合氣道真生会川崎高津道場 活動報告
2023.09.22
昇級式を行いました
2023年9月17日(日)、川崎高津道場の仲間の二級昇級式を行いました。
昇級式はいつ通り稽古の後に行い、濱田耀正師範長の後を受け継ぎ7月に真生会理事長に就任された揚野昌弘師範のお名前の入った初めての証書をお渡ししました。昇級された方はプロのフラダンス講師&踊り手さんです。ステージ出演も多い人気者さんで、万年日陰者な自分としてはうらやましい限りです。そういえばこの前日には新宿のイベントでステージ出演したそうですが、その会場で春風館合氣道の堀先生とばったり遭遇したとか。ご多忙の中をいつも稽古に通ってくださって大変ありがたく思います。
この日の稽古ではここしばらくテーマとしている正面打ちの技で三ヶ条や肘当て投げを行いました。正面打二ヶ条、三ヶ条はいわゆる「基本技」とされている技の中では手順が多く、慣れない方は覚えるのにちょっと苦労するところですが、皆さんが一生懸命に稽古してくださるので、だんだん色々な稽古ができるようになってきて助かります。
昇級おめでとうございます!これからも宜しくお願い致します。。
ところで、「基本技」とか「基本を大切に」といった言葉は広く一般に用いられていますが、合氣道の基本とは本来なんでしょうか?体の転換であるとか、呼吸法(呼吸力養成法)であるとか、一ヶ条(一教)であるとか、それぞれの考え方があると思います。しかし、合氣道真生会が最も基本としているのは「合氣道の精神」です。合氣道真生会で毎回の稽古の始まりに奉唱している「合氣道の精神」は、昭和30年(1955)ごろに開祖が語られた言葉を文語化したものです。開祖はこの他にも合氣道の心や魂について多くの言葉を残されています。
「なんだ、精神論か」と安易に切り捨てる方もいるかもしれませんが、武道において心とは極めて大切なものです。古代以来の原始的な戦闘術に工夫された技法、稽古法、更に精神性や信仰、礼法が結びついて中世から江戸時代にかけて成立したのが現代では「古武術(道)」と呼ばれる兵法、武芸であり、明治以降の社会変化の中でそれらに近代的な精神性、体育学を取り入れて再編し、心身の修養法として新たな存在意義を見出し、発展したのが「武道」です。精神性を失ってしまえば武道の存在理由そのものが崩壊してしまいます。剣道でも柔道でも弓道でも、本来はその心の在り方が極めて大切なものとされています。
特に合氣道は、開祖植芝盛平翁先生が従来の戦闘を主目的とする武術を精神修業の過程で編み直して生み出した武道であるため、その精神性を忘れれば本来の合氣道の在り方を見失ってしまいます。なぜ合氣道では殴る蹴るといったよりシンプルな方法を用いず、入身投げや四方投げのような、いうなれば「回りくどい方法」で相手を制するのか。なぜ筋力的な力を用いず、呼吸力や円転の理(体さばき)を用いて無理のないように技を行うのか。多くの方が疑問に感じているであろうそれらの理由は、「合氣とは愛なり」という「合氣道の精神」、即ち「和合の精神」に基づいて考えればすぐにわかります。合氣道をどう修業すべきか、よい合氣道の技とはどういうものか、「合氣道の精神」がその指針となります。「合氣道の精神」は、合氣道の原点であり恒久の目標なのです。
開祖がご存命であった50年以上前とは社会が大きく変化し、ネットによって情報や動画を気軽に流布させることが可能になったこともあって、合氣道の在り方もだいぶ変わってきたように感じます。しかし、力で争いに打ち勝つことや収入を増やすために多くの会員を集めること、目立って有名になることを主たる目的と考えることで本質を見失ってしまっていることはないでしょうか?
自分はネット音痴で宣伝下手ですし、合氣道も未熟で派手なことはできません。しかし、地味で目立たないなりに、本質を見失うことなく、合氣道の真の在り方を地道に探究し続け、細々とでも伝えていく努力を続けていきたいと思っています。道場の皆さんにもそんな道行に少しばかりおつきあいいただけたらとても嬉しく思います。
合氣道真生会川崎高津道場 吉見新