2001年度地理B本試験解説

2001年地理B本試験

第2問のようなセンター史上に残るような悪問はあるものの、それ以外はオーソドックスな良問が並び、全体としてはバランスが取れている。図表問題、とくに統計問題の重視という特徴がある。文章正誤問題は容易な問題と困難な問題に両極化し、簡単な問題は歓迎だが、難しい問題は捨て問になり、かえってあいまいな問題が減った分だけとっつきやすいのかもしれない。地形図は簡単で、こんなもんでしょっていう感じ。

 

第1問 東南アジア地誌。いきなり地誌問題ということでびっくりしたが、このパターンが2002年度も継続されており、これからは第1問で特定の地域の地誌が問われることが定番となりそうだ。

01B本第1問 東南アジア

01B追第1問 旧ソ連

01A本第1問 カナダ

01A追第1問 ハワイ

02B本第1問 北ヨーロッパ

02B追第2問 西アジア

02A本第1問 オーストラリア

02A追第1問 インド洋西部

この流れから考えるに03年はどこか?

本大問の難易度としては標準というところか。問1はやや戸惑うところであるが、海溝と海嶺の位置は近年頻出のマストアイテムだけに必ず正解を拾ってほしい。後は問4が難しいくらいで、他の問題は容易。全体で1問ロスくらいで乗り切れば言うことなしかな。

 

問1 海溝の位置を問う問題。海溝はしばしば出題されている。とくに東南アジアの海溝については、共通一次時代や旧課程時代にそれぞれ一回ずつ問われており、今回の出題もその例にならったものと言えよう。

図1の範囲で海溝が見られるのはAとD。BとCの海域の水深は浅い。よってこの手がかりだけで、正解は4と判定できる。

あ、海溝って知らないかな?「海の溝」と言うだけあって、かなり深いよ。水深の目安は6000mから10000mくらいかな。日本の周囲にもいくつかあるので確認しておいてほしい。地図帳で見たら、かなり濃い青で着色されているので分かりやすいと思うよ。

地球の表面は20枚程度のプレートによっておおわれている。このプレートが動くことによって大陸が移動したり大山脈が形成されたりする。これをプレートテクトニクス理論という。この理論自体は仮説に過ぎず、有名な「大陸移動説」も科学的に立証されたわけではない。よってセンター試験でその辺りが深く突っ込まれることはない。

だからここでは簡単な、しかも確実なことだけ押さえておけばいいと思う。それが「海溝」である。プレートの「狭まる境界」である。海洋プレート同士がぶつかり、ここから地下の間マントルの中へと消えていく。変動帯(火山活動や地震が発生しやすいところ)でもある。地図でその位置を確認する(センター試験で地図ってほとんど使わないんだが、海溝の位置は地図が必要となる数少ない例外である)。

みんなが思っているより少ないんで簡単だよ。まず日本近海にいくつかある。日本列島自体がプレートのせめぎあうエネルギーの凝縮したものであるので、その付近にプレートの「狭まる境界」である海溝が集中するのは当然のこと。日本海溝や小笠原海溝など。またそれに沿って南にはマリアナ海溝やフィリピン海海溝など。このように太平洋を取り囲むように海溝が連なっている。ニュージーランド方面にはトンガ海溝など。南アメリカ大陸西岸のペルーチリ海溝も重要。北アメリカ大陸では米国の西岸には海溝は見られないものの、カナダやアラスカ方面には海溝が連なる。

太平洋地域以外ではほとんど海溝は見られない。ただし数は少ないだけに確実に知っておいてほしいところ。インド洋のスンダ海溝、大西洋のプエルトリコ海溝を確認しておくこと。

図1の範囲ではAとDが海溝。よって4が正解となる。

海嶺は海溝の反対語。プレートの「広がる境界」に沿って2列に海底山脈が連なる。海面上に現れることはないが、かなり規模の大きな巨大山脈である。

1;ここは海溝。海嶺ではない。

2;この付近は大陸棚。水深は浅い。

3;ここも大陸棚である。とくにこのマラッカ海峡は水深がかなり浅いことで有名。西アジアから日本へと原油を運ぶタンカーの通り道として重要であるが、その狭さを浅さで交通渋滞が絶えないところでもある。船舶がぶつかる交通事故も発生しているようだ。

 

問2 風系の移動の問題。3月下旬や9月下旬には、赤道低圧帯はほぼ赤道上に位置し、両半球の中緯度高圧帯は緯度25度付近に位置する。6月下旬、風系は北上する。赤道低圧帯は北半球側に移動。北緯25度付近の中緯度高圧帯は北緯35度付近に、南緯25度付近の中緯度高圧帯は南緯15度付近に、それぞれ北上。12月下旬、風系は南下する。赤道低圧帯は南半球側に移動。北緯25度付近の中緯度高圧帯は北緯15度付近に、南緯25度付近の中緯度高圧帯は南緯35度付近に、それぞれ南下。

このことだけ頭に入れて、図を参照。まず赤道の位置を確認。赤道の位置はセンター試験頻出。スラバヤだけが南半球に位置することが分かる。スラバヤのような南半球低緯度地域の降水のようすを考えてみよう。風系全体が南下し、スラバヤが赤道低圧帯に支配される12月下旬を中心とした時季が雨季となる。乾季は6月下旬を中心とした時季。風系が北上し、スラバヤは南半球中緯度高圧帯に覆われる。

よって6月乾季12月雨季のパターンを探し、3がスラバヤとなる。

1はスラバヤと逆のパターンとなり、バンコク。2は年中降水が多い(月間降水量は約200mmに達している。かなり降水が多い。例えば00B追第5問問1のZのグラフと比べてみよう。実際の降水量は大きく異なるのに、縦軸の数字のとり方によって、見かけ上は似たグラフとなってしまうのだ)。ので、年間を通じて赤道低圧帯の影響を受けるシンガポールと考える。4はマニラ。フィリピンから中国華南、日本にかけての地域は秋に台風と呼ばれる熱帯低気圧に襲撃される。9月の降水量の多さに特徴がある。台風はフィリピン海上で発生し高緯度方向に移動するので、バンコクやシンガポールでは台風の上陸は見られない。

 

問3 棚田の登場。インドネシアのバリ島って書いてあるけれど、日本でもよく見られる光景なので知ってるね。棚田は98B本第4問問1選択肢3で話題とされている。斜面に見られる水田である。階段状に何枚もの水田が見られる。景観保護や生態系の保全に好影響を与える。土壌の流出も防ぐ。

1;このような形状の耕地に大型の農業機械を入れることができるだろうか。「大型農業機械」はアジアではなく、新大陸の農業のキーワード。企業的に大資本を投下した農業の特徴である。98B本第5問問7選択肢2が関連問題。

関連事項として、等高線耕作とその放棄による土壌流出を挙げておこう。米国では丘陵斜面を農地開発する際に、等高線に沿って耕地を拓く。上空から見ると縞状に見えるこの耕作方式を等高線耕作という。階段状に畑地を設けるため、土壌の流出を防ぐ効果がある。ただし近年、大型機械を導入しやすくするように等高線耕作が放棄されることもある。ただしその場合は斜面にそのまま耕地が拓かれることとなるため、土壌がすべって流れ出してしまうという問題が生じる。米国のコーンベルトや小麦地帯で見られ、大きな環境問題となっている。

2;沖積平野とは河川沿いの低地のこと。写真の風景はとても低地といえるような地形ではない。斜面であり、低平な土地ではないだろう。沖積平野についての詳しい説明はまたいつかしたいと思う。思うけどしなかったりして!?

「台風」も一応キーワードである。台風のような熱帯低気圧は緯度10~20度付近の海上で発生し、発達しながら高緯度方向に移動。緯度20~30度付近の沿岸地域に上陸し被害を及ぼす。つまりインドネシアのような赤道周辺の低緯度地域には台風の上陸は見られないのである。図ではバリ島の位置こそ示されていないが、とりあえずインドネシアの島であることは問題文にも示されているので、台風による降水が見られるとは考えられない。この地域で見られる降水パターンは対流性降雨、つまりスコールであろう(台風は低気圧性降雨)。

4;これも大事なキーワードやね~。「連作障害」。小麦など地力を消耗する傾向の強い農作物の場合、連続して作付けするととたんに収穫量が落ちてしまう。また特定の種の病害虫の発生も促すことになり、成育に大きなダメージを与えることもある。これを連作障害と呼ぶ。前述のように小麦がその代表的な例で、肥料などの農業技術が発達していなかった中世には三圃式農業など土地を休ませながら耕作を行う方式が一般的であった。01B本第3問問7選択肢3参照。三圃式農業とは、耕地を3つに分けて、それぞれ冬作地・夏作地・休閑地として、毎年ローテーションで回していくという農業形態。3年に一回休耕となるので地力が維持される。他の2年も異なる作物を栽培することで連作障害を防いでいる。

米国のコーンベルトなどもトウモロコシと大豆を輪作しているし、ポーランドやドイツでもジャガイモとライ麦の輪作が見られる。同じ畑で年によって季節によって異なる作物を栽培するというのは日本ではあまり見られない光景であるが、世界ではむしろそれが一般的なことなのである。

連作障害自体は00B追第4問問5で登場。ここではミカンのような樹木作物については連作障害は起こらないというネタとなっているが(毎年毎年異なる「樹木」を栽培できるわけがない。連作とか輪作という概念は小麦のような一年草であるからこそ成立するものなのである)、稲についてもやはり連作障害の対象となる作物でないことを知っておこう。水田で栽培されるので、水を頻繁に入れかえることによって養分の供給が十分に成され、地力は保たれる。冬季に水を抜いて十分乾燥させることで病原菌や害虫なども生き残ることができない。

というわけで、水田の場合、地力の消耗は考慮しなくていいので、4のような休閑は必要ないということになる。もっとも、小麦にしても10~15年も休閑する必要はないが。

おそらくこの文で説明している「10~15年は耕作を行わず、その後に数年連続して耕作する」というのは焼畑農業をモチーフにしているのだろう。熱帯林を焼いてその灰を利用して農業を行う。灰(つまり養分)が無くなったら他の地域に移動して同じように農業を行う。そのため焼畑農業は移動式農業とも呼ばれている。灰の効果は数年間続くらしい。その土地に樹木が生育するのに10~15年くらいかかるらしい。樹木が生育したらまた焼いて灰にして農業を行う。樹木の再生を待って行う自然と調和した農業形態が焼畑農業なのである。

以上より3が正解となる。まさに「棚田」がキーワードとなっている。「灌漑」がちょっと気になるが、図1のスラバヤの降水グラフからも想像できるように、インドネシアは乾季に見舞われる地域もあるのだろう。雨季の間は十分に水田耕作が行えるとして、乾季にはやはり灌漑の必要性も高いと思われる。

 

問4 ちょっと難しい問題。完全な捨て問というわけではないが、落としても仕方ないだろう。

1;ラオスはたしかにフランス植民地や。だから一見正しく思えるねんなあ。でもこれは誤文。それは「外洋」という部分。ラオスはどこにある?っていうか海に面していないことさえ分かればいいんだが。「内陸国」ラオスで「外洋」船が造られるわけがない。

2;こういう問題ではまず農作物に注目。農作物の栽培条件をまず考えるべきなのだ。つまり「小麦」が重要ということ。小麦の栽培条件は冷涼少雨。アジアでは中国の黄河流域やインドのガンジス川上流など降水の多くない地域で栽培されているね。というわけで、高温湿潤のマレーシアで栽培されるものなのだろうか。そもそも「乾季」という言葉がおかしい。問2を参照すればシンガポールが年中湿潤ということが分かる。マレーシアはシンガポールに隣接した国であり、やはり年中湿潤であると考えていいのではないか。

3;これが最大の難問。ミャンマーについての知識なんてないわなぁ。まあイギリスの植民地であったことくらいは知ってるかな。というわけでこの文の正誤も判定しにくいのだが。しかしとりあえずミャンマーに工業というイメージはないよね。だからこの選択肢も誤りとしていいと思うんだが。

4;フィリピンはかつてスペインに支配されていた歴史があり、主要宗教もカトリックである。

というわけで、かなり判定に迷う問題なのだ。東南アジア各国については、旧宗主国と宗教についてはマストなんだが、その点だけから考えても4を正解とするのは決して無理ということなはないんだが。だからといって、3を決定的に誤りとできるわけでもなし、その辺りは何とかクリアして欲しいな(涙)。

 

問5 1人当たりGNPの問題。マレーシアは東南アジアではシンガポールに次ぐ工業国である。1人当たりGNPは約4000$/人。ただし人口規模が小さいため(2000万人程度)、GNPはタイよりも少ない。ちなみにタイの1人当たりGNPは約3000$/人で人口は6000万人。マレーシアとタイのGNPを比較した場合、マレーシアは1人当たりGNPでタイの3分の4倍、人口で3分の1倍なので、GNPは9分の4倍となりだいたい半分くらいとなる。このことは第4問問1のカルトグラムの判定に使えるので試してみよう。

マレーシアの工業化ネタは意外によく出てくる。00A本第1問問6のテレビの話など。この国はルックイースト(東を見ろ!つまり日本を見習え!ということ)を合言葉に国家挙げての工業化を推進してきた。その甲斐あってか、現在ではなかなか高い経済レベルを持つ国へと成長した。しかしそれによって労働コストの上昇もあったわけで、とくに天然ゴムの生産に影響を及ぼした。基本的に人間の手で採取する天然ゴムの木の栽培は賃金の高い国(つまり1人当たりGNPの高い国)では成立しにくい。かつては天然ゴムで栄えたマレーシアであるが、近年はゴム園がつぶされ油ヤシに転換するプランテーションが増加している。もちろん天然ゴムのモノカルチャーから脱し、油ヤシを含めた多角化経営に転換するという意味もあるのだが、それでもやはりより少ない労働力で生産可能な油ヤシの栽培に切り替えるということは「高賃金国」マレーシアにとってごく自然な流れであると思われる。

現在の天然ゴムの主生産国はタイ。1人当たりGNP約3000$/人であり、賃金はやや安め。しかし何と言っても一本一本の木の幹に傷をつけ樹液を採取するというたいへん手間のかかるものだけに、さらに賃金の安い国へと栽培地が移動していくのが当然考えられる。これからはタイからさらにインドネシアに中心が移行していくのではないかな。まあ、インドネシアという国は原油など資源にあふれた国なので、農作物の生産なんかどうでもいいのかもしれないけどね(笑)。

本問の場合「製造業従事者の割合」も示されているが、このデータは無視していいだろう。「1人当たりGNP」を知っておいて、それだけを頼りに解いた方がいい。

 

問6 米の生産と輸出統計の問題。

米の生産上位は1位中国・2位インド・3位インドネシアの順。湿潤アジア(モンスーンアジア)で人口の多い順というわけだ。この表では3がインドネシアに該当する。

それに対し、輸出1位はタイである。生産順位はさほど高くない。しかし人口規模がそれほど大きくない(6000万人くらい)ため、輸出量が大きくなる。

この表では輸出量は間接的に「穀物自給率」として表されている。これらの国々では気候条件的に小麦やトウモロコシの栽培に適していないのだから、穀物自給率の「穀物」とは「米」のことと考えていいだろう。よって米の自給率が100%を大きく上回り、かなりの量を輸出に回していると考えられる1がタイとなる。

逆に米の生産は4カ国中最大でありながら、自給率は100を下回り、輸入に頼っていることが分かる3がインドネシアである。インドネシアは米の生産はタイより多いが、人口規模はそれに輪をかけて多いので、国民全員の胃袋を満たすには足りないというわけだ。

 

問7 これは簡単じゃないかな?センター試験って貿易の問題ってしばしば出題されるんやけど、難易度の低いものが多い。貿易の問題というわけではなく、農業や鉱工業のネタの延長として解いたらいいだろう。

アはインドネシアの特産品ということで「原油」。OPECの加盟国は超重要である。OPECの国々が世界の原油を独占しているというわけではないが(実際には50%弱。非OPEC国で産出される原油の方が多いのだ)それでもこれらの国々が原油に頼る経済構造を持っているのは事実。OPECの国名を知っておいて、それを原油と結びつけて連想する。インドネシアと書いて、原油と読む!

ウは日本の輸出から「自動車」と見ていいだろう。日本は世界2位の自動車生産国であり、その輸出台数は世界1位。自動車に関する統計はしばしばセンター試験に登場するし知っておいていいことだろう。

残ったイが「衣類」。フィリピンで輸出品の上位を占めているが、この国の経済レベル(1人当たりGNP)の低さを考えれば、衣類のような安価なものをフィリピンの低い賃金水準の労働力によって作っているのだなと想像できる。

(おまけ)問題自体の解説はここまで。ここからはさらにこの統計を味わってみよう。

インドネシアの輸出について。原油が多いのはまさにこの国がOPECに加盟する産油国であることから当然のことである。ただし他のOPEC国ってみんな原油(あるいは天然ガスや原油加工品)の産出と輸出だけに国内経済が依存するモノカルチャー国なのだ。それに対し、インドネシアって実は原油以外にもいろいろなものを輸出していてちょっとおもしろい国といえるね。とくにこれからは機械類が増えていくかもしれない。02B本第2問問3の表2にあるように、90年代に入って安価な労働力を利用しようとして日本の企業がインドネシアに進出し始めているようであるし。

液化天然ガスの輸出が多いのもOPEC加盟国としては当然のことだろう。油田とガス田は一致していることが多い。

合板の輸出が多いのもこの国の特徴。原木(素材)ではなく合板(加工材)を日本に多く輸出しているという話題は97B追第2問問7で登場。

インドネシアの輸入についてはとくにコメントなし。石油製品や有機化合物といった原油を原料とするものが多いのはどうしてだろう?インドネシアは原油の産出は多いがそれを加工する施設がないので、隣国のシンガポールなどの石油化学工場で加工しているのかもしれない。一旦シンガポールに輸出してそれを再輸入しているのか。よくわからんが。

インドネシアの輸出品としてはエビも重要なのではあるが、この表には見られない。

フィリピンの輸出について。機械類が多いのは東南アジア全体に言える傾向(ただしインドネシアなどの資源国は除く)。日本から部品を輸入し、国内の工場で組立て、米国に輸出するという貿易構造がしばしば見られる。輸出2位が衣類であるので、フィリピンの低賃金を利用して機械類だけでなく衣類の工場も多く進出していると思われる。3位の果実はフィリピン。とくに我々の食べるバナナはフィリピン産が多い。かつて日本に持ち込まれるバナナの主生産国は台湾であった。それがエクアドルに変わり、現在ではフィリピンとなっている。次第に経済レベルの低い国(1人当たりGNPの低い国)へと主要輸入先が移動しているのが分かるだろうか。昔はバナナは高価だったらしい。それが、生産の拠点を低賃金国へと移すことで価格を抑えることに成功している。

やし油とはコプラのこと。コプラとはココヤシから採取される油。ココヤシは油ヤシと同様、熱帯の湿潤地域で栽培される。ただしココヤシの方が海岸沿いに分布がほぼ限定されている。

フィリピンの輸入品についてはコメントなし。

マレーシアの輸出品について。機械類が1位なのは他の東南アジア主要国と同様。ただしこの国はテレビの生産と輸出が多いのが特徴。統計で確認してほしい。関連問題は00A第1問問6。パーム油も多い。マレーシアは世界一のパーム油生産国であり、プランテーションには油ヤシが見られる。パーム油は主に石鹸や化粧品の原料になったりする。木材の輸出にも注目。日本もマレーシアからさかんに輸入している。合板(加工材)を輸出するインドネシアとは異なり、マレーシアでは原木である丸太(素材)の輸出が多い。97B追第2問問7。

マレーシアの輸入品についてはコメントなし。

というわけで本大問は東南アジアについてのオーソドックスな良問が並んでいる。農業を中心とした自然地理、工業を中心とした経済地理がバランス良く出題されている点もいい。ただしこの地域を取り上げる際に必ず取り上げられると言っていい民族・宗教ネタがほとんどとりあげられていない点が意外。この辺りが地理Bの特徴なんやろね。00A本第1問と比較してみよう。地理Aでは逆に民族・宗教ネタが頻出。

 

第2問 センター史上最悪の大問。第1問は良問であるが、第2問はなぜ10年前の統計を使うのか?問3は僕も間違えた難問。問4ではDとEの判定をカンにゆだねるしかない。問5は北朝鮮のような政情不安定な国を出題するセンスが意味不明。問6は統計そのまんますぎる問題。もうちょっと考える手がかりをくれ!問7はもはやイジワル問題。

とにかくおかしい。誰がこの大問を作ったのだ!?この大問で得点することは困難を極める。この年の受験者は運が悪かったとしてあきらめるしかない。

 

問1 世界最大の貿易国であり最大の赤字国米国。このことさえ意識すれば何とか解答にたどり着くのではないかな。

Aの輸入は「66」「132」で合計「198」。輸出は「41」「156」で「197」。輸入額と輸出額がほぼ等しいので、とくに赤字国(赤字地域)というわけでもないだろう。

(注意)もちろん「198」と「197」のデータだけから赤字や黒字を判定できるわけではない。この図はあくまでA・B・Cの3つの地域間の貿易だけを表しているのであり、世界全体の貿易については分からない。アジアや南米、アフリカなど世界の他の地域に関するデータが不足している。とは言うものの、この3つの地域間の貿易の資料だけから世界全体の貿易を想像することはとくに不適切なことでもないだろう。というわけで、A地域については輸出と輸入のバランスの取れた地域と判断するのである。

Bの輸入は「41」と「62」で計「103」。輸出は「66」と「118」で「184」。よってB地域は貿易黒字国と考えていいだろう。

Cの輸入は「118」と「156」で「274」。輸出は「132」と「62」で「194」。あきらかな輸入超であり、この国(地域)は貿易赤字と考えられる。

以上より、貿易赤字である点からCは米国であると判定できる。貿易額の大きさも米国の特徴である。

米国がとくに貿易赤字が大きいのが日本。また日本は世界最大の黒字国でもあり、Bを日本と考えて矛盾はないだろう。

AはEU。EUは15カ国の集合であり、貿易額はかなり大きい。00B本第1問問5参照。ただし日本との関係は薄い。図1においてもAとCの貿易額は大きく、EUと米国とでさかんに輸出入がなされていることが分かるが、AとBの間の貿易額は小さく、EUにとって日本とはさほど重要なパートナーとは見なされていないようである。

 

問2 なぜ1990年~1992年のデータを用いるのだろう?他の問題は1996年や97年だというのに。しかも1991年はソ連の崩壊が起こったわけで、90~92年という年代は世界情勢の中でかなり特殊な時期に当たる。そんな時のデータを元に考えろっていうんやから、これはめちゃくちゃな問題やと言わざるを得ないな。誰もダメ出ししなかったんかな。

まあ、それも解答は不可能ではないので何とかやってみよう。

まず牛肉が消える。インドでは牛肉の消費量が少ない。図を見る限り、インドへと矢印の先が入っているようである。よって牛肉は不適当。

それ以外の3項目は重要な貿易品目であり、統計でしっかり確認しておいてほしい。日本の輸入先がポイント。

日本の小麦輸入先は1位米国・2位カナダ・3位オーストラリア。企業的に大規模に安価に小麦を生産している新大陸の国々に限定されている。米国では冬小麦(6月ころ収穫)と春小麦(9月ころ収穫)が、カナダでは春小麦(9月ころ収穫)が、オーストラリアでは南半球冬小麦(12月ころ収穫)が、それぞれ栽培され、収穫時期が異なるのがポイントである。

鉄鉱石の輸入先は、1位オーストラリア・2位ブラジル・3位インド。オーストラリアとブラジルは鉄鉱石の生産でも世界上位を占める。とくにブラジルでは石炭の産出がないので、石炭でも生産・輸出の上位国であるオーストラリアに比べ、「ブラジル=鉄鉱」とそのままイメージできる便利な国と言える。

木材の輸入は、1位カナダ・2位米国・3位ロシア・4位マレーシア。カナダと米国、マレーシアからの輸入の多さは97B追第2問問7でも話題とされており、木材ネタはセンターでわりとよく聞かれるものだと知っておいてほしい。

以上、3品目については中学校の社会でも登場する統計である(いや、中学受験つまり小学生でも勉強しているところ)なので、しっかり知っておかなければいけない。日本に関連する事項は知識問題としてセンター試験で問われる、ということ。

というわけで、ブラジルから日本への流線がないので鉄鉱が消える。東南アジアが輸出地域となっていないので木材が消える。よって小麦が正解。

小麦の輸出国としてはフランスが有名なのでフランスに流線の根元があるのを確認してもいいだろう。また、小麦の栽培条件(冷涼・少雨)を考えて、全体的に見て流線が高緯度地域から低緯度地域に向かっていることも確認しておこう。東南アジアやブラジルなど高温湿潤の地方では小麦の栽培ができず輸入地域となっている。

 

問3 こりゃ難問。できなくても仕方ないと思う。っていうか僕もガチンコで間違えました(涙)。解説する資格がありません。申し訳ないがパスです。

 

問4 問題としておかしい。不可能。圧倒的に割合の低いFはともかくとして、似た数値を示しているDとEに関しては判定不能と言わざるを得ない。「30.3%」と「19.7%」なんてそれほど極端な差とは言えない。しかも50年間の合計でしょ?この50年の間に日本の社会はとんでもない変化を経験してきたわけやし、それを総合してひとまとめにして考えろっていうのは無理な話やと思う。せめて、グラフの数を増やして、10年ごとの変化を示すなどして、考える材料を増やしてくれないとどうしようもない。

Fについては何とか分かるかな。日本と最も交流の浅い地域である。これをイと見なしていいだろう。でもDとEについては全然わからん。

 

問5 最悪。北朝鮮を出題対象にするかね~普通?今はまだマシやけどこの時期はミサイルが飛んでくるとかそんなヤバイ時期だったわけでしょ?完全な捨て問(この問題を作ったアホは捨て問のつもりで作ってないやろけどね)。ベトナムも初めて登場。センター試験でこういったマイナーな国が話題とされた時にはなぜか数年に渡って取り上げられ続けるというパターンがあるが(昨年と今年、ネパールやアイスランドが連続登場)ベトナムに関しては02年の登場はなかった。つまり本問がセンター試験の正統的な流れの中にあるのではなく、問題作成側にとっても失敗作だったと見なしているということではないのか。

 

問6 いくら何でも統計そのまんますぎるのでは?

まあ、観光に関する問題は今までもしばしば見られたし、ある程度出題が予想されるものではあったが。それに本問の場合は何とか解答を推理できる範囲のものであり、不可能というわけではない。

日本人の出国先としてはどこが1位なのだろう。グアム島やハワイへの観光客が多いのではないかと考える。よってXが米国。

YとZはかなり悩む。ただし日本人出国先にしても外国人の日本国内への入国にしても、ともにYがZを上回っている。日本との関係がより深い国を選んだらいいのではないか。いや、それでもやっぱり難しいなあ(涙)。う~ん、日本に観光に来れるだけの経済レベルを持った国民はどちらだ!そういう視点なら何とか推理可能か。1人当たりGNPが高く経済水準が高い韓国がYである。日本への入国が多い。これでどう?当たってる?っていうか答え合わせしろよっていう感じやな()。でも当たってるやろ?

 

問7 こりゃ無理だ(涙)。民族問題についての出題は地理Aではしばしば見られるものの、地理Bではほとんどない。出題されたとしてもごく基本的な問題となることが多い。

その点だけから見てもかなり特殊なのに、さらにここでは「正文」を選択する問題となっている。つまり3つの文の誤りを判定しないといけないわけで、こりゃ誤文選択問題の3倍ツライよ。

1;どうなんだろうね、こういうネタって。とりあえず建国されたのは「イスラエル」であって、「パレスチナ」ではないので誤りと判定はできるんだが。現在緊張が続く不安定な地域をネタにするのってセンター地理ではきわめて珍しい。こういう地域について知っておくべきなのはもちろん大切なのだけれでも、それは現代社会や政治経済の分野だと思う。地理履修者は現代史や現代政治の知識が決定的に欠けているわけであるし、そういう者たちにこういう表面的な知識を問う問題を出題しても、それは現地で苦しんでいるパレスチナ人やユダヤ人に対する愚弄に当たるのではないか。

またこの文章自体も素人。誤文判定させる場合は、ポイントを文の後半に持ってくるのが常識。01B本第1問問4ならば、選択肢1「外洋帆船が建造されるようになった」、選択肢2「小麦を栽培するところが多い」、選択肢3「綿布が主な輸出品になっている」、選択肢4「カトリックを現在も信仰する人々が多い」が正誤判定のポイントとなっているわけで、文の前半部分は正であるというのは暗黙の了解とされているわけだ。他の文章正誤問題でも、誤文の誤っている箇所に線を引いてみるといい。そのほとんどが文の最後に近い部分であるはず。

2;これはどう思う?想像するしかないんだが。

3;現代史の問題。ユーゴはともかく、コソボとかアルバニアとかマイナーな地名を出すなよって感じ。

4;こんなん分かるわけないやん(怒)。

やっぱりこれ作った奴ってヤバイよ。センター試験っていうものがどういうものなのか分かってない。現代史か国際関係の教授だとは思うんだけど、自分の専門範囲のことを出題しているのはいいとしても、大学教授にとっては一般常識であったとしても、受験生(とくにテレビも遮断して懸命に勉強している生徒)が知るはずもないことを話題としている。他のセンター作成者がセンター過去問を研究してその中から適切な出題をしているのに、こいつはそれが何にも分かってない。アマチュアの仕事やな。こんな奴がセンターの問題作って多額の報酬をもらっていたりしたら、すごくムカッ腹が立つな。

というわけで、怒りに任せて適当に書き散らしてしまったが(笑)、答えは何なんだろう。1は前述のように誤り。2も

世界はこんなに甘くないだろう。3と4が残るが、カンで解くしかないっしょ。4で「独立派」と「独立反対派」が入れ違ってるんやけどね。東ティモールは2002年に独立を果たしたわけで、90年代に行われた住民投票でも独立賛成の票が多数を占めていたのだ。

 

第3問 全問正解が狙える。問5がやや引っかかるかもしれないが、最初から計算で求める意識があれば解答は十分可能。地理を暗記科目ととらえている者は解答できない。

 

問1 関連問題は98A追第1問問2。1~2万年前の海退期(氷河期。大陸氷河の発達などにより氷の量が増えた分、海水が減って海面の低下が起こった)には現在よりも100~120mほど海面が下がっていたと言われている。これについては96追第3問問5が関連問題。この時、ユーラシア大陸と北米大陸の間の海峡は陸化し、2つの大陸は陸続きになった。

というわけで問題に移ろう。等深線が20m間隔で引かれている。まず、20mの等深線をたどってみよう。海面が20m低下したらこんな感じ。さらに40m。まだ北海道とサハリンはつながらない。では60mの等深線をたどってみる。この時初めて二つの大地は陸続きとなる。よって答えは2。素直に考えたらいいだろう。

 

問2 この問題は一体何なんやろって思うね。簡単すぎるやん。当たり前っていうか。解説は不要やね。

 

問3 これは中学生でも分かることだと思う。問題自体は容易。ただしこの問題には大きな秘密が隠されている。ここで取り上げられた「フィヨルド」は02年にも連続出題!02B本第1問問2参照。僕の個人的な見解なんだが、こういった小地形については勉強する必要はないと思う。ただしセンター地理Bの傾向として、前年に取り上げられた話題が連続して取り上げられることが多々ある。とくに難問についてはその傾向が強い。難しい問題が出た場合にはそれを基として翌年も同じような問題が出る。で、01年ではフィヨルドが登場した。これを難問というかは別として、小地形というかなり特殊な分野からの出題であるので、やはり要注意問題と見ていいと思う。それが翌年はフィヨルドの模式図という形で出るのだから、この連続出題のパターンを読んでいた人間は有利と言わざるを得ない。過去問の研究がいかに重要か分かるだろう。

 

問4 大陸氷河に覆われていた範囲を示したこの図2から学び取れることは多いと思うよ。じっくり見てみよう。ヨーロッパや北米では広い範囲に渉って大陸氷河に覆われていた。それに対し、アジアではほとんど見られない。

1;「ツンドラ土」という言葉がセンター試験で初めて登場したものであるが、十分想像はできるだろう。ツンドラ気候地域に分布している土壌である。ツンドラとは何か?「ツンドラ」とは「苔」のことである。冬季は氷雪に閉ざされているが、夏季のみ地表の氷雪が融解し、そこに苔などが生える。もちろん樹木は分布しないし、草もほとんど生育しないので農業は不可能である。せいぜい一部で遊牧が行われている程度。夏季でも十分に気温が上昇しない北極海沿岸やグリーンランドなどに見られる気候区である。

Aの地域は豊かな農業地帯でもあり、ツンドラとは考えられない。

というわけで、いきなり1が誤文である。

2;大陸氷河によって削られた大地には湖が多く見られる。広く浅い湖沼であるこれらのことを「氷河湖」と呼ぶ。カナダや北欧には氷河湖が多く分布している。00B追第2問問2選択肢1参照。

氷河湖と相対するものが「断層湖」。代表的なものはシベリアのバイカル湖や西アジアの死海など。狭く(細長く)深い。

3:ハンガリーのレスに関する問題。レスはセンター初出だと思うが、間帯土壌の問題はしばしば取り上げられている(インドのレグール土や地中海のテラロッサなど)。

大陸氷河は地表の腐植土を削り取ってしまう。そのため、大陸氷河に覆われていた地域の土壌はやせている。それに対し、氷河の外縁部には氷河によって運ばれた腐植土の堆積物が見られる。それらが風によってばらまかれ、豊かな土壌となる。この氷河性の風積土をヨーロッパレスと言う。ハンガリーの他、ロンドン盆地やパリ盆地(図2を見てみよう。ロンドンもパリも大陸氷河の外縁にある)にも分布している。とくにハンガリー盆地はロンドンやパリに比べ南に位置し夏季に温暖となるので小麦だけでなくトウモロコシの栽培も可能であり、東ヨーロッパの穀倉となっている。経済レベルの高くない地域であり、まだまだ農業の生産性は低いが、気候や土壌としては欧州最高の農業地域となる可能性が高い。

(おまけ)ヨーロッパレスの話をしたが、中国レスというものもあるのでその違いを説明しておこう。中国のレスは黄土(こうど)とも呼ばれている。黄河流域に分布する肥沃な土壌である。ヨーロッパレスとの違いは、これが大陸氷河とは全然関係ないことである。図2を見ても分かるようにアジア地域は大陸氷河に覆われていなかった。単なる風積土壌である。

4;北ヨーロッパ平原(Dの地域)では腐植土が大陸氷河によって削られてしまっている。ドイツやポーランドでジャガイモの生産が多いのは、やせた土地でも十分に栽培ができるからである。

 

問5 乾燥指数という言葉が出ているが、言葉自体の意味を問われているわけではないので安心。僕もこんな言葉は初めて聞いた。

乾燥指数は計算式によって求められるらしい。ここでは具体的な数値をもって計算するという意識を持ってみよう。

君たちは自分の住んでいる町の気候を知っているかな。夏の平均気温や冬の平均気温、そして年間の降水量など。東京の気候を頭に入れておこう。最暖月平均気温25℃、最寒月平均気温5℃。ということで年間の平均気温は15℃程度となる。さらに年間降水量は1500mm。

というわけでこれらの数値を用いて計算しよう。東京の乾燥指数(I)を求める。P=1500、T=15である。

1;1500/15+10=60

2;10×15-1500=-1350

3;1500-10×15=1350

4;(15+10)/1500=1/60

ここで図3を参照。東京は図から外れているので、その値は想像するしかないが、中国で40くらいになっているので、日本の数値もそれに近いものになるはずである。よって1・2・3・4で求めた答えのうちこれに該当しそうなものを挙げると、自ずと答えは限られてくる。

あるいは別解。アフリカや中央アジアの乾燥地域で数値が低く、東南アジアなどの湿潤地域で数値が高い。よって乾燥指数とは、湿潤の度合いが上がればそれと比例するかのように数値が大きくなるという性質を持っていると言える(だから本当は「乾燥指数」っていうのはおかしいんやけどね。むしろ「湿潤指数」って言うべきじゃないのかな)。選択肢を参照しよう。2や4では、Iの値がTの増加によって、それと相反するように減少することが分かる。よってこれらは不適。後は先に述べた解法と同様、具体的な数値をもって考えてみよう。

ここでは東京の気候(P=1500、T=15)を用いて計算してみた。もちろん他の地域でもいいが、東京の気候を利用するのが一番簡単かな。

問6 1;乾燥地域なので米が広く栽培されているとは考えにくい。

2;トウモロコシの原産地は新大陸(とくに南米大陸)であり、アフリカで伝統的に見られる植物ではない。

4;この地域にはイスラム教が広く分布しており、不浄と考えられている豚はほとんど飼育されていないであろう。

よって消去法により3が正解となる。

1は農作物の成育条件(米は湿潤地域)、2は農作物の原産地(新大陸原産のものは多い)、4は宗教(イスラム教徒は豚は食べない)、それぞれさまざまなジャンルに関する話題であり、実は案外と難しいのかも。例えば、トウモロコシと聞いたらすぐに「新大陸原産」と思い浮かべるとか、豚と聞いたら「イスラム教で禁じられている」と真っ先に考えるとか、連想ゲームみたいにセンター試験で問われるパターンを頭に入れておくべき。

トウモロコシの原産地については98A本第2問問6で取り上げられている。豚とイスラム教の関係については98A追第2問問7で登場。

おまけ。新大陸原産の農作物。トウモロコシ、ジャガイモ、キャッサバ、サツマイモ、天然ゴム、カカオ。最近よく出題されているのは天然ゴム。99B追第1問問5、01B本第1問問6など。

 

問7 各地域の農業の様子を問う問題ではあるが、ホイットルセーの農業区分の問題とも言える。

農業区分のキーワードを押さえながら確認していこう。

1;「経営規模の小さな」「労働集約」はともにアジアのキーワード。家族中心の零細経営によって農業が行われており、農民の数も多い。よって1の農業形態は「アジア式農業」。さらに「稲作」とあるので、「アジア式米作農業」となる。

2;「ナツメヤシ」が最大のキーワード。砂漠の民の主食。乾燥地域で行われる伝統的な灌漑農業である「オアシス農業」によって栽培される自給的作物である。オアシス農業においては、地下水路や外来河川からの取水によって灌漑が行われている。外来河川は02B追第3問問1で出題。オアシス農業についても同じく問7で問われている。

3;「ライ麦」がキーワード。主要生産国はポーランドやドイツ。ジャガイモとともに家畜(ブタ)の飼料用として栽培されている。この農業形態を混合農業という。

4;「オリーブ」がキーワード。地中海性気候下で行われる地中海式農業。夏季の乾燥に耐える耐乾性の樹木栽培が特徴。湿潤な冬季には小麦の栽培も。

以上より、1が東南アジア地域、2が西アジア地域、3が中部ヨーロッパ地域、4が地中海沿岸地域。

農作物(稲・ナツメヤシ・ライ麦・オリーブ)に注目するのがポイント。

 

第4問 地理Aとの共用問題だけあって、傾向がやや一般的な地理Bのパターンと異なる。簡単な問題もあるけれど、どないもならん問題もある。捨て問が出てくるのは仕方ない。問1は統計を元とした問題であり、確実に得点する。問2は問題自体が簡単。問3の民族は手ごわい。2つまでは絞れると思うんだが。問4はどうかな~。都市名が出されているわけで、捨て問と思っていいだろう。問5は考えて解くしかないが。問6は植民地の問題なので確実に得点。

というわけで、問1問2問6はかならずゲット。問3問4問5はできなくてもしゃあないけど、ここを2問ロスくらいで乗り切りたい。

 

問1 こういう統計地図をカルトグラムっていうね。広さによって量の多さを表す。気温などの数値を表すのは不可能であるし、人口密度などの率・割合を表すのにも不適当。絶対的な数量、つまり実数を表す。

選択肢1から4までを見てみよう。いずれも実数である。1や3はまさに量であるし、2は金額によって示されるものである(単位は$であることが一般的)。4も台数である。

まず1から具体的に検討しよう。「エネルギー生産」とは何か。この定義をしっかりしておかんとあかんね。この場合の「エネルギー」とは「一次エネルギー」のことである。一次エネルギーとは「固体燃料」「液体燃料」「気体燃料」「電力」に分けられる。固体燃料とは「石炭」のこと。液体燃料とは「原油」のこと。気体燃料とは「天然ガス」のこと。電力とは「その他」のこと。

このうち電力の定義がやや分かりにくいかもしれない。普段我々が使う電力には主に火力発電、水力発電、原子力発電などによるものがある。だから一般的に電力という場合にはそれらを全て含む。しかし一次エネルギーにおいて電力という場合には、それとはやや定義が異なる。なぜなら火力発電っていうのは、石炭や原油、そして天然ガスなんかを利用して発電を行うもの。だからこれを一次エネルギーにおける電力に分類してしまえば、前述の固体燃料・液体燃料・気体念燃料と重なってしまうわけだ。よってこの場合は火力発電によって発電した電力を省いて考えなくてはいけない。

というわけでエネルギー生産量の定義が分かったところでこのカルトグラムを見てみよう。日本がかなり大きい。日本がこれほどのエネルギー生産国だろうか。石炭も原油も天然ガスもほとんど取れないではないか。というわけで1は消去される。1が正解ならば、サウジアラビアなどOPECに加盟する産油国がもっと広く表されるはず。

3も消去していいだろう。穀物の例としては、米・小麦・トウモロコシなどが挙げられる。米の生産はともかくとして、日本は小麦やトウモロコシはそのほとんどを外国からの輸入に頼っているではないか。中国やインドなど人口大国で穀物生産は多いはずである(米の生産1位中国2位インド。小麦生産も1位中国2位インド)。

というわけで2と4が残される。

国民総生産とは何か。国民によって生産されたものの総額という意味。生産されたものには、農産物、鉱産資源、工業製品など含まれるし、その総額には商業活動などによって稼がれた金額も加算される。総合的な国の力と考えたらいい。とはいうものの、一般的に言ってその国の工業力を示す指標と考えていいだろう。農産物や鉱産資源などよりもやっぱり国家の経済を支えているのは工業である。よって工業生産量の多い国で国民総生産が大きいという傾向があると見なしていい。

で、ここでちょっと考えてほしい。「工業生産が多い国で国民総生産が大きい」のは確かである。しかし、工業生産が多い国ってそもそも自動車生産台数も多くて当然だ。つまり、国民総生産が大きい国では自動車工業もさかんであると考えていいと思う。

ってことはつまり、国民総生産の大小と自動車生産台数の大小は比例関係にあるわけで、これでは選択肢2と4の判定が不可能となる。

さあ、どうしよう。ここで結局ポイントになるのは、自動車生産の統計をどこまで具体的に知っているかってこと。工業製品の統計は知っておくべき数は少ないものの、その順位まで確実に押さえておかなくてはいけない。とくに鉄鋼と自動車についてはマスト。

で、その自動車の統計やけど、1位米国2位日本3位ドイツくらいは知っているかもしれない。でもそれでは問題は解けないのだよ。国民総生産の上位国も1位米国2位日本3位ドイツなのだ!つまり自動車生産の4位以降が大事ということになる。統計で確認しよう。4位フランス、5位カナダ、6位スペイン、7位韓国。

自動車統計を頭に入れてからこのカルトグラムを検討してみよう。米国や日本、ドイツなどが大きいが、これでは国民総生産か自動車生産台数か不明。注目するべきは、カナダやスペイン、そして韓国。面積が小さいではないか!というわけで自動車生産が除外され、国民総生産が残る。

自動車生産統計については、99B本第3問問1が類題。厳密には乗用車であり、自動車ではないが(自動車は乗用車と商用車に分けられる)。例えば、自動車生産は1位米国2位日本3位ドイツ。ただし米国はバスやトラックなどの商用車が多いため、乗用車生産に限ると1位日本2位米国3位ドイツとなってしまう。ただしこの問題の場合はドイツを判定するので、自動車統計だろうが乗用車統計だろうが関係ない。

また02B本第2問問1でも自動車生産統計がそのまま出題されている。このように近年だけでも99年01年02年と3回出題されているわけで、自動車統計についてはマストアイテムやと考えてほしい。

(ちょっとおまけ)GM・フォード・クライスラーの米国、トヨタ・ニッサンの日本、BMW・フォルクスワーゲン・ベンツのドイツ、ルノーのフランスが自動車生産上位国なのは納得できる。しかしカナダやスペインで自動車生産が多いのはどうしてだろう?実に簡単な理由。主要国の自動車メーカーが近隣の賃金水準の低い国に工場を建設したからである。

例えばカナダ。1人当たりGNPが20000$/人であり、米国(30000$/人)に比べ低い水準である。米国の自動車工業の中心はカナダ国境に近いデトロイトである。自動車の組立工場をカナダに建設する。米国内で部品を生産し、それをそのままカナダに輸出する。カナダの安価な労働力で組立て、それを米国が逆輸入する。これにより労働コストが節約され、より安価な自動車が米国民の手に渡るのだ。

通常なら貿易の際には関税というものがかかり、値段が高くなってしまう。ただし米国とカナダ(とメキシコ)の間にはNAFTA(ナフタ。北アメリカ自由貿易協定)というものが結ばれ、モノの移動に関税などがかからない自由貿易圏が成立しているのである。これにより、部品のカナダへの輸出と製品のカナダからの輸入が自由に行え、結果として、カナダの自動車生産が近年急激な成長を遂げつつある。

スペインも同様。ドイツやフランスの自動車工場が進出しているのだ。ここにもEUという自由経済圏がある。

韓国の場合はいずれかの自由経済圏に属するわけではないが、韓国内の自動車メーカーの成長が80年代以降目だってきたというわけだ。

(別解)というわけで、さらに別解について説明しよう。僕が解いたパターンを言うよ。

このカルトグラムを見て、何となくGNPかなって思った。一応、地理の先生だからそれくらいの見当はつくのだ(笑)。あとは確かめるだけ。GNPを計算してみようと思った。

(GNP)=(1人当たりGNP)×(人口)

米国は、30000$/人、2.5億人。

カナダは、20000$/人、0.3億人。

というわけで、カナダのGNPを1とすると、米国のそれは12ということになる(1人当たりGNPが1.5倍。人口が8倍)。

図を見ると、カナダ20、米国262で、ほぼ1:12となっている。矛盾はない。よって国民総生産と見て間違いないだろう。

日本と韓国で考えてみてもいい。

日本は、35000$/人、1.25億人。

韓国は、10000$/人、0.45億人。

よって日本のGNPは韓国の10倍と考えられる。図を参照し、韓国16、日本162より、計算と合致する。

他にも、1人当たりGNPと人口が分かる国はいくらでもあると思うので、計算してみるといい。

 

問2 問題自体は容易。

ASEANとは東南アジア諸国連合のこと。東チモールを除く東南アジア10カ国全てが加盟している。何をする団体か、っていう知識は不要。単に東南アジアの国々よって構成されているということだけ知っておけば十分。関連問題は00B本第1問問4選択肢4。

EUとはヨーロッパ連合。西ヨーロッパを中心とした15カ国によって構成されている。EUに関する出題はしばしば見られるが、加盟国が問題となったのは00B本第1問問7や97A本第1問問6など。また97A本第1問問6は参考問題としても重要。選択肢5より「EUでは、原則として、生産物、サービス、資本、労働力が自由に移動できる」とある。このことをEUを表すキーワードとして捕らえておくべきだろう。本問においても選択肢3で「人・もの・サービス・資本の自由な移動を妨げる障壁を撤廃」と書かれている。97Aの問題とほぼ同じようなニュアンスを表現した文章となっているわけだ。

NAFTAとは北アメリカ自由貿易協定のこと。米国を中心にカナダとメキシコが締結している。モノの移動が自由である。

OPECとは石油輸出国機構。主要な原油輸出国が加盟している。インドネシア・イラン・イラク・サウジアラビア・クウェート・アラブ首長国連邦・カタール・リビア・アルジェリア・ナイジェリア・ベネズエラが構成国。いずれの国も原油の産出と輸出に国内経済が大きく依存する原油モノカルチャー国と考えていい。

というわけで、3がEU、4がOPECだろう。3のEUについては上記の通り。4については「石油」がキーワードとなっている。メジャーとは米国やイギリスなどの巨大な石油企業。世界支配を狙って、OPECとはライバル関係にある。メジャーについては02B追第3問問6で話題とされている。

残るは1と2。ただしASEANは10カ国であるので、2ではない(2は2カ国に1カ国が加わったので3カ国であると考えられる)。よって1。以上より、解答(つまりNAFTA)は2となる。

(ここからはおまけ)1について。「豊富な低賃金労働力」とあるが、たしかに東南アジアは人口規模が大きそうである(どれくらいかは調べてみたら!?)。しかも1人当たりGNPの低い国が多いので賃金水準も低いと考えられる。「外国資本」とは日本のメーカーなどの工場が進出していることを表している。東南アジアには輸出加工区が多く設けられ、ここはさまざまな優遇政策によって外国からの企業が進出しやすい条件が整っている。「世界経済の成長センター」とは90年代以降この地域が急激に工業や商業の分野で大きな成長を続けていることを示している。

2について。「隣接する2カ国」とは米国とカナダのことだろう。「南に位置する国」とはメキシコか。関税のかからない自由貿易圏が成立している。これにより、カナダでは自動車工業が、メキシコでは電気機械工業が、それぞれ成立している。いずれも米国から企業が安価な労働力を求め組立工場を進出させたからである。部品の輸出や製品の輸入に関税がかからないのだから、多くの労働力に依存する労働集約型工業にとっては賃金が安い分だけ都合がいい。

 

問3 ずいぶん「普通」の民族ネタ。「普通」ってことは「センター的ではない」っていうことやで。僕としてはこんな問題が出されたらちょっと戸惑ってしまうねんけど。。。

本問が地理Aと地理Bの共用問題ということで納得するしかないのだろうか。地理Aなら考えられなくはないが、地理Bならば極めて特殊な出題パターンと言わざるを得ない。

各選択肢の内で最も正誤判断が容易なのは、3だと思う。南アジア各国の宗教分布はマストアイテム。「インド=ヒンドゥー、バングラデシュ・パキスタン=イスラム教、スリランカ=仏教」というネタは必修。というわけで、3の「ヒンドゥー教徒が多数を占めるバングラデシュ」は誤りとされる。

1も消せるか。ゲルマン民族は基本的にキリスト教の新教徒(プロテスタント)。ゲルマン民族はドイツやイギリス、北欧などヨーロッパ西北地域に分布しているが、いずれも新教徒である。というわけでイギリスはプロテスタントであるので、1は誤りと判定される。ちなみにこの文章は「プロテスタント」と「カトリック」を入れ替えたら正文となる。

というわけで2と4が残るんだが、ここからはどうしよう?ここからはカンに頼るしかないと思う。

2について。シンガポールの民族構成はもちろん知っておくべきなので「華人の割合が高いシンガポール」の部分が正であることは容易に判定できる(民族構成がポイントとなる東南アジアの国はシンガポールとマレーシア。00A本第1問問3で出題されている)。ここからなんだが「マレー系住民の割合が高いインドネシアから独立した」のかどうかが勝負の分かれ目になる。そもそもインドネシアに住んでいる人々はマレー系なのか?っていう疑問もある。またシンガポールはそもそもインドネシアから独立したのであろうか?その辺りに疑問を持ってほしい。というわけで2は誤りで正解は4となる。

2について。シンガポールが独立したのはマレーシアから。かつてはマレーシアとシンガポールはともにイギリス領であった。戦後、一旦まとめて一つの国として独立したが、マレー人中心の国を作りたいマレーシアに対し、中国系中心の国際国家を目指したいシンガポールが異論をはさんだ結果、分離独立となったのだ。これに対し、インドネシアはもともとオランダ領であり、イギリス領であったマレーシアやシンガポールとは異なった歴史背景を持つ国である。

4について。バスク人ネタは97B本第2問問2以来。この97B本第2問は地理Bでありながら民族宗教ネタが大きく取り上げられた極めて珍しいケース。新課程導入初年度の問題ということで必ずしも地理Bの傾向を完全に備えるものではない。それを考慮すると、今回のバスク人の出題は特殊なケースといえるのではないか。しかもセンターレベルでは、バスク人の分布については「スペイン国内」という認識でいいのであって、本問のように「フランス」という地域まで挙げられていると混乱してしまう。難しいね。

というわけでバスク人の説明。スペインとフランスの国境にピレネー山脈という険しい山があるのだが、この西部の大西洋岸に沿う地域をバスク地方という。フランスとスペインの一部が含まれる狭い地域であるが、言語分類不能のバスク語を使用するバスク人が居住している。選択肢4の文にもあるように、民族運動が活発な地域でもある。ただし一部ではテロなどの過激な活動も見られるようだが、決して内戦などに発展する類のものではない。将来的にも平和裏な問題解決が期待されている。

 

問4 極めて珍しい出題パターン。捨て問と見ていいだろう。今さら都市名が出題されるなんていうセンスが最低だと思うで(笑)。

とはいうものの中学レベルの知識がしっかり定着している者ならば簡単に解答できたんじゃないかな。豊田は自動車工業の町。千歳は空港。奈良は誰でも知ってるわなあ。観光地ともなっている古都である。松本は長野県の都市ではあるけれどとくにこれと言った特徴はない。

選択肢より、2が怪しい。千歳は空港で有名な都市であり、海峡に面する港湾都市というわけではない。航空交通の結節点ではあるんやけどね。というわけで、2を誤文としていいだろう。

つまり千歳を知っているかどうかが勝負の境目になっているんだが、これを見て「なんや~地元の人は有利やん」とか言わんといてね。当たり前やから(笑)。地理で都市名についての知識が問われるのは日本の地名に限定される。つまり世界の都市名なんか知らんでも構わんけど、日本についてはある程度暗記に頼る学習法が求められるのだ。

ちなみに、海峡に面した交通の結節点のペアは下関とイスタンブールの姉妹都市。イスタンブールはトルコの人口最大都市でイスラム教寺院(モスク)で有名。02本第1問問6選択肢4の写真がイスタンブール。中央にいくつかモスクが見られる。

 

問5 こんなん全然わからんから推理するしかない。「政府開発援助」なのである。政府が開発のために途上国に与える援助金という意味だと思う。この定義に当てはまらないものを選択肢1~4の中から選んでみる。

となるとやっぱり1やと思うんやなあ、誤っているのは。先進国へ労働者を送ってしまえば、逆に途上国での開発はなおざりになってしまう。しかも現在の日本ではむしろ外国人労働者の流入に関しては厳しい態度を取っている(日系人については単純労働者であっても日本国内での就労を認めているが、逆に言えばそれ以外の外国人労働者については極めて厳格に日本への入国と就労を制限しているということになる)。母国への送金を奨励するなんてことがあるんだろうか。

2・3・4については、そんなこともあるんやろな~っていうくらいの認識で十分やと思う。

 

問6 植民地の問題。ここでは「アルジェリア=フランス」だけ知っておけば何とかなるか。

ODAについては自分の国と関係の深い国に対して援助額が大きいと考えてみよう。となると「アルジェリア=フランス」の関係よりYがフランスとなる。サッカーフランス代表のジダン選手はアルジェリア移民の子らしいね。

XとZは?Xにアジアの国が並んでいるので、これを日本と考えていいだろう。残ったZが米国。米国内にはユダヤ系住民も多く、ユダヤ人国家であるイスラエルとの関係も深いので援助額が大きいのだろう。

ア・イ・ウの判定。アは「近隣諸国」と書いてある。X・Y・Zの中で最も近隣諸国に援助している傾向が強いのはいずれか?ほぼアジア地域に限定されている日本と考えていいだろう。「主要な援助対象国との経済的つながりも強い」っていうのは、日本から企業(っていうか工場)が多く進出していることを指しているのだろう。

イでは「安全保障政策」という言葉に注目。例えば君たちは「日米安全保障条約」っていうのを知っているかな。これは日本と米国との軍事同盟。戦争の時は協力しましょうっていう条約。つまり「安全保障」っていうのは戦争っていうか軍事行動と関連するキーワードなのだ。これだけの好戦的な国家なのだからイを米国と見なしていいだろう。Zの表には旧ユーゴやイラクなど紛争国が並ぶ。イスラエルこそパレスチナ問題を抱え、おそらく現代史の中で最も大量の血が流された国である。本年度は第2問問7選択肢1でも取り上げられている。これまではイスラエルなんていう特殊な国が話題とされることはなかったので、ちょっと珍しい傾向である。

ウが残りのフランスであると考えていいだろう。「旧植民地」がキーワードになると思う。

で、この問題で実は僕がひっかかったのは「自国言語」の普及っていう言葉である。フランスってそういう意識が強いんかな?でも表中のフランス主要援助国ではフランス語を公用語としているのってコートジボアールくらいやねんけどなぁ。

 

第5問 前年に引き続き地域調査をテーマをしている。難度は低い。全問正解が狙える。ただし若干時間を要する問題もあるので注意。

 

問1 容易な地形図問題。地形図のコツは土地利用記号に注目すること。ア「果樹園」、イ「果樹園」「畑」、ウ「果樹園」「水田」がポイント。

まず見当を付けてみる。Aは図の中央では水田が卓越してるようだ。これをウとする。Bは全体的に果樹園が多い。よってア。Cは果樹園の他に畑も広がっている。これがイ。

で、これで実は正解になっているのだ。土地利用記号がいかに大事かっていうことがわかる。

 

問2 電気機械工業の特徴とは?このような組立工業は「労働集約型工業」に分類される。多くの労働力に依存するわけだ。東南アジアなどの賃金水準の高くない国に進出する傾向が強いのも電気機械工業。

1;これは納得。日本は原則として経済レベルの高い国であるが(1人当たりGNPが高い)それでも地域間の差は小さくない。商業や流通業、金融業が発達し、日本経済の中枢をなす東京での経済レベルが最も高い。それに対し、僻地である沖縄など地方の経済レベルは低い。つまり東京は物価が高いが、沖縄は給料が安いっていうことやね。どっちもどっち?

山形県のような東北地方もやはり「地方」に分類されるわけで、「大都市地域」に比べれば当然経済レベルは低い。よって労働力は安価であると考えていい。とくに電気機械工業のような労働集約型工業にとっては好条件であるといえる。

2;ICなど電子部品の工場は近年東北地方や九州地方に多く進出している。製品重量に比べて価格が高いので輸送コストをあまり気にする必要がなく、消費地である大都市から離れたところであっても採算が取れる。空港の近くに工場を設けて製品を航空機で輸送したり、高速道路や自動車専用道路のインターチェンジ付近に工場を造りトラックで製品を運んだりする。99B本第3問問3でIC工場の位置が問われている。東京や大阪から離れたところに立地する傾向がある。

4;これは、例えば「都心に工場はない」というセンター試験のセオリーと合致しているとも言える。工場用地として広い土地が必要となるため、地価の高いところでは工業は成立しにくいのだ。このことを考えると、より地価が安いと考えられる山形県のような地方において、その地価の安さを利用して、工場が立地するのは当然のことだと考えられる

というわけで3が誤り。電気機械工業は労働集約型工業であり、資源の分布とは関係がない。労働集約型工業の反対語は資本集約型工業。これは労働力はほとんど必要とせず、巨大な施設を多額の資本を投下して造ってしまえば後は自動的に製品を生産できるというもの。鉄鋼業や石油化学工業、セメント工業などがある。原料産地に立地しやすい傾向があるのはむしろこういった資本集約型工業。鉄鋼業なら鉄鉱と石炭、石油化学工業なら原油、セメント工業なら石灰というようにそれぞれ地下資源と結びついているが、鉱山・炭田・油田などの近くでそれぞれの工業が成立しているケースも多い(近年はややその傾向も変化しつつあるが)。

そもそも山形ってとくに地下資源が豊富なところでもないしね。

 

問3 時間さえかけらば必ず解ける問題。だからと言って容易というわけではない。その時間がクセモノやねんな(涙)。焦っていい加減に考えると思わぬところで足元をすくわれてしまうわけや。

1;気温の年較差を比べてみよう。山形は最寒月平均気温がー0.9℃、最暖月が24.6℃。よってその差は25.5℃となる。千葉はそれぞれ4.9℃と26.3℃なので、年較差は21.4℃。山形と千葉の年較差を比べると、山形が4.1℃大きくなる。よって1は誤り。

2;山形の日較差は、3月から11月までは、9.0、12.0、12.5、10.2、9.4、10.0、9.3、10.1、9.2である。千葉はその間、8.1、8.0、7,7、6.4、6.1、6.5、6.4、7.2、8.0。両者を比較して、山形の方が大きい。

3;山形の7~9月の降水量は、144、139、127。同じく1~3月は、87、74、66。

4;山形と千葉の日照時間を比べる。1月や2月など山形の方が短い月もある。

 

問4 意外と楽だと思う。イジワル問題のわりに正解率は低くない。

センター地理の基本として、まず数字に注目することが大事。ここでも数字に注目。1から4までのグラフの縦軸の数字を比較してみよう。それぞれの作物の収穫・輸入規模が全然違うということが分かる。1は最高に収穫できた時期ですら、25000トンに満たない。2は100万トンくらい取れるのが当たり前。3は現在の収穫量は大きく減少してしまったものの、それでも150万トンくらいの収穫があるわけで、かなりメジャーな作物であると想像される。4は25万トンくらいが目安であり、1の作物ほど収穫が少ないわけではないが、それでも3や4にはかなわない。

以上より作物を推理してみよう。1はサクランボではないか。我々の普通の生活の中でサクランボを食べる機会ってそんなにあるだろうか。しかも小さい果物であり、重量も軽いと思われる。全体の収穫が少ない1が該当すると考えて矛盾はない。

逆に最も生産量が多い作物は何だろう。これはミカンと考えていいだろう。冬なんかは毎日いくつものミカンを食べるではないか。

次に消費量の多い作物って何だろう。これはリンゴではないか。しかも1個当たりの重量もあるので、収穫量全体の重さもかなりのものになると思う。これが2。

最後に残った4がブドウである。サクランボよりは重く、メジャーな果物である。しかしミカンやリンゴほどではない。

以上より2を答えとする。

ミカンの生産については、00B追第4問問5の図4が参考になるだろう。70年ごろをピークにミカンの作付け面積が急激に減少しているので、これと比例するように国内でのミカン生産量も急減したと考えていいだろう。また、オレンジの輸入自由化について言及した問題が97B追第2問問1。でもこれはあまり参考にならないか。

 

問5 階級区分図。相対的な数量(割合・比)を表すのに用いられる。

人口増加率;{(1995年の人口)-(1990年の人口)}÷(1990年の人口)

昼夜間人口比;(昼間人口)÷(常住人口)

老年人口率;(65歳以上人口)÷(全人口)

など、いずれも相対的な数量である。階級区分図で表すにふさわしい。

まあ、平均世帯人数も一応、計算して求めるわけで、これも相対的な数量と見なしていいかな(割合や率ではないけどね)

それでは問題を解いてみよう。平均世帯人数っていうのはセンター試験で話題にされたことがほとんどない(02B本第4問問4選択肢3で取り上げられているんやけどね)のでここでは無視しよう。それ以外の3つの項目はセンターでは毎年出題されると言っていいほどのメジャーネタ。類題を挙げればキリがない。

この問題の解法。日本の都道府県について「郊外」「地方中枢都市」「都心」「地方」のキャラクター分けをしておくのが基本。詳しく説明していくと面倒なので(許してね)ここはそれぞれのキャラクターが典型的に現れる都道府県を簡単に1つずつ挙げていくよ。「郊外」は千葉県。「地方中枢都市」は宮城県。「都心」は東京都」。「地方」は島根県。

人口増加率;「郊外」で最高。「地方中枢都市」で高め。「都心」で低め。「地方」で最低。千葉と宮城で高く、東京と島根で低いものはどれか。

昼夜間人口比率;「都心」で最高。「地方中枢都市」で高め。「地方」で低め。「郊外」で最低。東京や宮城で高く、島根や千葉で低いものはどれか。

老年人口率;「地方」で最高。「都心」で高め。「地方中枢都市」で低め。「郊外」で最低。島根や東京で高く、宮城や千葉で低いものはどれか。

以上より、2が人口増加率であろう。東京圏の県で高い。宮城や福岡など地方中枢都市でも高い。逆に宮城を除く東北地方や山陰地方、四国などで低くなっている。東京も低い。地価の高い東京から脱して周辺の県に住居を構える人々が多いのだろう。

1が昼夜間人口比率。東京で高くその周辺の県で低い。昼は東京都内の企業へと通勤する。よって東京では昼の人口が夜の人口を上回る。彼らは夜は郊外のベッドタウンの自宅へと戻る。ここでは夜間の人口の方が多い。この夜間人口を常住人口とも言う。

3と4で悩むかな。3と4では東京と千葉はともに低いのでここでは比較できない。というわけで島根と宮城にしぼって考えるのだが、3は島根で高く宮城で低い。4は島根も宮城も標準レベル。このことより3を老年人口率と考えていいのではないかと思う。

老年人口割合についてさらに突っ込んで考えてみよう。00B本第4問問4の表1参照。これは老年化指数を表した表であり、厳密に言えば老年人口率を直接に示したものではないが、それでも十分に参考になるものだろう。95年の数値に注目。郊外の埼玉県で数値が低く(つまり老年化が進んでいないということ)、都心の東京で数値が高い(老年化が進んでいる)。地価の高い都心から若い世代を中心に人口が流出し、地価の安い郊外に住居を定める様子がよくわかる。これにより(若い世代の移動により)、埼玉のような郊外の県では老年人口割合が低くなり、東京では老年人口割合が上昇する。「人口増加するところで老年人口割合が低くなる」という公式として理解しておいてほしいところ。

つまり人口増加割合が高い都道府県で老年人口割合が低くなるわけであり、本問においては選択肢2の図と3の図がちょうど相反するものになっている。2の図で「高い」ところは3で「低い」。2で低ければ、3で高い。

平均世帯人数はどうでもいい。消去法により4が該当するようだ。とくに何のコメントもない。

 

問6 解答にかなり時間がかかるんじゃないかな。ちょっとややこしい。00B本第4問問5でも人口ピラミッドを読み取る問題が出題されている。ただし00年の人口ピラミッドは横軸が実数を表しているのに対し、本問では割合になっている。だからどうってことはないのだが、ちょっとおもしろいなって思って。00B本の人口ピラミッドにおいては、70年のグラフと95年のグラフのそれぞれの長さを比較することによって、人口増減が直接的に分かるわけだ。70年の方が人口が多かったんだろうね。でも老人の数は95年の方が増えているみたい。それに対し、02B本の人口ピラミッドは割合だから、全部合わせたら100%になるわけで、それが実際の人口を表しているわけではない。例えばP市とQ市についても、それぞれの人口規模は分からない。おそらくP市の人口の方がQ市より多いんじゃないかな。千葉の方が山形より人が多そうだし。でもそれはこのグラフからでは判定できないこと。

では各選択肢の文を読んでみよう。

1;それぞれのグラフにおいて「60~64」と「65~69」の境界に線を引いてみよう。Pは65歳以上の部分が尖った三角形であり、その面積は小さい。Qはそれに比べれば面積は大きいと思われる。人口全体と比較した比率においても、Pの65歳以上の人口割合はかなり低くなると考えられるし、QはPに比べればそれほどでもないだろう。

2;2015年といえば、このグラフの20年後である。95年の段階で45才の者が老年人口の仲間入りするわけである。「40~44」と「45~49」の境界に線を引いてみよう。今後20年間に亡くなったり、市外に転出したりする人もいるだろうが、大半の人口が市内に残るとして、これから老人の数が増え続けることが想像できる。選択肢2の文にあるように「急激」かどうかはわからないが、とにかく老年人口割合が高くなることは間違いなさそうだ。

このように人口ピラミッドから将来の老年人口割合の高さを想像するパターンは00B追第3問問2選択肢5で見られる(中国の人口)。

3;1995年の幼年人口を確認しよう。「0~4」「5~9」「10~14」の範囲である。これと1980年当時の幼年人口とを比較する。15年前の幼年なので、グラフで「15~19」「20~24」「25~29」の年齢層に該当すると考えていいだろう。もちろん転入や転出、あるいは亡くなった人もいるので、正確な値ではないが、おおまかにとらえるにはこのデータで十分だろう。

4;これはグラフの形状を見れば明らか。

 

問7 日本国内の人口移動の問題。意外にしばしば出題されるネタである。

点線が「非大都市圏から大都市圏への移動数」、実線が「大都市圏から非大都市圏への移動数」。原則として、人口は大都市圏に集中し続ける。非大都市圏に比べ、大都市圏の方が経済レベルが高いからである。よって、点線の方が実線よりも上に来ていなくてはいけない。「大都市圏へと流入する人口」の方が「大都市圏から流出する人口」よりも原則として常に大きいのである。よってこの時点で選択肢は1と2にしぼられる。

ここでポイントは60年代である。60年代を中心とした時期(50年代後半から70年代前半)に日本は高度経済成長の時代を迎えた。歴史ネタは地理では不要だが「60年代高度経済成長」だけは知っておかなくてはいけない。日本の経済が急激に成長した時期。工業化が進み、東京や大阪など太平洋ベルト地帯へと人口が大きく流入した。都市圏の急激な経済レベルの上昇に比べ、地方は貧しいまま取り残された。農村から人口が流出し「過疎化」という言葉が生まれたのもこの時期。よって60年代に人口が大きく大都市圏で増加したと思われる1が正解となる。

70年代はオイルショック(73年)に始まる低成長の時代。高度経済成長が終わりを告げ、一時期ほどの人口流動は見られない。逆に地方へと帰る労働者の動きが顕著となり「Uターン現象」という言葉も生まれた。

80年代以降は日本の経済も持ち直し、人口流動のパターンも再び大都市圏へと集中するパターンとなった。しかし地方でも経済レベルが(東京など大都市圏ほどではないが)上昇し、高度経済成長期ほど極端な人口移動はなくなった。それでもわずかずつ大都市圏の人口は増加し続ける。とくに東京圏への「一極集中」は現代を象徴するキーワードである。

 

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