合氣道真生会川崎高津道場 活動報告

2016.06.25

2016年6月17、18日、熊本本部道場で稽古して参りました。

2016年6月17日(金)、18日(土)、合氣道真生会熊本本部道場で稽古して参りました。

しかし、今回の熊本行はいつもと違った特別な気持ちがありました。

 4月14日(木)以降、熊本を中心とした九州地方では複数回にわたって大きな地震が発生し、各地に甚大な被害をもたらしました。熊本に本部道場を置き、熊本並びに隣接する九州各県にいくつもの支部道場を持つ合氣道真生会の門人として、今回の大地震には非常に驚き、連日のニュースで避難している人々の様子や倒壊した建物の映像を見て、とても心に痛みを感じる日々が続き、すぐにでも現場にかけつけたいという気持ちに駆られていましたがなかなか状況がそれをゆるざず、結局2か月を経てようやく熊本に赴くことができました。

 16日(木)は東京での仕事を早上がりして夜遅くに熊本市内に到着して宿に入り、17日は5時に起床し、30分ほど歩いて街の様子を見つつ6時半からの本部道場の朝稽古に向かいました。

 稽古が始まる前には水前寺道場長の江藤師範代と共に濱田師範長に呼ばれ「前で三十六方切りをやって見せなさい」と言われ、朝からいきなり心臓が「ぴょんっ」と跳ね上がり、緊張を押し殺しながらとにかく普段通りにやろうと懸命に木剣を振りました・・・。

 その後は通常通り、濱田師範長のご指導の下、礼拝、体操、体さばきと稽古が進んだところで、また濱田師範長から江藤師範代と共に呼ばれ、他の方々とは別にご指導を受けさせていただくことなりました。他の皆さんに申し訳ない・・・という気持ちもありつつ、「こんな機会は滅多にない!」と胸が躍りました。稽古は様々な取り方での呼吸力のご指導が中心で、濱田先生にお手本を示していただいてはそれを濱田先生を相手に行うというもので、「力(腕力)を使わない」「取らせているところから持ってきなさい」と何度も何度もご注意をいただきながら必死の思いで稽古しました。朝からとても緊張感のある、そして極めて内容の濃い稽古をさせていただきました。7時半を少し過ぎて稽古は終了し、着替えてから30分あまり道場でコーヒーをいただきながら濱田先生と本部道場の皆さんと談笑しました(その中でもお互いの手を取り合って稽古が始まってしまうのが真生会らしい姿です(笑))。

 それから道場の方に車で送っていただいて一度宿まで戻り、朝食をとって午後からの用事の前に街の様子を見て回ろうと出発しました。まず熊本を訪れた際には必ず参拝に訪れる市内中心部の手取天満宮に向かいましたが、参道を歩いている途中で石造りの鳥居が柱の中程からボッキリ折れて崩れてしまっていることに気づいて「あっ・・・!」と目を疑いました。以前から顔見知りの宮司さんに伺った話では、4月14日の一度目の大きな揺れの時に大きな音がして外に出たらもう崩れていたということでした。明治30年代に造られ、100年以上の歴史のある鳥居だったそうです。なんとも残念なことです。宮司さんの顔は前より少々痩せたように見え、お疲れの様子を感じました。裏に回ってみると、玉垣も何本か倒れてしまっていました。

鳥居の崩壊した手取天満宮

 手取天満宮を後にして街中を見て回ると、大きく崩れている建物などは見当たらないものの、一部が損壊していたり、内部が大きく被災したということで営業を休止している商店などは少なからず見かけました。休業を伝える書店の貼り紙には、市民から営業再開を願う応援メッセージが所狭しと書き込まれていて心に響くものがありました。

本部道場の稽古場所である熊本護国神社も被害を受けていました。

市内中心部の上通アーケード。外見では目立った損壊は少なく見ます。

休業を伝える書店の貼り紙には市民の応援メッセージがびっしり。

一部損壊により営業休止中のコンビニ。

 それから街を抜けて熊本城の周囲を歩きはじめると、すぐに大きく石垣が崩れた痛々しい城の姿が目にとまりました。ニュースなどで映像では見ていましたが、実際に目にするとなんとも辛い気持ちがこみ上げて来ます。熊本城も熊本に来る度に稽古の合間の時間などによく散策した思い出ある場所です。石垣沿いに南に向かって少し歩いていくと、さらに衝撃の光景が目に飛び込んできました。そこには熊本城に隣接して熊本大神宮があるのですが、その神社の社務所が崩れた石垣の下敷きになって グシャッとつぶれてしまっていたのです。この神社も熊本に来る度によく参拝に訪れており、春先には拝殿の前の梅や山桜がきれいに咲いていて、とても趣のある神社でした。さらに歩いていくと石垣は断続的に何ヶ所かで崩れており、天守閣や櫓のいくつかも痛々しく損壊している様子が遠目からでもハッキリとわかりました。道にはまっすぐに深い亀裂の入っているところもあり斜面では木が根元から抜けて倒れ、地震の強さ、恐ろしさを物語っていました。

崩壊した熊本城の石垣に押しつぶされた熊本大神宮社務所。

熊本城天守閣。屋根や石垣が傷んでいるのがわかります。

亀裂の走る道。

 そうして2時間ほど街から熊本城周辺の様子を見て回って、午後から用事のためJR熊本駅に向かい、戻って今度は18時半からの夕稽古に向かいました。夕稽古は体操から体さばきまでは本部道場の山神指導員によって行われ、途中から濱田師範長のご指導に替わりました。まずは剣対杖、杖対剣を稽古し(ほんとに覚えが悪くて申し訳ありません・・・)残りの時間は再び濱田師範長に個別にご指導いただくという、なんともありがたい機会をいただきました。濱田先生にリクエストを聞かれたので、とにかく呼吸力を基本中の基本から教えていただきたいと申し出ました。朝稽古同様、濱田先生の手を取らせていただいては自分の手を取っていただき、何度もご注意を受けながら、とにかく必死でくらいついて少しでも何かを得よう・・・と、繰り返し繰り返し稽古させていただきました。自分のような甚だ未熟な弟子を相手にお時間を割いて手厚くご指導をしてくださった濱田先生には心から感謝致します。また朝稽古に続きその状況を快くおゆるしくださった本部道場の皆さんにも本当に感謝致します。

 稽古の後は、濱田先生にご同行させていただき、奥様も交えてご自宅の近くのお店で夕食をいただきながら、震災の際のお話や、他の会員の方々の近況を伺いました。

 翌18日(土)の朝は4時半に起床し、荷物を片付けて早々に宿を出て再び本部道場の朝稽古に向かいました。なお、日頃は夜型生活にどっぷり浸かってしまっている自分が、果たしてこの二日間、寝坊せずに朝稽古に参加できるか・・・ということが今回の一つの大きな課題でしたが、そこは奇跡的にクリアすることができました。

 稽古は始めから濱田先生のご指導で行われ、体操、体さばきの後は参加者みんなで呼吸力の研究といった雰囲気となり、全体に和氣藹々とした稽古になりました。稽古のあとはまた道場でコーヒーを飲みながら談笑し、道場の方にバス停まで送っていただいて東京に帰るべく熊本空港に向かいました。

 今回は稽古への参加と共に、大地震後の熊本の街と人々の様子を自分の目で直に確かめたいという思いがあっての熊本行でしたが、合氣道の関係から過去二十年ほどの間に何十回と訪れ、第二の故郷のような親しさも感じている見慣れた街並みが傷ついている様子には大変胸が痛みました。今回の震災で被災された熊本及び九州地方の皆様には改めてお見舞いを申し上げたいと思います。皆様が一日も早く安心な生活を取り戻され、街が復興していくことを心から願っております。

 二泊三日の旅を終えて、濱田師範長をはじめとする合氣道真生会の皆様が以前と変わらず熱心に稽古に励んでおられた姿を見ることができ、とても安心しましたし、力をいただいたように思います。

 不出来な弟子を相手に手厚いご指導をくださった濱田師範長、いつも暖かく迎えてくださる熊本の道場の皆様、本当にありがとうございます。濱田師範長にご指導いただいたことを少しでも己の身に付け、川崎高津道場の仲間たちに伝えていけるよう、より一層精進を重ねて参りたいと存じます。

今後共、何卒宜しくお願い致します!

〈追記〉後日談になりますが、今回の地震でご自宅が全壊されたという同門の大先輩からお電話をいただき、元気なお声を聞けて嬉しく思いました。この先まだ大変なことが多々ありましょうが、これからもお体に気をつけて過ごしていただき、ぜひまたお会いしたいと思います。

熊本の復興を応援致します!

合氣道真生会川崎高津道場 吉見

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