状態となる。

つまりエルニーニョ現象については、異常な海水温上昇と考えよう。これは沿岸地域への異常な降水の原因となる。さらに水温が上がることによって、漁獲も減少する。海底から海表面への湧昇流(空気中における上昇気流のようなもの。海底に堆積した魚の死がいなどの有機養分を海上へと運ぶ。海表は酸素と日光にあふれ、海底から持ち上げられた養分を元にプランクトンが発生し、さらにそれを食する魚類が豊富となる)の発生が抑えられるからだ。寒流ならば、冷たい水が海表面を流れており、つまり冷たく密度の高い水が上の方にあるためバランスが悪く、これが海水をかき回す要因となっている。しかし海表の水温が上がることで、この作用は弱まる。

PとQを参照しよう。赤道直下(緯度0度)、西経100度の地点の水温を調べる。Pでは27℃くらい。Qでは21℃くらい。つまりPの方が水温が高い。これをエルニーニョ現象の水温異常上昇と見ていいだろう。それに対し、Qは通常の状態。南アメリカ大陸に沿って北上し、赤道付近でその進路を西方にとる寒流の影響によって水温の低い海域がはっきりしている。

ではここからは頭を切り替えて、風の話をしよう。Pの状態とQの状態、風が生じやすいのはどちらか。

Rでは風の吹き方ははっきりしている。風向も図の範囲ではほぼそろっているし、風力もそれなりにありそうだ。それに比べ、Sでは風向ははっきりせず、風力も弱そうである。

そもそも風はなぜ発生するのか?それは気圧の差である。高気圧から低気圧に向かって風が流れると考えていい(転向力という自転による力によって、北半球では風は進行方向に対し右向きの、南半球では左向きの力をそれぞれ受ける。よって、気圧の高いところから低いところに向かって真っ直ぐに風が吹くわけではなく、若干その進路は曲げられてしまうのだが、それでもおおまかにいって、高気圧から風は吹き出し、低気圧に向かって吹き込むと考えたらいいだろう。96本第1問図1が参考になる)。

気圧の差はどうやって生まれるか。第1問問2の解説でも説明したが、大きく2つの種類がある。それは地球の風系全体のはたらきとして中緯度高圧帯が形成され、それに伴う高気圧。夏季になると北上してくる太平洋気団(小笠原高気圧)のようなもの。それに対し、気温差によって生じるものもある。冬季、大陸上の空気は海洋上の空気に比べ激しく冷やされ、収縮し密度が高くなる。これが高気圧となって、例えばシベリア高気圧のような巨大な高気圧はこのような海陸の比熱差が原因となって出現したものである。相対的に海上の空気は密度が低くなるので、こちらには低気圧が形成される。冬季の日本付近の気圧配置「西高東低」は気温差が原因なのだ。

さて、ここで問題に戻ろう。Pではどんな風が吹く?

西経100度で赤道直下の地点を座標で表し、(100、0)としてみよう。180度で赤道直下の地点、(180,0)と比べてみよう。(100,0)の水温は27℃なので気温もそれに影響を受け同じく27℃と見なす。(180、0)では水温は29℃、よって気温も29℃。2地点間の気温の差はあまり大きくない。(180、0)の空気の方が暖かい分やや膨張し密度は低くなっているだろうが、それでも(100、0)との気圧差は小さいだろう。以上より、風はほとんど吹かず、吹いたとしてもごく弱いものであることが想像できる。

Qについて。(180、0)の水温は21℃とたいへん低く、気温も同様に低いと考える。この地点の空気は収縮し、高密度となる。明らかな高気圧を形成するわけでもないだろうが、気圧の高いところがここに生じることは明らか。それに対し、(180、0)の水温は29℃であり、気温もそれくらいだろう。(100、0)との差異は大きく、これが明確な気圧差につながってくるはず。つまり(180、0)は気温が高い分だけ、相対的に気圧が低くなる。Qの図においては気圧の高いところと低いところがはっきりと生じているため、風もはっきりと強く吹くことが想像される。風向はもちろん、(東に位置する)高気圧から(西に位置する)低気圧に向かって吹き出す東風である。

というわけで、PとSが、QとRが対応し、エルニーニョ現象を表す選択肢は2となる。3のQ・Rは通常の状態。

(おまけ)地球全体の風系を考えた場合、赤道直下の地域は赤道低圧帯の影響下にある。これは赤道無風帯とも呼ばれるもので、上昇気流の作用が強いため、(我々が感じるような水平方向の)風は生じない。しかしQ・Rと見ると分かるようにここは通常は強い東風が吹いているようである。これは地球の風系が原因ではなく、あくまで海流の作用が原因。例外的な地域なのだろう。

(おまけ2)進化論の島ガラパゴスが位置するのは赤道直下、西経90度の海上。赤道直下でありながら強力な寒流ペルー海流の影響を受け水温は冷たい。大気が安定するので降水はほとんどないが、海中には湧昇流が生じ栄養分豊かな海となる。これがガラパゴスの微妙で独特の生態系を支えている。エルニーニョ現象による水温上昇が生じると、降水が増え、さらに水中の栄養分も失われるので、その生態系が崩れることとなる。

 

問6 農産物の分布を表したドットマップ。02B本第3問問6でもドットマップが用いられている。そちらでは家畜の分布を表しているが、このようにドットマップにはどこに何がどれくらい分布しているかの情報、つまり絶対分布の様子を一目で分からせるという特徴がある。面積比を正しく表した正積図を用いる。メルカトル図法(98B本第3問図1。低緯度地域に比べ、高緯度地域では面積は拡大される)や正距方位図法(99B本第5問問3図3。図の中央部分に比べ、周辺部では面積は拡大される)では分布を表す図としては不適当。

問題に戻ろう。こういった問題の場合、まず農作物に注目するのがポイント。大麦・小麦・米・トウモロコシである。この中で最も寒冷な地域で栽培され、しかも降水が少ない条件に耐えるのは大麦である。次いで小麦。やや温暖で湿潤な気候を好むのがトウモロコシ。最も暑い環境を好み、栽培に多量の降水を必要とするのが米である。

絶対分布を確認。カナダを中心とした1は最も寒冷な気候に耐える作物として大麦だろう。カナダから米国中央部で栽培されている3は、大麦に次いで冷涼な気候に適する小麦だろう。カナダでは栽培されず米国の五大湖南部などで広く栽培されている4がトウモロコシ。暑く、降水が多い(と思われる)地域に限定されている2が米だろう。作物(植物)の特徴をとらえて、それを判断の材料とするのがコツである。

(おまけ)98B本第1問図1参照。企業的穀物農業地域がいくつか示されている。企業的穀物地域とは商業的に小麦が栽培されているところである。Pの地域に注目。ここが北米大陸における小麦の専業地域である。主に2つの大きなブロックに分けられているが、北側のカナダから米国国境にかけて広がる方は春に植えて秋(9月くらい)に刈り取る春小麦地帯である。南側の米国中央部は冬小麦地帯であり、ここでは秋に植えて翌年の初夏(6月くらい)に収穫時期を迎える。この北米大陸中央部に広がる企業的穀物農業地帯(早い話が小麦地帯)の位置を眼に刻み込んで、元のドットマップに戻ろう。3がまさに小麦分布を示す図と見ていいだろう。

 

第4問 問1は容易だが、残りはどれも微妙なところを突いている。全て難なくこなす上級者もいれば、ここで全滅を免れない不勉強な者もいるだろう。この大問ができるかどうかで平均点に届くかどうかが決まるんちゃうかな。。。手ごわいと思う。

 

問1 簡単な問題。「人口の年平均増加率」だけ注目すれば解ける。年人口増加率については、3%アフリカ、2%中南アメリカ・南アジア、1%東アジア・北アメリカ・オセアニア、0%ヨーロッパ・ロシア・日本、というように数字で直接知っておけばそのまま利用できる。

というわけで、表1を見てみよう。

1は「3%」なのでこれはアフリカだろう。

4は「0%」なのでこれはヨーロッパだろう。

問題自体はアフリカを判定できればそれでおしまいなので、これだけで十分。

でもついでなんて(笑)いろいろ考察していこう。

2と3はどうだろう?アジアか北・中央アメリカである。アジアの人口増加率は南アジア(2%)と東アジア(1%)の平均と考えて、1.5%と見なしていいだろう。北・中央アメリカは、北アメリカ(1%)と、中南アメリカ(2%)の半分の地域の平均なので、1.2%くらいかな(いい加減な計算やけどね・笑)。というわけで、2がアジア、3が北・中央アメリカと考える。

さらにここからつじつまの合わないことがないかさらに表を調べていこう。

「食糧生産の年平均増加率」のデータは無視。これはよくわからない。

「穀物輸出量÷穀物輸入量」は大事。それぞれの数値に込められた意味を考えてみよう。

アフリカは「0.1」である。つまり、輸入量が輸出量の10倍あるということ。アフリカは穀物の輸入地域である。

アジアは「0.2」。輸入量が輸出量の5倍。アジアも穀物の輸入地域なのであろう。

北・中央アメリカは「4.9」。輸出量が輸入量の4.9倍。この地域は穀物の輸出地域である。新大陸(南北アメリカ大陸・オセアニア)では商業的に農業が行われていることを考えれば、農産物輸出量が多いのは納得だろう。とくに米国は最大の農産物輸出国であり、わが国にも多くのトウモロコシ・大豆・小麦が輸出されている。

ヨーロッパは「1.2」。ほぼ輸出量と輸入量が等しい。若干輸出量の方が多いわけで、ヨーロッパ圏内ではほぼ完全に食料の自給が達成されているということ。フランスが代表的な小麦輸出国であるということは知っている人も多いのでは?

(おまけ)ヨーロッパは実はかなり農業がさかん。人口密度が比較的高い地域であることを考えると(つまり土地が狭いにもかかわらず、多くの人口が住んでいるということ)なかなかたいしたもんやと思うよ。土地生産性の高い合理的な農業が行われていると想像できる。フランスの他、イギリスやドイツ、デンマークなどヨーロッパ中部の国々はみな小麦輸出国。気候条件的に小麦栽培に適さないイタリアは輸入国となっている(パスタの食べすぎで消費量が多いからかも?)。園芸農業という、穀物生産より野菜など商品性の高い作物の生産を優先しているオランダも小麦輸入国。ただし全体では小麦は生産過剰となっており、同じく生産過剰となっている乳製品とともにその処理がEUの財布を締め付けている。

 

問2 ちょっと難しいかな。でもあるポイントに注目すれば難なく解けるのだ。

1;日本の食料自給率の低さというものはしばしば話題とされる。穀物自給率30%など。よって輸入に頼っていることは事実であろう。

2;現代政治の話かな。地理という科目でこういったややこしい国際関係や現代政治のネタがポイントになることはない。読み飛ばす。

3;アジアの農業は集約的である。日本も例外ではない。狭い農地を多くの農民で耕す。土地生産性は高いが、労働生産性は低い。つまり1人当たりの収穫量が小さいため、その分、生産された農産物は高価格となる。それに対し、企業的な農業が徹底し、省労働力化を実現している米国など新大陸の農産物の価格は安い。輸入農産物の方が安価であるので、国産の農産物は価格競争では敵わない。

4;1960年代から生産調整政策が実施されたかどうかは知らんが、平野部の農地が林地に転換されたことを不自然に思わないといけない。土地利用の問題である。平野部の農地で主に栽培されていたのは稲だろう。つまり水田をつぶして、それを林地に変えたということ。水田は低地で水はけの悪い土地である。しばしば沼となっている。ここを樹林地に転換することができるか?果樹園などの樹園地は扇状地扇央や台地上など水はけのよい高燥地に分布する。かつて水田であったような低湿地に樹木を植えるということはおかしいと思う。「水田は低湿地、樹木は高燥地」というセオリーは地形図問題でしばしば登場するものであり(関連問題は多数。地形図問題で土地利用が問われているパターンを探してみてほしい。たくさんあるよ)、本問ではそれをふまえた出題となっていたわけだ。一見、社会的な設問ではあるが、植物の成育条件という理科的な問題になっているのがポイント。これがセンター地理。植物を中心に考えよ。

 

問3 ちょっとイジワルやなぁ(涙)。アフリカを出すのはちょっとツライ。

本問の場合、タイの第1次産業人口割合が約60%であるということを知っておけば即答できるし、それがベストだと思う。第1次産業とは農林水産業のことであり、厳密に言えば農業だけのことではないのだが、水産業や林業に従事する者はかなり少数派なので(日本では漁師さんがわりと多いので誤解するかもしれないが、世界では巨大な船舶で漁業を行う企業化されたものが一般的である。かなり水産業従事者は少ない)、第1次産業人口イコール農業人口と見ていいと思う。よって1がタイに該当。

他の国についても第1次産業人口割合を中心に考えていこう。2は「25.0」と高い数値となっているので、これを発展途上国のアルジェリアと見る。

3・4・5はいずれも低い数値であり、先進国であろう。先進国の第1次産業人口割合は、2%イギリス、3%米国、4%フランス、5%オーストラリア、6%日本、7%イタリアであるので、4.8%の3は日本(6%ではないが、日本の場合は前述のように水産業に携わる者が多いので農業だけならこんなもんなのだろう)、3.9%の4はフランス、2.3%の5が米国である。01B追第2問問4でもイギリスの第1次産業人口が問われており、問題がかぶっているなあ。

さらに、「農業就業者1人当たりの耕地面積」について。農業従事者1人当たりの農地面積は、アジア;1ha/人、ヨーロッパ;10ha/人、北米;100ha/人、オーストラリア;1000ha/人、で頭に入れておくといい。

タイ(1)と日本(3)はやはり1ha/人程度であり、まさにアジアの特徴がはっきりと現れている。フランス(4)は19.1haということで、ヨーロッパ的である。米国(5)は55.8ha/人。上記の100ha/人には足りないが、それでも5カ国中最大ということでとくにおかしくはない(100ha/人というのは「農地」のデータなのでやや大きめの数字となる。農地とは「耕地」「樹園地」「牧場・牧草地」を合わせたもの)。

アフリカについてはよくわからない。アルジェリアなんか砂漠の国やし全然わからんよ(涙)。

耕地1ha当たりの穀物生産量も見てみようか。土地生産性というものである。アジアやヨーロッパでは集約的な農業が行われているため、この値が日本・フランスで高い。新大陸は粗放的な農業形態であるので、土地生産性が原則として低い。たしかに米国はやや低めである。タイはアジアの中では例外的な地域であり、かなり土地生産性が低い。伝統的な農業が行われており、雨季乾季が極端な気候でありながら灌漑設備が整っておらず天水に頼った米作が見られる。河川下流の沖積平野では生産性の低い浮稲が栽培されている地域もある。というわけで、2268という数値も納得である。しかしここでもアフリカのアルジェリアはわからん。砂漠で農業がやりにくいからここまで低い値となっているのか。そもそも穀物を作っているのか(ナツメヤシを主食としているんじゃないか)。とかいろいろなことは考えられるんだが。

まあ、本問については「農業就業人口割合」でタイを判定してしまうのが一番だろうが。

 

問4 問3でも述べたがタイでは伝統的な農業が未だに主流である。天水に頼った農業で、雨季にしか栽培できない浮稲が一年一作のペースで栽培されている。

2;このような農業を企業的という。

3;EUが農産物の輸出地域であることは重要。問1とかぶってるな。

4;ナイル川のアスワンハイダムについてはデメリット(洪水がなくなって肥沃土の自然な供給がなくなった。上流から土砂が運ばれないため三角州が波に削られるばかりで耕地など失われてしまっている。栄養分が海洋に運ばれずに漁業不振となっている。風土病の発生)ばかりが強調されているきらいがあるが、農業生産については増加したのでそのことだけはメリットとして知っておくべきである。洪水の危険性が去ったために耕地整備が進み灌漑設備が整えられたからである。化学肥料も使用されるようになった。

 

問5 ネパール!最近ネパールがらみの問題が多いなあ。何でやろ?問題作成者がネパールに関係ある人なんかな?00B本第5問、02B第3問問5でもネパール登場。ただしいずれも良問であるし、ネパールについての特殊な知識が問われているわけではないので、問題作成者はすごくセンスがいいと思うよ。

というわけで本問についてもネパールは後回しで、それ以外の国々の特徴を押さえていくことから始めよう。このような食料供給問題でまず注目しないといけないのは「肉類」あるいは「乳製品」。これらはいずれも西洋の食卓で普及したもの。よって「肉類・牛乳・乳製品」が多いZが米国。肉が多いなんてかなり高カロリーっぽいね。

タイは海に面した国であるので「魚介類」が多いYが該当。Xのネパールは内陸国であり、魚が豊富に食卓に上るとは思えない。

 

問6 水産業ネタは極めて珍しい。新課程では初めてじゃないかな。記憶にないや。旧課程では95本第4問にベタベタの漁業ネタが取り上げられている。それ以来ってことやね。

02B本第5問問4でも水産業が取り上げられた。ただしこれは中学レベルの知識問題であり、とくにどうというものではない。

とはいうものの本問については実はそれほど水産業に偏った印象も受けない。それぞれの選択肢を検討するとそう思えてくる。

まずグラフを参照してみよう。中国・ペルー・米国・ロシアはいずれも漁獲高の大きい国で、統計で確認しておくといい。日本についてのデータが表されていないが、日本についても統計で確認。

では選択肢をチェックしていこう。

1;「人民公社」は70年代までの中国のキーワード。80年代以降の中国では人民公社は解体され、農業は「生産責任制」に移行。人民公社はいわば完全な国家主導の計画経済の産物で、農産物の種類と収量が国によって定められ、つまりノルマに従って農民は農業生産を行うしかなかった。これでは生産意欲は上がらない。この生産性の停滞の解消のために導入されたのが「生産責任制」。これは「生産請負制」とも呼ばれるもので、各農家にノルマ以上の生産を認め、それについては市場で自由に販売することが許された。これにより私腹を肥やし裕福になる農家も出現した。彼らを万元戸という。というわけで選択肢1は「人民公社」と「80年代以降」が適合しないため誤文となる。

(おまけ)海面養殖業も実は誤り。中国でさかんなのは湖沼などにおける内水面漁業と内水面養殖。ナマズの漁獲やウナギの養殖が多いのだそうだ。80年代以降中国の漁獲が急上昇したのは生産責任制による生産意欲の上昇と関係あるのだろう。

3;貿易の問題。日本は世界1位の水産物輸入国。このネタってセンター初出なのかな。一応、エビの輸入については99B本第3問問5で登場。エビだけでなく水産物全般輸入が多いことを知っておいてもいいかなあという気がする。中国や米国からの輸入が多い。よってこの文のように日本が米国へと水産物を輸出しているという事実はない。そもそも米国人ってそれほど魚を食べる国民ではないやん。魚を食べるのって日本人くらいやで。統計要覧のどこかに1人当たり魚類消費量っていうデータが載ってたような気がする。日本がかなり上位に来ていたと思うんでよかったら確認してみてね。

4;これなんかも難しいもんだなあ(涙)。でもグラフの下にも書いてあるように、91年までのデータはソ連のもの、92年からはロシアのデータになってんねんけど、単純に考えてソ連からロシアへと国の範囲や人口規模が小さくなったんやから、それがそのまま漁獲量の減少の原因となったって考えて構わんのんちゃうかなぁ?あるいはソ連崩壊による経済混乱のダメージを受けて漁獲が減少したとか。そう考えるのが普通やと思う。

(おまけ)ロシアが北太平洋沿岸の主要漁場を失ったっていうのはとんでもないウソ。今でも大手を振ってロシアの漁船はこの海域で漁を行っている。いや、それどころかここで最も大きな顔をしているのはロシア船であり、多少米国の船舶は見られるかもしれないが、日本については皆無である。日本は厳しい漁業規定によって北太平洋の漁場を失った。かつては北海道の釧路港が日本最大の漁獲を誇る漁港として有名であったが、近年その地位は際立って低下している。ニシンの水揚げがほとんどなくなったからである。ニシンはオホーツク海やベーリング海など北太平洋海域で見られる寒海魚である。しかし日本はこの海域で操業する権利を失った(政治的な話なんでよくわからんのだが、日米漁業協定とか日ロ漁業協定とかいうのがあるみたい)。それどころか例の北方領土をめぐる問題でさらにちょっと複雑になってるみたい。ややこしいところやね(涙)。

というわけで答は2となる。中国の近代化に関するネタで1は消え、貿易ネタで3が消え、ソ連の崩壊を考えることで4が消える。つまり水産業分野からの出題と思いきや実はそんなことはなかったのである。新課程導入後本問と次の問7以外で水産業は取り上げられていない。本問にしても水産業についての問題とは言い切れない側面がある。しかも追試であるし、おまけに地理Aとの共用問題である。新課程地理Bの本試験において、水産業は無視できると考えていいだろう。

一応、2のトピックについてコメントを。ペルーはかつて世界最大の水産国であった。沿岸を強力な寒流であるペルー海流が流れており、プランクトンが豊富、それで漁獲資源も豊かだったのだ。ただし乱獲によって主要魚種のアンチョビー(カタクチイワシの一種)が減少し、それに伴いペルーの水産業も衰退した。しかし近年は取り過ぎを反省し、計画的に漁猟を行うことで一定量のアンチョビーの漁獲が復活してきた。このアンチョビーは自給用ではない。そもそもペルーの人々に魚を食べる食文化はない。魚粉(フィッシュミール)に加工され米国に輸出される。主にブタなど家畜の飼料となる。油脂や肥料の原料となることもある。

ペルーで漁獲が落ちると日本の豆腐の値段が上がるっていう話がある。ペルーから魚粉の輸入が減ると米国では日本に輸出するはずの大豆を家畜の飼料にまわす。そのため、大豆が不足し価格が上昇し、それが日本国内の豆腐の値段に反映されるというもの。君たちも豆腐の値段が上がったら、はるかペルーの海を思い浮かべてみては?

 

問7 さらに水産業は続く。しかも問6と同様、見せ掛けの水産業問題。漁業に関する知識は全く求められていない。

もちろん答は2。排他的経済水域は12カイリではなく200カイリ。新課程では初出であるが、むしろ常識問題と見なしてもいいだろう。200カイリという数字は中学でも登場してくる。旧課程では96本第6問問5で出題されている。

200カイリ排他的経済水域(排他的を除いて、200カイリ経済水域と呼ぶ場合もある)は、200カイリ漁業専管水域と意味的に等しいものと考えてほしい。沿岸から200カイリの範囲においては、海底資源の開発や水産物の漁獲が優先的に行えるというもの。日本と韓国のように、国と国の間が狭く、領土から200カイリの範囲を設定すると両方が重なってしまう場合はうまく中間になるように境界を定めるようである。本問に見られるように、200カイリ漁業専管水域(経済水域)設定によって最も打撃を食ったのが遠洋漁業。他の国の近海での操業が原則不可能となった。日本は入船料(入漁料ともいう)を払って他国の経済水域内にお邪魔して、遠慮しながら漁業を行うはめとなった。

(おまけ)98年における各数値をまとめておくといい。沖合漁業が多く、次いで沿岸、養殖の順。遠洋漁業は衰退が激しい。それに比べ、輸入量はかなり増加傾向にある。

 

第5問 問1問6は簡単。問4も絶対に得点してほしい。でもそれ以外の問2問3問5は妙な問題がそろっているんやなあ、実は。問5は何とかできるとして、問3も何とかなるか。問2は特殊な問題であり、手こずること必至。でも実は簡単やねんけどね。とにかく2問ロスまでに失点を抑えてほしいところ。

 

問1 これは解説いらんでしょ。

 

問2 こういう問題ってツライよね~。決して難しくはないと思うんだが。

問題文参照。ここにさまざまな手がかりが隠されている。

「緯度に比べ、経度を計測することは難しい」とある。では緯度の測定は容易なのか?ちょっと考えてみて欲しい。緯度はどうやって測る?

緯度は南中高度を測ればすぐに計算で求められる。緯度を測る手順を説明しよう。

まず僕が記憶喪失か何かになって、現在自分がどこにいるのか分からない状態となる。「僕はどこ?」ってことだ。一応地球上のようだ。

とりあえず太陽の位置を確認してみる。数時間太陽を観察し続けて、その進行方向を見る。太陽が向かって左から右に向かって移動していれば、ここは北半球である。北半球では太陽は原則として南の空に見える。南半球なら反対に北の空。太陽が右から左に動くはず。北半球では太陽は、東から昇り南の空を周って西に沈む。南半球では、東から上り北の空を周って西に沈む。

便宜上ここからは北半球に自分がいるという設定で話をしていく。

棒を使って、太陽高度を計る。棒を立てて、その影を記録していく。影の長さが最も短くなった時、それが太陽高度が最高となった瞬間。この時、太陽は正確に南の空に来ているはず。この状態を南中と呼ぶ。そしてその高さを南中高度という。一日で太陽が最も高い位置に来た瞬間である。

南中した時の影の位置を確認。これは正確に北に向いているはずである。太陽が南なのだから。南北が正しく分かったところで、そこから左右に垂線を引いてやれば東西の方向も分かる。南を向いて直角に右手の方向が東、その反対が西。

東西が分かったら、太陽がこの位置から昇りそして沈む日をしばらく待つ(っていうか待たないとあかんっていうのが面倒やね・涙)。太陽が真東から昇り、真西に沈む日、それは春分か秋分である。一日の昼と夜の長さが一致する日でもある。地球は地軸を傾けて公転しているが、地軸に対し垂直の方向から太陽光が射す日でもある。

この日の南中高度を測定しよう。棒の長さと影の長さを測り、太陽が南中する時の角度を測る。分度器がなければいけないけれど、分度器自体は原始的なものであり簡単に作ることができると思う。例えばここで55度であった。90度から春分秋分の南中高度をマイナスすれば、その地点の緯度が分かる。90-55=35。よって自分が今いるのは北緯35度の地点であることが分かる。

どうかな?この説明で分かったかな?日の出が最も北東に寄った日(これが夏至)や、その反対に最も南東に寄った日(これは冬至)の南中高度から緯度を求めることもできるので考えてほしい。また古代のエジプトの学者は異なる2地点間の同じ日における南中高度の違いから地球の大きさ(半径や外周の長さ)を測定したのだそうだ。これだけ聞くとすごいと思うかもしれないが、実はかなり単純なことやね。どのような計算をしたのか、ちょっと考えてみてね。

というわけで、分度器さえあれば緯度は測定できるのだ。それに比べて経度はどうなのだろうか。緯度は前述のように古代の人々ですら知っていた。エジプト人、インカ人、いや、日本の縄文人も知っていたという話があるくらいだ。みんな、勘違いしてもらったら困るけれど、天動説っていうか地球が平面の板だなんて思い込んでいたのは、ごく限られた時期のごく限られた人々だけなのだ。キリスト教の考え方によってしばられていた中世のヨーロッパ。実際に欧州のこの時期を「暗黒時代」というくらい、科学的にはヤバイところだったのだ。地球が丸いなんていうのは、古今東西みんなの常識!

ではさらに問題文を読み進めよう。「ある装置が開発されていなかった」「大航海時代以後も18世紀になるまで」なのだそうだ。つまり18世紀になって初めて開発されたものということとなる。この時点で2は消える。分度器は原始的なものである。そもそも緯度はこれによって計測する。4もどうかな?はるか昔から地図というものはあったはずだし、「北」という概念もその頃からあったはずである。方位磁針なくしては北の方向が分からないのだから、これも昔からあったと思っていい。

というわけで、1か3に限られる。イギリスで産業革命が起こったのが18世紀後半。ここではじめて機械による大量生産が始まった。蒸気を用いた動力の開発も進んだかもしれないが、それでも18世紀後半のことであるし、選択肢3にあるような「一定の速度」という条件がつけばさらに時代は遅れるかもしれない。というわけでこれも候補から外す。残ったものは1の「時計」である。

ではここで考える。時計と経度は関係あるのか?

いや、多いに関係あるではないか。っていうか経度っていうのはそもそも時刻のことであるとさえ言える。

今、現時点で経度をどうやって測定する?経度0度はロンドンである。ロンドンとの時差が分からなければ経度の判定はできない。ロンドンを旅立つ時に自分の時計をロンドン時間に合わせる。ロンドン(経度0度)で太陽が南中した瞬間に時計を12時に設定したらいい。そしてそのまま旅を続ける。わけの分からないところに来てしまった。どうしよう?緯度は前述のように簡単に計測できる。経度についてはこうする。緯度を調べる時点で東西南北は分かるわけで、南が分かれば太陽が南中した瞬間も分かる(南半球ならは北中になるが)。その時に自分の時計(ロンドン時刻に合わせてある)を見る。何時だろうか?

ちょうど昼の12時だった。それならロンドンと同じ緯度である。0度だろう。

午前9時だった。地球は一周(360度)で24時間。つまり1時間のズレは、経度15度に相当する。この場合は12時より早く南中したのだから、ロンドンの東側である。3時間早いので、45度東側ということになる。東経45度だ。

南中した瞬間に自分の時計を見たら午後7時だった。(7×15=105)。西経105度である。

君も自分の時計を9時間戻して(日本は東経135度の経線が標準時とされている。ロンドンよりも9時間早い)ロンドン時間で生活してみてもおもしろいかもよ。

古代から利用されている緯度に対し、近代になって導入された経線。このことについて話題とした問題は99B本第5問問2。そもそもロンドンを知らない者に経度は測れないだろう。

 

問3 GPSなんていう言葉は知らなくていい。単なる国語の問題である。文章読解力が求められている(っていうことは逆に言えば、国語力のない人間には解答不能ってことになるけど、それは仕方ないわなぁ)。

問題文中に「受信者の地球上における位置を知るシステム」とある。GPSの説明としてはこれで十分だろう。人工衛星によって、地球「上」にあるものの位置を特定できるということ。

1;自動車の位置は当然わかるだろう。

2;探検者の現在地もわかるだろう。上空(というか宇宙やけど)見ているのだから。問題文に「地球全体」とあるので、北極や南極であっても人工衛星の「眼」は届くのである。

3;地殻変動の様子が分かる。地震によってある地点がどれくらい移動したのか、観察できるはずである。断層のずれた場合はどれくらい地盤が動いたかを調べることができる。

4;これのみ地球「上」ではない。地「下」である。そこまで人工衛星の眼は及ばないと考えていいだろう。

ちなみに米国の衛星であるランドサット(ランドサテライト)っていうのは、地下の資源分布の様子も観測できるらしい。どういうしくみになってるんやろ?

 

問4 これも一種の地形図問題。センター試験における地形図問題の多くは図の立体視が要求されている。本問は立体図(図2)を平面図(選択肢1~4)として表すものとなっており、平面と立体の関係が問われているという点で実にセンター的である。

おそらく最も直接的に関連する問題は99B本第5問問7。コンピュータによって描かれた図が用いられている。00B追第4問問1や99B追第3問問2などでも平面を立体視する能力が直接的に問われている。ただし、99B追第3問問4問5などでも結局求められているのは地形を立体視する能力であり、いや、ほとんど全てのセンター地形図問題は立体視問題(断面図が用いられていたり、土地の高低の判定をしたりなど)であり、そういう意味では今回のこの富士山の問題も実にオーソドックスな地形図問題と言えるのだ。

では問題の解説へ。

4が標高だろう。高い部分が白く表されている。

3が凹凸。もっともくぼんだところといえば、火口であるが、これが黒く表されているのは3のみ。

1がぼかし式の地形。北東から光が当たっているので富士山の北東側斜面が白く、南西側斜面は黒い。

2が傾斜である。山頂付近や、山の南東斜面にある崖崩れのような地形(角度が急)が白く表されている。

ゆっくり確実に考えれば簡単。しかしここで2問分あるので確実に得点しないといけない。

 

問5 階級区分図は原則として相対的な数量を表す時に用いられる。割合や率である。計算(割り算)によって求められるもの。つまり絶対的な数量である実数は階級区分図では表現しない。選択肢1の人口は実数である。

 

問6 これは解説いらんわな~

 

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