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2017.07.17

【訳詞】『These Foolish Things(Remind Me Of You)〔思い出のたね〕』

◆『These Foolish Things(Remind Me Of You)〔思い出のたね〕』(1935年)
作詞:Erich Maschwitz(Hold Marvell※)
作曲:Jack Strachey、Harry Link

1935年、ロンドンで上演されたミュージカルコメディ『Spread It Abroad』のために書かれた曲。
1936年にサボイのCarroll Gibbonsとそのオーケストラの演奏により、イギリスでヒットする。
アメリカでは、翌年ベニー・グッドマン楽団の演奏によるヘレン・フォードの歌でヒットしている。
※作詞者、Hold MarvellはErich Maschwitzの出版時のペンネームだそう。ちなみに俳優兼作家。
Erichが恋人で女優のAnna May Wongへの想いを綴った曲だという説もあるそう。

★昨日City Jazzでやろうとしていたのですが、ちょっとしたことがあってやれませんでした
Ella Fitzgeraldがカーネギーホールでのライブ盤でヴァースなし1番のみのバージョンで、ジョー・パスのギターと共にしっとり歌っています。
最近、Varseからのフルバージョンでエラが歌っているものを見つけました。こちらもじっくり聴かせていただける、ステキなバージョンです。
ヒト聴き惚れエピソードはコチラ

情景や風景などのキーワードを並べた歌詞の曲を”カタログソング”と呼ぶそう。
※ガルボ=女優グレタ・ガルボのこと。
※クロスビー=歌手ビング・クロスビーのこと。
※イル・ド・フランス=フランスの首都パリを中心とした首都圏(英国領モーリシャス諸島???)。






〈Verse〉

ねぇ、君はいまだに僕を縛り付けている
ねぇ、君はずっと僕を離してはくれない

タイで固く結ばれているように
君からは逃れられない

悲しい痛みも幸せももたらした
君との”思い出のたね”が残っている限りはね


〈Chorus〉

煙草についた口紅
ロマンチックな場所へといざなう航空券
いまだに僕の心は浮き足立つ
翼が生えたみたいにね
こんなバカみたいなことで君を思い出すんだ

隣のアパートから聴こえるピアノの音
つまづいた言葉に似た響き
僕に秘めた想いを教えてくれて
心がこんなにも揺れ動く
こんなバカなことで君を思い出すんだ

君は突然現れ
僕を見て
すべてを征服した
そして僕を打ちのめしていったんだ
君にとってそれが当然のことみたいに

3月の風に心躍らせる
電話のベルに答えるひともなく
君の面影は僕にとりついたまま
そんなバカなことで君を思い出すんだ


最初にラッパスイセン
お次は興奮したような長い電報
それから隅っこの小さなテーブルのキャンドルライト
いまだに僕の心は浮き足立つ
翼が生えたみたいにね
こんなバカみたいなことで君を思い出すんだ

夕暮れを告げる鐘がなる公園
そこらじゅうカモメだらけ”イル・ド・フランス”
スプリングの美しき彼女
こんなバカみたいなことで君を思い出すんだ

こんなにも不思議で
こんなにも甘い
君をいまだ探している
そんな”思い出のたね”が愛おしくて

空っぽの駅でため息をつく真夜中の汽車
傍らに放り出されたシルクのストッキング
ダンスのお誘い
君の面影は僕にとりついたまま
そんなバカなことで君を思い出すんだ

枕に残ったガーデニアの香り
たったキロ7フランの野イチゴ
いまだに僕の心は浮き足立つ
翼が生えたみたいにね
こんなバカみたいなことで君を思い出すんだ


ガルボの微笑み
バラのかぐわしさ
バーの閉店を告げるウエイターの口笛
クロスビーの歌声
こんなバカみたいなことで君を思い出すんだ

こんなにも不思議で
こんなにも甘い
君をいまだ探している
そんな”思い出のたね”が愛おしくて

くすぶる枯葉の気配
スチーマーが泣き叫び
夢みるように恋人たちが通りを歩く
君の面影は僕にとりついたまま
そんなバカなことで君を思い出すんだ

★Verse(ヴァース)・・・歌の前置き、前口上、導入部分。
★Chorus(コーラス)・・・Verseに対して、歌の部分。本題。

※訳詞について・・・スタンダードの歌詞を意訳しています。その為、訳詞の表現と原詩が異なる場合があります。より詩的な表現、まとまりを考慮したため、ご了承ください。 

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