合氣道真生会川崎高津道場 活動報告
2023.07.28
片山先生ご来訪/合気道と宇宙科学
2023年7月23日(日)の稽古に、合氣道小戸神武会東京支部(本部:宮崎)の片山先生(四段・指導員)がご参加くださいました。
連日の猛暑の中をご足労いただき、大変恐縮です。
なお、この日の稽古は片山先生のお気持ちで、一か月余り前にご逝去された真生会前師範長・濱田耀正先生の「追悼稽古」という意味を込めさせていただきました。片山先生は2009年に宮崎で自分たちと同じ系統の合氣道に入門されていますが、濱田先生にお会いする機会はなかったそうで、そのことが非常に残念だと語られていました。
稽古は礼拝、体さばき、剣対杖の形、呼吸力養成法と続き、自分が知る中でなるべく濱田先生がよく行われていた練習法を選び、それらにまつわるエピソードなどもお伝えさせていただきました。技の稽古では正面打ちの基本技、呼吸力技を行い、そこでも先師と濱田先生が演武で行っておられた形などを稽古しました。
稽古の後は高津駅前の「はなの舞」に席を移し、濱田先生の思い出や合氣道のことをたくさんお話させていただきました。先日カナダからお客様がいらした折と同様、濱田先生にもお写真でご参加いただきました。
片山先生は濱田先生が熊本にあった古めかしい道場に40年近く住み込んでいらしたことを知らなかったそうで、大変驚いていました。まぁ、現代人であの道場に長く住もうというチャレンジャーは中々いませんよね…。朝稽古に伺った折など、まだ部屋着姿の濱田先生が眠そうな顔でノッソリと出ていらして一緒に竹ぼうきで道場周りの掃除をしたことなどが思いだされました。
関連記事「濱田耀正先生」(2023年7月)→https://aikidoshinseikai-kawasakitakatu.cloud-line.com/blog/2023/07/109827/
今回もおかげさまでとてもよい稽古ができ、更に濱田先生をたくさんふり返ることができました。
片山先生、川崎高津道場のみなさん、ありがとうございました!
ところで、最近テレビのドキュメンタリー番組で知ったのですが、「はやぶさ2」などの小惑星探査機は「イオンエンジン」という装置が生み出すわずか1グラム相当の推進力で数十万kmを旅し続けているのだそうです。「はやぶさ2」の本体は一般家庭の冷蔵庫ほどの大きさで600㎏の質量があるそうですが、無重力の宇宙ではごくわずかな力でも高速で移動し、大きな仕事を成し遂げることができるというのです。しかもイオンエンジンのエネルギー消費は化学燃料の10分の1という低燃費なのだそうです。
これは自分たち真生会の「呼吸力」にちょっと似ていると感じました。体勢の安定している重い相手を動かそうとするには、自分も大きな力を出さなければならず、体力も消費するし、大きな力で強引に動かされた相手は無理を感じます。しかし重心が浮いて軽くなった相手を動かすにはほとんど力がいりませんし、相手も無理を感じません。
実際に先師や濱田先生の手を取ると、自分の体が急にスーっと軽くなったかのような状態になりました。それに演武や講習会で何人もを相手にパッパッと続け様に技を行いながら普通に説明を続けておられ、ゼーゼー息を切らされるようなことはありませんでした。それは持久力が特別に優れていたといったことではなく、力を込めず自然体で技を行うことで体力の消耗が少なかったからであると考えられます。
濱田先生の演武
開祖は、「合氣道の極意は、己を宇宙の動きと調和させ、己を宇宙そのものと一致させることにある」と説かれています。
こういった言葉をスピリチュアルな感覚のみで神秘主義的に解釈しようとする方も多いですが、実際にまるで宇宙の無重力空間にいるかのように技を行うことができたら、自分にも相手にも無理がかからないし、とてもおもしろいと思います。
「心と技を一体とする」ということは、開祖が目指された合氣道の真の在り方であり、合氣道真生会が特に大切にしていることです。自分は開祖が、先師が、そして濱田先生が目指された「理想の武道」としての合氣道を、どこまでも探求し続けていきたいと思っています。
合氣道真生会川崎高津道場 吉見新