合氣道真生会川崎高津道場 活動報告
2023.12.10
片山先生ご来訪
2023年12月3日(日)の稽古に、合氣道小戸神武会東京支部の片山道場長がご参加くださいました。
既に何度もご紹介してはいますが、合氣道小戸神武会は真生会と同じく先師の教えを受け継ぐ合氣道で、九州宮崎を本拠とする団体です。
合氣道小戸神武会→。https://odojinmukai.com/
稽古は通常通りの流れで礼拝、体操の後、一対一(徒手・短剣・剣杖)、対多数者の体さばきを行いました。剣、杖の稽古をよく行うことが合氣道真生会の一つの特徴ですが、武器を用いると対素手の時以上に緊張感を持って稽古できますし、互いが槍、薙刀、刀、短刀といった武器を持っていることが当然の社会で武器術を主として発展してきた古来の武技の在り様を感じることができ、学ぶことが多いと思います。
相手が武器を持っていることをしっかりと想定しているかどうかによって、動きや技は大きく性質が変わります。武器の存在をほとんど想定していない方々の合気道の稽古を見ると、技を強く効かせることばかりに気を取られて非常に危険な立ち位置で技を行ってことが少なくありません。表からは見えなくとも背後や懐にナイフを隠し持っている可能性だってあるのです。
自身が武器術に習熟していれば、武器を持った相手の動きも予測しやすくなります。開祖は青年期から晩年に至る武道人生を通じて剣術、槍術といった武器術の修練・研究にご熱心でした。自分たちがご指導を受けた先師(開祖の直弟子・元合氣道九段)も演武では必ず開祖の教えを元に研鑽した剣杖の技や対武器術を行っていました。合氣道では体術と武器術は一体のものであり、それは現代の柔道、空手といった徒手中心の武道や、リング上での試合を主目的とするボクシング、キックボクシング、現代柔術といった格闘技との大きな違いの一つであると思います。そうして考えた時、武器術と同様に対多数者の体さばきも大変重要な意味があると思います。
体さばきの後は呼吸力の練習を行いました。まず試しに片手取り(立ち)で相手を横に崩す形を、両かかとをつけていわゆる「気をつけ」の姿勢で行って貰いましたが、難しくてじわじわ足幅を広げようとする様子が顕著に見て取れ、いかに普段は重心移動や足腰の力に頼って行ってしまっているかということがよくわかったかと思います。おもしろかったのでまた行おうと思います(笑)。この日はその他に呼吸力主体の両手取りの技などを座り技、立ち技でそれぞれ2、3種行いました。
自分が度々ご指導いただくようになった70歳代後半の頃からの先師の呼吸力は、触れた一点だけで瞬間的に相手をフワッと浮かして崩すものでした。それどころか、触れた感覚さえほとんどないままフワリ、コロンと転がされることもしばしばでした。
安定した体勢を作り、呼吸を整え、姿勢を正し、リラックスして体内の奥深くから力を発動し・・などといったことを悠長に行っていたら、相手に本当に攻撃の意図があったらとても間に合いません。例え修練を重ねて全てを1秒間でできるようになったとしても遅いです。実際には触れたと同時に相手が体勢を崩して攻撃力を失った状態にできなければ意味がありません。そして合氣道が和合の武道であるからには、それを相手が無理な力を感じず、痛みを伴わない方法で行わなければならないのです。
それに、相手の力に負けないように重心をドッシリと安定させ、体勢を固定してしまえば動きの自由がきかなくなってしまいます。相手が武器を持っていたり複数であったりすれば、動きが不自由な状態は即命取りとなります。先師の技は柔らかく自由で、60歳過ぎの頃でもその速さは正に目にも留まらぬほどでした。それは呼吸力によって相手を一瞬で無力化し、自身の体勢を固定させる必要がなかったから可能であったことではないかと思います。
ただし、普段の稽古から「速く技を行おう」と意識すると力んでしまい、無駄な動きも出てむしろ遅くなってしまいます。日頃は焦らずリラックスして一回一回の技を丁寧に稽古することが大切であると思います。合氣道の「速さ」は筋力から生まれるものではなく、捉われない心と無理なく自然で無駄のない動きから生まれるものだと思うので、合氣道の真義に即して稽古を続けていけば、いつの間にか速くできるようになっています。「速く、強く、かっこよく」といったことを意識すると、かえって技がダメになると思っています。
・・・とはいえ、真生会においてただの下っ端会員でヘタッぴの自分が言っても何の信頼性もありませんね。まあ、阿呆者の独り言と思って全て聞き流してください。
稽古の後は高津駅前の居酒屋「はなの舞」で懇親会を行いました。開祖のこと、先師のこと、濱田師範長のこと、各々の道場のこと、稽古の行い方についてなど、色々お話できてとても楽しいひと時でした。お料理もお酒もおいしかったです。久しぶりに日本酒の熱燗を飲みましたが・・・、やっぱり冬の熱燗はいいですね~~~(笑)。早めに終わらせるつもりが、いつもながらダラダラと長引かせてしまって大変申し訳ありませんでした。
片山先生、川崎高津道場の皆さん、今回も本当にありがとうございました。また何卒宜しくお願い致します!
合氣道真生会川崎高津道場 吉見新