2003年度地理B追試験解説

2003年地理B追試験

まず全体を見渡してみての第一印象だが、決して簡単ではないなという感じ。03年度は本試験が悪問ぞろいで平均点も極めて低い失敗作だった。それに比べれば追試験ははるかに問題の質が高く、成功作だとは思う。ただし例年に比べれば難しいのではないか。第2問問2などは典型的。図を交えた思考問題として興味深い。しかしいざ問題を解いてみると決定的な決め手にかけ、実に難しい。むしろ捨て問とするべき難易度。このような「難しい良問」がそろっているのが今回の特徴。

また新しい傾向として大地形が重視されている点が見逃せない。地理Aでは安定陸塊と新期造山帯の区別が登場し、この地理Bでも古期造山帯の位置が何問かで問われている。このジャンルは新課程になって以降ほとんど問題にならなかった分野であり、今後は注意が必要かもしれない。

 

第1問 大地形と漁業に関する問題が目新しい。それ以外は過去問に基づく親切な問題。

 

問1 大地形に関する問題。センター地理Bではほとんど出題がみられなかったジャンルでありやや意外。

世界の陸地は大きく「安定陸塊」「古期造山帯」「新期造山帯」に分類される。安定陸塊は6億年以上前に形成された大地であり、長い間の侵食によって大平原となっていることが多い。古期造山帯は2~3億年以上前に造山運動を受けた山脈で、現在は低い丘陵となっている。新期造山帯は1億年以内の新しい時期に形成された山脈で、急峻な地形となっている。変動帯となり、地震活動などが活発である。

図1参照。2・3・4の地域は新期造山帯に属する環太平洋造山帯に沿う地域であり、地震活動もさかん。

これに対し、1の山脈は、グレートディバイディング山脈というのだが、古期造山帯に属し、ここは変動帯ではない。よって1が正解。

 

問2 西岸と東岸の気候の違いを問う問題。よく出題される分野であり、確実に解答すること。また、グラフも見慣れないものであるが、具体的にていねいに数値をとらえることによって正解に達することができる。

東岸と西岸の気候については、02B本第5問問1で釧路とローマが問われたので参照するといい。どんな違いがあるだろうか。

本問についても日本を基準に考えるといい。東京を探してみよう。東京はほぼ北緯35°に位置し、Xの上から6つ目の点である。東京の1月(最寒月)平均気温は5℃、7月(最暖月)平均気温は25℃。このことからAとBを判定。それぞれ北緯35°に沿って横線を引いてみよう。Aならば、最寒月5℃、最暖月30℃くらいであろうか。Bならば、最寒月15℃、最暖月20℃くらい。よって、多少の誤差はあるとしても、AがX-X´を示していると考えていいだろう。

P・Qについても同様に東京(北緯35°)を基準に考えよう。東京の降水量は年間ほぼ1500mm。これよりQがX-X´に該当。

本問の解法はこれだけ。東京の気温と降水量を知っておくだけで解答できる。ただし、これ以外にもおもしろいポイントがたくさんあるので、それらについてもまた解説する機会を設けようと思う。

 

問3 水産業に関する問題は異例。しかもここまで純粋な漁業ネタはとくに珍しい。それだけに難しい。

オは比較的容易か。南アメリカ西岸には北上するペルー海流(寒流)が発達し、豊かな漁場を形成している。主要魚種はアンチョビー。沿岸国の輸出品(飼料用の魚粉にして米国などに輸出)。このことからオは4が正解となる。

アは難しい。消去法で考えてみよう。

イは5に該当。日本や韓国は1人当たりの魚介類消費量が多い魚中心の食文化を持つ国。東シナ海には広い大陸棚。黒潮と親潮のぶつかる潮境があり、豊かな漁場となっている。

ウは2に該当。ここはアラスカ海流という暖流が流れており、海洋に栄養分は少ない(寒流は栄養分が多く、暖流はそうではないというイメージをしっかり持っておくこと)。ただしロッキー山脈や海岸沿いの山脈に水源を持つ多くの河川が流れ込み、サケやマスが豊富。河川で生を受け、海で成長し、再び河川を遡上し卵を産み落とし一生を終える。

ここで1と3が残る。これがアとエのいずれかに該当。

3の「寒流は存在しない」に注目。エの海域には実はカリフォルニア海流という寒流が存在する。ウとエの境界付近から赤道方向に向かって南下する寒流で、この沿岸には乾燥気候が広がる。

このことから3がエである可能性は消え、ウが該当する。「周辺諸国では動物性たんぱく源として多様な魚介類が重宝され」という部分も、エに東南アジアやオセアニアの島国が多いことから納得できるだろう。

 

問4 津波とは何だろう?海底地震によって発生する波動エネルギーがもたらす巨大な波である。台風のような低気圧によって生じる高波や高潮とは区別しておかなくてはいけない。

明らかな誤りは3。地震の波動が地面を伝わって遠い地域まで及ぶように、海底地震によって発生する波動エネルギー(津波をもたらすもの)も陸地に届くまでにそれなりの時間を要する。

1;入り組んだ海岸は風雨を防ぐ。高波の被害が及ばないため、湾奥には漁業集落が立地することが多い。ただし、津波に関してはむしろ被害を拡大する。海底を伝わってくる波動エネルギーが湾奥の一点に集中することにより、巨大な波が発生。津波である。

2;漁業集落が多いので海岸寄りに家屋が建てられる傾向が強いだろう。ただし実際にはあまりにも低い土地にはさほど家屋はみられないはずであるが。何とも微妙なのだが、選択肢3が明らかに誤りなので、本選択肢については正文とみなすべきだろう。

4;三陸海岸というのは岩手県から宮城県にかけての東北地方太平洋岸のことなのだが、この沖合には海溝が走っている。太平洋プレートと北アメリカプレートがぶつかり合い、プレートの「狭まる境界」となっている。地震の多発地帯であり、その影響はもちろん三陸海岸を直撃する。

 

問5 熱帯低気圧の発生に関する問題はしばしば出題される。ただし本問については過去問を参照する必要もないだろう。

5月と9月ならば9月の方が台風の発生が多い。これは普段の生活の中で十分意識していることだと思う。よってキが9月。

問題は等温線なのだが、これについてはカンに頼って推理するしかない。というか僕にはちょっとわかりません(涙)。夏には一般的にいって、陸地よりも海水の方が温度が低くなる(比熱の差。固体である陸地は暖まりやすく冷めやすい。液体である海水は暖まりにくく冷めにくい)傾向にある。沖縄の7月の平均気温は、25℃よりちょっと高い程度(28℃くらい)。9月もまだ暑い時期なので、7月とそう変わらず25℃くらいかなと思う。そう考えてみると、この等温線が28℃と仮定するならば、沖縄付近の水温は30℃近いことになってしまい、いくら何でもそれは高すぎるなあと思う。これを22℃とすると、東京の9月の平均気温20℃、東京付近の海水温19℃、沖縄の9月の平均気温25℃、沖縄付近の海水温24℃と考えると、つじつまは合う。

 

問6 ニュージーランドの気候環境に関する問題はしばしば出題されている。南半球の偏西風帯に位置し、同じ風向の風を一年中受け続ける。国土の中央を山脈が縦断しているため、風上斜面側で湿潤となる西岸では牧牛が、風下斜面側で降水量が少ない東岸では牧羊が、それぞれ中心に行われている。

このことからストレートに4を正解とすればいいだろう。

 

第2問 問題の質はすばらしい。非常におもしろい問題が並んでいる。しかし、難しい。問1・問2・問4については僕も確信が持てない。

 

問1 これは難しい。問題文をしっかり読んでみる。「都道府県が行う業務の一部をまかされている」とある。と都道府県の行政機関は原則として県庁所在地に集中していると思われる。その業務の一部を他の都市にまかせているというケースがあるということだが、この「他の都市」とは、その県を代表する都市(つまり県庁所在地)に次ぐ立場にある2番目の都市とみていいだろう。

1;「巨帯都市」という言い方はない。「巨帯都市群」は巨大な都市が複数連なっている帯状の地域で、メガロポリスともいう。典型的なものは米国の大西洋岸(ボストン~ニューヨーク~ワシントン)にみられる。日本の東京圏から大阪圏のことを東海道メガロポリスということもある。

2;これは初耳。

3;「新産業都市」とは60年代の経済成長期に、日本国中に工業を分散させ発展される目的で、産業の拠点として指定された15か所の地域のこと。石油化学コンビナートが積極的に誘致され、工業化が促進された地区もあるが、その多くはたいした成果も上げられず現在では忘れられている。センター試験では旧課程時代に出題されたことはあるが、新課程では初めて。なぜ今さらこんな言葉が取り上げられるのか!?

4;政令指定都市とは、札幌市・仙台市・さいたま市・千葉市・川崎市・横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市・広島市・北九州市・福岡市。規模が大きく、都道府県に相当する権限を有する。区に分けられているという特徴がある。

以上より、2が正解だと思う。違うかな?とりあえず僕は答がないのでわかりません。

(その後・・・)答は4でした。すまん、間違えた(涙)。ちゅうか僕でもわからん問題があるわけやから、君たちの気も楽になったんちゃう?(ものすごい自己正当化的な言い訳・・・)

 

問2 これも難しい。捨て問にしてしまってもいいと思うが。

地価の高い地域は住宅地よりも商業地域に利用されるだろう。デパートが集中し、地下街が発達する大都市の中心部を思い浮かべたらいい。このような地域では地価の高さが要因となって、人口の郊外流出(ドーナツ化現象)が生じる。

このことから、高地価の地域で高い値となっているアが商店密度と考えていいだろう。高層ビルなどが林立し、店もたくさん入っている。

ここからが難しい。人口密度と第2次産業就業者率の判別について。

第2次産業というのは鉱工業のこと(日本には鉱業労働者はほとんどいないので、実質的には工業のみ)。都市とは商業など第3次産業が発達するところであり、工業は関係ない。工業就業者の割合が高い都市もあれば低い都市もある。

人口密度についてはとりあえず明確なヒントがある。人口が多い地区でも高いのだが、面積が狭い地区で高くなるという傾向も大事。イとウを比べ、狭いエリアで高い値を示す傾向が強いのはどちらか。

僕はこれをウと判断した。中央の狭い2つの地区に注目すると、イでは白となっているが、ウでは斜線。これ以外にも左側に並ぶ比較的面積の大きな地区をみても手がかりになる。この地域に白が多いウがやはり人口密度を示すとみて不都合な点はない。

以上より、選択肢2を正解としてみたのだがどうだろう。

 

問3 100万人以上の大都市というのは大阪市や名古屋市のようなその地域の中心的な役割を果たす都市(地方中枢都市)を思い浮かべたらいいだろう。またわざわざ「東京は23区全体で一つの都市とする」とことわっているのだから、この大都市には当然東京も含めて考えるべきだろう。

このことから、●は主に東京・大阪・名古屋の三大都市圏に含まれる都市であり、中心となる大都市の郊外に成立したベッドタウン的な位置付けになる。新しい時期に開発されたニュータウンとよばれる住宅地を中心とした都市であり、大都市への通勤者が多い。若い世代を主として人口増加率が高く、昼間人口は夜間人口に比べ小さい。

このような大都市郊外の都市で指標Xは大きくなっている。選択肢を検討してみよう。

1;第1次産業とは農林水産業のこと。主に農業を考えたらいいだろう。大都市郊外の都市には大都市への通勤者が多く居住し、大都市では農業などに比べ商業や金融業などが発達していることを考えれば、彼らの多くは第3次産業に従事しているとみるべきだろう。

2;一般的にみて、大都市においては1世帯当たり乗用車保有台数は低い。公共交通機関が整備されているので乗用車に乗る必要がないこと、地価が高く駐車スペースの確保が容易でないこと、核家族あるいは一人暮らしが多く1つの世帯が複数の乗用車を保有することは稀であることなどの理由が挙げられる。●は大都市に隣接した都市であるので、乗用車の保有状況についてもそれに類する傾向があると思われる。

3;大都市では住宅1戸当たりの床面積は小さい。大都市に接する都市でも似た傾向になるはず。

4;●の多くは東京圏・大阪圏・名古屋圏などに位置するベッドタウンである。中心の大都市への通勤者は多い。つまり「他市町村への通勤者の割合」は高くなる。

 

問4 非常にあいまいな問題。僕にはわからないのだが、正解はどれだ!?

1;マス目になっているので、座標で各マスを表わすのは簡単だと思う。

2;どのマス目も面積が同じなので、人口の大小がそのまま人口密度の高低を表わすことになる。

3;人口密度が高いのが元々の市街地だろう。その内部にやや人口が少ないマスもあるが、これはドーナツ化現象が生じているのではないか。そして市街地から周辺にむかって人口が次第に少なくなっていく。都市の広がりが想像できる。

4;中央部の人口集中地区が中心業務地区だとは思うのだが、この人口分布だけみて、この中から中心商店街を判別することはできるのだろうか。ちょっとわからない。

5;図の左のやや人口が多い部分は何だろう?ニュータウンなのだろうか、それとも古くから存在する都市なのか。またニュータウンだとしても、そこに住む人の多くはどこに通勤しているのだろう。図に表されている人口集中地区かもしれないし、あるいはこの図の外側にあるそれ以外の都市かもしれない。鉄道やバスなどの路線がわからなければそれを推測することはできない。

これより4と5を誤り(つまり解答)としてみたが、どうだろう。

 

問5 問題文が長めなのでしっかり読むことが大事。登場する都市は4つ。東京・名古屋・静岡・岐阜。人口規模が書かれているのでこれはヒントになる。ただしこの4つの都市の位置関係は明らかにされていない。東京と名古屋はともかくとして、静岡と岐阜については君たちはどれほどの知識があるだろうか。

静岡は東京と名古屋のちょうど中間に位置する都市。両者と距離的にかなり離れているので独立した一個の都市と考えるべき。

それに対し岐阜は位置的にも近く名古屋との関係が密接。名古屋都市圏に含まれ、通勤者も多く住んでいると思われる。

図参照。静岡と最も関係の深い都市は3つのうちどれだろう。名古屋圏の郊外都市にしかすぎない岐阜は真っ先にはずれるとして、東京と名古屋が残る。前述のように静岡は東京と名古屋の間に位置する都市。あくまで限定された地域の中心である名古屋よりも、日本全体の中心である東京からの影響の方が大きいと想像できる。この時点で「7613」のBが東京、「5355」のCが名古屋、「494」のAを岐阜として代入してみよう。

ここからは矛盾点がないか検討する。Aの岐阜からみて、名古屋は最も重要な都市である。その重要性は日本の中心東京を超える。Aからみて、C(名古屋)との人的交流がBを上回っているのは納得である。

BとCの間の値は極めて大きい。これはこの2つの都市の人口規模が大きいことと関係ある。人が多く住んでいればその分だけ大きな数になって当然だろう。

この問題を解く上でのポイントは日本地理の重要性。「世界の都市は問われないが、日本の都市についての知識は必要」というセンター試験の原則にのっとった問題といえる。中学社会の勉強をしておくと、中京工業地帯には岐阜が含まれ、静岡は東海工業地域として名古屋圏からは独立した存在であることがわかる。日本の都市についてのイメージを中学地理を通じて学ぶこと。

 

問6 これも難しい。首都についての知識が問われているが、はっきり言って僕もリスボンの人口なんか知らんぞ!?

とりあえず答は3だと思う。10~20万という人口規模はかなり少ない。小さな国をイメージするしかない。北大西洋に浮かぶ火山の島アイスランド。ここにはさほど多くの人々が住んでいるとは思えない。せいぜい数十万人でないか。首都の人口も10万人程度か。

アイスランドは最近センター試験で問われることが多い国。チェックしておくべきだろう。

 

第3問 問2問4が難しい。この2問は仕方ないとしても他は全部正解する。問7は柔軟な思考を必要とする問題なので、これができていれば自信を持っていいと思う。

 

問1 土壌の問題は毎回1問くらいずつ取り上げられている。

北緯50°とは日本より高緯度。冷帯気候に含まれる地域が多く、このことから冷帯気候特有の土壌であるポドゾルが広く分布していると思われる。とくに北米大陸は冷帯の占める割合が高く、ポドゾルに広くおおわれているというトピックはかつて出題されたことがある。過去問でチェックしておこう。このことからイはポドゾル。

北米の中央平原に分布するウはプレーリー土。小麦の栽培などに利用されている。

 

問2 土地利用割合の問題も2年に一度くらい出題されている。とくに牧草地の割合が重要になるのだが、それにしてもまさかカザフスタンが取り上げられるとは思わなかった。

モンゴルの牧場牧草地の割合の高さは知っておいてもいいだろう。草原の国モンゴルでは国土のほとんどは草原によってうめつくされている。このことからCがモンゴル。

ここからはカザフスタンを知っているかどうかということになる。モンゴルと同様ユーラシア大陸の中央部に位置し、やはりここでも草原の割合が高いと考える。面積も広く、その分だけ人口密度も低いと考えられ、耕地面積割合も低くなる。Bがカザフスタン。

チェコは東ヨーロッパの小国。人口密度もそれなりに高いと思われ、その分だけ農業生産もさかんになるので耕地面積割合もそれなりに高くなっているはず。またこの国は酸性雨の被害によって森林が枯死していることでも有名だが、それは逆にいえばそれだけ国土が森林に本来は恵まれているということ。「その他」の割合が高いことからもAをチェコと考えていいだろう。

 

問3 第1問問1に続き、古期造山帯と新期造山帯との区分に関する問題。

問題文参照。まずウラル山脈が話題となっている。この山脈は低い丘陵性の山脈であり、古期造山帯に分類される。

さらに図3参照。ヨーロッパの地形は「北でなだらか、南で急峻」。北半分の地域では平原が卓越し、山脈も侵食が進みなだらかな山容となっている。南半分の地域は険しい山岳が連続し、地震が多い地域もみられる。対照的な南北の地形を考慮して、1~4のうちで最も北部にある1を丘陵性の山地、つまり古期造山帯と考える。よって答は1。2~4はいずれも新期造山帯に区分される山脈。

 

問4 これは捨て問。統計でロシアの原油生産と輸出をチェックしておくといいだろう。ともに上位にランクイン。

 

問5 地理A的な問題。地理Bで文字について出題された例はほとんどない。

問題自体は推理によって解くことができる。「社会主義」「隣国」がキーワードとなってロシア文字が正解。モンゴルはソ連の影響を受け、社会主義化された歴史を持つ。

 

問6 問題文参照。国境付近の写真であると述べられている。北がカナダで南が米国と思われる。このことから、土地利用については、国の方策によって相違が生じていると考えるのが普通だろう。

1;写真の左上から右下に向かって走る斜めの線(山脈の尾根線だろうか。それとも川の流れの筋か)は、49°Nの線と関係なく真っ直ぐに伸びているので、この部分に活断層による地形のずれがあるとは思えない。

2;年降水量500mmのラインが沿っているのは西経100°の経線。しかもこのような直線ではない。

4;これは道理が合わない。道路の左と右でこれほど土地利用が違うことがあろうか。

 

問7 X地区の特徴について考えてみよう。1戸当たりの部屋数の少ない集合住宅というのは、マンションやアパートのような建物のことだろう。都心近くにこのような建物は多いのではないか。都心だからビジネス街などになっており、そこで働く者が多く住んでいるはずである。逆に一般市民は郊外へより良い住環境を求め流出しているはず。いわゆるドーナツ化現象。

このことから4をXと推理する。20代や30代が多く、彼ら彼女らは単身でこの地域に住むビジネスマンではないか。一般家庭が少ない証拠に乳幼児や若年層が少ない。

高齢者の割合が高い3は「伝統的」なWだろう。乳幼児が多い1は最も新しい時期に開発された住宅地ということでY。10代が多い2は1より早い時期に開発されたZかな。

 

第4問 問1が目新しく、問4がやや難。しかしこの大問はぜひ全問正解してほしいところ。

 

問1 これは特殊。センター地理Bの中で国境が話題になったことは一度もなかった。しかし今回は本問以外にも第3問問6でそれっぽい問題が出されていたりして、ちょっと傾向が変わっている。

Aは河川国境。ドナウ川については本試でも問われているので、その流れはチェックしておくべきだろう。

Bは山岳国境。カフカス山脈については98A追と01B追の旧ソ連地誌でともに登場している。

Cは直線の国境線であるが、これは人為的に引かれたもの。乾燥地域では国は都市を中心に発達してきた。農業に適さない砂漠や草原はわざわざその所有を主張するほどの対象になりにくい。西アジアや北アフリカの住民は伝統的に交易によって生活物資を得る商業民族であったため、都市がそのまま国となり、その周辺の枯れた大地には興味が及ばなかったのだ。ただし欧米により植民地支配されると状況は異なる。ヨーロッパ人たちは、その領土の広さによって自らの権力の大きさを主張することが一般的であるので、たとえ砂漠であろうと、厳密にその境界線を規定しようとする。大きな河川や目立つ山岳もなく、伝統的な国境という概念もないため、ヨーロッパ人たちは植民地支配の過程で、それぞれの占領地の境界を便宜的に単純な直線で表わした。この影響が現代に及んでいるわけである。

都市国家として自らの都市の繁栄のみを目指すアラブ人的な国家観と、広大な領域を治めることが国の勢力を表わすという帝国主義的なヨーロッパ人の国家観とは、そもそも相容れるものではない、と僕は思う次第である。

 

問2 クルド人は過去問にも数回登場している。

 

問3 トルコのイスタンブールは、人口最大都市でありながら首都ではない都市の代表例。

ア;「農村部からの人口流入」がキーワード。この傾向が強いのは発展途上国である。中国に該当。

イ;カナダが多言語国家であることはセンター地理Aでよく問われていること。

ウ;キャンベラは近代になって計画的に建設された幾何学模様の街路を持つ都市である。政治機能に特化し、人口規模は小さい。出題例は多い。

 

問4 図がややこしいが、深く考える必要はない。ヨーロッパの産油国はノルウェーとイギリス。統計で確認しておく。

ゆえに油田もこの2か国に集中していると考える。このことから選択肢3と4が残る。

ここからはやや難しいが、3ではオランダ、4ではデンマークが油田を所有していることに注目。ヨーロッパで天然ガスを産する国としてオランダを押さえておきたい(これも統計を確認)。天然ガス田と油田はほとんど重なっているので、オランダ領海に油田が位置していると考えて矛盾はないだろう。よって3が正解。

またこの問題のポイントとしては、イギリス・ノルウェー・オランダなどの位置を知っておくことが求められている点にある。白地図を用意して国名と位置を一致させておくこと。マイナーな国まで覚える必要はないが、中学の問題集に出てくる国ぐらいは知っておいてほしい。

 

問5 域内総生産というのは主に工業力の大小を表わす指標であるが、とりあえず最もこの値が小さいクがASEAN(東南アジア諸国連合)であることは容易に想像できる。東南アジアは発展途上地域。

問題はカとキの区別。過去に類題があるのだが、それは「日本」「米国」「EU」を比較していた。この場合は、域内総生産(日本と米国の場合は国内総生産)は、「日本<米国<EU」の順だった。

本問についてはNAFTAがポイントになる。90年代になって結成された経済協力であり、センター試験ではとくに最近になって出題頻度が急上昇している。

米国を中心にカナダ、そしてメキシコとの間に結ばれた経済協定。EUに対抗して自由経済圏を成立させているのだが、商品の移動のみが自由となっており(つまり自由貿易。関税がかからないということ)、労働者の移動などは自由ではない。むしろメキシコ人の米国内への流入はより厳しく管理されるようになった。

米国の人口規模(2.8億人)と経済レベル(1人当たりGNP35000$/人)からわかるように、明らかに米国が主導権を持ち、カナダ(0.3億人、20000$/人)とメキシコ(1.0億人、4000$/人)はそれに従う存在に過ぎないことは明らか。

そもそも米国がなぜこのような経済協力圏をつくったか。それはEUに対抗するため。単独の国としてはヨーロッパに米国に匹敵できる国はない。しかしEUとして15か国集まれば、その人口規模そして経済規模は米国を上回る。米国がこのような状況に黙っているわけがない。すぐさまカナダとメキシコを引き連れて、人口・経済規模ともにEUをしのぐNAFTAを結成したのだ。世界に君臨する国家としての米国の意地が、この北米における自由貿易圏の設立の大きな原因となったのだと考えるとわかりやすい。

ちなみに統計を用いて、日本と韓国と中国(ホンコンを含む)そして台湾の人口と国民総生産を合計して、EUやNAFTAと比べてみよう。実は東アジア自由貿易圏が成立したら、それは世界で最大の勢力になるのだ。

 

問6 1;南アメリカ大陸の国々のほとんどに進出しているようだ。

2;イスラム教徒が忌み嫌う食材は豚肉とアルコール。アルコールは関係ないが、豚にしてもハンバーガーの一般的な材料だろうか。図でもサウジアラビアやエジプト(ともにイスラム教)には店が展開しているようだが。

3;先進工業国といえば、米国・日本・ドイツ(GNP順に1位・2位・3位)などであるが、たしかに多いような気がする。

4;牛の飼育頭数が多いのはインド。しかしこの国にはそれほど多く出店しているわけではない。

5;たしかにアフリカなど1人当たりGNPの値の低い国々については空白となっている。

以上より、4は確実に誤り(つまり解答となる)として、それ以外には2を挙げればいいだろう。ハンバーガーの一般的な材料は牛肉である。

 

第5問 特別難しいとは思わないが、時間がかかる問題が多いのがしんどい。とくに地形図問題などは最後に回し、じっくり時間をかけて解いてみよう。1~2問ロスに抑える。

 

問1 表と文章を確実に読み解く。焦らないこと。

 

問2 過去問に類題(というかほとんど一緒)あり。佐渡島のような日本海地域では水田の割合が高い。

 

問3 これは意外と難しい!?

三角州がセンター試験で取り上げられたのは初めてかも。っていうか、この問題にしても「適当でない」ものとして挙げてあるわけで、そういった意味では今回もやはり三角州そのものが出題されたわけではない。

三角州は河川の河口部に形成される土地。浅い海岸が上流から流れてくる土砂によって埋められることによって新しい土地ができる。目の細かい砂や泥が堆積した地形であり、水田として利用されやすい。

4の下線部は「砂州が伸びている」と改める。

 

問4 地形図問題が連続してちょっとキツイな。

1;加茂湖の南東側というのだから「吾潟」や「藤巻」と書かれた辺りだろうか。等高線の具合から考えて、緩やかな傾斜地とみていい。少なくとも低地ではない(台地に対する言葉は低地)。水田・広葉樹林・針葉樹林などの土地利用記号がみられる。

2;加茂湖の東岸に注目。砂丘ならばなめらかな湖岸に点々模様がみられるはず。図2の二ツ亀島へと伸びる砂州がわかりやすい。南部(品ノ浦・田浦付近の湖岸)では水田の土地利用記号こそみられるが、点々模様はない。越戸辺りの湖岸は、角ばった線にそって点が連なっている。同様の線と点の組合せは、図4ウの海岸線にも見られるが、これは「垂直の壁」の印。直線が海岸・湖岸・河岸を表わし、それが垂直に切り立っている。だからといって崖というわけではなくて(そもそも崖にしても角度は急であるがさすがに垂直になってはいないだろう)、このような地形は自然のものとは考えられない。コンクリートなどで固めた人工的な地形と思われる。水の力に負けないように「護岸」しているのである。港の岸壁や桟橋(さんばし)などを想像してみるといいだろう。

3;住吉の海岸に注目。細かな粒粒が岸に沿った海中に並んでいる。これは一体何だろう?

4;地図記号の問題。かつてセンター試験の地形図問題では土地利用記号は頻繁に聞かれるものの、地図記号が問われることはなかった。その傾向が昨年あたりから変化し、「官公署」や「市役所」「寺院」などが取り上げられることになった。ある程度でいいから地図記号は知っておくべきかもしれない。

防波堤付近にみられるのは「油田」ではなく「灯台」。

5;「消防署」の記号がわかるだろうか。それはともかくとして写真を見る限り、高層建築らしきものは見当たらないのだが。そもそもこのような小さな町に高層のビルを建てる必要はないだろう。

以上より、1は明らかに正解。2と5は誤りとみて妥当。4も地図記号の知識が問われるだけにちょっと難しいが、これも何とか解答候補から除外してほしい。よって3が正文となる。海中の粒粒はテトラポットではないか。冬の北風によってこの地域は高い波に見舞われるはずである。海岸の砂浜(地形図では面積が狭くて点々は確認できないのだが、写真を見ると何となく海岸沿いにうっすらと砂浜が広がっているようである)を防ぐ何らかの方策がとられているとみておかしくないだろう。

 

問5 新潟県でミカンが取れること自体に驚かされるのだが、問題そのものは選択肢の文章をじっくり読解すれば容易。

1;冬の季節風は日本など東アジアでは北西風になる。島の南東岸にあるRは風下側になり、この冷たい風は避けられる。また、暖流とは対馬海流のことだろうか。日本海はこの暖流の影響によって水温が高い。

2;夏の季節風についてはむしろ風上側になる。それに夏と冬とで風向が入れ代わるのだから、一年を通じて降水が一定になるとは思えない。

3;夏の季節風は南東風。

4;冬の季節風に対する風下斜面である。

以上より1が正解となる。

(発展)選択肢3で述べられている夏の北東風は「やませ」のこと。寒流である千島海流の影響によって、北海道や東北地方の太平洋岸は夏でも冷涼な気候となる。とくにこの千島海流に乗って海から陸に向かって冷風が吹き込むことがあるのだが、これをやませという。やませの勢力が強い時、冷害が発生する。夏の気温が上がらず、この地域の米作に大打撃を与える。北海道の太平洋岸はもともと米作が行われていないが、全国的な米どころの一つである宮城県などでは農業が壊滅的なダメージを受けることとなる。とくに1993年の冷害は有名で、日本はタイなどから米を緊急輸入しなければいけなかったのだが、この時とくに生産が落ちたのが宮城県特産のササニシキ。ちなみにやませは季節風ではない。季節風とは夏冬で風向が反対になる風のこと。やませは夏季にのみ発生(冬も吹いているかもしれないがそもそもその時期には農業がほとんど行われていないので影響はない)。

 

問6 これはとくに解説の必要もないのでは。

ア;港湾が発達している。

イ;山中であり、民家もあまりみられない。「砂金山」という地名がある。

ウ;「京町」という町名は古そう。「小六町」の小六というのもここを治めていた人名に由来するのだろうか。

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