2015年度地理B追試験[第1問]解説

第1問 世界の自然環境。テーマとしては非常にオーソドックス。しかし、内容はちょっと異例づくめ。解き難い問題が多いと思うよ。

問1 プレートテクトニクス理論はあくまで仮説に過ぎないので、あまり突っ込んだ問題は出題されない。比較的詳しい内容まで問われている本問は例外的な存在といえる。ただし、過去問でサンアンドレアス断層は問われたことがあり、決して解答不能というわけではない。Dのカルフォルニア州太平洋岸南部にみられるサンアンドレアス断層は、ロサンゼルス地震の震源にもなった変動帯であり、プレートの「ずれる境界」である。よって④が正解。
AからCはいずれも海溝に沿い、プレートの「狭まる境界」。いずれも矢印の方向にプレートが移動することで、プレートの沈み込み部に海溝が形成されている。Aがスンダ海溝、Bがマリアナ海溝、Cがケルマデック海溝。ケルマデックが初出。

問2 写真がちょっと判別しにくいのだが、実際のセンター試験ではもっと鮮明な印刷だったのだろうか。ここではフィヨルドに注目しよう。氷河が削ったU字谷に海水が侵入して形成された峡湾で、入江の奥までの長さが100kmを越えるものの。上空からみると、葉脈のような形状となっているのだが、それがわかるだろうか。ウがフィヨルドとなり、ノルウェー沿岸のJに該当。写真は南北が反対となっている。数万年前の氷河期(最終氷期)に大陸氷河に覆われていた、北極や南極周辺の高緯度海岸にみられる。
さらにKをみてほしい。ベトナム南部であり、ここはメコン川の河口部に当たる。巨大な三角州(デルタ)が形成され、東南アジア有数の米作地帯となっている。浅い海に土砂が堆積することで三角州は形成されるのだが、その様子がイでうかがえる。ちょっと海の方向に膨らんだ地形となっているね。この写真は左側が北かな。
そしてL。オーストラリア北東岸にはグレートバリアリーフ(大堡礁)が発達。堡礁とは、海岸からやや離れたところに広がるサンゴ礁。そもそもは陸地に接した浅海にサンゴ礁が形成されたのだが、陸地が沈降することで、陸地とサンゴ礁とが離れ離れになる。アの写真がそれに該当するのだが、わかるかな。この写真は方向は正しいのだが、左側が陸地、右の方で縦に連続しているものが海面上に現れたサンゴ礁でグレートバリアリーフである。

問3 これだけのデータで特定するのも難しい。ライン川のみ当てればいいから何とかなるかな。まずガンジス川。ガンジス川が流れる南アジアは雨季と乾季の明瞭な地域であり、夏季にはかなりの量の雨が降る。これが流量に反映されないわけはなく、北半球の夏に流量最大となっている①と③のいずれかがガンジス川。さらにナイル川だが、原則として外来河川であり、乾燥地域を流れているのだが、上流部に多雨地域があることに注目。とくにナイル川の支流の一つである青ナイル川が水源としているエチオピア高原の降水パターンが重要。夏季に北上する赤道低圧帯に覆われ、多雨となる。この影響でナイル川本流もこの時期に流量が増し、(アスワンハイダム建設による治水が行われる以前は)エジプトでは夏に大規模な洪水被害に見舞われた歴史がある。このことから、ナイル川もやはり北半球の夏に流量が最大となり、①か③が該当する。
さらにこの①と③だが、おそらくガンジス川が①、ナイル川が③であろう。上述のようにナイル川は上流部が多雨地域であるため、流量は決して少なくない。しかし、インドの熱帯地域を流れるガンジス川より流量が多いとは思えないのだ。年流出高が大きい①がガンジス川、少ない③がナイル川だろう。外来河川(乾燥地域を流れる河川)の年流出高などこの程度のものなのだろう。
そうするとライン川の推定ができる。残る選択肢は②と④だが、さすがに年流出高が5ミリはないだろう。ナイル川より少なくなってしまう。ライン川は国際河川(条約により沿岸国の自由航行が認められた河川)であり、船舶の通行がさかんに行われている。そこで乾燥地域並みの流量ならば、船底が川の底につかえてしまうんじゃないか!?このことから「450」の②をライン川と判定し、豊富な水量に支えられ、内陸水運が発達していることを想像しよう。なお、流量が最大になる月が2月となっているが、これについては考慮しなくていい。そもそも「年間を通じて一定の流量」であることがライン川の特徴であり、降水量の季節的変化の少ない西ヨーロッパの気候を反映したもの。月ごとの降水量にほとんど差がなく、2月にしても他の月に比べ、たまたまわずかに流量が大きかったぐらいのことだろう。
残った④がオレンジ川。センター初出であり、意識しなくていいが、とりあえず乾燥地域を流れる外来河川なのだろうね。外来河川については、比較的流量が多いナイル川でもこの程度の数値なので、やはりダムを建設して、水を貯めておかないとその有効利用が図れないのだな、とイメージしよう。

問4 これも変わった問題だな。この大問が追試に回された(本試に採用されなかった)理由もわかるような。内容は素晴らしいのだが、形式的に「斬新」すぎて解き難い問題ばかり。本来はこうした問題の方が実力差が出やすくていいのだが、しかしセンターを解き慣れていない人ならば全滅してしまうし、それはそれでマズいんだろうね。
では、問題の分析。図から判定するに、このシェラネバダ山脈というところはカリフォルニア州に存在する。降水量は決して多い地域ではなく、とくに内陸部は乾燥地域となっている。
選択肢参照。「年間を通じて低温」と④にある。これは標高が高いところと考えていいんじゃないか。しかも雪に覆われているようだ。標高が極めて高いクが④に該当すると考えていいんじゃないか。標高4000メートルならば、海面標高より気温は20度ほど低い。カリフォルニアは寒流の影響でそもそも気温があまり高くない地域なので、ここにこんな高山があれば山頂付近が雪氷で覆われていたとしても不思議ではない。
さらに選択肢①を参照。ここには「針葉樹」とある。これは冷帯など冷涼な地域にみられる植生。キの地点は標高2000メートル程度で、海面標高より10℃ほど低い。冷涼な気候がみられるはずで、植生も針葉樹になるのではないか。キは①が正解。
さらにケについて。グランドキャニオンを想像すればわかるように、アメリカ合衆国西部の内陸部には乾燥地域が広がっている。シェラネバダ山脈の東麓もそういった気候であることが十分にうかがえる。「年間を通じて乾燥」より③がケに該当。
残った②が海岸に近い低地のカ。「夏に高温で乾燥」というのは地中海性気候。なるほど、カルフォルニア州の沿岸部(ロサンゼルスなど)では地中海性気候がみられる。地中海性気候はそもそも年間の降水量も少ないので、この地域に「耐乾性」の樹木が分布するのも納得。これが乾燥気候(降水量<蒸発量)ならば樹木すら生えないが、さすがに地中海性気候はそこまで乾いているわけではないからね。

問5 本当に変わった問題。内容はさほど難しいことを尋ねているわけではないのだが、とにかく形式が目新しい。斬新。解き難いったらありゃしない。
まず「裸地」に注目。要するに地表面が植生によって覆われていない状態のことで、「砂漠」である。乾燥の度合いが高いことによって砂漠が生じ、そうした地域はどこに多く分布するかといえば、中緯度高圧帯の影響が強い北半球と南半球のそれぞれ緯度20〜30度付近の一帯。やや場所がずれている印象もあるが、あえていうなら④がこの条件を最も満たしているでしょう。④が「裸地」となる。
あとは意外と簡単で、③が最も高緯度、①が中緯度中心、②が低緯度で主にみられる植生となっている。気温でいうならば、寒い③、普通の①、暑い②。③が針葉樹林、①が落葉広葉樹林、②が常緑広葉樹林。針葉樹林は冷帯に広くみられ、タイガ(純林)を形成。モミやトウヒなど。落葉広葉樹林は東日本の中心的な植生。秋になると紅葉する樹木はいくらでもあるよね。常緑広葉樹林は熱帯雨林を考えればいい。ジャングルは低緯度地域に広がる。

問6 また河川流量の問題?そして、またしても変わった問題。すごいな、この第1問、センターの歴史の中でも珍しいぐらいの意欲にあふれる問題にあふれてる。これだけ多様な形式で問われるなんて、作成された先生はかなり気合いが入っていたと思うよ。ただ、それによって難易度が上がってしまい、本試験に採用されなかったとしたら皮肉な話なんだけどね。
まずユーラシアなんだが、大西洋に面するのは西ヨーロッパで降水量が多くない地域(西岸海洋性気候って覚えるより、具体的な降水量にも注目してほしいんだわな)。それに対し、太平洋に面する東アジアや東南アジアはモンスーン(季節風)の影響で多雨。太平洋に流出する水量の方が多いと考え、タがユーラシアとなる。
また、南アメリカ大陸、分水嶺(流域を分ける巨大山脈)のアンデス山脈が太平洋岸に沿って走っており、アマゾン低地など広い範囲に降った降水が大西洋側に流出する。太平洋側は面積が限られ、さらに寒流の影響による乾燥地域もみられるなど、この地域の降水量は少なく、流量も小さくなるはず。大西洋と太平洋の値に極端な差がある(もちろん、大西洋>太平洋ですよ)ツが南アメリカ。消去法でチが北アメリカとなり、正解は④。
こうして解説を聞いてみると、決して無理な知識が問われているわけではないのがわかるよね。下手したら中学レベル。でもそれが変わった形式で問われているから難しいのだな。逆にこの問題を楽々クリアしてしまったキミには、センターを解くセンスがあるっていうことになる。自信を持ちましょう!

すいません。。。第1問問5は間違えていました(涙)。以下が解説修正です。

てっきり①が正解と思っていましたが、実は④でした。スイマセン。

樹木は、寒い方から「針葉樹」、「落葉広葉樹」、「常緑広葉樹」の順番です。赤道周辺に多い②が「常緑広葉樹」です。熱帯林を考えましょう。北半球の高緯度に集まる③が「針葉樹」です。針葉樹は冷帯林ですが、これについてはシベリアやカナダのタイガ(針葉樹の純林)を考えましょう。「冷帯気候は北半球にしかみられない」ことも非常に重要です。南半球に針葉樹が分布しないこともチェックしておいてください。

で、ここからがポイントなんですよ。最初、私は④について「裸地」と判定してしまいました。北緯20~30度、南緯20~30度は中緯度高圧帯の影響が強く、下降気流が卓越するため降水量が少なく、砂漠(裸地)となりやすいのです。ただ、よくみたら、北半球は北緯40度付近、南半球は南緯15度付近の値が最も大きく、かなりズレていますよね。この時点で気づくんやった(涙)。

北緯20~30度にジャストミートしているのはむしろ①ですよね。中緯度高圧帯の影響によって、アフリカ北部やアラビア半島などに広く乾燥地域が形成されていて、そのほとんどは砂漠になっています。なるほど、①が裸地となり、正解(落葉広葉樹)は④となります。

なお、南緯20~30度付近にもっと裸地がみられてもいいように思うのですが(オーストラリアが該当します)、アフリカや南アメリカの同緯度帯にはステップ(草原)は広がっていても、砂漠はわずかなのでこんなもんなんでしょうか。

落葉広葉樹については、例えば東日本を考えてみましょう。日本列島は、東日本が針葉樹と落葉広葉樹の混合林、西日本が照葉樹林(こちらは常緑広葉樹となります)です。東日本に落葉広葉樹林が広がっているので、なるほど、④では北緯40度付近で値が大きくなっています。他にはヨーロッパや北アメリカの温帯地域が該当します。南半球においても、南緯15度付近で値が大きいですが、アフリカ南部(ザンビアなど)が該当するのでしょう。なお南アメリカ大陸の温帯地域(アルゼンチンなど)はパンパとよばれる草原になっているので、ここには含まれていないようです。

 

(追加)世界の森林について、その構成を知っておいてください。世界全体の森林の50%は熱帯林、40%が冷帯林、そして温帯林は10%程度に過ぎません。ヨーロッパや北アメリカ、中国では耕地開発などを目的として森林が広く伐採されています。ニュージーランドも白人の入植によって森林が牧草地に変えられてしまっています。温帯の森林国はかなり少なく、日本と韓国においてのみ森林面積割合が高いことを知っておきましょう。




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