2012年度地理A本試験解説

たつじんオリジナル解説 [2012地理A 追試験]                 

 

[1] ② 対蹠点とは地球の反対側のこと。東半球・北半球の東京の対蹠点は、西半球・南半球。アルゼンチンの沖合。

 

[2] ① 図法は地理Bではほとんど出題されない。本問も地理A特有のものと思っていいだろう。ホモロサイン図法は別名グード図法ともいい、正積(面積が正しい)図法の一つである。低緯度側をサンソン、高緯度側をモルワイデ図法によって描く。面積が正しいので、分布図に利用しやすい。反面、方位などは不正確で、航路図には使えない。

 

[3] ④ ヨーロッパは低地の面積割合が高い。なお、ここではアフリカをチェックしておこう。低地の割合が低く、標高数百m以上の台地が広い範囲を占めている「高原大陸」。

 

[4] ① いずれも緯度35度の大陸西岸に位置する。夏季(*)に中緯度高圧帯の影響によって少雨となる気候がみられる(地中海性気候)。

(*)北半球は7月を中心とした時期、南半球は1月を中心とした時期。

 

[5] ③ 平野に関する問題だが、あまりセンターには出題されないパターン。でも知っておいて損は無い。

平野は大きく「侵食平野」と「堆積平野」に分かれる。侵食平野に分類されるものは構造平野であり、安定陸塊にみられる大規模な平原のこと。日本の平野はこれに該当せず、典型的な構造平野としては北ヨーロッパ平原や北アメリカ中央平原など。これに対し、堆積平野には「洪積台地」、「海岸平野」、「沖積平野」の3種類があり、日本の平野はいずれもこれに含まれる。洪積台地は関東平野の内陸部などに典型的にみられる。洪積世(数万年前)に低地だったところが隆起し、標高数十mの台地となったもの。海岸平野は関東平野の沿岸部の九十九里浜など。洪積世に浅い海底だった部分が隆起によって現在陸地となっている。遠浅の砂浜海岸である。

一方、沖積平野であるが、こちらはさらに「扇状地」、「氾濫原(自然堤防帯)」、「三角州」があり、河川の堆積作用によって現在も継続して形成されつつある地形。急勾配の山地で河川が土砂を侵食し、その流れによって運搬する。やがて土砂は(河川の流れが緩やかになる)平地に堆積するのだが、上流側から扇状地、氾濫原、三角州である。選択肢③については、河川の中下流に形成された地形ということで「沖積平野」が正解となるだろう。構造平野は河川とは関係ない。

 

[7] ⑤ Xはクに該当。長江下流には多くの水路が開かれ、物資を運搬する船舶も航行している。

Yはカに該当。これが具体的にどの河川に該当するかはよくわからないが、おそらくライン川だろうか。ライン川沿いのルール地方には炭田が位置し、工業化の源となった。

Zはキに該当。エジプトのスエズ運河は、紅海(インド洋)と地中海とを結び。それまではアフリカの南端を通りしかなかったアジア〜ヨーロッパ航路を大幅に短縮した。

 

[8] ④ このパターンの問題も地理Bでは出題されないでしょう。排他的経済水域は海岸線より200カイリの範囲。これより外側が、どの国も領有や資源開発などで優先権を主張できない公海となる。つまり、公海と排他的経済水域は重なることはない。

 

[9] ④ ベーシックな問題。いいですね。アは小麦。日本にとってアメリカ合衆国は農畜産物の供給先として重要であることを頭に入れておこう。イは鉄鉱石。オーストラリアは資源の供給地。石炭も主にオーストラリアから輸入していることを知っておこう。ウは衣類。イタリアから高級衣料が輸入されていることを意識。

 

[10] ④ 「比較の構造」を含む文章を誤りと決めてしまっていいだろう。4つの選択肢中、明らかに2つを比較する内容が含まれているのは④。なるほど、たしかに現在は中国の方が経済における重要性は高まっているのだから、貿易額も中国が大きいのではないか。

①;中国や東南アジアからの逆輸入を考える。工場が現地に進出するが、製品は日本国内で販売されるもの。②;国際機構は地理Bでは出題されにくい。WTOは世界貿易機関。国連の機関で、貿易の促進を訴える。③;世界最大のトウモロコシ生産国のアメリカ合衆国は、世界最大のバイオエタノールの生産国でもある。トウモロコシを原料とする。本来食料や飼料となるトウモロコシを燃料として使用するので、需要と供給のバランスが崩れ、価格が高騰する危険性がある。

 

[12] ④ これは難問!ゆっくり考えてみよう。

日本とイギリスは1人当たりGNIの高い先進国というキャラクター。インドは1人当たりGNIの低い発展途上国であり、人口規模が大きいことも特徴となる。またイギリスとインドには宗主国と植民地だったという関係もある。

人の流れは原則として「1人当たりGNIの低い国から高い国へ」である。留学や出稼ぎを考えてみたら納得できるよね。

インドはおそらく「国外に出ていく人数が、国内に入ってくる人数より多い」と思われ、このパターンに当てはめるとKがインドとなる。しかしこれって正しい?インドを植民地としていたイギリスはより太い関係にあるのだから、Lがイギリス、Jが日本と考えられる。しかしそうなると、イギリスと日本の関係が非常に太くなり、しかもイギリスから日本への人の流れが「796」と図中最大となる。イギリス人がそもそもそんなに日本に来るものだろうか。これはちょっとおかしいと考えざるを得ない。

そうなると、上の考え方は全面否定しないといけない。いろいろなパターンを想定し、もっともつじつまの合わない部分が少ない選択肢を答えとするしかない。

この3カ国中最もつながりが強い組合せはやはりイギリス・インドだろう。JとLとイギリスとインドのどちらかとし、Kを日本とする。

そうなると、日本からの移動者数を考えた場合、インドがイギリスを上回ることは考えにくい。Jがインド、Lがイギリス。KとJの間の移動を考えると、JからKは少ない。たしかに、いくら経済レベルの原則があるからとはいえ、インドから日本への留学生は少ないだろうし、観光客はもっと少ないだろう。またインドには日本企業も進出しているだろうから、多少KからJの移動者数が多めなのは何とか納得できる。KとLの関係は問題ないだろう。日本からイギリスへの観光客や留学生は多く、その逆は少ない。日本はそもそも「日本から海外への出国者数」と「海外から日本への入国者数」を比較した場合、前者が後者より多い国である。

Jがインド、Lがイギリスという関係について。出稼ぎや留学生を考えたらJからLの方が多いような気もするが、しかし出稼ぎや留学生は一回行ったら何年も滞在している者が多いだろうし、こうした流動数にはカウントされにくいものかもしれない。それよりイギリスからインドへの観光客や商用でのビジネスマンの移動を考えた場合、LからJの流れが大きいのは納得できないこともない。っていうか、このパターン以外つじつまが合わない!ホント、全然わからないんですが、ボクなら正解を④にします。ダメ元で。スンマセン。決定打がありません。。。

 

[13] ③ それぞれの都市が位置する国がわからないと解けないのだが、大丈夫かな。カイロはエジプト、サンパウロはブラジル、シドニーはオーストラリア、バンコクはタイである。

ブラジルの特定が最も簡単かもしれない。戦前から戦後にかけて日本からブラジルへと多くの農民が移住した.彼らは農業労働者としてブラジルで働き、高齢となった現在も現地で暮らす者も多い。永住者の割合が高い①がブラジルとあると考える。

さらにオーストラリアについて考えてみよう。ワーキングホリデー制度(現地で働きながら大学などで勉強する)が整備されたオーストラリアには日本人留学生が多い。また暮らしやすい環境であるので、定年退職後のリアイア組の永住者も多いだろう。いずれの値もそれなりに大きい②がオーストラリアになる。

それに対してタイはどうか。タイは、日系企業数の多さが特徴の国である。日系企業(日本企業の現地法人)の数は、1位中国、2位アメリカ合衆国、3位タイである。日本企業がから派遣された従業者がタイには多く、彼らは長期滞在者にカウントされるはずなので、この値が大きい(とくに男性が多いことも日本から派遣された従業者であることが想像できるだろう)③をタイとする。永住者は多くないだろう。

日本と文化的にも経済的にも関係が薄いエジプトが④となる。

 

[14]③ 1人当たりGNIで考えるしかないと思う。もちろんアメリカ合衆国は1人当たりGNIが高い先進国。アラブ首長国も産油国であり(しかも人口も少ないので)1人当たりGNIが高いと考えていいだろう。この2つが、いずれも値も高い①と②に該当する。インドの1人当たりGNIは1000ドル程度だが、エチオピアはさらに低い値である。④がエチオピアとなり、③が正解。

インドはコンピュータソフトなど先端産業が進んだ国ではあるが、貧富の差も大きく、情報化の恩恵を受けているのは国民のごくわずか。大多数は電話やコンピュータからは離れた生活を強いられている。

ちなみに①がアラブ首長国、②がアメリカ合衆国。アラブ首長国の方が携帯電話が普及していることに驚いたかもしれないが、そもそも携帯電話とはそういうものである。日本でも普及率は100%には届かないのに対し、東南アジアでは150%に達するような国がいくらでもある。ある程度の経済レベルがあれば、急激に普及するものでもあるのだ。

 

[15]③ 国際機構は地理Aのみ。MERCOSURとNAFTAの連携はみられない。

 

[16] ③ 非常に判定が難しいのだが、消去法によってかろうじて③が正解となる。ヨーロッパが乗るユーラシアプレートと、アフリカプレートの衝突によって、大規模な褶曲山脈であるアルプス山脈が形成された。

①;ノルウェーの沿岸はフィヨルド海岸が広がる。氷河によって侵食された谷が沈降し、複雑な海岸線となっている。

②;この選択肢がよくわからないのだが、海流の動きと浅堆(バンク)の形成とは関係ないという点が誤りなのだろうか。浅堆とは、海底のとくに水深が浅い部分のことで、豊かな漁場となる。北海には多くみられる海底地形。海流がぶつかることによって生じるのは潮目(潮境)。海水の動きが複雑となり、豊かな漁場が形成される。千島海流と日本海流がぶつかる千葉県沖などが例。

④;ドナウ川であるが、国際河川であることが重要。内陸水運の要衝として、沿岸国の自由航行が認められている。ヨーロッパ全体としてさほど季節による降水量の差が小さい地域であるし、「雪解け」にしてもヨーロッパはさほど降雪量の大きな地域でもない。流量が安定し、勾配の緩やかであるので、航行に適しているのがヨーロッパの国際河川の特徴である。季節的な流量変動が「著しく」大きいとは言えないのではないだろうか。

 

[17]② aについては正文とみていいだろう。北ドイツ平原は混合農業地域であり、ジャガイモとライ麦の輪作によるブタの飼育が特徴である。

bは誤り。この地域で栽培されている作物はブドウ。コーヒーは熱帯・亜熱帯の高原で栽培されるものであり(ブラジル高原など)、ヨーロッパには適応しない。

 

[18]① Gをしっかり判定する。地中海沿岸の少雨地域は豊かな森林資源に恵まれず、植生も硬葉樹(オリーブなど。建設材には適さない)となっている。石灰や大理石など利用した石材の家屋が多くみられる。イに該当。

さらにHであるが、ヨーロッパはさほど森林に恵まれた地域ではないものの、北ヨーロッパやアルプスの高原などでは針葉樹林も多くみられ、積極的に建築材料として利用されている。アルプス山脈のウが該当。

一方、イギリスは大陸氷河の影響により、地面を覆う土壌が少なく、樹木が生育しにくいという特徴がある。国土面積の半分ほどが牧場・牧草地として草地に覆われている国であり、草が家屋に利用されているとみて間違いないだろう。アがFとなる。

 

[19]⑤ カ「ゲルマン」はドイツ、キ「スラブ」はロシア、ク「ラテン」はスペイン。

 

[20]② 移民の言語を公用語とする例はない(*)。ドイツはドイツ語のみ。

(*)シンガポールは例外。移民の言語である中国語やタミル語も公用語。そもそもシンガポールは移民国家でもあるし。

 

[21]④ これもすごく頭を悩ませた。「最も適当なものを」を答える正文問題というのは得てしてこういうパターンが多い。誤っているものを確実に消すことより、何となく正しそうなものを答えるというあいまいな解法が難しいわけだが、本問はその典型のような気がする。

①;「バカンス」についてはフランスにバカンス省(国民に充実した休暇をとらせることが目的である省庁)があることからわかるように、西ヨーロッパの先進地域で発達したもの。東ヨーロッパの社会主義地域で生まれたものではないだろう。誤文。

②;「屋外での禁煙措置」などあるのだろうか。そもそもタバコは屋内で吸うことが制限され、屋外なら容認されやすいものではないか。また「テラスで飲食を楽しむ習慣」は古い時代からあるもので、最近の「法改正」の後に普及したものでもないだろう。

③;「サマータイム制」は「制度」であることから少なくとも近代社会の成立後に生まれたものだろう。それに対してシエスタという昼寝の習慣は人間の整理に基づくものであり、古い時代からあったものではないか。誤文

よって、④が正解となる。っていうか、④についてはとくに誤っている部分も見つけられず「何となく」正しいとしか言いようがないのだが。

 

[22]③ これは良い問題!今回のベスト問題だろう。国を考える場合には、人口規模と1人当たりGNIが重要となってくるのだが、まさに本問はそれにジャストミート。それにしても欧州議会の議席数なんていう特殊なネタを見つけてくるもんだ!?

「議席数は人口規模に応じて配分される」ので、まず人口を考える。ドイツが⑧千万人、スペインとポーランドが④千万人。このことからJがドイツとなり、KとLはスペインかポーランド。

さらに国民1人当たり分担額とあるが、分担金そのものはGNIに比例するので、1人当たり分担金は1人当たりGNIに比例すると考えていい。ドイツが4万ドル、スペインが3万ドル、ポーランドが1万ドルである。JとKの値に大きな差はないが、Lは格段に低い。Lを経済レベルの低いポーランドと考える。

 

[23]③ 本問もいい!今さっき[22]がベストと言ったけれど、こっちの方がいいかも(笑)。センターって1960年代の高度経済成長機が強調されているのだが、本問もその応用編。60年代におきたエネルギー革命(石炭から石油への主要エネルギー源の転換)がポイントとなっている。

増加率の最も高いウに注目しよう。これが天然ガスであることは間違いないだろう。不純物が少なく燃料効率がいいため相対的にCO2の排出量が少ないクリーンエネルギーである。21世紀に入り、生産(そして消費)が急増しているものである。

アとイが迷う。ここでは1980年の値に注目しよう。1960年代のエネルギー革命により、エネルギーの主役が石炭から石油に入れ替わった。1980年という年次は1970年代のオイルショックの後であるが、やはり石油の消費が石炭を上回っていると考えていいだろう。現在の消費量も石油の方が多い。アが石油、イが石炭となる。

なお、地域別の年平均伸び率は参考にしても仕方ないだろう。

 

[24]③ なかなか気づきにくい難問ですね。日本の主な天然ガス輸入先はマレーシアやインドネシアなど東南アジア。「西アジア・アフリカ」ではない。

 

[25]① 「ブラジルは石炭産出国ではない」というネタは頻出。ここは「鉄鉱石」に変えておこう。

 

[26]② 人口を計算してみたらいいんじゃないかなって一瞬思ったんだが、よく見たら1人当たり国内水「資源」量と年間総「使用」量か。資源として水が存在することと、使用するって意味が違うから、計算じゃちょっとあかんような気がする。じっくり考えてみよう。

1人当たり国内水資源量は、普通に考えれば降水量に比例する気はする。(降水量×国土面積)がその国が有する水の資源量なのではないか。しかし人口密度が高い国(狭い国土に多くの人が住んでいる国)ならば、狭いエリアに降った雨を多くの人数で割らないといけないので、1人当たりの値は小さくなりそう。逆に人口密度が低い国ならば、十分に1人当たりの値は高くなるはず。このことから、④をブラジルと判定する。赤道低圧帯の影響が強いアマゾンの熱帯雨林を国土に有し、人口密度もさほど高くない国である。

年間水使用量については、生活用水を最初に考えてみただけでも、人口規模が大きな国で多くなることが容易に想像できるだろう。これに先進国ならば工業用水や、米作国なら農業用水も大きくなってくる。全体の値が大きい③をアメリカ合衆国とする。

さらに農業用の割合が高い②が日本。上でも触れているが、米作には多くの農業用水を必要とする。

 

[27] 国際協力の問題と思いきや全然そんなことなかった。東南アジアは「流量の年変化」は「大きい」。雨季と乾季がみられる。メコン川は代表的な国際河川であるが、ヨーロッパの河川([16]のドナウ川など)とは違い、流量の季節的変化は大きい。

 

[28]〜[33] 地理Bと同じ。

 

 

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