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2015.06.05

2015年度地理A追試験解説

 2015年度地理A追試験解説

[1]日本時間1月3日15時。旅行先の時間1月3日2時。時差は13時間で日本の方が進んでいる。日本とイギリス(グリニッジ標準時)の時差が9時間で日本の方が進んでいるので、旅行先とイギリスを比べた場合、イギリスが4時間進んでいることになる。経度15度で1時間の時差。旅行先は、西経60度の地点。イが正解。

[2]まず気温年格差から。低緯度のメキシコシティは気温年格差が小さい。1月と7月の気温の差がないクがメキシコシティ。

シアトルとラスベガスの判定は降水量。コロラド川流域の乾燥地域に位置するラスベガスは降水量の少ないキ。暖流に面し多雨となるシアトルはカ。

いかにも地理Aといった気候判定問題。地理Bの雰囲気ではないかな。

[3]Bが正解。Aのメキシコ湾やCのペルシャ湾は有名だと思う。Dのサハリンを必ず知っておこう。ロシアに日本やアメリカ合衆国が協力することで、油田やガス田の開発が行われている。

[4]これがよくわからないんだよなぁ。サのアイスランドでいいと思う。違ったらごめんなさい。むしろ、君たちが知っておくべきは、中国(最大の水産物輸入先。ウナギなど)、ベトナム(養殖のエビ)、チリ(養殖のサケ・マス)の3つ。

[5]写真がないのでスイマセン。モロッコの風景とか興味あるんだけどね。

[6]へのタイは仏教。他はイスラム教。ハはアルジェリア、ヒはイラン、フは中央アジア地域。

[7]①が違うんじゃないかな。たしかに行政界はあるのだ。「ー・・ー・・ー・・ー・・ー」は市郡界。でも、これって「谷」じゃなくて「尾根」だよね。「1711」の山頂を探してみよう。そして、等高線に囲まれた部分を赤く塗ってみる。どうかな、そこから北北東に向かって行政界が伸びているわけだけれど、これって等高線の膨らんでいる方向に向かって下りていないかな。これは「尾根線」なのだ。

[8]X;位置情報を得るのでGPS。Y;人工衛星からの写真。リモートセンシング。Z;コンピュータに情報を入力。GIS。

[9]こうした問題はとりあえず今のデータから。2010年の値がほぼゼロの④は、軽工業製品の綿織物でしょう。逆に最も高い①は自動車。とくに①については、1980年代にピークだったことからも自動車であることが確実。残った②と③だが、現在の値は同じ。過去を振り返ってみると、なるほど、②は1980年代以降に伸びてきた品目であり、③は1960年代の高度経済成長期の値が大きい。高度経済成長期は「重厚長大産業」の時代であり、日本各地に製鉄所が建設された時期でもある。③が鉄鋼で、②が半導体等電子部品。

[10]フィリピンが最大のポイント。かつて日本はフィリピンから多くの木材を輸入していたが、結果としてフィリピンの森林面積は大きく減少した。フィリピンの値が大きい方から小さい方へ、イ→ア→ウの順。東南アジアの地位が低下し、北ヨーロッパからの輸入が増えている。

[11]函館とは北海道の都市。ロシアとのつながりが強いことは想像できるだろう。②が正解。他はよくわかりません。③が川崎っぽいなぁ。石油コンビナートとかあるし。①が大阪、④が境だとは思うんだけどね。そもそも境って鳥取県西部の港なんだけれど漁港として有名で、貿易港としては規模が小さいと思う。木やコルク製品がたまたま上位にランクインしているけれど、量が多いっていうほどでもないんじゃないかな。

[12]「残高」っていうのがよくわからないのだが、わからんものは無視しましょうか(笑)。直接投資については「工場」を具体的に考える。つまり日本企業の工場がどの地域に多いかっていう話なわけだ。全体的に最も高い値となっている①を素直に選んだらいいと思うよ。よくわからんけど。

[13]①について。移民の流れは「1人当たりGNIの低い国から高い国へ」。日本はそもそも1人当たりGNIの高い国なので、外国への移民はない。

②について。域内のヒトの移動の自由が実現しているのはEU(パスポートがいらない)。ASEANはその限りではない。

③について。正解。1970年代のキーワードはオイルショック。原油価格高騰により、オイルマネーが西アジアの産油国に流れた。建設ブームが到来し(なお、製造業ではないので注意。西アジアで自動車工業が興ったわけではない)、周辺の低所得国から労働者が流入。

④について。日本への観光客は中国や韓国からが中心。

[14]この問題いいなぁ。ハラル(ハラール)が登場。ハラール肉とは、イスラム教徒のために正しい処理がなされた肉のこと。イスラム地域であるアラブでは羊の肉がよく食されているが、ハラル処理された肉である。Bがサに該当。この場合の宗教とはイスラム教のこと。

Aは免税店なのでスが該当。Cはよくわからないや(笑)。

[15]これ、難しいんだよなぁ。人口規模も飛び抜けて大きい国や小さい国はないし、判定しにくい。とりあえずEUは基準になると思うんだよなぁ。EUはさっきの問題でも触れられていたけれど、国境の通過にパスポートがいらないほどで、ヒトの移動は自由である。外国への旅行Lも国内旅行と同じような感覚で行え、相対的に外国旅行者は多くなる。「外国旅行者送出数」が大きい①はEUで決まりだと思う。さらに④についても、送出は多くないけれど「外国人旅行者受入数」は多い。これもEUとみていいと思うんだよなぁ。①と④がイギリスかスペインのいずれか。おそらく、①がイギリスで④がスペイン。そもそもの人口規模が、イギリス>スペインであるため、イギリスの方が外国旅行者送出数は多くなると思う。さらに、ヨーロッパの旅行といえば地中海沿岸へのバカンスであり、スペインはそうした観光地を国土に含んでいる。多くのヨーロッパ人がスペインの海岸に出かけるイメージが持てれば、スペインが人口を超えるほどの外国人旅行者受入数であるのも納得だろう。

残った②と③が日本かタイ。これはもう勘で当てるしかないよ。日本の方が人口が大きいし、1人当たりGNIも高いし、旅行者が多いんじゃないかな。外国旅行者送出数が大きい②が日本、少ない③がタイとなる。これでどうだ!当たってるんやろか?

[16]標高3000メートルはかなり高いよ。新規造山帯。南部のみに新規造山帯が位置するBが正解。

[17]おもしろいなぁ。こうやって改めて並べてみると、ヨーロッパの気候って実に興味深い。まずアから。全体の気温が高いので、低緯度地域であると推測。地中海沿岸のGでしょう。夏季の降水量が少ないのも、この地域の特徴。中緯度高圧帯の影響なのだ。

イとウはともに年間の平均気温は12℃ぐらいになるのかな。イが最暖月24℃、最寒月0℃。ウが最暖月19℃、最寒月5℃。というわけで、もちろんここからは気温年格差に注目。大西洋に面し海洋の影響が強いFで気温年較差が小さくなると思われ、ウに該当。大陸内部のHは寒暖の差が大きく、イに該当。

[18]農業の問題。地理Bならもっと農業区分(ホイットルセー)を強調したものになるんだろうが、地理Aならこんなもんかな。でも、混合農業が問われている辺り、やっぱり地理Aでもホイットルセー農業区分は重要ってことだね。

Lはオランダ。園芸農業が主。穀物以外の野菜や花卉、乳製品や肉類など。②が該当。

Mはデンマーク。酪農地域である。④が該当。

Nはポーランド。混合農業地帯で、ジャガイモとライ麦の輪作、豚の飼育が行われる。③が該当し、これが正解。

Kはスペイン。オレンジの栽培に特色がある地域。まあ、地中海沿岸だし、オリーブとブドウでも間違いじゃないっしょ。①が該当。

[19]都市名が登場しているけれど、地図上の地域として捉えればいいね。

ビルバオはスペイン北部でフランス国境に近い。バスク地方であり、独自の言語が用いられている。スが該当。

ベルファストはイギリスの北アイルランド地方。プロテスタント(イギリス系)とカトリック(アイルランド系)の対立。サが該当。

ブリュッセルはベルギーの首都。ベルギーは北部はゲルマン系のオランダ語、南部はラテン系のフランス語。首都はバイリンガル地域。

[20]図がないので何ともいえないのですが。1人当たりGNIは確実に知っておくべきことであるし、人口密度はおおまかに面積に反比例と考えればいい。

[21]あれ、またポーランドだ!ポーランドは国土南部に古期造山帯が広がり、産炭地域となっている。石炭に依存する割合が高い国なのだ。火力メインの①が正解。酸性雨の被害も大きい。

②がドイツ、③がフランス、④がスイス。しかしこれもすごい問題だね。ドイツは2030年代を目処に脱原発を目指す国。スイスはすでに近い将来の原発の廃止を決定している国。フランスは現時点ではそういう動きはないものの、新設される原発はほとんどない。ヨーロッパ全体が、ゆるやかではあるけれど、脱原発の流れにあるのだ。その推進役ともなっているドイツとスイスを取り上げるところが何とも憎いなぁ。

[22]ありがちな問題だけど気をつけないと。EUでありながら、イギリスのように独自通貨(イギリスの場合はポンド)を使用している国もある。EU29カ国中、ユーロを使用するのは半分程度に過ぎない。

[23]現在の数値に注目すればいいと思う。出生率と死亡率の差が人口の自然増加率。人口増加については自然増加と社会増加の双方を考えるべきだが、大陸別の人口については(人口の国際的な移動は全体からみればわずかな割合である)自然増加のみを考慮すればいい。「2005~2010」の値を注目し、自然増加率の高い順に並べると、①>②>③>④である。

人口増加率は、「2%;アフリカ 1.5%;南アジア・ラテンアメリカ、0.5%;東アジア・アングロアメリカ、0%;日本・ヨーロッパ」であり、アジアについては1.5%の南アジアと0.5%の東アジアの平均として、1%と考える。4地域を同じく人口増加率(自然増加率)の高い順に並べると、アフリカ>アジア>アングロアメリカ(北アメリカ)>ヨーロッパであり、①がアフリカ、②がアジア、③が北アメリカ、④がヨーロッパとなる。

[24][25]①が誤り。ヒスパニック(メキシコ系移民)や中国からの移民はとくに増加している。

②も誤り。インドではたしかに子供を二人までという家族計画が政府によって呼びかけられているが、徹底しているわけではなく、人口増加率は相変わらず高い。農村における労働力不足は当然生じない。

[26]これ、難しいな。そもそも「微小粒子」っていうのがわからない。ただ、セネガルがポイントなんだわな。「安全な飲料水を利用する人口の割合」が100%である①と②が先進国であるドイツとオーストラリアであることは間違いない。でもその2カ国でも「微小粒子状物質の大気中濃度」が20と7で結構違う。これってどういうことなんだろう?

で、ここで思ったわけだ。残る③と④がセネガルとインドだよね。同じく発展途上国であるこの二つの国の間でもかなり数値が違っているわけだ。両国の違いって何だ?それは「乾燥の度合い」なんだわ。多雨で国土の広い範囲が湿潤であるインドに対し、セネガルはサヘル地帯の乾燥国。例えば雨の多い国ならば、空気中に微粒子が舞っていたとしても、雨によって洗い流されてしまう。逆に雨が降らない国ならば、砂塵などが舞い上がった際に、いつまでも空気中に浮遊することになる。中国の黄砂を考えてみたらいいんじゃないかな。砂漠化が進む中国内陸部の黄土高原。風によって舞い上げられた細かい黄砂が、風に乗って日本に到達し、もやがかかったような空気となる。雨が降ると黄砂は地面へと落ち、例えば自動車の上などでは泥としてこびりついてしまう。乾燥している国の大気で微小粒子濃度が高く、雨が多い国ではその値は低いと考えるのが自然じゃないかな。①がオーストラリア、②がドイツ、③がセネガル、④がインドと考えるとつじつまが合う。

[27]新大陸のアルゼンチンでは商業的な農業が行われ、小麦など穀物がさかんに輸出されている。穀物自給率は100%を越え、④がアルゼンチン。一方、米の自給率は高いものの小麦やトウモロコシは輸入に依存する日本、商品作物の生産が優先され(プランテーション農業)自給作物の生産は十分でないナイジェリア、フランスやドイツなど他のヨーロッパ諸国から小麦を輸入しているイタリアは、いずれも穀物自給率が100%を下回っている(ナイジェリアが重要!)。

①~③の判定。①はいも類の割合が高い。ナイジェリアは焼畑農業の国でキャッサバの生産が多く、タピオカに加工され食されている。また熱帯雨林の気候環境を有し、家畜の飼育はさかんではない(肉類の供給が少ない)。①がナイジェリア。

②は穀物自給率がとくに低い。上述のように日本は米の自給率は100%近いが、小麦は15%程度、トウモロコシはほぼ0%であり、平均して約30%となる。②が日本。

残った③がイタリア。ヨーロッパの国であるだけに、日本に比して肉類や牛乳・乳製品の割合が高い。

しかし、アルゼンチンの穀物自給率250%って凄いな!そんなに人口が少ない国でもないんやけどね。

[28]②が誤り。国際的に水産資源が管理されていることは間違いないが、さすがにマグロ類の貿易が禁止されていることはない。将来的にはもちろんわからないのだが。

というわけで、選択肢②より、他の選択肢について「正文」であることの方が大事。①について、日本では遺伝子組み換え農作物の栽培が禁止されているが、アメリカ合衆国からはそういった農作物が輸入されている。ただし、それを使用した場合には製品に表示が義務付けられてている(しかし、レレストランなどで使用された場合にはその限りではない)。

④について。トウモロコシが例。穀物に使用されるトウモロコシがアルコール燃料となり、価格の上昇が懸念される。

[29]~[34](地理B参照)

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2015.06.03

2015年度地理B追試験[第5問]解説

 第5問 総合的な大問。寄せ集めといった印象もあるけれど、環境問題や民族問題に寄った話題が多いのが特徴。問1はスマートな統計問題なので個人的には好きです。問2は難しかった~、一瞬間違えたからね。問4と問5は素晴らしい問題。とくに問4は内容も危ない。強いメッセージ性を感じる問題たちなのです。

問1 アフリカの階級区分図。アラブ(北アフリカ)とブラックアフリカ(サハラ以南のアフリカ)の違い、所得水準の高い国としての南アフリカ共和国、OPEC産油国などが注目ポイント。

まず指標からチェック。合計特殊出生率はおおよそ人口増加率に比例する。人口増加率は1人当たりGNIに反比例する傾向があるので、つまり「合計特殊出生率は1人当たりGNIに反比例」。また、15~24歳の識字率は教育水準のことで、女性の社会進出率と比例すると考えよう。学校に多くの人が通うのだから、男性だけでなく女性も勉強の機会を得ることになる。このことが女性の社会進出を促し、さらに女性が多くの収入を得ることで全体の所得水準も上昇し、結果として1人当たりGNIが上がる。つまり「15~24歳の識字率は1人当たりGNIに比例する」のだ。

アフリカで1人当たりGNIが高いのは、資源国でもありアフリカ最大の工業国でもある南アフリカ共和国、そしてアルジェリアやリビアのような産油国(ナイジェリアは人口規模が大きいので、1人当たりGNIは決して高くない)。これら3つの国が低い値となっているウが「合計特殊出生率」、同じく高くなっているアが「15~24歳の識字率」。残ったイが「成人のHIV感染率」つまりエイズのことだが、これについては考慮しなくていいと思う。南部アフリカで感染率が高いが、アルジェリアで低く、南アフリカ共和国で高いなど、経済レベル(1人当たりGNI)とは関係ない。

問2 水を使う農産物といえば真っ先に米が想像できないかな。だから「国内で消費される農産物の生産に使用された国内の水資源量」が大きい①と②が米作国の日本とインドになる。また、日本は食料自給率が低く、多くの農産物について海外からの輸入に依存している。「輸入される農産物の生産に使用された他国の水資源量」だが、日本の場合、1人当たりの「輸入される農産物」がそもそも大きいのだから、それに使用された他国の水資源量も大きくなるはず。①が正解。

と思ったんだが、そうなると④の「970」っていう数字が気になる。もしかして④が日本なのか?日本はそもそも農業がさかんではないので、1人当たりの農業のための水の使用量が少ないんじゃないか。うわっ、そっちが真実だわ!これ、正解は④でしょ?もしかしたら違う?いや、全然わからんぞ。間違っていたらゴメン。

とうわけで調べてみました。あっ、正解は④だった!危なかったぁ。そうか、日本の場合、1人当たりの農産物の生産量がそもそも少ないから、それに使用される水の量も少なくなるわけか。それに対し、1人当たりの輸入量は多いから、そちらの水は多くなる。うん、そういうことだな、納得。米作とか全然関係なかったですね(苦笑)。

問3 環境問題に関する話題ですが、比較的イージーかな。一つ目の誤りは②。常緑広葉樹林は熱帯林が中心で、温帯林でも中国南部や地中海沿岸など温暖な地域。さすがに冷涼なスウェーデンではありえないでしょ。第1問でも植生が大きく取り上げられていたが、ネタ的にはかぶってますね。

もう一つは③。精密機械工業は熟練労働者の技術が必要となるので、先進国においてこそ立地するもの。さすがに西アフリカの経済レベルの低い地域では成り立たないでしょ。

他の選択肢もわかりやすいものばかりと思います。とりあえず読んでおいてくださいね。

問4 2015年地理B追試験の中で最も印象的な問題といえるでしょう。このインパクト!ここまで真正面から軍事費に切り込んだ問題があっただろうか?しかもイスラエルも登場しちゃっていてかなりヤバ目。熱い問題だわ!

問題文参照。ここにはっきりとヒント(というか答えそのものと言っていい)が書かれているのだ。武器については「高度な生産技術をもつ先進国による供給」と説明されている。なるほど、先進国が武器をつくり、発展途上国に売っているわけだ。まさに「死の商人」というわけですね。世界の紛争地域のほとんどは発展途上国であり、そこで多くの命が失われているのだが、利益をむさぼるののは常に先進国の資本家なのだ。表2においてもアメリカ合衆国の数値をみればよくわかる。アメリカは世界最大の武器輸出国なのだ(全ての国のデータがあるわけではないからわからないけれど、おそらく1位と思って間違いないでしょう)。

そうなると、発展途上国であるインドの判定は容易になってしまう。1人当たりGNIはドイツで40000、イスラエルで20000、ロシアで10000、インドで3000程度。最も経済レベルの低いインドは、先進国で開発・製造された武器を買い求めるお得意様というわけだ。④が正解。

なお、他の国の判定には「GDPに占める軍事費の割合」が目安となる。具体的な軍事費がわからないのでGDPは計算できないが、例えば③と④を比較した場合、③は④より武器の輸入額が小さいのだから、軍事費そのものも小さいとは思う。しかし、それでもGDPに占める軍事費の割合は高いのだから、GDPを考えた場合、③<④ となるはず。イスラエルは1人当たりGNIは高いものの、小国であり人口規模は小さく、GNI(GDPと同じと考えていい)も小さい。一方、インドは1人当たりGNIは低いが、人口規模が圧倒的に大きく、GNIは比較的大きな値となる。③が小国のイスラエルと考えると納得がいく。

参考までに、①がロシア、②がドイツ。

なお、イスラエルは「警察国家」の異名をとり、国民に占める警察官や軍人の割合が極めて高い。女性に対しても徴兵制が施行されている。周辺をアラブ国家に囲まれ、独立以来数十年間常に戦争の危機にある。政治的にはアメリカ合衆国とのつながりが強く、多くの武器を輸入しているほか、イスラエル自体も武器の開発には積極的である。

問5 この問題もすごくいいのだ。地理学習者はどうしても紛争や戦争の原因を「民族や宗教の対立」に求めてしまうが、決してそれは真実ではない。もちろん民族や宗教の違いは重要な要素であるし、テストではそれがこぞって出題されている。しかし、もう一つ上の段階として、「民族や宗教の違いだけで人は殺しあうほど対立するものなのか」っていう疑問までたどり着いてほしい。世界の戦争や紛争は、金や資源の奪い合い、権力者の自己中心的な思考といったような、もっと「しょうもない」理由によって生じていることの方が多いんじゃないか。民族や宗教の違いなどあくまで大義名分で、一部の人間の強力なエゴによって多数の人間が巻き込まれ、命の危険にさらされているのではないか。

そういった「民族や宗教の違い」に起因しない内戦の例としてソマリアがある。ここは民族構成はアラブ系で一様であるし、宗教もイスラム教が主。民族も宗教も対立要因はない。しかしそれでも国内に多くの勢力が乱立し、無政府状態へと突入した。国土は戦乱にさらされ、国民の命は次々と奪われる。国連軍の平和維持軍(PKO)が派遣されるが、アメリカ合衆国の軍用ヘリコプターがソマリア民兵によって撃墜されるなど(「ブラックホーク・ダウン」という映画に詳しい)、状態は混迷を極めた。正解(誤り)は③で、「NATOによる空爆」が行われた内戦地域は旧ユーゴスラビアのセルビア。北アメリカとヨーロッパを中心とした軍事組織のNATOがアフリカのソマリアの内戦に介入することはない。とはいえ、前述のようにソマリアに国連軍は送られたものの、それで内戦が終結したわけではない。「アフリカの角(つの)」と呼ばれるソマリアだが、この地の紛争を深く知ることによって、我々は民族や宗教が決して争いの原因になるものではないことを知る。

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2015.06.03

2015年度地理B追試験[第4問]解説

 第4問 地誌問題。北極海沿岸とはずいぶん奇妙な地域がテーマとして取り上げられていると思いきや、意外にこの地域の出題例は多い。また特定の海域についてその周辺地域が地誌問題のテーマとなる傾向も一般的であり、今回が決して特殊な例でないことはわかる。内容もずいぶんオーソドックス。ある1問を除いては。

問1 正解は②。非常におもしろい問題。永久凍土の分布範囲は絶対に知っておくこと。冬季に極めて慣例となる地域においては、地下の氷が夏季も解けず。年間を通じて凍土層が存在することになる。これが永久凍土。問2のグラフが参考になるのだが、西ヨーロッパのアは冬季でも平均気温が0℃程度であり、凍結したとしてもすぐに解けてしまうだろう。それに対し、北極海沿岸のイは冬季の平均気温がマイナス20℃にまで低下し、これならばちょっとやそっとの高温では地下の凍土は解けない。シベリア内陸部のウも同様、っていうかもっとすごい!シベリアの内陸部では冬季の平均気温がマイナス50℃にまで低下するところがあるが、さすがにここまで寒冷となると地面は強く冷却され、地中の水分は凍結する。夏季はそれなりに高温となるが(ウのグラフをみると、平均気温が20℃近くに達していることがわかる。農業は十分に可能)、地表面付近の氷は解けるものの、融解は地下には及ばない。地下に夏季にも解けない氷の層が保たれるのだ。つまり永久凍土層。

ここでBの位置を確認しよう。東経60度の経線に沿って巨大なウラル山脈が走るのだが、これがヨーロッパロシアとシベリアを分ける境界。この西側はヨーロッパと同様の冬季でも比較的温暖な気候がみられるのに対し、西側のシベリアは冬季極寒の世界。最寒月の平均気温はマイナス20℃を下回る(先ほどの問2のウのグラフを参照)。Bではそこまで気温が低下することなく、地面が多少凍結したとしても、夏には解けてしまうレベル。これでは永久凍土とはいえないね。②が誤りとなるのです。

ここで一旦整理しておこう。温帯気候と冷帯気候の違いは「凍結するか、否か」。日本の本州以南は温帯で、北海道は冷帯。つまり北海道では地中の水分や湖沼、河川、そして港湾が凍結する。北海道で水力発電があまり行われていないこと(ダムが凍りつくのだ)や、果樹栽培がさかんでないこと(樹木が凍結する)、オホーツク海の流氷によって沿岸部が覆い尽くされることを考えよう。本州以南はそういった事象はみられない。

ただし、単に凍りつくことと、永久に凍り続けることは違う。夏季の気温は関係ない。冬季に「極端に」凍らせることで夏の気温がどれほど上がろうと、決して解けることはないのだ、と解釈しよう。その境界線はマイナス20℃である。

問2 緯度が近い3都市の気候グラフ判定。海洋性気候と大陸性気候の違いが重要。

Fはノルウェーの沿岸部に位置する都市。暖流である北大西洋海流、温暖な偏西風の影響を受け、冬季でも温暖な気候がみられる。湿った風が山脈にぶつかることによって降水量も多い。アが該当

Gはシベリア内陸部。シベリアはほぼ全域に永久凍土層がみられるが、これは冬季の気温が極端に低下するため。シベリア南部の都市イルクーツクで最寒月平均気温がマイナス20度になるなど、シベリアの範囲は1月マイナス20度の等温線以北とみていい。Gにおいては1月の平均気温はさらに低下するとみられ、アが該当。なお、大陸性気候であるため夏季の気温は比較的上昇する。これぐらいの気温ならば、大麦の粗放的な栽培ぐらいはみられるだろう。ウが該当。

Hの北極海沿岸はツンドラ地域。ツンドラとは極地や高山にみられる荒地で、秋から春にかけては雪氷に覆われている。短い夏季のみ融氷し、地表面は湿地となり、コケ類が繁茂する。農耕は不可能であり、一部でトナカイの遊牧が行われる程度。夏季の気温が10度に達せず、農業ができない様子を想像しよう。イが該当。

問3 写真がどんなんか全然想像できへん(笑)。しゃあないでしょ。

とりあえず、文章はカがイヌイット(エスキモー)、キがサーミ。

写真は、おそらくイヌイットが氷の家イグルーなんじゃないかな。サーミは木工製品とか。それぐらいしか思い浮かばないわ。

問4 これ、難しいな。キャラクターの似た都市も混ざっているし、キーワードの選び方が難しい。

比較的容易なのが②。「国内最大の人口」とあるが、そもそもアイスランドには他に目立った都市はないのだから、レイキャビクが最大都市であるのは想像がつく(ちなみにアイスランドは人口約30万人。レイキャビクは首都)。しかも「温泉」という言葉が。アイスランドは大西洋中央海嶺の上に生じた火山島。地熱を利用して、温泉が設けられているということは十分に考えられるのだ。②がレイキャビク。

さらにナルビク。北極圏に位置するノルウェーの港湾都市。これはベタに知っておくべきことなんだろうな。スウェーデン北部にキルナとエリバレという鉄山がある。ただし、スウェーデンの港湾は冬季に凍ってしまうため(スウェーデンは冷帯気候なのだ)、大西洋に面した不凍港のナルビクまで鉄鉱石が鉄道で輸送され、そこから船舶によってルール(ドイツ)など他国の鉄鋼地域へと輸出されている。④がナルビク。

そしてアンカレジ。アメリカ合衆国アラスカ州の都市だが、実はアラスカ州というのはアメリカ合衆国最大の原油産出量を誇る州(*)。このことから「石油」がキーワードとなり、②がアンカレジ。とはいえ、アンカレジ周辺で原油が採掘されているわけではなく、北極海沿岸に油田が位置し、そこからパイプラインで送油されているのだが。「水産業」と「林業」は他の地域でもみられるので、ここではキーワードとならない。また、「国際空港をいかした旅客輸送の重要な中継基地」だったのはずいぶん昔の話なので、今さらこんな話題を出題するのはどうかと思うんだけどね。ソ連が存在していた1980年代までは日本からヨーロッパに向かう航空機はソ連上空を通過できないため、遠回りしてアラスカ州経由で飛行していた。その際に必ず立ち寄っていたトランジット空港が位置していたのがこのアンカレジだったのだ。昔の地理の問題では「アンカレジ=交通都市」という括りもあった。ただし、ソ連が崩壊し空路の制限がなくなると、日欧間の航空路はロシア上空を通過するようになり、アンカレジ空港は中継地としての役割を終えた。

以上より、残った①がムルマンスク。暖流(北大西洋海流)の影響によってノルウェーの沿岸部は不凍港であることがよく知られているが、実はその範囲はこのムルマンスクにまで及ぶ。北極圏に位置するため、冬季は太陽が全く昇らない極夜となるのだが、それで港湾が凍結しないのだから、違和感がすごい。第二次世界大戦中にはアメリカ合衆国からの支援物資がこの港にまで届けられた(第二次世界大戦ってアメリカとロシアが仲間だったって知ってるよね?)。なお、「トロール漁業」とは大規模な底引き網のことであり、大陸棚など浅い海域において行われる。北海で行われるカレイ漁が有名だが、北極海も大陸棚が広がり、水深が比較的浅いので、こうしたトロール漁法がみられるのだろう。とはいえ、これは特殊な知識。消去法で正解を導かないといけないので、かなり難易度の高い問題であることは間違いないね。

(*)アメリカ合衆国においては、面積上位3州が原油産出上位3州と重なる。1位アラスカ州、2位テキサス州、3位カリフォルニア州。アラスカ州には北極海沿岸に油田が位置し、そこからパイプラインで太平洋岸まで輸送され、タンカーで搬出される。テキサス州は北米最大の油田地帯であるメキシコ湾岸に位置し、ヒューストンなどで石油精製工業が発達。カリフォルニア州でも南部を中心に油田が位置し、ロサンゼルスで石油精製工業。

問5 今回のエース問題!凄い問題ですね。かなりのクセがある。原発ネタを扱っているから本試験では出題できないのだろうか。歴史に残る素晴らしい問題であることは間違いない。

ここで注目はフィンランド。フィンランドはスウェーデンと同様に水力発電が行われている国であるが、冬季は河川や発電施設が凍結してしまう(冷帯の国なのだ。温帯のノルウェーとは違う)、不足する電源を補うために原子力発電が行われている。石炭を消費した火力発電がこの国の大敵であることはわかるよね。石炭の燃焼によって生じる硫黄酸化物によって雨水が酸性化する。土壌の強酸性化によって樹木が立ち枯れし、この国の重要な経済の柱の一つである林業の大きなダメージがあるのだ。原子力が比較的大きな割合を占めているQがフィンランドである。ただし、物語はここからで、Qについてはさらにバイオマスにも注目するべき。え、こんな寒冷な国でバイオマスって?一般にバイオマスは、アメリカ合衆国のトウモロコシ、ブラジルのサトウキビ、マレーシアの油ヤシ(パーム油)などがイメージされ、温暖な農業国でこそ精製量が多いと考えられている。しかし、実はフォンランドもバイオマスの生産がさかんな国だったりするのだ(国が小さいため、生産量自体も小さく、あまり統計に登場しないので知られていないが)。彼らが利用するバイオマスは「樹木」なのだ。パルプ工業や製材業の際に廃棄される枝葉や樹皮はそのまま燃料とされ、あるいは樹木そのものから油脂を採取することもある。国土面積の半分以上を占める森林資源がそのままエネルギー資源となっているのだ。

フィンランドはしばしば「森と湖の国」と称せられる。なるほど、国土の広い範囲は針葉樹によって覆われ、林業やパルプ生産が際立ってさかんである。バルト楯状地(*)の上に氷河の侵食と堆石の作用によって多くの湖が形成された。しかしこの「森と湖」はフィンランドのエネルギー政策においても重要な要素となり、湖が有する豊富な水資源によって発電が行われるほか、森林はバイオマス(生物燃料)の大きな供給源である。さらにいうならば、数億年にわたって変動していない大地(安定陸塊)ならば原子力発電所の安全な運転には理想的である。使用済み核燃料も安定した地盤を掘削し、地下に廃棄することもできる。オンカロという使用済み核燃料の処理施設はあまりにも有名である。

(*)安定陸塊に含まれる地形の一種。古代の岩盤が露出し、表面に凹凸のある大平原がひろがる。

さらにPはノルウェーはP。北海油田に面する国で原油(石油)と天然ガスの西ヨーロッパ最大の生産国である。ただしこれらの化石燃料は発電にはもちいられず、ノルウェー自体は豊富な降水量と傾斜の急な地形を生かした水力発電国である(**)。

最後のRはアイスランド。問4のレイキャビクでも説明されていたが、アイスランドの国土は火山島から成っているのである。「地熱」がキーワード。氷河の国でもあり、水には恵まれているのだろう、水力の割合も比較的高い。ただ、日射量が多い国とも思えないのに太陽光発電が行われていることについては疑問なのだが。

以上より、正解は④となる。

(**)今回の問題ではノルウェーの水力の値が小さく、ちょっと疑問なのだが、どういった計算なのだろうか。アイスランドの方が値が高い。もっとも、ノルウェーが人口約5000万人に対し、アイスランドは約30万人。人口規模が10倍以上違う。PとRのグラフだけから、「アイスランドの方がノルウェーより水力発電量が多い」と言い切ることはできないだろう。

問6 これ、やばいな。正直ちょっとわからない。おそらく④が正解なんだと思う(答えは見てません。違ったらゴメン)。

①について。ウランの産出で覚えておくべき国はカナダ。しかし、「沿岸」っていうのが引っかかるんだわ。ウランの産出値はもっと内陸部だったような。問4でも説明しているように、油田の開発は北極海沿岸でも行われているんだが。また、ノルウェーのスバールバル諸島には炭田もあったりして、これも「沿岸」とは言えるわけだが。しかしウランというとちょっと心当たりがないかなぁ。

②について。どこまでを「極地」というべきかは難しいのだが、上でも述べたスバールバル諸島やグリーンランドには普通の空港もあって、そこには観光客も押し寄せている。南極大陸の観光はかなり制限されているのだが(病原菌が持ち込まれないように、人間そのものだけでなく、荷物など全てが完璧に殺菌される。このため、一般の観光客にとっては実質的に上陸不可能になっている)、北極はそもそも孤立した大陸というわけでもないし、そういった決まりごとは聞いたことがない。オーロラや野生動物など観光資源にも溢れた地域でもあるし、そういったツアーが企画されていたとしてもおかしくはない。

③について。これは消せるでしょ。冬は北極海は凍りついてしまうので、さすがに「年間を通じて」は不可能。

以上、④が正文として残される。この文章についてはとくに否定すべきところが見つからないのだが。これが正解でいいと思うよ。

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2015.06.03

2015年度地理B追試験[第1問]解説

 第1問 世界の自然環境。テーマとしては非常にオーソドックス。しかし、内容はちょっと異例づくめ。解き難い問題が多いと思うよ。

問1 プレートテクトニクス理論はあくまで仮説に過ぎないので、あまり突っ込んだ問題は出題されない。比較的詳しい内容まで問われている本問は例外的な存在といえる。ただし、過去問でサンアンドレアス断層は問われたことがあり、決して解答不能というわけではない。Dのカルフォルニア州太平洋岸南部にみられるサンアンドレアス断層は、ロサンゼルス地震の震源にもなった変動帯であり、プレートの「ずれる境界」である。よって④が正解。

AからCはいずれも海溝に沿い、プレートの「狭まる境界」。いずれも矢印の方向にプレートが移動することで、プレートの沈み込み部に海溝が形成されている。Aがスンダ海溝、Bがマリアナ海溝、Cがケルマデック海溝。ケルマデックが初出。

問2 写真がちょっと判別しにくいのだが、実際のセンター試験ではもっと鮮明な印刷だったのだろうか。ここではフィヨルドに注目しよう。氷河が削ったU字谷に海水が侵入して形成された峡湾で、入江の奥までの長さが100kmを越えるものの。上空からみると、葉脈のような形状となっているのだが、それがわかるだろうか。ウがフィヨルドとなり、ノルウェー沿岸のJに該当。写真は南北が反対となっている。数万年前の氷河期(最終氷期)に大陸氷河に覆われていた、北極や南極周辺の高緯度海岸にみられる。

さらにKをみてほしい。ベトナム南部であり、ここはメコン川の河口部に当たる。巨大な三角州(デルタ)が形成され、東南アジア有数の米作地帯となっている。浅い海に土砂が堆積することで三角州は形成されるのだが、その様子がイでうかがえる。ちょっと海の方向に膨らんだ地形となっているね。この写真は左側が北かな。

そしてL。オーストラリア北東岸にはグレートバリアリーフ(大堡礁)が発達。堡礁とは、海岸からやや離れたところに広がるサンゴ礁。そもそもは陸地に接した浅海にサンゴ礁が形成されたのだが、陸地が沈降することで、陸地とサンゴ礁とが離れ離れになる。アの写真がそれに該当するのだが、わかるかな。この写真は方向は正しいのだが、左側が陸地、右の方で縦に連続しているものが海面上に現れたサンゴ礁でグレートバリアリーフである。

問3 これだけのデータで特定するのも難しい。ライン川のみ当てればいいから何とかなるかな。まずガンジス川。ガンジス川が流れる南アジアは雨季と乾季の明瞭な地域であり、夏季にはかなりの量の雨が降る。これが流量に反映されないわけはなく、北半球の夏に流量最大となっている①と③のいずれかがガンジス川。さらにナイル川だが、原則として外来河川であり、乾燥地域を流れているのだが、上流部に多雨地域があることに注目。とくにナイル川の支流の一つである青ナイル川が水源としているエチオピア高原の降水パターンが重要。夏季に北上する赤道低圧帯に覆われ、多雨となる。この影響でナイル川本流もこの時期に流量が増し、(アスワンハイダム建設による治水が行われる以前は)エジプトでは夏に大規模な洪水被害に見舞われた歴史がある。このことから、ナイル川もやはり北半球の夏に流量が最大となり、①か③が該当する。

さらにこの①と③だが、おそらくガンジス川が①、ナイル川が③であろう。上述のようにナイル川は上流部が多雨地域であるため、流量は決して少なくない。しかし、インドの熱帯地域を流れるガンジス川より流量が多いとは思えないのだ。年流出高が大きい①がガンジス川、少ない③がナイル川だろう。外来河川(乾燥地域を流れる河川)の年流出高などこの程度のものなのだろう。

そうするとライン川の推定ができる。残る選択肢は②と④だが、さすがに年流出高が5ミリはないだろう。ナイル川より少なくなってしまう。ライン川は国際河川(条約により沿岸国の自由航行が認められた河川)であり、船舶の通行がさかんに行われている。そこで乾燥地域並みの流量ならば、船底が川の底につかえてしまうんじゃないか!?このことから「450」の②をライン川と判定し、豊富な水量に支えられ、内陸水運が発達していることを想像しよう。なお、流量が最大になる月が2月となっているが、これについては考慮しなくていい。そもそも「年間を通じて一定の流量」であることがライン川の特徴であり、降水量の季節的変化の少ない西ヨーロッパの気候を反映したもの。月ごとの降水量にほとんど差がなく、2月にしても他の月に比べ、たまたまわずかに流量が大きかったぐらいのことだろう。

残った④がオレンジ川。センター初出であり、意識しなくていいが、とりあえず乾燥地域を流れる外来河川なのだろうね。外来河川については、比較的流量が多いナイル川でもこの程度の数値なので、やはりダムを建設して、水を貯めておかないとその有効利用が図れないのだな、とイメージしよう。

問4 これも変わった問題だな。この大問が追試に回された(本試に採用されなかった)理由もわかるような。内容は素晴らしいのだが、形式的に「斬新」すぎて解き難い問題ばかり。本来はこうした問題の方が実力差が出やすくていいのだが、しかしセンターを解き慣れていない人ならば全滅してしまうし、それはそれでマズいんだろうね。

では、問題の分析。図から判定するに、このシェラネバダ山脈というところはカリフォルニア州に存在する。降水量は決して多い地域ではなく、とくに内陸部は乾燥地域となっている。

選択肢参照。「年間を通じて低温」と④にある。これは標高が高いところと考えていいんじゃないか。しかも雪に覆われているようだ。標高が極めて高いクが④に該当すると考えていいんじゃないか。標高4000メートルならば、海面標高より気温は20度ほど低い。カリフォルニアは寒流の影響でそもそも気温があまり高くない地域なので、ここにこんな高山があれば山頂付近が雪氷で覆われていたとしても不思議ではない。

さらに選択肢①を参照。ここには「針葉樹」とある。これは冷帯など冷涼な地域にみられる植生。キの地点は標高2000メートル程度で、海面標高より10℃ほど低い。冷涼な気候がみられるはずで、植生も針葉樹になるのではないか。キは①が正解。

さらにケについて。グランドキャニオンを想像すればわかるように、アメリカ合衆国西部の内陸部には乾燥地域が広がっている。シェラネバダ山脈の東麓もそういった気候であることが十分にうかがえる。「年間を通じて乾燥」より③がケに該当。

残った②が海岸に近い低地のカ。「夏に高温で乾燥」というのは地中海性気候。なるほど、カルフォルニア州の沿岸部(ロサンゼルスなど)では地中海性気候がみられる。地中海性気候はそもそも年間の降水量も少ないので、この地域に「耐乾性」の樹木が分布するのも納得。これが乾燥気候(降水量<蒸発量)ならば樹木すら生えないが、さすがに地中海性気候はそこまで乾いているわけではないからね。

問5 本当に変わった問題。内容はさほど難しいことを尋ねているわけではないのだが、とにかく形式が目新しい。斬新。解き難いったらありゃしない。

まず「裸地」に注目。要するに地表面が植生によって覆われていない状態のことで、「砂漠」である。乾燥の度合いが高いことによって砂漠が生じ、そうした地域はどこに多く分布するかといえば、中緯度高圧帯の影響が強い北半球と南半球のそれぞれ緯度20~30度付近の一帯。やや場所がずれている印象もあるが、あえていうなら④がこの条件を最も満たしているでしょう。④が「裸地」となる。

あとは意外と簡単で、③が最も高緯度、①が中緯度中心、②が低緯度で主にみられる植生となっている。気温でいうならば、寒い③、普通の①、暑い②。③が針葉樹林、①が落葉広葉樹林、②が常緑広葉樹林。針葉樹林は冷帯に広くみられ、タイガ(純林)を形成。モミやトウヒなど。落葉広葉樹林は東日本の中心的な植生。秋になると紅葉する樹木はいくらでもあるよね。常緑広葉樹林は熱帯雨林を考えればいい。ジャングルは低緯度地域に広がる。

問6 また河川流量の問題?そして、またしても変わった問題。すごいな、この第1問、センターの歴史の中でも珍しいぐらいの意欲にあふれる問題にあふれてる。これだけ多様な形式で問われるなんて、作成された先生はかなり気合いが入っていたと思うよ。ただ、それによって難易度が上がってしまい、本試験に採用されなかったとしたら皮肉な話なんだけどね。

まずユーラシアなんだが、大西洋に面するのは西ヨーロッパで降水量が多くない地域(西岸海洋性気候って覚えるより、具体的な降水量にも注目してほしいんだわな)。それに対し、太平洋に面する東アジアや東南アジアはモンスーン(季節風)の影響で多雨。太平洋に流出する水量の方が多いと考え、タがユーラシアとなる。

また、南アメリカ大陸、分水嶺(流域を分ける巨大山脈)のアンデス山脈が太平洋岸に沿って走っており、アマゾン低地など広い範囲に降った降水が大西洋側に流出する。太平洋側は面積が限られ、さらに寒流の影響による乾燥地域もみられるなど、この地域の降水量は少なく、流量も小さくなるはず。大西洋と太平洋の値に極端な差がある(もちろん、大西洋>太平洋ですよ)ツが南アメリカ。消去法でチが北アメリカとなり、正解は④。

こうして解説を聞いてみると、決して無理な知識が問われているわけではないのがわかるよね。下手したら中学レベル。でもそれが変わった形式で問われているから難しいのだな。逆にこの問題を楽々クリアしてしまったキミには、センターを解くセンスがあるっていうことになる。自信を持ちましょう!

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2015.06.03

ある生徒との会話

 「先生が黒板に書いたことはノートに写した方がいいですか」っていうなかなか素敵な質問が授業後にあってビックリ。キミは小中高と、授業中はノートをとって来なかったのかい?

というか、実際にはこういう感じでした。僕は授業中はとにかく僕の話を聞くことに専念してください。ノートをとりながら(黒板を写しながら)人の話を聞くなんてことはできないのだから、しっかり正面を向いて僕の話を聞こうよ。

彼の言い分としては、先生の話を聞いているから、授業中は全然ノートが取れないじゃないかというものだったらしい。いや、それはそれで素晴らしいことじゃないか(笑)

僕は授業前に板書は済ませてしまっているので、授業に早くやってきて、みんなノートにそれを写しているのだ。あるいは授業の間の休憩時間でもいい、最悪の場合、残って書いていったらいいじゃないか。授業内容は全く消さずに最後まで残してあります。

こうした「当たり前のこと」ができないのが当たり前なんだわな。こうしたことを一つ一つ指導していかないといけない。でもそれは楽しいことじゃないか。まだまだ僕自身、学ぶことが多いですよ。

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2015.06.02

2015年度地理B追試験[第3問]解説

 第3問 都市と村落、生活文化に関する大問。この辺はオーソドックスだね。定番問題が並んでいることを期待しております。

問1 おっと、さすがに写真がないと解けないじゃないか。「著作権処理中」とありますが、せめて文章でいいから、どんなんか簡単に説明して欲しかったなぁ。

「アメリカ合衆国の村落および農地」とあるので、おそらくタウンシップ制の散村だと思うわけだ。緯度経度方向に道路が設けられ、四角形の耕地に区切られている。それぞれの区画に対応するように家屋が配置され、全体として散村形態がみられる。

おそらくこんな感じの写真なんじゃないかな、と予想するわけで。②が正解だと思うよ。よくわららんけど(笑)。

問2 街路パターンの問題。時々この形式ってあるよね。教科書でも取り上げられているし。

最重要はペキン。日本の平城京や平安京が中国の古代都市の街路区画を模倣して建設されたことは有名なんじゃないかな(歴史だけど中学で勉強する内容だから大丈夫だよね)。「碁盤目状」であることからイがペキン。最も有名なのは、かつての長安ことシーアンなんだけれど、ペキンでもこうした街路区画がみられるのです。中国とは全然関係ないけど、ニューヨークもこんな感じ。

さらにワシントンについて。これはアが該当。計画的に建設された都市の代表例がアメリカ合衆国の首都ワシントンなのだが、こちらは碁盤目状の直交路に放射状の街路が組み合わされたもの。比較的珍しい形と思うので、知っておいてもいいんじゃないかな。北海道の旭川市が実はこの形。旭川市も開拓団によって建設された都市であるので、比較的新しい時代につくられたという点においてはワシントンと旭川は共通しているね。

残ったウがモスクワ。クレムリン宮殿を中心に据え、それを取り巻く環状道路とそこから発する放射状の街路の組み合わせからなる。パリにも似たような街路がみられるが、パリはこうした中心地が多数あるので、まるで蜘蛛の巣を張り巡らせたような複雑な街路区画になってしまっている(迷うよ)。ちなみにオーストラリアの首都キャンベラも実はこういった放射環状路型の街路パターンをもつ都市。山間部に計画的に建設された政治都市で、狭い土地を有効に使用するためにこうした形状になった。歴史あるヨーロッパの都市と、近代に建設された新大陸の都市の形状が偶然似ているのはたいへんおもしろい。正解は④になります。

問3 ん、これ、ちょっとわからない。おそらく正解は①だと思う。間違っていたらごめんなさい。「路面電車が廃止」っていうのが明らかに現代の流れとは逆行している。かつては道路渋滞の原因として多くの路面電車が廃止となっていたが、現在はそのエコロジー性が評価され、復活もしくは新設される路面電車は多い。郊外から都心部への人の流れが明確な都市ならば(日本の都市の多くはこのパターンだね)、通勤や買い物の足として路面電車は非常に有効である。電気を使用するため排気ガスを生じないというエコの側面だけでなく、一般の鉄道や地下鉄に比べて建設費用が安く抑えられるというメリットがある。このことから①を誤文と判定する。

もちろん「電気自動車」自体はエコなわけだから、これそのものは否定できないのだが、「電気自動車を用いた新しい都市交通システム」っていうのがよくわからない。自動車が通るんやから、単なる道路のことなんちゃうの?ってツッコンでしまうのだが。どんなもんなんだろうね。

他の選択肢は②のみ注目しておいてください。パリは歴史的建造物が多い旧市街地の中心部の再開発は制限されているのです。③のフライブルクはよく登場する街ではあるけれど、とくに出題のポイントがあるようなところでもない。④の「ロードプライシング制度」はよくわかりません(笑)。

いずれにせよ、都市名そのものが問題を解くカギになっているわけでもないので、本問で名前が出たからといって、とくに気にする必要はないよ。それこそ、地図帳で場所を調べるなんていうのはナンセンス。

問4 さっきの問題(問3)はやっかいだったけれど、こちらは簡単なんじゃない?農村で人口が増えるわけないよ。「住宅不足」になることはない。交通機関も発達しているといえるのかな。道路などは整備されるところもあるのかもしれないけれど、過疎化が進む集落においては路線バスなど公共交通機関が廃止されることは多いらしいね。「山間部で雇用機会が増える」こともありえない。

他の選択肢については読んでおいてください。④は無視していいです。意味がわからなくていい。③については重大な問題だよね。過疎化とは、人口が減るだけではない。「老人が取り残される」ことなのだ。過疎地域こそ医療サービスを徹底しなければならないのに、実際はそうならない(できない)。比較的大切なのは②の選択肢。ニュータウンは開発当初に入居した若い夫婦がそのまま年齢を重ね、特定の世代のみに人口分布が偏る傾向がある。新設された小学校が、数十年後には早くも廃校になる事例もあるようだ。

問5 これ、おもしろいっすね。第2問の自動車生産の統計でもドイツが登場しているのだけれども、こちらでもやはりEUを意識しないといけない。EUは物と人の国境を越えた移動が自由に行われている。ドイツ人は頻繁に日常的に国境を越えるのだ。「1人当たりの年間国外旅行回数」が飛び抜けて多いカがドイツでしょう。

さらにキとクの判定。これも類似の問題が第2問にある。第2問問6を参照して欲しいのだが、経済レベルが違う国の「消費金額」が比較されていた場合、1人当たりの値は物価すなわち1人当たりGNIが目安となる。たしかに日本は1人当たりGNIが高い国であるので、一回当たりの旅行に費やす金額はそれなりに大きくなるだろう。日本と同様に国内宿泊旅行1回当たりの消費金額が大きいクは、日本と同じく1人当たりGNIが高い国とみていい。クがアメリカ合衆国。

一方、この値が低い(安い)キは、1人当たりGNIが4カ国中最低の韓国。そもそもの物価が安いのだ。以上より、正解は⑥。

ところで、そういう観点からすると、ドイツは日本やアメリカ合衆国と変わらないほど1人当たりGNIが高いのに、「消費金額」が少ないじゃないかという疑問もある。これは国の面積なんじゃないかな。狭いドイツは、国内旅行の範囲も限られ、その分お金も少なくて済む。日本なら飛行機を使った北海道や沖縄も国内だしね。っていうか、アメリカ合衆国に至っては、アラスカ州やハワイ州も国内なのだ。そりゃお金もかかるわなぁ。

問6 変な問題。でも簡単だから許す(笑)。簡単な問題も難しい問題も1問3点。コスパを考えるならば、こうした簡単な問題で確実に得点をゲット。

最も古い時期はス。商店街があった時代なのだ。

次はシ。自動車化の進展によって郊外のショッピングセンターが栄える。

そして現在はサ。インターネットでクリックすれば商品が届く時代。味気ないともいえるけれど、便利には勝てないよね。僕もなんやかんや服やら雑貨やら書籍はほとんどネットで買っているものね。

以上より正解は⑥。

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2015.06.02

2015年度地理B追試験

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