2005年度地理B追試験[第5問]解説

2005年地理B追試験[第5問]

 

問1 [講評]緯度が同じ地点の気候判定問題は頻出。さらにこのように内陸型の気候と沿岸部の気候とを判断する問題もしばしば出題されている。「日照時間」というキーワードもセンター過去問に何回か登場したことがあり、日本海沿岸地域で冬季の日照時間が少ないことがポイントとなっている。

[解法](ケッペンの気候区分ではなく)内陸と沿岸の気温年較差の違いや、日本海側の降雪が問題を解くカギとなっており、極めてセンター的な気候判定問題である。

まずわかりやすいところから解いていこう。「12~2月の日照時間」がアのみとくに小さい値となっている。日照時間とはすなわち「晴れ」のことであり、これが少ないということは曇りや雨、そして雪の日が多いということになる。このことから、この時期とくに降雪量が多くなる日本海沿岸地域でこそ日照時間が少ないことを想像し、アを横手とする。横手そのものはやや内陸部であり、文字通りの日本海沿岸ではないが、それでも北上や釜石に比べれば、日本海を渡ってくる北西季節風によって多くの水分が持ち込まれ、冬季は雪が降りやすい状況にあると考えてみていいだろう。

残ったイとウについては、気温年較差で判断するといいだろう。イは気温の年変化が小さく、ウは大きい。このことから、イは沿岸部の釜石、ウは内陸の北上となる。海の「暖まりにくく冷めにくい」性質と、陸の「暖まりやすく冷めやすい」性質をそれぞれ考慮すればいい。

また冬季の日照時間は釜石で値が大きくなっているが、やはりここは日本海側からの水分が届きにくく、雪が少ない気候であることがわかる。季節風が日本列島という「山脈」に当たる風下斜面側に当たり、雲が生じにくい(むしろ乾いた風が吹く)。

 

問2 [講評]ダム湖が登場しているが、これは比較的珍しい。ダム(大松川ダムというものがある)によって河川がせき止められ、湖がつくられていることを思い浮かべる。

[解法]等高線を観察する。まず縮尺は問題文にあるように「2万5千分の1」であり、このことから等高線間隔が10mごとであることを頭に入れておこう(縮尺がわからなくとも、●cのすぐ下の「250」とXの上方の「308」を比べることによって、それぞれの等高線の間隔が10mごとであることはわかるだろう)。

まずXの標高を判定する。Xの■の右上にかするようにやや太い等高線が走っている。北方の標高点「308」を参考にしながら、この等高線が150mであることを判断し、Xの標高も150mとなる。

さらに湖面標高を判定しよう。湖面は水平なのだから、湖のどの地点で標高を判定してもいい。ここは「みたけ湖」という文字の右側の岸に注目しよう(道路や斜面の印がないのでわかりやすい)。「みたけ湖」の下に「252」の標高点がある。これを参考に、250mの等高線は閉曲線になっていてたどることはできないので、その一つ下の240mの等高線をずっとたどっていく。そうなると、みたけ湖の湖面が、190mの等高線のやや低い高度に位置していることがわかる。

ゆえに高度差は40mとなる。

 

問3 [講評]流域に関する問題が出題されたのは久しぶり。難問であるので、無理に解く必要はないが、逆に解くコツさえ知っていれば簡単に解けるところでもある。ある意味、ラッキー問題。

[解法]「流域」とは「集水域」と同義。雨が降った場合、どの範囲の雨水がその河川(あるいは湖)に注ぎ込んでくるのか。例えば世界最大の流域面積を持つ河川はアマゾン川であるが、これはアンデス山脈から東の広大な平原を流れているからである。これに対し、日本の河川は険しい山地を流下してくるため、一般に集水域が小さい。

集水域の判定には「尾根線」の存在が重要となる。周囲を尾根線で囲まれているからこそ、その内側に降った雨水はやはりその内側の河川へと集まり、逆に尾根の反対側に降った雨水はその外側の河川へと注ぐ。

明確な尾根線を引いてみよう。ここで注目するべきは「428」の山頂。山頂は必ず尾根線の一部分であるので、これを中心に尾根線を設定してみる。山頂から、等高線のふくらんでいる方向に線を下ろしていこう。そうするとどうなるだろうか。とくに「428」から「306」の方向へと線(これは尾根線である)が引けたのではないかな。この線に沿った部分が盛り上がっている(折り紙の山下りを想像する)ことを考える。

この線より東側に降った雨は東側へと流れ落ちて行き、つまり●aや●cに降った雨は「みたけ湖」へと流れ落ちて行くということ。逆に、この尾根線より西側に降った雨は西へと流れ落ちて行き、つまり●bに降った雨はみたけ湖とは反対方向へと流れ落ちて行く(図でははっきりとは読み取れないが「沢」と書かれている辺りに小さな川の流れがあるようで、●bはこちらの集水域に含まれている)。このことからbを正解とする。

 

問4 [講評]一部に地図記号(工場など)が問われているが、むしろ重視されるべきは土地利用記号(水田など)であり、その点ではセンターで出題される地形図問題のパターンからは外れていない。

[解法]1;確かに水田だったところが住宅地として開発されているようだ。

2;たしかに工場は無くなっているが、学校は元々あったものであり、「できた」とはいえない。工場の跡地は街路が整備され住宅などが建てられているようだ。

3;土地利用記号を見ると、水田から果樹園へと変化している。

4;新しく設けられた道路や拡張された道路などが見られ、市街地の整備は進んでいるようだ。

 

問5 [講評]現代社会的な問題ともいえるかもしれないが、これは簡単。でも意外とこういう問題で引っかかる奴って多いんだよね~

[解法]急激に増加しているものは「65歳以上人口」だろう。一方、だんだんと減少しているものは「15歳未満人口」と見ていい。最後に残ったものは「総人口」だが、これは現在の日本の人口増加率は約0%であり、近年横ばいとなっているのも納得だろう。

 

問6 [講評]これも現代社会?どうだ?結構常識なんだが。でも知らなかったらアウトだな(涙)。

[解法]3が誤り。日本は主穀である米については輸入を禁止していたが、米国を中心とする諸外国の圧力もあり、1995年に開催されたGATTウルグアイラウンドによって最低輸入量の受け入れを決定してしまった。これにより2000年までに国内消費量の5%分に当たるだけの米を強制的に輸入せざるを得なくなった。さらにこの取り決めは発展解消し、現在では他の農産物や工業製品などと同じように米も一般の関税がかけられて輸入されるようになった。結果、かつては自給率100%であったわが国の米も、若干その割合を落としている(95%程度)。

(参考までに)たしかにこのように米は関税化されることにより他の商品と同様輸入されてはいるが、それでも外国産の米に対する我々日本人の抵抗は大きく、やはり国内のブランド米や高級米の人気は高い。米の主な輸入先は米国であるが、米国の安全性や味に問題がある米は緊急時の備蓄米や飼料などに利用されることが多いのだそうだ。

選択肢1・2・4についてはノーチェックでいいだろう。ここでは米の自給率が決して100%ではないことだけを知っておく(とはいえ、他の農産物に比べれば圧倒的に高い数値なのだが)。

 

問7 [講評]ちょっと地理Bでは珍しいパターンじゃないかな。小学校や中学校の地理の学習が大事であり、あるいはある程度時事的なことも知らないといけないのかも。

[解法]サ;これは難しいのでパス(ってか大分県なんだけどね)。

シ;中山道というのは江戸(東京)から信濃や木曽地方を通って(現在の長野県や岐阜県)京都へと通じる道。このことからシを長野県と判定する。

ス;「かまくら」でわかるんじゃないかなあ。秋田県が正解。ちなみに、日本の雪は日本海上空で水分をたっぷり蓄えた季節風によるものなので、水気が多い「ぼた雪」となっており、雪像やかまくらを作るのに好都合なんだそうだ。