2005年度地理B追試験[第2問]解説

2005年地理B追試験[第2問]

 

問1 [講評]ここでも農業区分に関するキーワードが。

[解法]「焼畑農業」は熱帯雨林地域でこそ営まれる農業形態。アルプス山脈ではさすがに見られないだろう。

選択肢1・2・4についてはとくに検討の必要もないが、一応コメントを。

1;アルプス山脈は山岳氷河によって形成された地形が見られる。この急斜面も氷河に削られることによりつくられたものだろう。

2;写真をみるとまさにその通り。一般に、防御機能が重視された場合は「集村」となり、そうでない場合は「散村」となりやすい。戦争や敵の襲ってくる可能性がとくになかったために、アルプス山脈では集落が散村形態となっているのだろう。

4;ヨーロッパでは、南部の地中海沿岸を除き、家屋は木材によって建築される。写真にも多く森林が見られるようだ。

 

問2 [講評]ちょっと特殊な問題のような気もする。このような小地形に関する問題はあまり見られない。消去法で考えるのではなく、単に「扇状地」に関する問題として解く。

[解法]

扇状地については、扇頂・扇央・扇端の3つの区分が重要。とくに扇央と扇端のキャラクターの違いは問われやすい。

扇頂とは扇状地のうち最も標高が高い地点のことで、扇状地を扇の形とみるならば、留め具で固定されている根元の部分。ここから下流に向かって土砂が堆積することによって扇状地が形成されるので、まだ扇頂では扇状地特有の特徴が見られるわけではない。山から川が流下し、石もゴツゴツしている。

扇央とは扇の羽根の部分であり、全体的に目の粗い土砂が堆積している。水はけが良いため、この部分を流れる河川は表面には水が流れない水無し川となる。土地利用も、水田には利用しにくく、果樹園や畑となりやすい。

扇端とは扇の端で、扇状地がここで終わる。水が得やすいため、水田として利用されやすく、また古い時代から集落が成立することが多かった。

以上のことから、扇央と扇端の違いをふまえ、④を正解とする。

他の選択肢についても一応コメント。

①;三角州は低湿な地形である。このような地域では、水害を防ぐためにやや小高い地形(例;自然堤防)に集落が立地しやすい。この点から考えると「旧河道」はいかがなものか。旧河道とは、かつて河川が流れていたところ。蛇行する河川などにおいて流路を短絡化した場合に、かつて河川だったところは三日月湖などの形で残されることとなるのだが、さらにここを干拓したりして陸化させることがある。これが旧河道。もともとが河川なのだから、周囲よりも若干低い地形となっていることが多く、水害の被害も受けやすい。このような場所は村落に適した場所ではない。

②;これは何ともいえない。どうなのだろうか。段丘崖のふもとに集落ができる例はしばしばあるが(湧き水が得られやすいのだ)。

③;①と同様。扇状地や段丘のような水が得にくい地形では水の得やすい地点に集落ができるのに対し、三角州や氾濫源などのような低湿な地形では水害を受けにくい地点に集落ができる。人類の歴史は水との格闘なのだ。このことを考えれば、氾濫源では周囲より若干高い地形である自然堤防上にこそ村落が立地しやすく、その背後の湿地にはあまり人は住まない。

 

問3 [講評]日本の現代史に関する問題、あるいは経済に関する問題ともいえるが、だからといって地理の問題として不適切というわけではない。むしろ極めてセンター地理的な傾向の強い問題とみていいだろう。確実に正解してほしいが、しかしセンター過去問に習熟した者ならさほど難しくもないかな。

[解法]まず「高度経済成長期以降」という言葉に注目。高度経済成長期は主に60年代で、「以降」なのだからこれは現代の日本そのものを表すと考えていいだろう。

1;現代の日本において「山村」の「人口が増加に転じている」だろうか。人口増減の原則は「大都市圏で増加、非大都市圏で減少」である。非大都市圏でも地方中枢都市の存在する県では増加している事例もあるが、山村で人口が増えているとは思えない。

2;「農家の兼業化」は現代社会のキーワード。原因は「産業の地方分散」だけではないと思われるが、この選択肢を誤りとはできないだろう。

3;「漁村の多く」で「人口が減少している」ことは間違ってはいないだろう。選択肢1の内容とも重なっている。ただし「新しい漁場を求めて」が疑問。選択肢2にもあるように、他の職業に変わる(あるいは兼業化)の方が一般的なのではないか。

4;そもそも現代の日本において「稲作がさかんになっている」ということ自体が疑問なのだが、とくに「大都市近郊」に限定すればこれが大きな誤りであることがわかる。大都市郊外などでは、地価の高さや都市への出荷の利便性を考えて、より収益性の高い野菜などが栽培の中心となり、米などの穀物は栽培されにくい。園芸農業を考えてみればいい。農業区分に関する問題の一種ともいえる。

 

問4 [講評]枠線が示されており、わかりやすい地形図問題といえる。

[解法]①;「屋敷」「紺屋」などがその例だろうか。そういえば街路の形状も特徴的である(見通しの悪いカギ型街路など)。

②;本図において市街地は海岸沿いに広がっている。Bの枠内には大きな道路が通っているが(着色されているので国道である)、これはバイパスとみていだろう。市街地の渋滞を避けるようにやや住宅密度の低い地域を通過している。

③;Cの枠内にはたしかに住宅地が広がっている。とくに「朝日ヶ丘」という地名からも推測できるように近年開発されたニュータウンであろう。しかしこれが「沖積低地」なのだろうか。「沖積」という言葉はどうでもいい(注)。単に「低地」であるかどうかに注目してほしい。わかりやすいのは朝日ヶ丘と「宝来町」の間の等高線と斜面の印(ケバケバ線。土の斜面の記号なのだが、はっきりとした高低差があることがうかがえる)だろうか。少なくとも朝日ヶ丘は宝来町より一段高い地形に位置しているのだから、「低地」というのは不適切だろう。そもそも「丘」というぐらいなのだから、低地なわけはないよね。

(注)沖積平野の沖積とは沖積世の意味でつまり現代。現在形成されつつある平野のことを沖積平野といい、扇状地や氾濫源(自然堤防帯)、三角州など河川の堆積作用によって形成されたほぼ平坦な地形のことを沖積平野という。ここでは沖積低地なので(そもそも沖積低地などという言葉はない)、沖積平野の中でもとくに低地である氾濫源や三角州のことを指しているのだろう。

④;「建物の密集地」というのはD枠の左側の斜線部のことだろうか。住宅(黒い四角)もあるし、学校もみられる。

 

問5 [講評]センター頻出の都市に関する問題。ただしあいまいで答えにくい問題である。

[解法]インナーシティとは都心のことである。先進国の都心が老朽化したり荒廃してスラム化などの問題が生じることがあり、これをインナーシティ問題という。

まず選択肢②と選択肢③を参照してほしい。これが先進国のインナーシティで生じていること。先進国の都市は歴史が古く、どうしても都心部はこのように老朽化し荒廃してしまう。それにより「産業の衰退や企業の移転」が生じ、さらにそこに「低所得者が多く居住する」ようになる。さらにそういった低所得者には「移民」が多く、彼らは「出身地域ごとに集住する」。これについてはニューヨーク市における中国人地区や黒人地区(黒人は移民ではないが)などが具体的な例となる。また彼らは「低賃金労働」に就くしかないだろう(もしくは失業するか)。

しかしこういった地区をそのままにしておくわけにもいかない。積極的な再開発がなされており、とくにロンドン市のそれは有名である。選択肢①と選択肢④を参照。「老朽化したビルや住宅を取り壊して」、「オフィスビル」「高級住宅」「ショッピングセンター」「テーマパーク」「大型レストラン」などが次々と建設されている。

ただしこれでは全ての選択肢が正解となってしまう。しょうがないから(涙)無理やりにでも間違っているところを探して、答えを導かないといけない。ちょっと引っかかる部分としては「週末には」「深刻な交通渋滞が生じている」という部分。都心では渋滞はしばしば見られるものであるが、それがとくに「週末」ということがあるか。むしろ出勤者などが多い平日にこそ渋滞は激しいのでは。また都心の商業施設などに出かける場合には鉄道などの公共交通機関を利用するケースも多く、とくに渋滞が深刻となることはないのではないか。どうだろう?非常にあいまいではあるが(粗探しともいえるが)あえてこれを誤りとするしかないと思うのだが。

 

問6 [講評]この手の問題は最近しばしば出題されている。主な国について、その代表的な都市(それはほとんどの場合、首都であるが)をチェックしておくべきだろう。

[解法]ヨーロッパの国々では、人口最大都市と首都がほとんど一致していることもあり(スイスのみ例外)、非常に重要性が高い。その位置ぐらいは知っておくべきだろう。イギリスの首都はロンドンであるが、これは国の南部に位置し、テムズ川エスチュアリーに面する港湾都市である。このことからアをイギリスとする。

イとウについてはそれぞれ「炭田」と「鉄鉱石」がキーワードとなるだろう。ヨーロッパでポーランドと共に石炭のキャラクターを持つ国はドイツである。炭田上に立地したルール工業地域は中学でも学習するものであり、知っているだろう。まさに「国土の北西部」に位置している(これについてもセンターで出題例あり。重要!)。ゆえにイがドイツとなる。「南部の地方中心都市」とはミュンヘンのことだろうか。ビール産業で有名な都市だが、品質の良い水も採れ、近年はIC産業なども発達している。

残ったウはフランス。首都パリは人口600万を超え、フランスの人口の1割以上が集中する大都市。国土の北東部の鉄山はロレーヌ(ただし現在は廃れている)。

 

問7 [講評]統計を利用したセンター試験お得意の問題パターン。

[解法]人口大国インドネシアはセンター頻出の国であり、その特徴は知らなくてはいけない。エチオピアもしばしば登場する国であるが、アフリカの最貧国の一つ(残念なことではあるが)としてキャラクター付けしておけば十分。1人当たりGNIは極端に低く、国民が貧困にあえぐ。チェコはかつて土地利用割合を問う問題で登場しただけであり、この国についてはとくに知る必要はない。消去法で考えたらいいだろう。

まずインドネシアから。これは首都の人口規模から推測できる。人口937万人というのは極端に大きな都市である。東京より大きい。ただし日本より人口が多いインドネシア(2.1億人である)ならば、これだけ巨大な首都を持っていたとしてもおかしくないだろう。よってキがインドネシア。

さらに出生率に注目。キは43.8パーミルという極端に高い数値。原則として、人口増加率が高い地域においては出生率も高い。アフリカの国であるエチオピアは、人口増加率が高いと考えられ、同じく出生率も高いだろう。ゆえにキがエチオピアとなる。

残ったカがチェコ。ちなみにチェコはヨーロッパに含まれる国であり、都市人口割合が高く、出生率が低いという先進国特有のパターンを示すことについてはとくに不信に思う必要はないだろう(経済レベル的に考えれば、決してチェコは先進国とはいえないのだが。よかったら1人当たりGNIを調べてみてほしい)。

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