合氣道真生会川崎高津道場 活動報告

2022.04.20

甲手兼武道具店(こてかね ぶどうぐてん)のご紹介

横浜市内の京浜急行「弘明寺駅」のすぐ近くに、「甲手兼(こてかね)武道具店」という小さな武道具屋さんがあります。今回は自分が長年お世話になっているその武道具屋さんをちょっとご紹介しておこうと思います。

注)画面上に表示される企業・商品広告は、当道場とは一切関係ありません。 →お知らせ記事

自分が小学生で合氣道を始めて以来、道着や木剣、杖など合氣道に関するものはほとんどみんなこのお店で購入しているので、かれこれ40年近くお世話になっています。

〈 五代目の店長さん 〉

武器も自分の道着も全て甲手兼さんで買ったものです

木剣や杖を買う時などは、商品を全部持ち出して木目、重さ、バランスなんかを一本一本調べて時には一時間ほどもかけて選ぶのですから、なかなか迷惑な客で申し訳ないと思います…。でもこれが通販では絶対できないお買い物の楽しみですからね。。

店頭には他にも古流剣術仕様の木刀や薙刀、五尺(約1.5m)棒、六尺((約1.8m))棒といった様々な武道具があるので、お店に入るだけでちょっとおかしなテンションになります。さながらRPGで遠い旅先の武器屋に入った冒険者一行の気分でしょうか…(笑)

地元の方々もほとんど知らないことですが、このお店は実はとても歴史があるそうで、詳しい年代は聴きそびれましたが創業150年以上になるようです。戦前までは東京の神田にあって山岡鉄舟氏や高野佐三郎氏、中山博道氏といった明治~戦前の剣道界のスーパースターたちと交流があり、「甲手兼(こてかね)武道具店」という名称も山岡鉄舟氏がつけてくれたそうです幕末史や剣道・剣術の歴史を知っている方なら、「えっ、それすごくない!?」と思われるのではないでしょうか。由来は初代の店主さんが剣道具作りの名匠で、特に「小手(こて)」作りに優れていたからだそうです。

〈 手にはめているのが「小手」 〉

山岡鉄舟氏(1836-1888)は一刀正伝無刀流剣術の流祖であり、明治以降では最高峰の剣道家の一人と考えられています。幕末史においては江戸幕府の武士として新選組結成や江戸無血開城にも関わり、維新後は新政府の高官を歴任し、明治天皇の侍従も務めました。

高野佐三郎氏(1862-1950)と中山博道氏(1872-1958)は共に大正~戦前期の剣道界の中核を担った人物で、現在も剣道の昇段試験科目になっている「日本剣道形」の制定にも携わっています(「日本剣道形」(大正元年制定)は、模造刀または木刀で稽古する10本の基本的な組太刀です)

高野氏と中山氏は共に合氣道開祖・植芝盛平翁先生(1883-1969)と親交があり、特に中山氏との交流は深かったと伝えられています。中山氏の門下で一、二の実力者であった中倉清氏は一時期植芝家の養子に迎えられており、開祖は常々「武道の基本は剣である」と語っていたとされ、合氣道の宗家をこの中倉(植芝)清氏に継がせることも考えていたと言われています。もしそうなっていたら、合氣道はあらゆる意味でいまと全く違うものになっていたでしょう。

なお、自分が前に稽古していた夢想神伝流居合(居合(いあい)は剣術の一種)の流祖は中山博道氏です。なので普段はちゃんと「(中山)博道先生」とお呼びしています。居合の先生方に怒られたくないので言っておきます(^_;

そんな甲手兼武道具店もアジア太平洋戦争の戦災と占領軍GHQによる武道・武術の統制でしばらくは全く商売ができず、1953年(昭和28年)になって横浜市の現在の地に移転したとのことです。1953年(昭和28年)といえば、我々の合氣道の先師が戦後しばらくの厳しい社会状況で東京の道場を離れ、働き口を求めて各地を移動した末に熊本に到達したのも同じ年であり、そこで道場を開き、長年に渡り研鑽を重ねた合氣道がいま自分たちが受け継いで稽古している合氣道です。いずれも戦争が深く関わっていることでもあり、少し奇縁を感じます。

そんな歴史を思うと、なお一層この甲手兼武道具店というお店が大切なものに感じられます。現在は武道具もネット通販で買う人が多く、なかなか店舗を経営していくのも大変なことだと思います。しかし、実際に手に取って武道具を選ぶことができ、更に武道の歴史、地域の歴史を感じられる数少ない場所ですから、ぜひ今後も長く続いていって欲しいと思います。

残念ながら会員の少ない川崎高津道場はあまり売り上げに貢献することができませんが…

興味のある方はぜひお立ち寄りください。親切な店長さんが丁寧に対応してくださいます。。



営業時間 11:30~18:30 火曜定休 (2022年4月現在)

訪店の際は事前に営業状況をご確認ください ℡045-731-5367


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~ おまけ 周辺のお散策案内 ~

弘明寺観音・・・およそ1300年の歴史がある横浜市内最古のお寺で、奈良東大寺の創建に関わった行基上人や鎌倉幕府初代将軍・源頼朝公の奥様の北条政子さんもいらしたそうです。ご本尊である鎌倉時代の観音像は国の重要文化財に指定されています。


弘明寺商店街・・・所々に昭和の香りが残るレトロな下町の商店街です。おいしい和菓子やお惣菜が見つかるかも?夏場は縁日の屋台が出てプチお祭り気分が味わえることも。。

弘明寺公園・・・ほんのちょっとした森林公園です。時期によっては色々な野鳥や野リスに出会えます。。


大岡川・・・弘明寺商店街を横切って流れる川で、桜の名所として地元では少し有名です。多分。


~ おわり  m(_ _)m 

合氣道真生会川崎高津道場 吉見新

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